メニュー「月刊児童文学翻訳」バックナンバー>2011年09月号   オンライン書店


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2011年9月号
   =====☆                    ☆=====
  =====★   月 刊  児 童 文 学 翻 訳   ★=====
   =====☆   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ☆=====
                                No.133
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児童文学翻訳学習者による、児童文学翻訳学習者のための、電子メール版情報誌
http://www.yamaneko.org                         
編集部:mgzn@yamaneko.org     2011年9月15日発行 配信数2360  無料 
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●2011年9月号もくじ●
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◎特別企画:レビューを書こう
   (「カーネギー賞、ケイト・グリーナウェイ賞候補作品を読もう会」連動企画
                      第4回レビュー勉強会より)その2
 "Unhooking the Moon" グレゴリー・ヒューズ作
 "The Unfinished Angel" シャロン・クリーチ作
 "Big Bear, Little Brother" カール・ノラック文/クリスティン・オフテダル絵
◎賞速報
◎イベント速報:★やまねこ翻訳クラブ協力企画のお知らせあり★
◎お菓子の旅:第56回 ガールズあこがれのデザート? 〜クレーム・ブリュレ〜
◎読者の広場:読者から寄せられた質問にお答えします

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●特別企画●レビューを書こう
   (「カーネギー賞、ケイト・グリーナウェイ賞候補作品を読もう会」連動企画
                      第4回レビュー勉強会より)その2
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 7月号に続き、第4回「レビュー勉強会」の参加者によるレビューを3本お届けす
る。

【参考】
▽本誌2011年7月号「特別企画 レビューを書こう」
   (「カーネギー賞、ケイト・グリーナウェイ賞候補作品を読もう会」連動企画
                         第4回レビュー勉強会より)
http://www.yamaneko.org/mgzn/dtp/2011/07.htm#kikaku
▽本誌2008年11、12月号
         「特別企画 レビューを書こう(第3回レビュー勉強会より)」
http://www.yamaneko.org/mgzn/dtp/2008/11.htm#kikaku
http://www.yamaneko.org/mgzn/dtp/2008/12.htm#kikaku
▽本誌2006年12月号「特別企画 レビューを書こう(第2回レビュー勉強会より)」
http://www.yamaneko.org/mgzn/dtp/2006/12.htm#kikaku
▽本誌2005年10月号「特別企画 レビューを書く(実践編)」
http://www.yamaneko.org/mgzn/dtp/2005/10.htm#kikaku
▽本誌2003年11月号情報編「特別企画 レビューを書く(翻訳学習者編)」
http://www.yamaneko.org/mgzn/dtp/2003/11a.htm#kikaku

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『月をとってあげる』(仮題) グレゴリー・ヒューズ作
"Unhooking the Moon" by Gregory Hughes
Quercus, 2010 ISBN 978-1849162951 (PB)
374pp.
★2010年ブックトラスト・ティーンエイジ賞受賞作品
★2010年ガーディアン賞ショートリスト作品
★2011年カーネギー賞ロングリスト作品
Amazonで詳細を見る

 12歳のぼくは、カナダのウィニペグの大草原で父さんと妹の3人で暮らしていた。
2歳下の妹ラットは女優志望でとにかく人懐っこいけれど、嫌なやつなら大人でも容
赦なくやりこめてしまうほど大胆だ。ぼくが学校の先生に抱いている淡い思いもお見
通しで、しょっちゅうからかってくる。そんなラットだが原因不明の発作に苦しめら
れていた。突然全身がけいれんをおこし、呼吸が乱れる。そのまま意識が戻らないん
じゃないかと思うと、発作のたびに、ぼくは心配でたまらなくなる。
 そんなある日、ぼくたちは父さんを失い、2人きりになってしまった。施設行きを
覚悟したけれど、実は唯一の身寄りである叔父さんがニューヨークにいるらしい。ラ
ットの強い希望で、昔の写真1枚とドラッグの売人だという噂だけを手がかりに、ぼ
くたちは叔父さんを捜す旅に出た。まず貨物列車に忍びこみトロントへ、そこから自
転車で国境を越えるという無謀な計画だ。案の定、行けども行けども国境にたどりつ
かない。途方にくれていたところ、ひょんなことから葉巻の密輸人と知りあい、車に
乗せてもらえた。なんとか目的地ニューヨークについたものの、この大都会のどこを
捜せばいいのやら――。
 物語の語り手はボブ。妹の言動にふりまわされてばかりの少年だ。兄妹の常として
意見が食い違い衝突することもあるが、語り口からは妹を大切に思う気持ちがひしひ
しと伝わってくる。妹の窮地を救うためにボブが発揮する行動力はとてつもなく、ま
たそんな兄だからこそ、妹は兄を信頼してやりたい放題できるのだろう。
 ボブ以上の存在感で物語を引っ張っていくのが妹のラットだ。なにをしでかすか予
測不能で、兄でなくとも目が離せない。国境越えで葉巻密輸人の姪っ子のふりをする
など、演技力を駆使してピンチを切り抜けるのはさすが女優志望。その物おじしない
快活な性格で、物乞いや超有名ミュージシャンとまで仲良くなってしまう。
 叔父捜しの冒険を通して、兄妹の絆と多彩な友人たちとの友情が生き生きと描かれ
ていく。自由奔放なラットと、その奔放さを支える妹思いのボブ。2人に魅了され、
読者はいつしか旅路をともにしているだろう。

