メニュー「月刊児童文学翻訳」バックナンバー>2019年4月号   オンライン書店
※5月は休刊致します。次回は6月号です。どうぞお楽しみに!

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2019年4月号
   =====☆                    ☆=====
  =====★   月 刊  児 童 文 学 翻 訳   ★=====
   =====☆   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ☆=====
                                No.191
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児童文学翻訳学習者による、児童文学翻訳学習者のための、電子メール版情報誌
http://www.yamaneko.org                         
編集部:mgzn@yamaneko.org     2019年4月15日発行 配信数 2490 無料
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●2019年4月号もくじ●
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◎賞情報:2019年カーネギー賞、ケイト・グリーナウェイ賞ショートリスト発表
◎賞速報
◎イベント速報
◎映像化された児童文学:第2回 『オンネリとアンネリのおうち』
                『オンネリとアンネリのふゆ』
◎読者の広場

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●賞情報●2019年カーネギー賞、ケイト・グリーナウェイ賞ショートリスト発表
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 3月19日、カーネギー賞およびケイト・グリーナウェイ賞のショートリスト(最終
候補作品)が発表された。英国図書館・情報専門家協会(CILIP: The Chartered
Institute of Library and Information Professionals)が主催するこの賞は、イギ
リスで最も権威ある児童文学賞である。昨年11月5日にノミネート作品(カーネギー
賞137作品、ケイト・グリーナウェイ賞117作品)が、続いて今年2月19日にそれぞれ
20作品のロングリストが発表されている。受賞作品の発表と授賞式は6月18日の予定。
 本号では、ショートリストに選ばれた作品をご紹介する。ロングリストは、やまね
こ翻訳クラブウェブサイトの「速報(海外児童文学賞)」コーナーに掲載中。
http://www.yamaneko.org/cgi-bin/sc-board/c-board.cgi?cmd=tre;id=award#atop

▼カーネギー賞、ケイト・グリーナウェイ賞公式ウェブサイト
https://www.carnegiegreenaway.org.uk/

▼同ウェブサイト内、2019年ショートリスト発表ページ
https://www.carnegiegreenaway.org.uk/press.php?release=pres_2019_shortlists
_announced.html

▽カーネギー賞、ケイト・グリーナウェイ賞について
               (本誌1999年7月号情報編「世界の児童文学賞」)
http://www.yamaneko.org/mgzn/dtp/1999/07a.htm#a1bungaku

▽カーネギー賞、ケイト・グリーナウェイ賞受賞作品リスト
                        (やまねこ翻訳クラブ資料室)
http://www.yamaneko.org/bookdb/award/uk/carnegie/index.htm
http://www.yamaneko.org/bookdb/award/uk/greenawy/index.htm

(※邦訳がある作家、画家については初出の際に片仮名表記を併記しています)

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【カーネギー賞ショートリスト】
         〜 The CILIP Carnegie Medal 2019 Shortlist 〜(作家対象)

"The Poet X"             by Elizabeth Acevedo (Electric Monkey)
"Rebound"              by Kwame Alexander (Andersen Press)
"The House with Chicken Legs"    by Sophie Anderson (Usborne Books)
"Bone Talk"             by Candy Gourlay (David Fickling Books)
"A Skinful of Shadows"        by Frances Hardinge
                        (Macmillan Children's Books)
"Things a Bright Girl Can Do"    by Sally Nicholls (Andersen Press)
"Long Way Down"           by Jason Reynolds (Faber & Faber)
"The Land of Neverendings"      by Kate Saunders (Faber & Faber)

 Elizabeth Acevedo の "The Poet X" は、2018年ボストングローブ・ホーンブック
賞フィクションと詩部門、全米図書賞児童書部門、さらには2019年プリンツ賞など、
米国で数々の児童文学賞に輝いた話題作。詳しくは、本誌2019年2月号外「2019年プ
リンツ賞」の紹介記事(以下のリンク)をご参照いただきたい。
▽本誌バックナンバー(2019年2月号外)
http://www.yamaneko.org/mgzn/dtp/2019/02g.htm#printz

 詩人、児童文学作家、脚本家、プロデューサーなど、多彩な顔を持つ Kwame
Alexander の "Rebound" は、2015年のニューベリー賞受賞作 "The Crossover" の前
日譚にあたる。1988年、父の死に苦しんでいた12歳の Charlie Bell は、長い夏休み
を祖父のところで過ごすことになった。そこでバスケットボールとジャズに出合い、
家族の過去を知っていく。ヒップホップのリズム感あふれる詩でつづられた物語に、
Dawud Anyabwile によるグラフィックノベル風のイラストが差し込まれる形で、少年
の成長が描かれる。

