メニュー「月刊児童文学翻訳」バックナンバー>2019年07月号   オンライン書店
※8月は定期休刊です。次回は2019年9月号になります。どうぞお楽しみに!

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2019年7月号
   =====☆                    ☆=====
  =====★   月 刊  児 童 文 学 翻 訳   ★=====
   =====☆   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ☆=====
                                No.193
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児童文学翻訳学習者による、児童文学翻訳学習者のための、電子メール版情報誌
http://www.yamaneko.org                         
編集部:mgzn@yamaneko.org     2019年7月15日発行 配信数 2490 無料
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●2019年7月号もくじ●
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◎賞情報:2019年カーネギー賞、ケイト・グリーナウェイ賞、
                       シャドワーズ・チョイス賞発表!
◎賞情報:2019年チルドレンズ・ブック賞発表!
 低学年向け部門賞受賞作品レビュー:"The Dog Who Lost His Bark"
                  オーエン・コルファー文/P・J・リンチ絵
◎賞速報
◎イベント速報:★やまねこ翻訳クラブ協力企画のお知らせあり★
◎お菓子の旅:第71回 異文化の素敵な出合い 〜ブルーベリー・エンチラーダ〜
◎読者の広場

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●賞情報●2019年カーネギー賞、ケイト・グリーナウェイ賞、
                       シャドワーズ・チョイス賞発表!
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 英国図書館・情報専門家協会(CILIP: The Chartered Institute of Library and
Information Professionals)が主催する、イギリスで最も権威ある児童文学賞、カ
ーネギー賞およびケイト・グリーナウェイ賞が6月18日に発表された。
 また、2016年から2018年まで設けられていたアムネスティCILIPオナー賞
(Amnesty CILIP Honour)に代わって今年からシャドワーズ・チョイス賞
(Shadowers' Choice Award)が新設され、同時に発表された。同賞は、引き続き人
権団体 Amnesty International UK の協力のもと、子どもたちの人権を尊重し、その
声を反映させることを目的としている。カーネギー賞とケイト・グリーナウェイ賞の
ショートリスト発表後、あらかじめ登録していた学校、図書館などの読書グループ
(シャドウインググループ)は、子どもたち(シャドワー)が各候補作品を読み、作
品について話し合ったり、評価したりする機会を設ける。その上で、グループごとに、
それぞれのショートリストからもっとも子どもたちの支持を集めた作品を選んで、投
票する。本年は4,500ものグループが参加し、結果は、カーネギー賞、ケイト・グリ
ーナウェイ賞本賞と同じになった。
 本号では、各賞の受賞作品をご紹介する。

▼カーネギー賞、ケイト・グリーナウェイ賞公式ウェブサイト
http://www.carnegiegreenaway.org.uk/

▼同ウェブサイト内、2019年受賞作品発表ページ
https://www.carnegiegreenaway.org.uk/2019-winners-announced.php

▽カーネギー賞、ケイト・グリーナウェイ賞について
               (本誌1999年7月号情報編「世界の児童文学賞」)
http://www.yamaneko.org/mgzn/dtp/1999/07a.htm#a1bungaku

【カーネギー賞】(作家対象)

★The CILIP Carnegie Medal 2019 Winner

  "The Poet X" by Elizabeth Acevedo (Electric Monkey)

☆The Shadowers' Choice Award 2019 Winner

  "The Poet X" by Elizabeth Acevedo (Electric Monkey)

 今年のカーネギー賞およびシャドワーズ・チョイス賞は、ドミニカ共和国にルーツ
を持つ Elizabeth Acevedo のデビュー作 "The Poet X" が受賞した。2018年ボスト
ングローブ・ホーンブック賞フィクションと詩部門、全米図書賞児童書部門、2019年
プリンツ賞など、数々の児童文学賞に輝いた話題作に、さらなる栄冠が加わった。心
に秘めていた思いを詩で表現することに魅了されていく少女の姿が力強い韻文で綴ら
れた本作。韻文で書かれた作品がカーネギー賞を受賞するのは、2016年の "One"(by
Sarah Crossan)に次いで2度目となる。作品の内容については、本誌2019年2月号
外「2019年プリンツ賞」の紹介記事(以下のリンク)をご参照いただきたい。
▽本誌バックナンバー(2019年2月号外)
http://www.yamaneko.org/mgzn/dtp/2019/02g.htm#printz

【ケイト・グリーナウェイ賞】(画家対象)