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【作】Gregory Hughes(グレゴリー・ヒューズ):英国リバプール生まれ。施設や少
年院で少年時代をすごす。その後25年ほどにわたり、さまざまな職を転々としながら
世界各国を放浪している。セントラルパークでの野宿など、自らの経験を随所にもり
こんだ本作でデビュー。ブックトラスト・ティーンエイジ賞を受賞するなど、高い評
価を受けた。

【参考】
▼ブックトラスト・ティーンエイジ賞受賞インタビュー
http://www.booktrust.org.uk/show/feature/Gregory-Hughes-interview

▼グレゴリー・ヒューズのインタビュー(Guardian 内)
http://www.guardian.co.uk/books/2010/nov/01/gregory-hughes-unhooking-the-moon

                                (森井理沙)

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『天使とゾラ』(仮題) シャロン・クリーチ作
"The Unfinished Angel" by Sharon Creech
Andersen Press, 2009 ISBN 978-1849390835 (PB)
164pp.
★2011年カーネギー賞ロングリスト作品
Amazonで詳細を見る

 スイス南部の山あいにあるイタリア語圏の小さな村。この村の見晴らしの良い塔に、
天使がひとりで住んでいた。もう何十年も前、ひょんなことから村に住みついたもの
の、これまで人間と直接交流することはなかった。村の住人たちに気づかれることな
く、山や湖の上を飛び回ったり、こっそりいたずらしたりして、ずっと気ままな生活
を楽しんできた。でも時には、このままでいいのだろうか、ひょっとしたら天使とし
てするべきことがほかにあるのではないか、と悩むこともあった。
 あるとき、天使の住む塔にアメリカ人の親子が越してくる。村に学校を作るために
やってきたポモドーロ氏と娘のゾラだ。ゾラにいきなり話しかけられて、天使はびっ
くり! しかも見た目が「人間」みたいだと言われ、動揺を隠せない。実は天使は鏡
に映らず、自分でも姿がよくわかっていなかったのだが、ゾラにははっきり見えるら
しい。何かとゾラの言動に振り回され、天使は不満を募らせていくが……。
「人間って変わってる!」冒頭のこんな一言で始まる物語は、英語にときどきイタリ
ア語が混じる天使の語りでテンポよく進む。人間を客観的な目で見ている天使の意見
はユニークで面白く、真実をついていてドキッとさせられることもあった。けれども
天使自身も完璧ではなく、自分のあり方について悩んでいる。天使なら何でも知って
いるはず、困った時は助けてくれるはず、と期待するゾラと、ゾラを身勝手だと感じ
つつも、自信のなさを必死で隠し、プライドを守ろうとする天使。ふたりのやりとり
には、思わず笑ってしまう。
 はじめは渋々ゾラにつきあっていた天使だったが、人間たちとの距離が近づくにつ
れ、そのまなざしは次第に優しくなる。強さや明るさの裏に孤独や不安を抱える人間
たちの姿を知ったからだ。ひとりひとりが完璧ではないからこそ、互いを思いやり、
支え合って問題を解決しようとする様子が、ひとりで生きてきた天使の目にはうらや
ましく映ったのかもしれない。天使の心の中で村の住人たちの幸せを守りたいという
気持ちが強まり、どこか未熟だった天使自身が成長していく。天使とゾラの一風変わ
った友情の行方を、いつまでも見守っていたくなった。

