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 やまねこ10周年記念「世界の児童文学賞ラリー」レビュー集

ネスレ子どもの本賞(イギリス) レビュー集 :1
旧スマーティーズ賞(6〜8歳部門)
 

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最終更新日 2008/12/18 やまねこ賞の情報を追加

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ネスレ子どもの本賞 (旧スマーティーズ賞)リスト(やまねこ資料室) 
ネスレ子どもの本賞(旧スマーティーズ賞)の概要

このレビュー集について
 10周年記念「世界の児童文学賞ラリー」においてやまねこ会員が個々に書いたレビューを、各児童文学賞ごとにまとめました。メ ールマガジン「月刊児童文学翻訳」「やまねこのおすすめ」などに掲載してきた〈やまねこ公式レビュー〉とは異なる、バラエティーあふれるレビューをお楽しみください。
 なお、レビューは注記のある場合を除き、邦訳の出ている作品については邦訳を参照して、邦訳の出ていな作品については原作を参照して書かれています。


"Little Mouse's Big Book of Fears" * "Varjak Paw"『バージャック メソポタミアンブルーの影』"Ottoline and the Yellow Cat"(リンク)←追加


2007年ネスレ子どもの本賞(旧スマーティーズ賞)6〜8歳部門銅賞

"Little Mouse's Big Book of Fears" (2007) Emily Gravett エミリー・グラヴェット作 (未訳絵本)

その他の受賞歴
 
2007年度ケイト・グリーナウェイ賞 ショートリスト


 だれにだって怖いものがある。でも、この絵本を読めば、あなたはその恐怖を克服できるかもしれない……。
 主人公はねずみ。こわいものがいっぱいだ。はいまわる虫がきらい、特にクモ。それからベッドの下もいやだ。暗いベッドの下は、何かが潜んでいるような気がするからだ。ねずみは、おどおどとベッドのそばから離れてゆく。それからとがったものもこわい。ナイフのような、先がするどいものには身ぶるいする。恐ろしい新聞記事をみつけてしまった。似たようなあったなかまたちもたくさんいるようだ。ああ、こわい。ねずみの恐怖は、まだまだ続く。

 全体が辞典、または恐怖を克服するための本といった体裁になっている。"Arachnophobia"(クモ恐怖症)とか、"Entomophobia" (昆虫恐怖症)、"Aichmophobia"(先端恐怖症)といった各項目のページに、ねずみの恐れるものが記されている。時には、文章で、イラストで、またある時は、写真や記事でと、各ページにはどれも工夫が凝らされている。あちらこちらに楽しいしかけに、ページをめくるたび、わーっとか、えーっと声が出る。ここはどうだろう? ついついページを手で確認しながら次へと進む。見るたびに、「あ、ここにこんなのが!」と発見があり、おもしろい。
 恐怖を克服するための本なので、「余白にあなたの怖いものを書きこんでください」などと書かれているが、もったいなくてできるはずがない。それどころか、子どもにだって触らせたくない。見る時はみる時は一緒に、の我が家である。

(美馬しょうこ) 2008年5月公開


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2003年スマーティーズ賞(現ネスレ子どもの本賞)6〜8歳部門金賞

"Varjak Paw" (2003)  SF Said SFサイード作
『バージャック メソポタミアンブルーの影』 
金原瑞人相山夏奏訳 田口智子画 偕成社 2008

その他の受賞歴


 由緒正しい猫、メソポタミアン・ブルーの一族は、丘の上の伯爵夫人のお屋敷で何不自由なく暮らしていた。バージャックもその一員だったが、「物語なんて」とばかにする父さんやきょうだいたちとは違って、エルダー・ポーが話してくれるお話が大好きだ。偉大な先祖、ジャラールの冒険物語を聞くにつれ、バージャックは、お屋敷の外はどんなだろうと、外の世界にあこがれるのだった。
 そんなある日、お屋敷にこれまで見たことのない、あやしげな男と、不思議な二匹の黒猫がやってきた。男は、伯爵夫人の部屋から何かを運び出していったようだ。エルダー・ポーは一族会議を開いたが、みんなはまったくとりあわない。そこでエルダー・ポーは、バージャックに、一族の助けとなる「犬」を連れてくるようにと託し、黒猫に戦いを挑んだ。躊躇するバージャックに、エルダー・ポーは叫ぶ。「いけ! 手遅れになる前に。」バージャックは、一気にかけだした。

 世間知らずのお坊ちゃん猫、バージャックが成長していく物語だ。同じ一族でありながら、目の色が違うというだけで、「一族のつらよごし」扱いされていたバージャック。家族に認めてもらいたい、そんな気持ちもあって、みんなを助けようと「犬」を探しに行くことになった。親やきょうだいから認められたいという気持ちは、なんだかとてもよくわかる。子どもなら誰だって、そう思うに違いない。冒険物語を聞いていたバージャックは、何でもできるような気持ちになっていたが、実のところ、驚くほど何も知らない。そんなバージャックが、少しずつ外の世界を知り、のらねこの仲間たちに助けられ、そして夢の中でジャラールから七つの技を教わり……と、どんどん力をつけていく様子は、わくわくして読めた。弱い自分が強くなる姿に自分を重ね合わせられるところが、この物語の一番の魅力的であろう。
 ジャラールの教えは、何とも哲学的で、ひょっとしたら子どもにはちょっと難しいかもしれない。だが、この技を自分のものにできたとき、バージャックだけでなく、これを読んだ子どもたちも、一皮むけた自分になれるではなかろうか。
 イギリスとアメリカで大評判というこの作品、すでに続編もでており、邦訳も予定されている。まだまだバージャクの活躍がみられそうで、今後のバージャックの活躍が楽しみだ。

(美馬しょうこ) 2008年5月公開

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2007年ネスレ子どもの本賞6〜8歳部門金賞

"Ottoline and the Yellow Cat"(2007) (未訳絵本)
 by Chris Riddell クリス・リデル

その他の受賞歴
2008年(2007年度)ケイト・グリーナウェイ賞ショートリスト
2008年チルドレンズ・ブック賞低学年向け部門受賞
2008年(2007年度)カーネギー賞ロングリスト
2008年やまねこ賞絵本部門第3位


 ケイト・グリーナウェイ賞レビュー集を参照のこと

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