★The CILIP Kate Greenaway Medal 2019 Winner

  "The Lost Words"
      by Jackie Morris, written by Robert Macfarlane (Hamish Hamilton)

☆The Shadowers' Choice Award 2019 Winner

  "The Lost Words"
      by Jackie Morris, written by Robert Macfarlane (Hamish Hamilton)

 今年のケイト・グリーナウェイ賞およびシャドワーズ・チョイス賞に輝いたのは、
絵本作家でありイラストレーターでもある Jackie Morris(ジャッキー・モリス)が
作家 Robert Macfarlane と組んで手掛けた "The Lost Words" だ。モリスは、2016
年に続くショートリスト入りで、初の受賞を果たした。子どもたちの日常から失われ
ゆく自然界の言葉にスポットをあてた本書は、その出版以来、社会的にも大きな反響
を呼んでいる。詳細は、本誌2019年6月号「注目の本(未訳絵本)」(以下のリンク)
をご覧いただきたい。
▽本誌バックナンバー(2019年6月号)
http://www.yamaneko.org/mgzn/dtp/2019/06.htm#mehon

※邦訳がある作家、画家については初出の際に片仮名表記を併記しています。

【参考】
▼Elizabeth Acevedo 公式ウェブサイト
http://www.acevedowrites.com/

▼Jackie Morris 公式ブログ
http://www.jackiemorris.co.uk/blog/

▽カーネギー賞、ケイト・グリーナウェイ賞受賞作品リスト
                        (やまねこ翻訳クラブ資料室)
http://www.yamaneko.org/bookdb/award/uk/carnegie/
http://www.yamaneko.org/bookdb/award/uk/greenawy/

▽ショートリスト(最終候補作品)一覧(本誌2019年4月号「賞情報」)
http://www.yamaneko.org/mgzn/dtp/2019/04.htm#sokuho

                                (平野麻紗)

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●賞情報●2019年チルドレンズ・ブック賞発表!
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 2019年のチルドレンズ・ブック賞の大賞および各部門賞が、6月8日に発表された。
この賞は、子どもたちの投票で選ばれた作品に贈られる英国の児童文学賞で、幼年向
け、低学年向け、高学年向けの3部門がある。選考方法は、出版社の推薦を受けた作
品を各学校や団体に提示し、それらを読んだ子どもたちの感想などを基に、主催者団
体「子どもの本グループ連盟(FCBG: The Federation of Children's Book Groups)」
からショートリスト(The Top 10)が発表される。その後、子どもたちによる投票が
行われ、その得票数に応じて受賞作、大賞が決まる。授賞式には、今年も審査員の子
どもたちが招待され、受賞者たちと楽しい時間を過ごした。
 チルドレンズ・ブック賞は、1980年にFCBG主催で Children's Book Award と
して創設され、その後、2002年に Red House Children's Book Award へと変更され
たが、2016年から創設時の賞名に改められた。2018年から、メインスポンサーを
BookLife Publishing が務めている。

▼チルドレンズ・ブック賞公式ウェブサイト
http://childrensbookaward.org.uk/

▼同ウェブサイト内、2019年受賞作品発表ページ
http://childrensbookaward.org.uk/vote/winners-2019/

▽チルドレンズ・ブック賞について(本誌2002年3月号情報編「世界の児童文学賞」)
http://www.yamaneko.org/mgzn/dtp/2002/03a.htm#bungaku

 今年の大賞(★)、各部門賞(☆)は、以下の通り。

The Children's Book Award 2019 Winners

★大賞 ☆幼年向け部門賞
(The Overall Winner
          & The Winner of the Books for Younger Children Category)

"Mixed" by Arree Chung (Macmillan)

☆低学年向け部門賞
(The Winner of the Books for Younger Readers Category)

"The Dog Who Lost His Bark"
    written by Eoin Colfer and illustrated by P. J. Lynch (Walker Books)

☆高学年向け部門賞
(The Winner of the Books for Older Readers Category)

"Armistice Runner" by Tom Palmer (Barrington Stoke)