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【作】Sharon Creech(シャロン・クリーチ):1945年、米国オハイオ州生まれ。大
学卒業後に渡英し、教師をしながら執筆活動を開始。1995年に "Walk Two Moons"
(『めぐりめぐる月』もきかずこ訳/偕成社)でニューベリー賞を、2002年に "Ruby
Holler"(『ルビーの谷』赤尾秀子訳/早川書房)でカーネギー賞を受賞した。現在
は米国ニューヨーク州北部で夫と暮らす。

【参考】
▼シャロン・クリーチ公式ウェブサイト(US)
http://www.sharoncreech.com/

▼シャロン・クリーチ公式ウェブサイト(UK)
http://www.sharoncreech.co.uk/

▽シャロン・クリーチ作品リスト(やまねこ翻訳クラブ資料室)
http://www.yamaneko.org/bookdb/author/c/screech.htm

                                (平野麻紗)

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『ぼくたちは きょうだい』(仮題)
カール・ノラック文/クリスティン・オフテダル絵
"Big Bear, Little Brother"
text by Carl Norac, illustrations by Kristin Oftedal
Macmillan Children's Books, 2010 ISBN 978-0230016842 (PB)
32pp.
★2011年ケイト・グリーナウェイ賞ショートリスト作品
Amazonで詳細を見る

 見わたすかぎりの白い氷原を、おだやかな風がすうっと吹きぬけていく。そこにい
るのは大きなシロクマ。目を閉じて、うっとりと静けさをあじわっていた。すると突
然、大きな声がきこえ、人間のこどもが落ちてくるではないか。きっと崖から足をす
べらせたのだろう。シロクマは崖の下にすべり込み、大きな前足をさしだす。受けと
められた小さな男の子は、シロクマに抱えられてびっくりしていた。シロクマは「こ
わがらなくていい」と声をかけ立ち去ろうとする。そのとき男の子が呼び止めた。
「待って! ぼくもいっしょに行く」迷子になってしまったとも気づかずに、男の子
はシロクマについていった。
 やさしく美しいけれど、力強い絵だ。一面の雪景色にひきこまれ、氷の大地に立っ
ているような気持ちになった。つんとつきさす冷たい空気が感じられ、風の音も聞こ
えてくる。シロクマの姿は、おどろくほど大きく描かれていて迫力がある。いっぽう、
その表情はやさしげで、ふわふわした毛は柔らかく温かそうだ。シロクマと男の子が
ぴったりと寄り添っている姿からは、愛情があふれ出ている。男の子は、着ぶくれし
て走りまわり、元気いっぱい。ほっぺがほんのり赤くて、とてもかわいらしい。
 男の子は、先を歩くシロクマをすっかり慕って「おにいちゃんになって」とたのむ。
けれどもシロクマは「全然似ていないじゃないか」と笑ってとりあわない。そこで、
ふたりは、体の大きさやダンスのうまさなどをくらべて、違いがあるのか調べてみる。
ほのぼのとしたやりとりが、ほほえましい。シロクマは、かしこい男の子に一本取ら
れてばかりなのだ。けれども嵐がやってくると、シロクマは男の子を必死で守り、と
ても頼もしくなる。その姿はまさに“おにいちゃん”だ。男の子もシロクマのためな
ら勇気を出せる。ふたりの心が強く結びついていくのを感じて心が温かくなった。
 男の子とシロクマのふれあいは、遠い氷の世界での夢の話のようだけれど、ふたり
の深い愛情をあじわっていると、ほんとうに“生きものは皆きょうだいのようにつな
がっている”という気がしてきた。人間もその一員で、自然につつまれた存在なのだ
と、この絵本は思い出させてくれる。

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【文】Carl Norac(カール・ノラック):ベルギー生まれ、フランス在住の作家、詩
人。こども向けの本の人気が高く、39の言語に翻訳されている。最近の邦訳作品に、
『さいこうのおたんじょうび』(クロード・K・デュボワ絵/河野万里子訳/ほるぷ
出版)、『わたしのおじいちゃんはチャンピオン せかいいちのおじいちゃんがいる
ひとみんなに』(イングリッド・ゴドン絵/いずみちほこ訳/セーラー出版)がある。

