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2010年10月号
   =====☆                    ☆=====
  =====★   月 刊  児 童 文 学 翻 訳   ★=====
   =====☆   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ☆=====
                                No.124
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児童文学翻訳学習者による、児童文学翻訳学習者のための、電子メール版情報誌
http://www.yamaneko.org                         
編集部:mgzn@yamaneko.org     2010年10月15日発行 配信数 2400 無料 
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●2010年10月号もくじ●
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◎注目の本(邦訳読み物):『墓場の少年 ノーボディ・オーエンズの奇妙な生活』
                       ニール・ゲイマン作/金原瑞人訳
◎注目の本(未訳読み物):"Prisoner of the Inquisition"
                            テレサ・ブレスリン作
◎世界の本棚(トルコ語):"Kuyruksuz" ジャン・ギョクニル文・絵
◎賞速報
◎イベント速報
◎やまねこ賞裏話
◎読者の広場

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●注目の本(邦訳読み物)●幽霊に育てられた少年の墓場から始まる人生
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『墓場の少年 ノーボディ・オーエンズの奇妙な生活』
ニール・ゲイマン作/金原瑞人訳
角川書店 定価2,625円(税込) 2010.09 295ページ ISBN 978-4047916340
"The Graveyard Book" by Neil Gaiman
HarperCollins Publishers, 2008 (US)
Bloomsbury Publishing, 2008 (UK)
★2010年カーネギー賞受賞作品
★2009年ニューベリー賞受賞作品
★2009年ブックトラスト・ティーンエイジ賞受賞作品
★2009年ボストングローブ・ホーンブック賞フィクションと詩部門
                             オナー(次点)作品
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「だれでもない」と名づけられた少年ノーボディ・オーエンズ――通称ボッドは墓場
に住んでいる。家族は彼が赤ん坊のころ、みな殺しにされた。“ジャック”という謎
の男によって。殺人事件の晩、たまたま家を抜け出した彼は、よちよちと迷い込んだ
墓場で幽霊に拾われ助かった。それ以降、幽霊夫妻が育ての親となり、生者でも死者
でもないというサイラスが後見人となって少年の面倒をみている。ボッドは夜目がき
き、姿を消したり壁を通りぬけることもできる、人間離れした不思議な少年に育った。
 墓場から出ることを厳しく禁じられていたボッドにとって、外の世界はあこがれだ
った。幼い少年の外界に対する好奇心は、初めてできた人間の友だちスカーレットと
の交流により、さらにふくらむ。やがて成長し、普通の学校へ通うことを許されたも
のの、墓場の外には危険がいっぱいだった。なにより、あの“ジャック”が、いまだ
にボッドを狙っているのだから。いったい“ジャック”とは何者なのか? なぜボッ
ドの家族は殺されたのか? 守ってもらうばかりだった少年は、自らを守れるように
なるためにも、外の世界について学び、謎の男の正体を知ろうとする。
 ラドヤード・キプリングの『ジャングル・ブック』に着想を得たというこの物語で、
赤ん坊への保護本能を発揮するのは、幽霊や、生者にも死者にも属さない男など怪し
げなものたちである。彼らは生きているもの以上に人間味にあふれ、情に厚く、冷気
と影のなかにも優しいぬくもりと明るさを感じさせる。墓場の外にいる人間たちのほ
うがよっぽど陰湿で恐ろしい。そんな彼らから大切に育てられたボッドは、素直で思
いやりが強く、勇気のある子どもだ。少し向こう見ずなところもあるが、友情や淡い
恋を知り、数々の危機を乗り越えていくなかで、分別や思慮深さをも身につけていく。
子どもの成長物語は多々あれど、設定の面白さと個性豊かに描きわけられた登場人物
に、これほどわくわくさせられたことはない。映画やグラフィック・ノベルなど、物
語を視覚的に表現する世界にも携わる作者だけあって、文章には読むだけで映像がど
んどん脳に流れ込んでくるような迫力もあった。世界的に権威あるニューベリー賞と
カーネギー賞をダブルで受賞したのも納得の1冊である。

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【作】ニール・ゲイマン(Neil Gaiman):英国で生まれ育つ。世界的な人気作家で、
これまでに獲得した文学賞は数知れない。グラフィック・ノベルの原作や映画の脚本
なども手がけ、その活躍ぶりは実に多彩。主な邦訳作品に『アナンシの血脈(上下)』
(金原瑞人訳/角川書店)や、コミック初の世界幻想文学大賞を受賞した「サンドマ
ン」シリーズ(海法紀光訳/インターブックス)など。米国ミネソタ州在住。