 今年、大賞と幼年向け部門賞に輝いた "Mixed" は、赤、青、黄の3色を用いて、
多様性と受容性の大切さを、小さな子どもたちにもわかりやすく描いている。仲良く
町で暮らしていた丸い形の3色。ある日、赤が「自分たちがいちばん」と主張したこ
とによって3色に対立が生まれ、各色は町を分断し住み分け始めた。他の色への不満
を口にする仲間たちをよそに、1つの青と1つの黄色は互いの良さを認め合い、愛を
育み一緒になった。やがて新しい色、緑が生まれみんなの気持ちが変わり始める。カ
ラフルな絵とシンプルなストーリーの中に多くのメッセージが込められている作品だ。
作者 Arree Chung は、大学卒業後、経営やコンサルティングなどの職を経てアート
センター・カレッジ・オブ・デザインに入学し、絵本作りを学んだ。作家、画家とし
て活動する傍ら、ストーリーテリングに力を注いでいることでも知られる。

 低学年向け部門賞に輝いたのは、"The Dog Who Lost His Bark"。児童文学作家
Eoin Colfer(オーエン・コルファー)と、画家 P. J. Lynch(P・J・リンチ)と
いう、アイルランドを代表するふたりが、初めてコンビを組んだ作品だ。詳しくは、
本誌今月号のレビューでご紹介する。

 高学年向け部門賞には、Tom Palmer(トム・パルマー)による "Armistice Runner"
が選ばれた。「フットボール・アカデミー」シリーズ(石崎洋司訳/岩崎書店)など
スポーツを題材とした作品を多く手掛けている作者が、本作で描いたのは、戦争とス
ポーツと家族。13歳の少女 Lily は、遺された日記から高祖父が丘陵地を走るフェル
ランニングのチャンピオンであったことを知る。同じ競技の選手である Lily は、初
めての大きなレースを控え不安を抱えていた。しかし、日記に記されていた、第1次
世界大戦中に高祖父が戦場で仲間のためにとった行動から、Lily は、レースにも人
生にも必要なことがあると気づいていく。1918年の休戦協定までの数週間と、100年
後の現代を舞台に、一家の歴史をひもとく愛と勇気の物語。

※邦訳がある作家、画家については初出の際に片仮名表記を併記しています。

【参考】
▼Arree Chung 公式ウェブサイト
https://arree.com/

▼Eoin Colfer 公式ウェブサイト
https://www.eoincolfer.com/

▼P. J. Lynch 公式ウェブサイト
http://www.pjlynchgallery.com/

▼Tom Palmer 公式ウェブサイト
https://tompalmer.co.uk/

▽チルドレンズ・ブック賞受賞作品リスト(やまねこ翻訳クラブ資料室)
http://www.yamaneko.org/bookdb/award/uk/children/index.htm

                                (三好美香)

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★2019年チルドレンズ・ブック賞(低学年向け部門賞)受賞作品

"The Dog Who Lost His Bark" 『ほえてもいいんだよ』(仮題)
text by Eoin Colfer, illustrations by P. J. Lynch
オーエン・コルファー文/P・J・リンチ絵
Walker Books, 2018, 144pp. ISBN 978-1406377576 (HB)
Amazonで検索する:ISBN  Amazonで検索する:書名と作者名

 主人公の少年パトリックの家は音楽一家だ。母さんはピアノ教師、父さんはカント
リー・バンドのフィドル奏者で、パトリックも幼いころからバイオリンを習っている。
毎年、夏休みには一家そろって、音楽教室を開いているおじいちゃんの家で過ごす。
だけど、この夏はいつもとちがった。海外で演奏ツアー中の父さんはいっしょにこら
れない。おまけに、母さんがとつぜん犬を飼ってもいいと言いだした。これまでどん
なに頼んでも、父さんがアレルギーだからぜったいダメだと言っていたのに。
 動物シェルターを訪れたパトリックは、ケージの隅で丸くなっている子犬に目をと
めた。この犬だ! すぐさまオズと名づけ、おじいちゃんの家で飼うことにした。た
だ、オズにはつらい過去があった。前の飼い主に虐待され、捨てられたのだ。そのせ
いで人が信じられなくなり、ほえることもできない。パトリックは辛抱強く世話をし、
オズも少しずつ新しい生活に慣れはじめたが、心の傷は深く、なかなか部屋の外に出
られない。そんなある日、オズの鳴き声を聞いたおじいちゃんが気づいた。オズは音
楽教室から聞こえてくるメロディーを歌っている! パトリックはバイオリンを取り
だして音を鳴らしてみた。オズがそれをまねる。パトリックが弾く曲を、オズは次々
と覚えていく。音楽を介してふたりの心が響き合い、やがてオズは本来の「ほえ声」
を取りもどすが……。
 アイルランドの児童文学界を代表するふたり、作家のオーエン・コルファーと画家
のP・J・リンチによる初のコラボレーションが実現した。コルファーは、音楽の持
つ癒やしの力に心ひかれ、本書の執筆に至ったという。物語の筋立てはシンプルなが
ら、パトリックとオズのそれぞれの視点から語られ、虐待を受けたオズの恐怖や悲し
み、父親の不在をめぐるパトリックの不安が切々と伝わってくる。それだけにいっそ
う、ふたりが絆を深めていくエピソードのひとつひとつがいとおしく、いっしょに音
楽を奏でるシーンに心を揺さぶられるのだ。さらに、リンチの優しく繊細なタッチの
絵も本書の魅力だ。表情豊かなオズの目は、一度見たら忘れられない。ことばと絵と
音楽の力が見事に凝縮された、心あたたまる作品だ。