 "The House with Chicken Legs" は Sophie Anderson のデビュー作。祖母から聞
かされて育ったスラブ民話に着想を得たという。12歳の少女 Marinka は、普通の暮
らしを望んでいた。だが、祖母は死者の魂をあの世に送るというバーバ・ヤーガで、
ふたりが住んでいるのは、いきなり動きだす鶏の足を持つ家。同じ土地に長く暮らし
て、友だちを作るのは難しい。祖母の後継者という決められた運命に反発し、自由を
切望する Marinka は……。

 フィリピンで生まれ育ち、ジャーナリストを経て作家になった Candy Gourlay。今
回、"Bone Talk" で初めてのショートリスト入りを果たした。本作品は2018年のコス
タ賞児童書部門ショートリストにも選ばれている。舞台は19世紀末のフィリピン。ジ
ャングルの奥地に住む少年 Samkad は部族以外の人間に会ったことがなかったが、白
い肌の男がやって来て世界が一変する。アメリカによる植民地化を侵略された立場か
ら見つめ、未知のものに対する恐怖と大人への成長を力強い文体で描いた、手に汗に
ぎる歴史冒険小説。

 "The Lie Tree"(『嘘の木』児玉敦子訳/東京創元社)で2015年のコスタ賞児童書
部門と最優秀賞を受賞した Frances Hardinge(フランシス・ハーディング)。"A
Skinful of Shadows" で3度目のカーネギー賞ショートリスト入りとなった。17世紀
のイングランド内戦下、母を突然亡くした12歳の少女 Makepeace は父の実家に引き
とられる。それまで会ったことのなかった父の一族には、死んだものの霊魂を自らに
宿すという特異な能力が代々伝わっていた。Makepeace が自分自身を守るには、この
力を制御する術を身につけるしかない。策略と陰謀がうごめく中で繰り広げられる、
ゴースト・スリラー。

 "Things a Bright Girl Can Do" は、1910年代のイギリスで女性参政権運動に参加
した3人の少女が主人公の歴史フィクションだ。生まれ育った環境も自由や平等を求
める理由も異なる3人の視点で、それぞれの物語がときに交差しながら並行して進ん
でいく。サフラジェットと呼ばれた当時の過激な女性活動家たちの闘い、ジェンダー
バイアス、社会階級、貧困、戦争、愛、セクシュアリティーなど、さまざまな要素が
描かれる。デビュー作 "Ways to Live Forever"(『永遠に生きるために』野の水生
訳/偕成社)で知られる Sally Nicholls(サリー・ニコルズ)初のショートリスト
入りとなった。

 Jason Reynolds の "Long Way Down" は、2018年MWA賞(エドガー賞)YA小説
部門を受賞したほか、ニューベリー賞オナー、プリンツ賞オナーに選ばれるなど、米
国で高い評価を受けた作品。英国版は、怪奇小説作家としても知られる画家 Chris
Priestley(クリス・プリーストリー)が挿絵を手掛けている。内容については、本
誌2018年2月号外「2018年ニューベリー賞」の紹介記事(以下のリンク)をご覧いた
だきたい。
▽本誌バックナンバー(2018年2月号外)
http://www.yamaneko.org/mgzn/dtp/2018/02g.htm#sokuho1

 "The Land of Neverendings" の Kate Saunders(ケイト・ソーンダズ)は作家、
俳優、ジャーナリストと多彩な顔を持ち、"Five Children on the Western Front"
で、2014年コスタ賞児童書部門を受賞した実力派だ。姉を亡くした Emily は、ある
夜夢の中で、Smockeroon からやって来たというおもちゃたちと出会う。Smockeroon
は障害のある姉を楽しませるために、Emily が考え出した空想の世界だ。おもちゃた
ちは、姉と一緒に埋葬されたクマのぬいぐるみ Bluey からのメッセージを伝えに来
たという。優しいユーモアを散りばめながら、家族の死という重くなりがちなテーマ
を温かく描いた作品。

