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月刊児童文学翻訳

─2006年4月号(No. 78)─

児童文学翻訳学習者による、児童文学翻訳学習者のための、
電子メール版情報誌<HP版+書店街>
http://www.yamaneko.org/
編集部:mgzn@yamaneko.org
2006年4月15日発行 配信数 2380

もくじ

 ◎注目の本(邦訳読み物):『世界でたったひとりの子』 
                       アレックス・シアラー作/金原瑞人訳
 ◎注目の本(邦訳読み物):『イェンス・ペーターと透明くん』
                       クラウス・ペーター・ヴォルフ作/木本栄訳
 ◎注目の本(未訳絵本):"Duck & Goose" タッド・ヒルズ文/絵
 ◎注目の本(未訳読み物):"The Girl with the Broken Wing" ヘザー・ダイアー作
 ◎賞速報
 ◎イベント速報
 ◎お菓子の旅:第35回 ドイツ生まれの固めのゼリー 〜グミ〜
 ◎読者の広場: 海外児童文学や翻訳にまつわるお話をどうぞ!

●このページでは、書店名をクリックすると、各オンライン書店で詳しい情報を見たり、本を購入したりできます。

 


●注目の本(邦訳読み物)●

―― 人間の幸せについて考えさせられる、シアラー風SF ――

『世界でたったひとりの子』
アレックス・シアラー作/金原瑞人訳

竹書房 定価1,470円(税込) 2005.12 430ページ ISBN 4812425026
"The Hunted" by Alex Shearer
Macmillan Children's Books, 2005

★2005年ガーディアン賞ショートリスト作品

  老化防止薬が発明され、死ぬまで外見は若いまま、しかも平均寿命が150歳という、近未来の世界。長寿社会での人口バランスをとるためなのか原因不明のウィルスが蔓延した結果、出生率が極端に下がり、たいていの人は子どもを授からない。たとえ子どもに恵まれても、誘拐される危険におびえて目立たないように田舎でひっそりと暮らしている。誘拐された子どもは、金持ちに売られたり、ペットのように時間契約で貸し出される〈レンタル子ども〉として働かされたりすることもある。主人公の少年、タリンもレンタル子どものひとりだ。タリンは自分の素性を知らされないまま、物心ついたときにはディートと名乗る男と暮らしていた。ろくに働きもせずに自分を利用して金もうけをするディートに不満を募らせながらも、指示されるまま契約先の家をおとずれては顧客が望む理想の子どもを演じる。だが、タリンの子ども時代が残り少ないと感じたディートから、永遠に子どものままでいる手術を強要され、大人になる自由すら奪われそうになる。ディートの策略により追い詰められたタリンは……。
 家族も友だちもいないタリンの孤独感や絶望感が痛々しいほど伝わってきて、わたしは切なくてたまらなかった。かすかな記憶を頼りに自分の親を探したくても、ディートの保護という名の監視のもと、ひとりで出歩くことすらままならない。たとえ救いの手が差しのべられても、それまでの経験から〈子ども〉という価値だけを求められているのではという疑念がぬぐいきれず、人を信用することもできないのだ。
 同じ作者による『チョコレート・アンダーグラウンド』同様、妙に現実感がある世界にぐいぐい引き込まれ、タリンのあとを追い続ける謎の男も気になって一気に読んだ。『13ヵ月と13週と13日と満月の夜』では主人公が呪いをかけられて老婆にされてしまったが、この物語では死ぬまで子どものままにされる恐ろしさがせまってくる。どの作品にも共通する臨場感こそ、作者がストーリーテラーと評されるゆえんだろう。
 小学生の娘にあらすじを語ったところ、「タリンがかわいそう。若くて長生きできても、そんな世界なんていやだ」という、しごく真っ当な答えが返ってきた。娘のためにも、生と死のいとなみだけでも自然のままに送れる未来を願う。

(横山和江)


【作】アレックス・シアラー(Alex Shearer)

1949年生まれ、英国サマセット在住。テレビ、映画、舞台、ラジオ劇の脚本など多くの作品を手がけた後、YA小説を発表。『青空のむこう』(金原瑞人訳/求龍堂)、『海のはてまで連れてって』(金原瑞人訳/ダイヤモンド社)など、ここ数年翻訳出版が相次いでいる。

【訳】金原瑞人(かねはら みずひと)

1954年、岡山県生まれ。法政大学文学部博士課程修了、同大学教授・翻訳家。『のっぽのサラ』(パトリシア・マクラクラン作/徳間書店)や『ミッシング 森に消えたジョナ』(アレックス・シアラー作/竹書房)などの英米文学を中心に、数多くの翻訳を手がけている。

【参考】
▽アレックス・シアラー作品リスト(やまねこ翻訳クラブ資料室)
http://www.yamaneko.org/bookdb/author/s/ashearer.htm