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【文】Eoin Colfer(オーエン・コルファー):1965年アイルランド生まれ。小学校
の教師をしながら書いた "Benny and Omar" でデビュー。サウジアラビアやイタリア
など、さまざまな国で暮らしたのち、現在はアイルランドで執筆をつづけている。フ
ァンタジーの名手で、「アルテミス・ファウル」シリーズ(大久保寛訳/角川書店)
は世界的ベストセラーになった。本作品の邦訳は2020年冬に文研出版より刊行予定。

【絵】P. J. Lynch(P・J・リンチ):アイルランド生まれの画家。イラストを手
がけた "The Christmas Miracle of Jonathan Toomey"(『クリスマスのきせき』ス
ーザン・ウォジェコウスキー文/すぎのとおる訳/宮帯出版社)と "When Jessie
Came Across the Sea" でケイト・グリーナウェイ賞を受賞。このほか邦訳作品に
『おじいちゃんと森へ』(ダグラス・ウッド文/加藤則芳訳/平凡社)がある。

【参考】
▼オーエン・コルファー公式ウェブサイト
https://www.eoincolfer.com/

▼P・J・リンチ公式ウェブサイト
http://www.pjlynchgallery.com/

▼"The Dog Who Lost His Bark" 紹介ページ(Walker Books ウェブサイト内)
http://www.walker.co.uk/The-Dog-Who-Lost-His-Bark-9781406386622.aspx

                               (手嶋由美子)

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●賞速報━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

★2019年ローカス賞YA部門受賞作品発表
★2019年ブランフォード・ボウズ賞受賞作品発表
★2019年ミソピーイク賞児童書部門最終候補作品発表
                     (受賞作品の発表は8月上旬の予定)

 海外児童文学賞の書誌情報を随時掲載しています。「速報(海外児童文学賞)」を
ご覧ください。
http://www.yamaneko.org/cgi-bin/sc-board/c-board.cgi?id=award

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●イベント速報━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

★展示会情報
 軽井沢絵本の森美術館「絵本に暮らす動物たち(後期)」
 大分県立美術館「ムーミン展 THE ART AND THE STORY」 など

★講座・講演会情報
 東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館
 「みんなのレオ・レオーニ展&講演会『レオ・レオーニ 希望の絵本をつくる人』」
 大阪府立中央図書館
    「国際講演会 韓国の絵本作家 パク ジォンチェの絵本を語る」 など

★イベント情報
 阿南市文化会館夢ホール「絵本ワールドinとくしま2019」
 京都・岡山・福岡・札幌「こどもの本ブックフェア ほんのおまつり2019」 など

 詳細やその他のイベント情報は、「児童書関連イベント情報掲示板」をご覧くださ
い。なお、空席状況については各自ご確認願います。
http://www.yamaneko.org/cgi-bin/sc-board/c-board.cgi?id=event

★★やまねこ翻訳クラブ協力企画のお知らせ★★

「読書探偵作文コンクール2019」
  主催 読書探偵作文コンクール事務局
  協力 翻訳ミステリー大賞シンジケート、やまねこ翻訳クラブ

 いつも「読書探偵作文コンクール」にご協力いただき、ありがとうございます。
 小学生部門、中高生部門ともに、今年も募集を開始いたしました。
 応募締切は★9月25日★です。詳細は、各部門の公式ウェブサイトをご覧ください。
 公式ツイッター、フェイスブックページでも随時最新情報をお伝えしていますので、
どうぞご利用ください。

▼「読書探偵作文コンクール」小学生部門 公式ウェブサイト
http://dokushotantei.seesaa.net/

▼「読書探偵作文コンクール」中高生部門 公式ウェブサイト
https://dokutanchuko.jimdo.com/

▼「読書探偵作文コンクール」公式ツイッター
https://twitter.com/Dokusho_Tantei

▼「読書探偵作文コンクール」公式フェイスブックページ
https://www.facebook.com/dokushotantei

 お子さんに、お友だちに、お知り合いに、ぜひお知らせください!