《参考》
▼Elizabeth Acevedo 公式ウェブサイト
http://www.acevedowrites.com/

▼Kwame Alexander 公式ウェブサイト
https://kwamealexander.com/

▼Sophie Anderson 公式ウェブサイト
https://sophieandersonauthor.com/

▼Candy Gourlay 公式ウェブサイト
https://www.candygourlay.com/

▼Frances Hardinge 公式ウェブサイト
http://www.franceshardinge.com/

▼Sally Nicholls 公式ウェブサイト
http://sallynicholls.com/

▼Jason Reynolds 公式ウェブサイト
http://www.jasonwritesbooks.com/

▼Kate Saunders 紹介ページ(Faber & Faber ウェブサイト内)
http://www.faber.co.uk/author/kate-saunders/

                 (熊谷淳子/平野麻紗/森井理沙/安田冬子)

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【ケイト・グリーナウェイ賞ショートリスト】
       〜 The CILIP Kate Greenaway Medal 2019 Shortlist 〜(画家対象)

"The Day War Came"    by Rebecca Cobb, text by Nicola Davies
                               (Walker Books)
"Ocean Meets Sky"     by Eric Fan and Terry Fan
                         (Lincoln Children's Books)
"Beyond the Fence"    by Maria Gulemetova (Child's Play Library)
"The Wolf, the Duck and the Mouse"
             by Jon Klassen, text by Mac Barnett (Walker Books)
"Julian Is a Mermaid"   by Jessica Love (Walker Books)
"You're Safe with Me"   by Poonam Mistry, text by Chitra Soundar
                            (Lantana Publishing)
"The Lost Words"     by Jackie Morris, text by Robert Macfarlane
                              (Hamish Hamilton)
"Suffragette: The Battle for Equality"
             by David Roberts (Two Hoots)

 "The Day War Came" は、作家の Nicola Davies(ニコラ・デイビス)が避難民の
現状を憂えて書いた詩を Rebecca Cobb(レベッカ・コッブ)が見事に視覚化した作
品。コッブは、2013年、2014年に続き、今回3度目のショートリスト入りを果たした。
ある日、穏やかな日常が戦争によって奪われた。学校の授業中に被災した1人の少女
が避難民となり苦難の旅を行く。家を失い、家族もいない心細さを、色鉛筆のトーン
を抑えた繊細な線で隅々まで描いている。本作の売上の一部は、難民支援の慈善団体
に寄付されている。

 "Ocean Meets Sky" は、Eric Fan(エリック・ファン)と Terry Fan(テリー・フ
ァン)兄弟(ザ・ファン・ブラザーズ)による、家族をテーマとした叙情的な作品。
祖父の語った、海と空が交わる魔法の場所を探しに出かける少年を描いたファンタジ
ー。デジタル技法と芯鉛筆を駆使して幻想的な世界を緻密な筆致で描き、2018年カナ
ダ総督文学賞児童書(絵)部門ファイナリストにも選ばれている。ファン兄弟は、オ
ンタリオ・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザイン大学で学び、2016年に "The
Night Gardener"(『夜のあいだに』原田勝訳/ゴブリン書房/2019年5月下旬刊行
予定)でデビューした。

 "Beyond the Fence" は、哲学的に自由と友情を描く物語。広い敷地にある大きな
家で暮らす擬人化された小さな豚の Piggy と少年 Thomas。何もかも Thomas の言い
なりだった Piggy が、偶然、出かけたフェンスの向こうで野生の豚と出会い、自分
自身で決めることの大切さに気づいていく。作品は水彩絵の具のグラデーションによ
って、雄大な丘陵地や抑圧された心情まで描き出す。作者 Maria Gulemetova はブル
ガリアの首都ソフィア出身。デビュー作でショートリストに入った。

 2014年に "This Is Not My Hat"(『ちがうねん』長谷川義史訳/クレヨンハウス)
で本賞を受賞した Jon Klassen(ジョン・クラッセン)が、"The Wolf, the Duck
and the Mouse"(『おおかみのおなかのなかで』マック・バーネット文/なかがわち
ひろ訳/徳間書店)でショートリスト入り。おおかみのおなかの中で勝手気ままな生
活をおくる、あひるとねずみ。ずっと続くと思いきや……。おおかみの暮らす森とお
なかの中を落ち着いた色合いで描いたちょっぴり不穏で愉快な作品。

