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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2014年3月号 =====☆ ☆===== =====★ 月 刊 児 童 文 学 翻 訳 ★===== =====☆  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ☆===== No.155 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 児童文学翻訳学習者による、児童文学翻訳学習者のための、電子メール版情報誌 http://www.yamaneko.org 編集部:mgzn@yamaneko.org 2014年3月15日発行 配信数 2470 無料 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●2014年3月号もくじ● ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◎出版社シリーズ研究:第3回 岩波書店「STAMP BOOKS」 ◎出版社シリーズ研究連動レビュー:『路上のストライカー』 マイケル・ウィリアムズ作/さくまゆみこ訳 ◎注目の本(未訳読み物):"Goth Girl and the Ghost of a Mouse" クリス・リデル作 ◎賞速報 ◎イベント速報 ◎世界のお祭り:第31回 チャランダマルツ(スイス) ◎読者の広場 |
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●出版社シリーズ研究連動レビュー●憎悪を招く無知と、希望をもたらすサッカー ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 『路上のストライカー』 マイケル・ウィリアムズ作/さくまゆみこ訳 岩波書店 定価1,785円(税込) 2013.12 270ページ ISBN 978-4001164046 "The Billion Dollar Soccer Ball" Maskew Miller Longman, 2009 (South Africa) "Now Is the Time for Running" Little, Brown and Company, 2011 (US) by Michael Williams Amazonで詳細を見る |
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●注目の本(未訳読み物)●リデル・ワールド炸裂の奇天烈ファンタジー ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ "Goth Girl and the Ghost of a Mouse" 『キミワル屋敷の少女とネズミの幽霊』(仮題) by Chris Riddell クリス・リデル作 Macmillan Children's Books, 2013, 220pp. ISBN 978-0230759800 (UK) (HB) ★2013年度コスタ賞児童書部門受賞作品 Amazonで詳細を見る |
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●賞速報● ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★2014年ケイト・グリーナウェイ賞ロングリスト発表 ★2014年カーネギー賞ロングリスト発表 (カーネギー賞およびケイト・グリーナウェイ賞ショートリストの発表は3月18日、 受賞作品の発表は6月の予定) ★2013年度ローカス賞YA部門推薦作品発表(読者投票受付は4月15日迄) ★2013年度アガサ賞児童書およびヤングアダルト部門候補作品発表 (受賞作品の発表は5月3日の予定) ★2013年金・銀の石筆賞発表 ★2013年金・銀の絵筆賞発表 ★2014年度IBBYオナーリスト発表 ★2013年チェント賞ファイナリスト発表(最終順位の発表は2014年春の予定) ★2014年バンカレリーノ賞セミファイナリスト発表 ★2014年エズラ・ジャック・キーツ賞発表 ★2014年チルドレンズ・ブック賞受賞作品発表 ★2014年ボローニャ・ラガッツィ賞発表 海外児童文学賞の書誌情報を随時掲載しています。「速報(海外児童文学賞)」を ご覧ください。 http://www.yamaneko.org/cgi-bin/sc-board/c-board.cgi?id=award |
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●イベント速報● ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★展示会情報 軽井沢絵本の森美術館「イギリスの絵本原画展」 新見美術館「宮沢賢治・詩と絵の宇宙」 など ★講演会情報 千葉市男女共同参画センター「オズと英米文学」 ちひろ美術館・東京「トークイベント チェコの文化と子どもの本の魅力」 など ★東日本大震災チャリティイベント 丸善日本橋店「こどもの本の画家たち展2」 京都国際マンガミュージアム 「手から手へ展 絵本作家から子どもたちへ 3.11後のメッセージ」 など 詳細やその他のイベント情報は、「速報(イベント情報)」をご覧ください。なお、 空席状況については各自ご確認願います。 http://www.yamaneko.org/cgi-bin/sc-board/c-board.cgi?id=event (冬木恵子/笹山裕子) |