【訳】金原瑞人(かねはら みずひと):1954年、岡山県に生まれる。法政大学社会
学部教授。英米の児童文学作品を中心に300冊を越す翻訳を手がける。主な訳書に
『デビルズ・キス テンプル騎士団の少女』(サルワット・チャダ作/メディアファ
クトリー)や『八月の暑さのなかで ホラー短編集』(W・F・ハーヴィーほか作/
岩波書店)、『クレイ』(デイヴィッド・アーモンド作/河出書房新社)など。

【参考】
▼"The Graveyard Book" 作品公式ウェブサイト
http://www.thegraveyardbook.co.uk/

▼ニール・ゲイマン公式ウェブサイト
http://www.neilgaiman.com/

▼金原瑞人公式ウェブサイト
http://www.kanehara.jp/

▽カーネギー賞受賞作品リスト(やまねこ翻訳クラブ資料室)
http://www.yamaneko.org/bookdb/award/uk/carnegie/index.htm

▽ニューベリー賞受賞作品リスト(やまねこ翻訳クラブ資料室)
http://www.yamaneko.org/bookdb/award/us/newbery/index.htm

▽ブックトラスト・ティーンエイジ賞受賞作品リスト(やまねこ翻訳クラブ資料室)
http://www.yamaneko.org/bookdb/award/uk/teenage/index.htm

▽ボストングローブ・ホーンブック賞受賞作品リスト(やまねこ翻訳クラブ資料室)
http://www.yamaneko.org/bookdb/award/us/bghb/index.htm

▽金原瑞人訳書リスト(やまねこ翻訳クラブ資料室)
http://www.yamaneko.org/bookdb/int/ls/mkaneha1.htm

                               (加賀田睦美)

〈お詫びと訂正〉
 本誌7月号「賞情報」中に誤りがありました。本作の紹介で「狼男」と主人公が関
わると記載しておりましたが、作品中に「狼男」は登場しません。お詫びして訂正い
たします。

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●注目の本(未訳読み物)●15世紀末スペインを舞台にした波乱万丈の物語
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"Prisoner of the Inquisition" by Theresa Breslin
Doubleday Childrens, 2010 ISBN 978-0385617031
320pp.
RHCB Digital, 2010 ISBN 978-1409096979(電子版)
(このレビューは電子版を参照して書かれています)
★2010年ガーディアン賞ロングリスト作品
Amazonで詳細を見る

 1490年夏、スペインのとある港町。行政官の一人娘ザリータは、教会で突然近づい
てきた物乞いにおびえ、大騒ぎを起こす。事態を重く見た父は、娘がとめるのも無視
して物乞いを処刑した。自分のとっさの行動が人を死に追いやったことに苦しむザリ
ータは、さらに同じ日のうちに病身だった母と弟を亡くし、深い悲しみに沈んだ。追
いうちをかけるように、父が間もなく再婚し、町では当時国中を震えあがらせていた
異端審問がはじまる。重苦しい空気に包まれる町、人が変わってしまった父。周囲の
変化にとまどうザリータは、やがて継母の策略によって修道院に入れられた。
 物乞いの息子サウロの運命も、同じ事件を境に変わった。父の処刑を目の当たりに
したサウロは、行政官一家への復讐を誓うが、奴隷として船に売られて海に出る。そ
こで船乗りとしての才能を見いだされ、やがてコロンブスと出会い、未知の世界への
あこがれを抱くようになる。そして1年半。帰国したサウロと、家を離れたザリータ
は、互いの素性を知らぬままに出会い、さらなる試練に見舞われる――。
 15世紀末のスペインでは、宗教による国家統一のために、各地で厳しい異端審問が
行われていた。ひとたび背教の疑いをかけられた者は、容赦なく審問にかけられ、見
せ物のように処刑された。一方、物語がはじまる1490年は、コロンブスが大西洋横断
に乗り出す直前の、大航海時代幕開けの時でもあった。審問の閉塞感と新しい息吹が
同時に感じられるこの時代を舞台に、作者は当時実際にあった出来事や実在の人物を
織りこみ、時代の波に翻弄される若者2人の物語をドラマチックに紡ぎあげた。宗教
の問題や時代背景など、なじみがなく重苦しく感じるところもあるが、巧みな構成と
語りで読者をひきこむ筆力に圧倒された。後半の、2人が出会ったあとの展開はとく
にスリリングで、ページを繰るのももどかしいほどだった。
 奥行きのある人間ドラマも魅力の一つだ。厳しい時代を生きる人間の弱さや醜さが
浮き彫りにされるが、悲しみや恨みにとらわれていたサウロとザリータが、それぞれ
にたくましく成長していく姿も鮮やかに描かれている。読み終えたあとで、愛や勇気、
正義について、信じるとは、許すとはどういうことなのか、改めて考えさせられた。