 "Julian Is a Mermaid" は、ニューヨーク在住のイラストレーターであり、俳優で
もある Jessica Love が手掛けた初めての絵本。美しい人魚にイマジネーションを膨
らます少年 Julian と、それを見守る祖母が描かれる。ある日、祖母と出かけた電車
の中で人魚のような格好をした3人を見かけた Julian。帰宅後、部屋にある観葉植
物の葉やレースのカーテンを身につけて人魚への変身を試みる。それを見た祖母が手
渡したものは……。薄茶色の水彩紙に不透明絵の具を用いて澄み切った水や人物を印
象的に描く。人魚を題材に、性別を分けることのないジェンダーノンコンフォーミン
グを易しく伝える作品だ。

 "You're Safe with Me" の文を書いた Chitra Soundar(チトラ・サウンダー)、
絵を手掛けた Poonam Mistry は、ともにインドにルーツを持つ。Poonam Mistry の
描く作品には、ヒンズー教の民話や、インドの織物や装飾品が大きく影響している。
本作品の舞台は嵐がやって来た森の中。トラやサルなど4匹の動物の子どもたちが、
雨風におびえ、眠れずにいた。そこへ通りかかった母さんゾウが、嵐は決してこわい
ものではないと話し、優しくなだめる。ハッとするほど美しい図柄の中に、動物や植
物、よく見ると小さな虫たちまでもが描き込まれている。嵐の森の激しさに加え、動
物たちの不安と安堵まで感じることができる作品だ。

 野生動物を描いた絵本を数多く発表してきた Jackie Morris(ジャッキー・モリス)
が、作家 Robert Macfarlane と組んで編み出した "The Lost Words" は、子どもの
日常語から消えゆく言葉を、詩の魔法(spell)で取り戻そうとする芸術的な作品で
ある。ふんだんに用いられる金箔が荘厳さを添え、重厚感のある造本も格調高い。登
場するのは、タンポポ、カワウソ、ドングリ、カワセミといった多種多様な動植物。
人の意識から消えた状態、言葉とともに神々しく現れる姿、自然の中で生き生きと存
在する様子が、美しい水彩画で表現される。この「復活」に至る3つの段階を描き分
けるモリスの画力は圧倒的だ。

 "Suffragette: The Battle for Equality" は、これまでに何度も本賞ショートリ
ストに残ってきた David Roberts(デイヴィッド・ロバーツ)が文と絵の両方を手掛
けたノンフィクション読み物。イギリスの女性参政権運動を取り上げ、制限つきなが
ら女性に投票権が認められた1918年からちょうど100年後に出版された。120ページを
超える本書にはカラーの挿絵が満載。かつては男性優位の法や制度に支配された世の
中だったことの説明に始まり、権利獲得運動の歴史や、公平な社会を求めて闘った女
性たちを、詳しく紹介している。細い線でちょっとコミカルに描かれた親しみやすい
挿絵が、読者の興味をそそる。

《参考》
▼Rebecca Cobb 公式ウェブサイト
http://www.rebeccacobb.co.uk/

▼Eric Fan and Terry Fan 公式ウェブサイト
http://www.thefanbrothers.com/

▼Maria Gulemetova 紹介ページ(Child's Play ウェブサイト内)
http://www.childs-play.com/contributor/gulemetova_maria.html

▼Jon Klassen 公式タンブラー
http://jonklassen.tumblr.com/

▼Jessica Love 公式ウェブサイト
https://jesslove.format.com/

▼Poonam Mistry 公式ウェブサイト
https://www.poonam-mistry.com/

▼Jackie Morris 公式ブログ
http://www.jackiemorris.co.uk/blog/

▼David Roberts 公式タンブラー
http://davidrobertsillustration.tumblr.com/

▽ジョン・クラッセン作品リスト(やまねこ翻訳クラブ資料室)
http://www.yamaneko.org/bookdb/author/k/jklassen.htm

                 (三好美香/安田冬子/小島明子/大作道子)

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●賞速報━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

★2019年ニュージーランド・ブックラヴァーズ賞発表
★第24回日本絵本賞発表
★2019年度アストリッド・リンドグレーン記念文学賞発表
★2019年ドイツ児童文学賞ノミネート作品発表
                     (受賞作品の発表は10月18日の予定)
★2020年国際アンデルセン賞候補者発表
       (ショートリスト発表を経て、2020年3月に受賞者が決定する予定)

 海外児童文学賞の書誌情報を随時掲載しています。「速報(海外児童文学賞)」を
ご覧ください。
http://www.yamaneko.org/cgi-bin/sc-board/c-board.cgi?id=award