【絵】Kristin Oftedal(クリスティン・オフテダル):ノルウェー、オスロ在住。
2004年キングストン大学卒業。多くの雑誌で活躍するイラストレーター。自然からの
インスピレーションを大切にし、動物や鳥をよく描いている。2003年マクミラン社主
催の Macmillan Prize for Children's Picture Book Illustration 受賞。本作品が
絵本デビュー作。

▼カール・ノラック公式ウェブサイト
http://www.carlnorac.com/

▼クリスティン・オフテダル公式ウェブサイト
http://kristinoftedal.com/

▼カール・ノラック紹介ページ(Macmillan 内)
http://www.panmacmillan.com/Authors%20Illustrators/displayPage.asp?PageTitle
=Individual%20Contributor&ContributorID=71593&RLE=Author

                                (中井理佳)

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●賞速報━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

★2011年ミソピーイク賞児童書部門受賞作品発表
★2011年LIANZA(ニュージーランド・アオテアロア図書館情報協会)主催
                           児童文学賞受賞作品発表
★2011年オーストラリア児童図書賞受賞作品発表
★2011年度ブラティスラヴァ世界絵本原画展(BIB)賞発表

 海外児童文学賞の書誌情報を随時掲載しています。「速報(海外児童文学賞)」を
ご覧ください。
http://www.yamaneko.org/cgi-bin/sc-board/c-board.cgi?id=award

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●イベント速報━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

★展示会情報
 新潟市新津美術館「絵本の世界へ旅しよう」
 宮城県美術館「絵本原画名品展〜記憶の底のたからもの〜」 など

★シンポジウム・講演会情報
 日本ペンクラブ シンポジウム「子どもの物語・大人の物語」
 国立国会図書館国際子ども図書館「神宮輝夫氏講演会」 など

 詳細やその他のイベント情報は、「速報(イベント情報)」をご覧ください。なお、
空席状況については各自ご確認願います。
http://www.yamaneko.org/cgi-bin/sc-board/c-board.cgi?id=event

★★やまねこ翻訳クラブ協力企画のお知らせ★★

「秋の読書探偵」作文コンクール
(主催 翻訳ミステリー大賞シンジケート/協力 やまねこ翻訳クラブ)

 現在、翻訳ミステリー大賞シンジケートでは、18歳以下を対象とした作文コンクー
ルを開催しています。当やまねこ翻訳クラブもさまざまな形で協力しています。
 翻訳書を読んで作成したものであれば、感想文はもちろん、手紙や詩の形式、絵が
入った文章などでもかまわない、自由な作文コンクールです。
 募集は「小学生の部」と「中高生の部」に分けておこないます。応募締め切りは10
月24日(月)です。

詳細は、こちらをごらんください。
http://d.hatena.ne.jp/honyakumystery/20110901/1314829931
(翻訳ミステリー大賞シンジケート・ウェブサイト内)

 お子さんに、お友だちに、お知り合いに、ぜひお知らせください!

                           (笹山裕子/冬木恵子)

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●お菓子の旅●第56回 ガールズあこがれのデザート? 〜クレーム・ブリュレ〜
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Directly beneath us, my friends were dining on the finest foods a five-star
chef could offer, but as my mom walked around in an old sweatshirt of my
dad's, looking like a teenager herself, I wouldn't have traded places with
them for all the creme brulee in the world.
(creme のひとつめの e にアクサン・グラーヴ、brulee の u にアクサン・スィル
コンフレックス、ひとつめの e にアクサン・テギュ)

          "I'd Tell You I Love You, But Then I'd Have to Kill You"
             by Ally Carter, Hyperion Books for Children(2006)
          Amazonで詳細を見る
          『スパイガール』
                アリー・カーター作/橋本恵訳/理論社/2006年
          Amazonで詳細を見る  bk1で詳細を見る