▽金原瑞人訳書リスト(やまねこ翻訳クラブ資料室)
http://www.yamaneko.org/bookdb/int/ls/mkaneha1.htm

▽ガーディアン賞受賞作品リスト(やまねこ翻訳クラブ資料室)
http://www.yamaneko.org/bookdb/award/uk/guardian/
 

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●注目の本(邦訳読み物)●

―― 自分の内なる声に耳をかたむける ――

『イェンス・ペーターと透明くん』
クラウス・ペーター・ヴォルフ作/木本栄訳

ひくまの出版 定価1,575円(税込) 2006.01 95ページ ISBN 4893173480
"Jens-Peter und der Unsichtbare" by Klaus-Peter Wolf
Gerstenberg Verlag, 1997

 おいしそうな豚肉の焼けるにおいが、イェンス・ペーターの家いっぱいに広がっている。今日はお父さんが料理を作る日だ。味見させてもらったら、驚くほどおいしい! 待ちきれないけど、じゃまにならないように自分の部屋に引っ込んだ。お腹がぐうぐうなっても、あと少しのがまん。いつものように何度もおかわりして、お父さんを喜ばせるためだ。それにこの部屋には、飴玉ひとつありゃしない。
 ところが、どこからか声がした。「イースターのウサギ型チョコがあったじゃん」友だちのいたずらかと思って部屋中探してみたけれど、だれもいない。そして、その声はチョコレートを食べちゃえ、とイェンス・ペーターをそそのかした。
 ある日突然あらわれた「透明くん」は、姿が見えず、その声もイェンス・ペーターにしか聞こえない。この声だけの透明くんに、イェンス・ペーターがふりまわされてしまう様子が、7つのエピソードを通して描かれている。透明くんのことばは青い文字で印刷されていて、ふたりの会話がテンポよく読めた。
 イェンス・ペーターは、透明くんがあらわれるまで素直に大人のいうことに従ってきた。けれど、透明くんと話しているうちに、いつもと違うことをするようになっていった。食事の前にチョコレートを食べてしまったり、授業中に大声で叫んでしまったり。それらが、イェンス・ペーターにとっては、思いがけない「悪さ」や失敗になってしまう。イェンス・ペーターは、言い争いをしてもなぜか憎めない透明くんと、だんだん息の合ったコンビになっていく。
 透明くんにそそのかされてする悪さといっても、大人からみればささいなこと。透明くんの理屈にイェンス・ペーターも納得できるからこそ、それまでだったらやらなかった行動をしてしまうのだろう。また、失敗をしてしまったイェンス・ペーターに対して、お父さん、お母さんそして先生は、頭ごなしにしかることはしない。ちゃんと理由を聞いて、あたたかく見守る大人たちの姿には、読んでいてほっと安心できた。
 本作はシリーズ1作目。透明くんとイェンス・ペーターが、これからどのように成長していくのか楽しみだ。

(竹内みどり)


【作】クラウス・ペーター・ヴォルフ(Klaus-Peter Wolf)

1954年ドイツ、ゲルゼンキルヘン生まれ。若い読者向けの作品は独特のユーモアとわかりやすい文章で人気 があり、19か国で翻訳されている。テレビ用映画やドラマの脚本も手がけている。本作品がはじめての邦訳。「イェンス・ペーターと透明くん」シリーズの邦訳は、これから続刊の予定。

【訳】木本栄(きもと さかえ)

英国ロンドン生まれ。ドイツのボン大学を卒業後、翻訳家として活躍する。主な翻訳に『すきまのじかん』(アンネ・エルボー作/ひくまの出版)、『マリーおばさんと7ひきのねこ』(ジェリ・クロル文/アン・ジェームズ絵/講談社)など多数。ドイツ、ベルリン在住。

【参考】
▼クラウス・ペーター・ヴォルフ公式ウェブサイト(ドイツ語)
http://www.klauspeterwolf-3tollenullen.de/kpw/Aktuelles/

▽空想の友だち・邦訳作品リスト(やまねこ翻訳クラブ資料室)
http://www.yamaneko.org/bookdb/gen/theme/imgnfr/imgnfr.htm
 

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●注目の本(未訳絵本)●

―― 小さな心にともす明かりは小さくてもいい ――

『きみとぼく』
タッド・ヒルズ文/絵
"Duck & Goose" by Tad Hills
Schwartz & Wade Books/Random House, 2006 ISBN 037583611X
40pp.