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●イベント速報━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

★展示会情報
 小さな絵本美術館八ヶ岳館「フェリックス・ホフマン-父から子への贈りもの-」展
 あべのハルカス美術館「クマのプーさん展」 など

★講座・講演会情報
 群馬県立近代美術館
 「生誕60周年記念くまのパディントン(TM)展&松岡享子氏記念講演会」
 教文館ナルニア国「金原瑞人氏講演会“アフリカから学ぶもの”」 など

★イベント情報
 上野公園「上野の森 親子ブックフェスタ2019」 など

 詳細やその他のイベント情報は、「児童書関連イベント情報掲示板」をご覧くださ
い。なお、空席状況については各自ご確認願います。
http://www.yamaneko.org/cgi-bin/sc-board/c-board.cgi?id=event

                          (山本真奈美/冬木恵子)

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●映像化された児童文学●第2回 『オンネリとアンネリのおうち』
                『オンネリとアンネリのふゆ』
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 このコーナーでは、海外の児童書を原作とした、おすすめの映画やドラマをご紹介
します。原作と併せて、これら映像作品もどうぞお楽しみください。
 今回取り上げるのは、フィンランドの映画です。

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★フィンランド・アカデミー賞 衣装デザイン賞受賞/録音賞ノミネート
                             (シリーズ第1作)

『オンネリとアンネリのおうち』(原題 "Onneli ja Anneli")
『オンネリとアンネリのふゆ』(原題 "Onnelin ja Annelin talvi")
監督:サーラ・カンテル
出演:アーヴァ・メリカント、リリャ・レフト、エイヤ・アフヴォ、
            ヤッコ・サアリルアマ、ヨハンナ・アフ・シュルテンほか
2014年、2015年製作/フィンランド
日本劇場公開いずれも2018年/配給:アットエンタテインメント
原作:『オンネリとアンネリのおうち』『オンネリとアンネリのふゆ』
              マリヤッタ・クレンニエミ作/渡部翠訳/福音館書店
Amazonで検索する:書名と作者名

【DVD】
『オンネリとアンネリのおうち』
発売元:アットエンタテインメント/発売日:2018年11月/本編:80分/
                  字幕翻訳:田沼令子、吹替翻訳:見上友里子
『オンネリとアンネリのふゆ』発売未定

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            〜自立心と、連帯感と、正直さ〜

 7歳の同い年の女の子、オンネリとアンネリは大のなかよし。9人きょうだいの5
番目のオンネリは、親に気にかけてもらえず、ひとりっ子のアンネリは、パパとママ
が離婚して、両方の家を行ったり来たりしている。親がかまってくれなくても、オン
ネリもアンネリもふたりでいればとっても楽しい。そんな夏のある日、ふたりはバラ
通りの水色の家の前で、「正直者にあげます」と書かれた封筒を拾う。中には大金が
入っていて――。

『オンネリとアンネリのおうち』と『オンネリとアンネリのふゆ』は、フィンランド
で何十年も読み継がれている「オンネリとアンネリ」シリーズ(全4作)の第1作と
第2作を映画化したもの。女の子の夢やあこがれがぎゅっとつまった、とってもキュ
ートな物語だ。第1作では、オンネリとアンネリは拾ったお金で、水色の家の持ち主
〈バラの木夫人〉から家を買い受け、夢のようなふたり暮らしを始める。そんななか、
ある晩に事件が起こる。第2作では、クリスマス間近の日に、こびとのプティッチャ
ネン族の一家が、助けを求めてふたりのところにやって来る。人間に家を壊され、悪
者たちから逃げているという。そこで一家をドールハウスにかくまうが、新たな魔の
手が忍び寄ってくる。
 2作とも現実にファンタジーが溶け込んだ、とても楽しい作品だ。でも、物語の奥
には、家庭の複雑な事情や人間の身勝手さなど、社会の問題も見てとれる。作品の核
となっているのは、「自立心」と「連帯感」。家を手に入れたオンネリとアンネリは、
ふたりで協力しあい、自分たちらしい生活を築いていく。ちゃんと近所付き合いまで
するのだからあっぱれだ。さらに作品の根っこには「正直さ」があり、とくに第1作
の封筒を拾った場面に象徴されている。ふたりのやりとりと行動が、ちょっと笑えて
なんともいい。やはり正直者には福が来るのだ。