 過去の受賞作をもとに2017年に出版した『外国の本っておもしろい! 子どもの作
文から生まれた翻訳書ガイドブック』(サウザンブックス社)も、引き続きよろしく
お願いいたします。
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4909125051/dokushotantei-22/ref=nosim/

                          (冬木恵子/山本真奈美)

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●お菓子の旅●第71回 異文化の素敵な出合い 〜ブルーベリー・エンチラーダ〜
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I didn't know if I'd like it, so I took just a small bite from the corner.
It was as gooey and sweet as blueberry pie, but just a little spicy, too.
           "A Handful of Stars" by Cynthia Lord
                              Scholastic (2015)
           『星を見あげたふたりの夏』
            シンシア・ロード作/吉井知代子訳/あかね書房/2018年
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 ブルーベリー畑に迷い込んだ飼い犬ラッキーを助けてもらったのがきっかけで、リ
リーはサルマに出会いました。サルマの家族はブルーベリー農場の出稼ぎ労働者です。
助けてもらったお礼に、リリーがサルマに豚肉のパイを持っていくと、次の日、サル
マがお母さんの作ったブルーベリー・エンチラーダを持ってきてくれました。リリー
が味見するのが、引用部分です。
 リリーが暮らすアメリカのメイン州はブルーベリーの産地で、毎夏収穫の時期にな
ると、フロリダやメキシコなどから出稼ぎ労働者がやってきますが、リリーが出稼ぎ
労働者の子どもと関わることはこれまでありませんでした。同年代の女の子どうしと
いうこともあって、リリーとサルマは仲よくなります。
 エンチラーダはメキシコ料理で、もともとはトルティーヤに唐辛子(チリ)のソー
スをかけたものでした。その後、肉や野菜などの具を包むようになり、チリソースの
代わりにトマトソースをかけたものなど、いろいろなバリエーションがあります。
 この物語に出てくるブルーベリーは、カナダ東部とアメリカのメイン州だけで育つ
ワイルド・ブルーベリーと呼ばれる品種で、日本で栽培されているものとは種類が違
います。北米にしか育たないワイルド・ブルーベリーと、メキシコで生まれたエンチ
ラーダが出合って、おいしい食べものが生まれるなんて、まるでリリーとサルマの関
係を象徴しているようではありませんか。
 トルティーヤはトウモロコシの粉で作る薄いパンのこと。メキシコ北部では小麦粉
のトルティーヤも食べられていて、こちらのほうが柔らかくて巻きやすいので、今回
は小麦粉で作りました。また、生のワイルド・ブルーベリーを日本で入手するのは難
しいため、日本で手に入りやすい品種を使いました。冷凍のものでも代用できます。

*-* ブルーベリー・エンチラーダの作り方 *-*
                                  画像はこちら(やまねこ翻訳クラブ喫茶室)
材料
〈トルティーヤ〉(6枚分)
 強力粉           100g   薄力粉             100g
 サラダオイル         20g   粗塩               3g
 水           90〜100cc
〈フィリング〉(作りやすい量)
 ブルーベリー        300g   きび砂糖          大さじ3
 コーンスターチ     大さじ1.5   シナモン          小さじ1
 カルダモン       小さじ1/4   ナツメグ            少々
 水             25cc   バター              12g