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【作】Theresa Breslin(テレサ・ブレスリン):スコットランドの小さな町で生ま
れ育つ。図書館の司書をしながら、児童書、ヤングアダルト作品を書きつづけてきた。
1994年 "Whispers in the Graveyard" でカーネギー賞を受賞。邦訳に『ドリーム・
アドベンチャー ピラミッドの迷宮へ』(もりうちすみこ訳/偕成社)がある。

【参考】
▼テレサ・ブレスリン公式ウェブサイト
http://www.theresabreslin.co.uk/

▽ガーディアン賞受賞作品リスト(やまねこ翻訳クラブ資料室)
http://www.yamaneko.org/bookdb/award/uk/guardian/index.htm

                                (児玉敦子)

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●世界の本棚(トルコ語)●自信が持てない鳥に、救世主!?
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『しっぽがほしい』(仮題) ジャン・ギョクニル文・絵
"Kuyruksuz" by Can Goknil
Can Cocuk Yayinlari, 2006 ISBN 978-9750706684(Turkey)
33pp.

 自分の姿がはずかしくて、誕生日パーティーに招待されても出かけて行けない鳥が
いました。この子には、しっぽがないのです。まわりの鳥たちはみんな魅力的で、信
じられないくらいすてきなしっぽがついています。あの中にはとても入っていけませ
ん。しっぽを生やそうと思い、よく食べ、よく寝てみたけれど、ちっとも生えてきま
せんでした。そんなときに出会ったのがミミズです。長くて、くねくねしていて、ま
るでしっぽみたい。「ねえ、ぼくのしっぽになってくれない?」絶対食べたりしない
という約束をすると、ミミズはやっと安心して一緒に暮らしてくれるようになりまし
た。さて、自分に自信が持てない引っ込み思案の〈しっぽなし〉は、ミミズの助けを
かりて、鳥たちの仲間に入ることができるでしょうか?
 いじめられたり、無理な頑張りを強いられたりすることもなく、ミミズのちょっと
した後押しで、話はハッピーエンドへと流れていきます。ミミズをしっぽにしようと
いう発想も、ミミズが鳥のおしりにくっついた姿も、ミミズの最後のとぼけたせりふ
も、とてもユーモラス。白を背景にした、やさしい色合いの水彩画とあいまって、小
さな子どもたちの、お気に入りの1冊になることでしょう。
 トルコはイスラム教徒が多くを占める国ですが、この本にはイスラム圏やトルコに
独特な物や風景は描かれていません。主人公もニュージーランドの鳥キーウィです。
トルコから絵本を取り寄せた私にはちょっと物足りないような気も……。でも、声に
出して読んでみるとトルコ語の生き生きとした語り口や表現が広がって――プルルプ
ルル(きらきらと)、レンクリレンクリ(色とりどりの)――満ち足りた気持ちにな
り、客人を温かく迎えてくれるトルコの人たちの顔が浮かんできたのでした。
 ジャン・ギョクニルは、中央アジアやアナトリア地方の神話をテーマに、絵や木工
細工などの芸術作品を手がけるアーティストです。大きくデフォルメされたその独特
な造形は、絵本でもそのまま。子どもにこびない姿勢、神話にも通じる奥深さと存在
感が際立っていて、幼いころから芸術と文学に触れることで、子どもの可能性が広が
るはずだという彼女の信念を、画風からも感じとることができます。