 映画では、明るい調べに乗せて、北欧のまばゆい夏の風景や、美しい冬の雪景色が
画面いっぱいに広がる。そして水色の家に、カラフルな室内のインテリア、素敵なキ
ッチン用品や食器に、ねこ足のバスタブ――映画全体が色とかわいさにあふれていて、
原作の世界観が映像で見事に表現されている。なかでも、衣装デザイナーがこの映画
のために作ったという、ふたりおそろいの服のかわいさといったら! シーンごとに
替わるふたりのファッションは必見だ。ストーリーは原作とほぼ同じだが、映画では
事件の一部が脚色され、さらにドラマチックな展開になっている。
 本国フィンランドでは、シリーズ全4作が映画化され、第4作は昨年のクリスマス
に公開されている。うれしいことに、第3作の『オンネリとアンネリとひみつのさく
せん』が、来月下旬から日本でも劇場公開される。第3作では、ふたりの家の前に陰
気くさい建物が建ち、またまた問題が起こるらしい。この原作の邦訳も刊行が予定さ
れているそうだ。映画の公開と邦訳の刊行が今から待ち遠しい。ちなみに、わたしの
お気に入りは、第1作、第2作でユニークな魔法を繰り出し、異彩を放っていた隣人
のプクティーナ&ノッポティーナ姉妹。次作ではどんな技を見せてくれるのか、こち
らも楽しみだ。

【参考】
▼映画『オンネリとアンネリのおうち』公式ウェブサイト
http://www.at-e2550.sakura.ne.jp/onnelianneli2/

▼映画『オンネリとアンネリのふゆ』公式ウェブサイト
https://www.onnelianneli.com/

▼映画『オンネリとアンネリのおうち/ふゆ/ひみつのさくせん』公式ツイッター
https://twitter.com/onneliannelijp

▼映画「オンネリとアンネリ」シリーズ公式ウェブサイト(フィンランド語)
http://onnelijaanneli.fi/

▽本誌「映像化された児童文学」コーナー
http://www.yamaneko.org/mgzn/corner/movie.htm

▽映像化された児童文学《新装版》(やまねこ翻訳クラブ資料室)
http://www.yamaneko.org/bookdb/gen/eiga/index.htm

                                (蒲池由佳)

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●読者の広場●海外児童文学や翻訳にまつわるお話をどうぞ!
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 このコーナーでは、本誌に対するご感想・ご質問をはじめ、海外児童書にまつわる
お話、ご質問、ご意見等を募集しています。mgzn@yamaneko.org までお気軽にお寄せ
ください。

※メールはなるべく400字以内で、ペンネームをつけてお送りください。
※タイトルには必ず「読者の広場」とお入れください。
※掲載時には、趣旨を変えない範囲で文章を改変させていただく場合があります。
※質問に対するお返事は、こちらに掲載させていただくことがあります。原則的に編
集部からメールでの回答はいたしませんので、ご了承ください。

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●お知らせ●

 本誌でご紹介した本を、各種のインターネット書店で簡単に参照していただけます。
こちらの「やまねこ翻訳クラブ オンライン書店」よりお入りください。
http://www.yamaneko.org/info/order.htm
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           ・☆・〜 次 号 予 告 〜・☆・

 詳細は10日ごろ、出版翻訳ネットワーク内「やまねこ翻訳クラブ情報」のページに
掲載します。どうぞお楽しみに!
          http://litrans.g.hatena.ne.jp/yamaneko1/

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編集者の方々へのインタビューもあります!    〈フーダニット翻訳倶楽部〉
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●編集後記●本号では、毎年恒例となっているカーネギー賞、ケイト・グリーナウェ
イ賞ショートリスト作品の紹介をお届けしました。逆境に負けないたくましさやしな
やかさが感じられる作品が多く選ばれているのが印象的でした。編集部は来月お休み
をいただき、次回は6月号となります。どうぞお楽しみに!(ひ)
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発 行 やまねこ翻訳クラブ
編集人 平野麻紗/三好美香/森井理沙(やまねこ翻訳クラブ スタッフ)
企 画 赤塚きょう子 大作道子 尾被ほっぽ 加賀田睦美 かまだゆうこ
    蒲池由佳 熊谷淳子 小島明子 佐藤淑子 冬木恵子 増山麻美 安田冬子
    山本真奈美 山本みき
協 力 出版翻訳ネットワーク 管理人 小野仙内
    からくっこ SUGO ながさわくにお
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