1.トルティーヤ生地を用意する。ボウルに強力粉と薄力粉を入れ、泡立て器などで
  軽く混ぜる。サラダオイルを入れ、パラパラになるように手で混ぜ合わせる。塩
  を入れてから、水を少しずつ加え、手につかなくなるまでしっかりと練り、滑ら
  かになるまで(200回くらい)こねる。ポリ袋に入れて、冷蔵庫で1時間くらい
  休ませる。
2.フィリングを作る。ブルーベリー225g、きび砂糖、コーンスターチ、水、スパイ
  ス類を鍋に入れ、木べらでかき混ぜながら、弱火で10〜15分煮る。火からおろし、
  残りのブルーベリーとバターを加え、つぶさないようにそっと混ぜる。
3.トルティーヤ生地を6等分して丸める。ラップを敷いた台にのせ、上にラップを
  かぶせて、めん棒で直径15cmの円に伸ばす。残りも同様に成型する。
4.テフロン加工のフライパンに生地をそっと入れ(油は引かない)、中火で1〜2
  分焼く。軽く焦げ目がついたら裏返し、裏も同じように焼いたら取り出す。乾燥
  しないよう、布巾などにはさんでおく。残りも同様に焼く。
5.トルティーヤを広げ、真ん中にフィリングを大さじ1杯半のせる。左右を内側に
  折ってから、上から下にくるくる巻く。残りも同じようにする。巻き終わりを下
  にして、グラタン皿に並べる。250度のオーブン(予熱あり)で10分焼く。
6.好みでホイップクリームをのせる。

★参考図書・ウェブサイト
『世界食べものマップ』(フェーベ・シッラーニ、ジュリア・マレルバ著/辻調グ
ループ 辻静雄料理教育研究所監修/中島知子、赤塚きょう子訳/河出書房新社)
シンシア・ロードによるレシピ
http://www.cynthialord.com/pdf/blueberry-enchiladas-recipe.pdf
TOMIZ 富澤商店 海野綾子先生のレシピ トルティーヤ
https://tomiz.com/recipe/pro/detail/20180913114121
つくってみた。(「お菓子の旅」のお菓子を作ってみたレポート)
http://tsukuttemita.jugem.jp

お菓子の話題は喫茶室掲示板へどうぞ。
★「やまねこ翻訳クラブ喫茶室掲示板」
        http://www.yamaneko.or.tv/open/c-board/c-board.cgi?id=kissa

                        (赤塚きょう子/加賀田睦美)

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●読者の広場●海外児童文学や翻訳にまつわるお話をどうぞ!
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 このコーナーでは、本誌に対するご感想・ご質問をはじめ、海外児童書にまつわる
お話、ご質問、ご意見等を募集しています。mgzn@yamaneko.org までお気軽にお寄せ
ください。

※メールはなるべく400字以内で、ペンネームをつけてお送りください。
※タイトルには必ず「読者の広場」とお入れください。
※掲載時には、趣旨を変えない範囲で文章を改変させていただく場合があります。
※質問に対するお返事は、こちらに掲載させていただくことがあります。原則的に編
集部からメールでの回答はいたしませんので、ご了承ください。

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●お知らせ●

 本誌でご紹介した本を、各種のインターネット書店で簡単に参照していただけます。
こちらの「やまねこ翻訳クラブ オンライン書店」よりお入りください。
http://www.yamaneko.org/info/order.htm
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           ・☆・〜 次 号 予 告 〜・☆・

 詳細は10日ごろ、出版翻訳ネットワーク内「やまねこ翻訳クラブ情報」のページに
掲載します。どうぞお楽しみに!
          http://litrans.g.hatena.ne.jp/yamaneko1/

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▽▲▽▲▽   海外児童書のシノプシス作成・書評執筆を承ります   ▽▲▽▲▽

 やまねこ翻訳クラブ( yagisan@yamaneko.org )までお気軽にご相談ください。

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★☆     出版翻訳ネットワークは出版翻訳のポータルサイトです     ☆★
             http://www.litrans.net/
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     ★☆メールマガジン『海外ミステリ通信』 隔月15日発行☆★
          http://honyakuwhod.blog.shinobi.jp/
未訳書から邦訳新刊まで、あらゆる海外ミステリの情報を厳選して紹介。翻訳家や
編集者の方々へのインタビューもあります!    〈フーダニット翻訳倶楽部〉
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   ◇各掲示板の話題やクラブの動きなど、HOT な情報をご紹介しています◇

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                  http://litrans.g.hatena.ne.jp/yamaneko1/

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●編集後記●先月号の発行直後に、レビューを掲載した "The Lost Words" のケイト
・グリーナウェイ賞受賞が発表され、編集部一同大いに沸きました。来月は定期休刊
でお休みをいただきますが、今年後半に向け、複数の企画の準備が進んでいます。次
号もどうぞお楽しみに!(ひ)
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発 行 やまねこ翻訳クラブ
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企 画 赤塚きょう子 尾被ほっぽ 加賀田睦美 かまだゆうこ 蒲池由佳
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    からくっこ SUGO ながさわくにお ゆり
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