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【文・絵】Can Goknil(ジャン・ギョクニル):1945年トルコ共和国アンカラ生まれ。
国内のアメリカンカレッジを卒業後、米国イリノイ州とニューヨーク州の大学で芸術
を学ぶ。日本のちひろ美術館など世界各地で作品が展示される一方で、1974年出版の
"Kirpi Masali" 以降、50作以上もの絵本を子どもたちに届けている。2010年国際ア
ンデルセン賞画家賞の候補者。邦訳はまだない。トルコ、イスタンブール在住。

【参考】
▼ジャン・ギョクニル公式ウェブサイト(トルコ語・英語)
http://www.cangoknil.com/

▼ジャン・ギョクニル紹介ページ
    (2010年国際アンデルセン賞審査委員長ゾーレ・ゲーニのブログ内、英語)
http://chlhistory.org/andersen/en/node/898
http://chlhistory.org/andersen/en/image/tid/43

▼ジャン・ギョクニル紹介ページ(Can Cocuk Yayinlari 内、トルコ語)
http://www.cancocuk.com/CanCocukYazar.aspx?LABOURERIDsID=1434

                               (植村わらび)

【特殊文字】
「Goknil」:「o」の上にウムラウト(¨)がつく
「Cocuk」:最初の「C」の下にセディーユがつく
「Yayinlari」と「Masali」:すべての「i」に点はつかない

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●賞速報━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

★2010年度ドイツ児童文学賞発表
★2010年ガーディアン賞受賞作発表
★2010年スペイン国民イラスト賞発表
★2011年度アストリッド・リンドグレーン記念文学賞候補者発表
                   (受賞者の発表は2011年3月29日の予定)

 海外児童文学賞の書誌情報を随時掲載しています。「速報(海外児童文学賞)」を
ご覧ください。
http://www.yamaneko.org/cgi-bin/sc-board/c-board.cgi?id=award

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●イベント速報━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

★展示会情報
 ちひろ美術館・東京「2000年代の日本の絵本展 2000-2009」
 福岡県立美術館「ゴーゴー・ミッフィー展」 など

★講座・講演会情報
 よみうりカルチャーよこはま「菱木晃子さん講演会」
 JBBYほか「エリアセル・カンシーノさん講演会」 など

★コンテスト情報
 第17回いたばし国際絵本翻訳大賞 など

 詳細やその他のイベント情報は、「速報(イベント情報)」をご覧ください。なお、
空席状況については各自ご確認願います。
http://www.yamaneko.org/cgi-bin/sc-board/c-board.cgi?id=event

                           (笹山裕子/冬木恵子)

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●やまねこ賞裏話●今年で13回目を迎える、当クラブ主催の賞
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 今年も、1年間の翻訳児童書をふりかえるやまねこ賞の季節がやってきました。11
月1日から15日の投票に向けて、現在、読書室掲示板では「やまねこ賞」読書月間と
銘打ち、対象となる本を読んだ会員の感想などが活発に交換されています。

 改めて、賞の概要をご紹介しましょう。
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 1998年創設。前年10月からその年の9月までに出版された邦訳児童書を対象として、
やまねこ翻訳クラブ会員がベスト5を選んで投票し、読み物部門・絵本部門の2部門
で最も得票数の多かった作品を大賞として決定する。別賞として、上記2部門の対象
から外れる児童書のうち、過去1年間に会員が読んだ児童書の中から選出する、オー
ルタイム部門(邦訳対象)・原書部門(原書対象)もある。集計の結果は「月刊児童
文学翻訳」12月号にて発表され、読み物・絵本部門で大賞に輝いた作品の翻訳者には
賞状と副賞の時計(協賛:フォッシルジャパン)が贈られる。
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 きっかけは「やまねこもちょうど1年経ったことだし〔今年のやまねこベスト5〕
を実施したら面白いのではないか」という声がクラブ内からあがったことでした。現
在の読書室掲示板にあたる当時の「会議室」では読んだ本の紹介が活発に行われてお
り、当クラブならではの結果が出るだろうという自信もあったように思います。企画
があがったのが1998年11月の頭、12日に企画の告知、18日〜30日に投票、12月15日本
誌にて発表と、クラブ発足当時の勢いを象徴するかのように、足早に進行していきま
した。
 このベスト5が、当時刊行されていた月刊誌「翻訳の世界」(バベル・プレス)3
月号に掲載されたことも忘れられない思い出です。「翻訳の世界」で毎年特集されて
いた「年間ベスト翻訳書アンケート」には、会員も注目していました。その特集と同
じ1999年3月号(1月21日発売)に、翻訳界の1年を振り返るやまねこ翻訳クラブの
単発記事を掲載しないか、というお話をいただいたのです。記事はやまねこベスト5
のほか、クラブ紹介、おすすめの作家・作品、というやまねこカラー満載の2ページ
となり、後の当クラブによる連載コーナー「キッズBOOKカフェ」にも発展してい
きました。
 それから12年。投票時期を早くするのに合わせて対象となる本の発行日の区切りを
10月から9月とする、未訳部門を原書部門に変更し未訳書に限定しないこととする、
などのマイナーチェンジはありましたが、大筋での変更は行われていません。12年間
のベスト5の詳細は、やまねこ賞受賞作品リストでご覧ください。また、大賞作品一
覧のぺージでは、12年の流れを見渡していただくことができます。
 さて、読み物部門・絵本部門の大賞を受賞した作品の翻訳者には、当クラブから賞
状が贈られますが、その文面は会員の思いを込めた世界に1つだけのもので、受賞さ
れた方々から好評をいただいています。また、フォッシルジャパンさんには、第3回
から毎年、副賞の時計をご提供いただいていており、感謝しても感謝しきれません。
いつか自分もこの素敵な時計を贈られたい、というのが、翻訳家を目指す会員の夢と
なっています。
 さあ、今年の大賞はどの作品になるでしょうか。やまねこ会員は、投票の準備を!
そうでない方は、読書室掲示板・投票所にて行方を見守ってくださいね。