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 クレーム・ブリュレ(Creme brulee)はフランス語で「焦げたクリーム」という意
味のお菓子です。その名からフランス生まれのイメージがありますが、起源には諸説
あり、いまだ結論がでていません。フランスで書籍に名前がみられるのは18世紀です
が、イギリスでは17世紀にバーントクリーム(Burnt Cream)として登場しています。
19世紀後半にはケンブリッジ大学トリニティカレッジの人気デザートとなったため、
ケンブリッジバーントクリームの名でも知られています。一方、スペインのカタルー
ニャ地方にも、とてもよく似たクレマ・カタラナというお菓子があり、こちらが元だ
という説も。いずれにしても、とろとろのプディングの上にパリパリのカラメルとい
う組みあわせは絶妙です。
 冒頭の引用は、スパイ養成女子校で学ぶ生徒たちの奇想天外な日々を描く物語から。
主人公カミーは、校長として忙しい母とふたりだけの夕食を楽しんでいます。食堂に
行けば友達と一緒に一流シェフの料理が食べられるけれど、母と過ごせる貴重な時間
は世界中のクレーム・ブリュレをさしだされてもゆずらない、とカミーは思っている
のです。「スパイガール」シリーズの中ではこのお菓子がシェフの作るサイコーのデ
ザート、女の子には欠かせないものとして何度も語られます。この本のガールズ読者
も、読み終わるころにはきっと食べたくなっていることでしょう。
 そんなクレーム・ブリュレは、パリパリと焦がしたカラメルが持ち味。家庭では難
しいと思われがちですが、今回はバーナーがなくても簡単に作れる方法をご紹介しま
す。物語の主人公になった気分で、パリッと割って召しあがれ。

*-* クレーム・ブリュレの作り方 *-*
                画像はこちら(やまねこ翻訳クラブ喫茶室)

材料(直径9cmのココット型6個分)
 卵黄            4個分   グラニュー糖       大さじ3
 生クリーム          400cc   バニラエッセンス       適宜
 焼き色用砂糖         適宜

1.生クリームをなべに入れ、弱火で約60度にあたためる。
2.ボウルに卵黄とグラニュー糖を入れ、泡だて器でよくまぜる。
3.2をかきまぜながら、1の生クリームを少しずつ加える。
4.バニラエッセンスを加えてよくまぜ、茶こしでこしながらココット型に流しいれ
  る。
5.天板にココット型を並べ、高さの半分くらいまでお湯を張って、160度にあたた
  めたオーブンで20〜25分焼く。
6.オーブンから出し、あら熱がとれたら冷蔵庫で1時間以上冷やす。
7.表面の焼き色はオーブントースターでつける。できあがったプディングの表面に
  砂糖を薄くしきつめる。上の熱源に近くなるよう、さかさにした金属のバットな
  ど耐熱性のものを天板にのせて高さをつけた上にココット型を置き、様子をみな
  がら砂糖に焼き色がつくまで焼く。
8.あら熱がとれたら再び冷蔵庫で1時間ほど冷やしてからいただく。長時間置くと
  砂糖が水分を吸収して溶けてしまうので注意。

★参考文献、ウェブサイト
『お菓子の由来物語』(猫井登著/幻冬舎ルネッサンス)
『世界の食文化 スペイン』(立石博高著/農山漁村文化協会)
The Food Timeline
http://www.foodtimeline.org/index.html
トリニティカレッジ公式ウェブサイト(Trinity Burnt Cream の説明ページ)
http://www.trin.cam.ac.uk/index.php?pageid=440

★「やまねこ翻訳クラブ喫茶室掲示板」
        http://www.yamaneko.or.tv/open/c-board/c-board.cgi?id=kissa
 ※「お菓子掲示板」は8月末をもって喫茶室掲示板に統合されました。

                   (冬木恵子/かまだゆうこ/加賀田睦美)

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●読者の広場●海外児童文学や翻訳にまつわるお話をどうぞ!
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 7月号のムーミンエコバッグの応募メールで、本誌への感想をたくさん送っていた
だきました。ありがとうございます。その中に、賞情報とおすすめの本に関する感想
がありましたので、こちらで紹介し、回答させていただきます。

【ご感想】
 賞関係の情報が嬉しいです。もっと早く、は難しいのでしょうか。また、おすすめ
の本の情報も、もっといろいろ知りたいです。

【編集部より】
 本誌における海外児童文学賞関係の情報は、毎月の「賞速報」のコーナー及び、記
事としてお届けするニューベリー賞、カーネギー賞など一部の賞に限られています。
しかし、やまねこ翻訳クラブサイト内の「海外児童文学賞速報掲示板」では、数多く
の賞の受賞情報を「速報」の形で掲載しております。是非こちらの掲示板をブックマ
ーク登録してご利用ください。
 http://www.yamaneko.org/cgi-bin/sc-board/c-board.cgi?id=award