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●世界のお祭り●第31回 チャランダマルツ(スイス) 3月1日 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 今年は日本でも各地で大雪が降りましたが、そんな厳しい冬もそろそろ終わりを告 げる時期になりましたね。今回ご紹介するのは、スイス南東部の険しい山岳地帯、グ ラウビュンデン州の春を迎えるお祭り、チャランダマルツです。 チャランダマルツというのは、ラテン語で「月の最初の日」を意味する chalanda と、「3月」という意味の marz が合わさってできた言葉で、その名のとおり3月1 日に祝われます。グラウビュンデン州特有のお祭りで、特にエンガディン地方のもの が有名ですが、いつごろ始まったかは、現地の村人たちもはっきりはわからないよう です。このあたりは、紀元前15年ごろローマ帝国に征服され、ローマの属州としてラ エティア州と呼ばれていました。一説によると、そのころから受け継がれてきた伝統 ある慣習のようです。ローマ暦では、3月1日は年の初め、春の始まりと考えられて おり、ローマの新年祭に起源があるという説があります。グラウビュンデン州の公用 語のひとつであるロマンシュ語は、ローマの支配下に置かれていたころの公用語ラテ ン語が変形してできたもので、お祭りの名前がラテン語なのはその名残です。 名峰や湖に恵まれたグラウビュンデン州には、険しい山々によって隔てられた谷が 100以上も点在しているため、習俗や方言といった文化が谷によって異なります。祭 りの内容も村によってさまざまですが、基本的には、男の子たちが鈴(カウベル)を 持って歌をうたい、村中に春の訪れを告げてまわるという形を取ります。今回は、州 南部のエンガディン地方にあるふたつの村、ツオーツとグアルダの祭りの様子をご紹 介します。 イン川の源に近いツオーツ村では、約1か月をかけて祭りの準備をします。まず2 月の初めに、子どもたちの中から、祭りのリーダーとなる「パトロン」役の年長の少 年を4人と、そのパートナー役の少女を4人選びます。そして、2月の最後から2番 目の日曜日に村の子どもたちが集まり、祭り当日誰がどの鈴を使うかを決めます。鈴 を持つのは男の子だけで、4歳くらいの小さな子から、15歳くらいの大きな子まで年 齢はさまざまです。3月1日の早朝4時、静かな村に、パトロンたちが鳴らす鈴の音 が響き渡り、7時には鈴を持った少年たちが、青いスモックのような民族衣装に赤い スカーフと帽子という、昔の牧童の格好で集まってきます。行列の先頭には、打ち鳴 らすための鞭とご祝儀のお金を入れてもらう箱を持った、ひとりめのパトロンが立ち、 その後ろに、首から下げた鈴の大きさの順に少年たちが並びます。最後尾を固める3 人のパトロンが引くそりには、ソーセージや栗、焼き菓子といったお金以外のご祝儀 を載せてもらいます。鈴行列は家々の戸口で春を迎える歌をうたい、村中をまわりま す。まわり終わった子どもたちは、前もって予約してあった飲食店へ行き、パートナ ー役の少女たちが栗を焼いたりゆでたりし、その間にパトロンたちが生クリームを泡 立てます。村中の子どもたちで盛大な夕食会を楽しんだ後、夜はダンスパーティーが 開かれます。 ツオーツからイン川を少し下ったところにあるグアルダ村では、祭りは午後から始 まります。祭りに参加する少年たちの服装は、ツオーツと同じように青い民族衣装に 赤いスカーフと帽子ですが、ここグアルダでは年齢順に一列に並びます。先頭の年長 の子が一番大きな鈴を持ち、後ろにいくほど鈴は小さくなります。そして、鞭や棒を 持った年上の男の子が、行列の指揮をとります。これは、毎年初夏に家畜たちを高地 放牧地まで追いあげる、伝統的な「家畜の追いあげ」の様子を模しています。少年た ちは、牛が首にかけても重そうな鈴をガランガランと鳴らし、春を迎える歌をうたい ながら村中を練り歩き、あちこちにある共同井戸の周りをまわります。鈴の音を大き く鳴らすのは、冬の悪魔を追い払うためと言われています。 グアルダは、これからご紹介する絵本『ウルスリのすず』(ゼリーナ・ヘンツ文/ アロイス・カリジェ絵/大塚勇三訳/岩波書店)の作者ヘンツの故郷で、作品の舞台 にもなった村です。小さな鈴しか貸してもらえなかった少年ウルスリは、なんとかし て大きな鈴を手に入れたいと、雪に閉ざされた山小屋まで出かけて行きます。ウルス リはどうしてそこまでしたのでしょうか? それは、こんなわけでした。 *〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜* 行列の先頭には、大きい子たちが、とくいげに、大きい鈴をふりたてて、すすみます。 鈴をたかくひびかせながら、さきにたって、村じゅうのいどや、牛小屋なんかをまわ ります。 どの家にもはいっていって、鈴をならして、冬をおいだし、はれやかな歌声をひびか せて、またくる春を、よろこび、むかえます。 すると、みんなは、そのおかえしに、木の実や、肉や、おかしなんかを、鈴いっぱい に、いれてくれるのです。 でも、小さい子たちは、あとにのこって、まっていなければなりません。 *〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜* 特に昔は、この時期は食べ物が少なく、子どもたちは栗をもらうのをとても楽しみ にしていたそうです。絵本の中でも、鈴行列を終えたウルスリが、お母さんが蒸して くれた栗に生クリームをたっぷりかけて食べています。 ★参考文献・ウェブサイト 『めるへんいっぱい スイス紀行』 (宮沢乃里子文/安野光雅画/クラウス・ディーター・モイリッヒ写真/東京書籍) 『スイス・風と光の小径へ』(小谷明文・写真/東京書籍) スイス政府観光局公式ウェブサイト http://www.myswiss.jp/jp.cfm/home/ Swissworld(スイス公式情報ウェブサイト) http://www.swissworld.org/jp/ (村上利佳/笹山裕子) |
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