                               (植村わらび)

【参考】
▽やまねこ賞受賞作品リスト
http://www.yamaneko.org/bookdb/award/yn/index.htm

▽やまねこ賞大賞受賞作品一覧
http://www.yamaneko.org/bookdb/award/yn/ichiran.htm

▽読書室掲示板
http://www.yamaneko.or.tv/open/c-board/c-board.cgi?id=dokusho

▽やまねこ賞投票所
http://www.yamaneko.org/yn_award/index.htm

▽「月刊児童文学翻訳」やまねこ賞特集記事一覧
http://www.yamaneko.org/mgzn/corner/awards2.htm

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●読者の広場● 海外児童文学や翻訳にまつわるお話をどうぞ!
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 このコーナーでは、本誌に対するご感想・ご質問をはじめ、海外児童書にまつわる
お話、ご質問、ご意見等を募集しています。mgzn@yamaneko.org までお気軽にお寄せ
ください。

※メールはなるべく400字以内で、ペンネームをつけてお送りください。
※タイトルには必ず「読者の広場」とお入れください。
※掲載時には、趣旨を変えない範囲で文章を改変させていただく場合があります。
※質問に対するお返事は、こちらに掲載させていただくことがあります。原則的に編
集部からメールでの回答はいたしませんので、ご了承ください。

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●お知らせ●

 本誌でご紹介した本を、各種のインターネット書店で簡単に参照していただけます。
こちらの「やまねこ翻訳クラブ オンライン書店」よりお入りください。
http://www.yamaneko.org/info/order.htm
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▽▲▽▲▽   海外児童書のシノプシス作成・書評執筆を承ります   ▽▲▽▲▽

  やまねこ翻訳クラブ(yagisan@yamaneko.org)までお気軽にご相談ください。
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FOSSIL(石頭、がんこ者)というあだ名だったことから誕生したブランド名。オーソ
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     http://www.litrans.net/maplestreet/kodomo/info/index.htm
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新刊情報・イベント情報などを掲載いたします。詳細はmaple2003@litrans.netまで。

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●編集後記●「世界の本棚」に、初登場の国の絵本が登場しました。どんどん彩りが
増えていくこのコーナー、次はどの国の作品が登場するのかと、編集側の楽しみにも
なっています。レビュー掲載の3作品はすべて、私たちの日常からかけ離れた世界が
描かれてますね。この多彩さ、楽しい!(い)
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発行人 かまだゆうこ(やまねこ翻訳クラブ 会長)
編集人 井原美穂/植村わらび(やまねこ翻訳クラブ スタッフ)
企 画 石田景子 尾被ほっぽ 加賀田睦美 かまだゆうこ 蒲池由佳 児玉敦子
    笹山裕子 佐藤淑子 平野麻紗 冬木恵子 村上利佳
協 力 出版翻訳ネットワーク 管理人 小野仙内
    ながさわくにお 衣央
    html版担当 shoko
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