 また、速報掲示板とは別に、資料室内に「世界の児童文学賞カレンダー」というペ
ージがあります。ここでは、各文学賞の発表日、および予定日を、月毎に網羅してお
り、各賞の公式サイトや資料室内のリストへのリンクもはってあります。こちらで各
賞の発表日をチェックして公式サイトに飛べば、やまねこの速報掲示板よりも早く情
報を入手することが可能です。
 http://www.yamaneko.org/bookdb/award/calendar.htm

 おすすめの本の情報については、読書室掲示板にいろいろな本が紹介されますので、
ご参照ください。この掲示板にやまねこ会員が紹介した作品の中から、本誌にレビュ
ーを掲載する本が選ばれることもあります。また、この掲示板は、会員に限らずどな
たでも書き込みをしていただけます。本誌読者のみなさまからのおすすめの本の情報
も、お待ちしています。
 http://www.yamaneko.or.tv/open/c-board/c-board.cgi?id=dokusho

 以上、ご参考になれば幸いです。

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 このコーナーでは、本誌に対するご感想・ご質問をはじめ、海外児童書にまつわる
お話、ご質問、ご意見等を募集しています。mgzn@yamaneko.org までお気軽にお寄せ
ください。

※メールはなるべく400字以内で、ペンネームをつけてお送りください。
※タイトルには必ず「読者の広場」とお入れください。
※掲載時には、趣旨を変えない範囲で文章を改変させていただく場合があります。
※質問に対するお返事は、こちらに掲載させていただくことがあります。原則的に編
集部からメールでの回答はいたしませんので、ご了承ください。

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●お知らせ●

 本誌でご紹介した本を、各種のインターネット書店で簡単に参照していただけます。
こちらの「やまねこ翻訳クラブ オンライン書店」よりお入りください。
http://www.yamaneko.org/info/order.htm
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           ・☆・〜 次 号 予 告 〜・☆・

 10月号では、「出版社シリーズ研究」第2回をお届けする予定です。
 詳細は10日頃、やまねこ翻訳クラブHPメニューページに掲載します。
          http://www.yamaneko.org/info/index.htm
 どうぞお楽しみに!

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▽▲▽▲▽   海外児童書のシノプシス作成・書評執筆を承ります   ▽▲▽▲▽

  やまねこ翻訳クラブ(yagisan@yamaneko.org)までお気軽にご相談ください。

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     ☆☆ FOSSIL 〜 Made in USA のライフスタイルブランド ☆☆
 独創的なデザインで世界100ヶ国以上で愛用されているフォッシルはアメリカを代
表するライフスタイルブランドです。1984年、時計メーカーとして始まったフォッシ
ルは時計をファッションアクセサリーの一つと考え、カジュアルな「TREND」ライン
からフォーマルなシーンにも使える「CERAMIC」など、年間300種類以上のモデルを発
売し続けています。またフォッシル直営店では、時計以外にもレザーバッグ、革小物、
ファッションサングラスなどのラインも展開しています。
TEL 03-5992-4611
http://www.fossil.co.jp/     (株)フォッシルジャパン:やまねこ賞協賛会社
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          吉田真澄の児童書紹介メールマガジン
             「子どもの本だより」
     http://www.litrans.net/maplestreet/kodomo/info/index.htm
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        http://www.litrans.net/maplestreet/index.htm
新刊情報・イベント情報などを掲載いたします。詳細はmaple2003@litrans.netまで。

       出版翻訳ネットワークは出版翻訳のポータルサイトです
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編集者の方々へのインタビューもあります!    〈フーダニット翻訳倶楽部〉
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  やまねこ翻訳クラブのHOTな話題をご提供します!
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●編集後記●このたび、当メールマガジンの副編集長に就任し、今月号で初めて編集
の指揮を執りました。編集スタッフ一同が熱い思いで真剣に取り組んだ結果を多くの
読者にお届けできることに、改めて喜びを感じています。これからも「月刊児童文学
翻訳」をよろしくお願いいたします。(お)
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発行人 平野麻紗(やまねこ翻訳クラブ 会長)
編集人 大作道子/植村わらび/井原美穂(やまねこ翻訳クラブ スタッフ)
企 画 尾被ほっぽ 加賀田睦美 かまだゆうこ 蒲池由佳 児玉敦子 笹山裕子
    佐藤淑子 中井理佳 平野麻紗 冬木恵子 増山麻美 村上利佳 森井理沙
    脇田茉莉
協 力 出版翻訳ネットワーク 管理人 小野仙内
    ながさわくにお
    html版担当 shoko
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