 小川の流れる広い野原に、なにやら丸いものが落ちている。そこへアヒルとガチョウのひよこが、別々の方向からのんきにやってきた。「なんだろう?」とアヒルが聞くと、ガチョウが答える。「たまごにきまってるだろ!」そんな言い方したら相手はカチンとくるに決まってるのに。案の定、言い争いが始まった。「はじめに見たからぼくの!」「はじめにさわったからぼくのだ!」互いに一歩もゆずらない。幼いこどもが精一杯の知恵を絞って張り合う姿は、なんとも微笑ましい。2羽の頭にあるのは卵を相手から守ること。だが、中にはひながいることを思い出し、自分がしてやれることを一生懸命考えた。
 卵の上に背中合わせで座り、こわい顔をして腕を組み、横目で相手をにらみつけるアヒルとガチョウ。ひなが生まれたら鳴き方や歩き方を教えるんだと言い合ううちに、いつの間にか同じ方向を向いて話しだし、視線を共有する。作者は2羽が次第に心を通わせる過程を、見開き1面にカット割りで描いている。小さな読者の目に一連の画像として見せることで、相対するものが歩み寄るには段階があることを、感覚としてとらえさせようとしているのかもしれない。
 新しい何かと出会ったとき、相手を受け入れる柔軟さと力が、こどもには生まれつき備わっている。とはいうものの、当人たちだけではなかなか順調に進まず、時には刺激を与えてくれる存在が必要だ。この作品では青い鳥が登場し、2羽の意識に新しい視点を投げかけ、話の展開を手助けしている。
 入園や入学などで環境が変わるこの季節、こどもたちは心の中でさまざまな葛藤と戦っている。アヒルとガチョウのやりとりを見たこどもは、きっと声をあげて笑うだろう。そして、2羽がどうしたら仲よくなるかと考え、自分の中にも前へ踏み出す勇気を少しずつ感じ始めるに違いない。幼児向けの作品を数多く手掛ける作者ならではの、一直線で不器用な幼い心を表した絵本である。私たちおとなは、はたして青い鳥になれるだろうか。

(大原慈省)


 

【文・絵】Tad Hills(タッド・ヒルズ)

画家、役者、絵本作家と多才。ハロウィ ーンの時に着る不気味な衣装の制作者という肩書きも持つ。代表作に "My Fuzzy Friends" がある。米国、ニューヨーク州在住。邦訳が出版された作品はまだない。

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●注目の本(未訳読み物)●

―― 天使って結構ゴーイングマイウェイ!? ――

『翼の折れた天使』(仮題)
 ヘザー・ダイアー作
"The Girl with the Broken Wing" by Heather Dyer
The Chicken House, 2005 ISBN 190444217X (UK)
Scolastic, 2005 ISBN 0439748275 (US)
150pp.
(このレビューは、US 版を参照して書かれています)

 双子のジェームズとアマンダは、広い屋根裏を子ども部屋にしている。ある雨の晩、屋根を打つ物音に気づいたふたりが天窓を見上げると、そこにはずぶ濡れの少女がひとり。その背中には、なんと床まで届くような大きな翼がついていた! 翼が折れたので少し休ませて欲しいという少女ヒラリーは、一体なにものなのだろう?
 想像力豊かでたくさんの物語を読んでいるアマンダは、ヒラリーこそ守護天使であり、自分たち人間を守るためにやって来たのだと考える。一方、論理的な考え方をする現実派のジェームズは、天使の存在そのものを信じていない。ましてや、ぐうぐういびきをかいて眠るヒラリーを、天使と認めようとはしなかった。ふたりの部屋に住みついたヒラリーは、ピクニックや遠足、学校など、普通の子どもが経験することに憧れていたとふたりに話す。そして、アマンダのダッフルコートを借りて翼を隠し、双子の反対を押し切って、どこへでもふたりについて行くようになる。その先々では、当然のようにいろいろ騒動が巻き起こるのだった。
 この天使、かなり人間の心の機微に疎い。「こうしたら相手が困るかも」といった複雑な思考が苦手のようで、じっくり考えるより先に行動してしまうタイプ。天使だから人間の思考についていけないのが当たり前、と言ってしまえばおしまいだが、天真爛漫なヒラリーの行動にジェームズのいらいらがどんどん募っていく様子が、実によく伝わってくる。そんなふたりの間をうまくとりなすのがアマンダだ。すったもんだしながらはぐくんだ3人の友情が迎える結末には、ついほろりとしてしまった。
 作者ダイアーは、前作の "The Fish in Room 11" で、バスルームに突如現れた人魚と少年の友情物語を描いて好評を得ている。子どもと異世界の住人の交流を描くという点では、本作品も同じだ。天使は人間を守るのが役目だが、その天使だって、子どもであれば友だちと遊びたくなるようだ。柔軟な心の持ち主である子どもは、たとえ相手が異世界の住人でも友情をはぐくめることを、この作品は再認識させてくれる。子どもにとって、自分たちの部屋は聖域のはず。もしかしたら、わが家の子ども部屋にも「秘密の友だち」がいるかもしれない……なんて想像するのも結構楽しい。

(村上利佳)


 

【作】Heather Dyer(ヘザー・ダイアー)

1970年にスコットランドで生まれ、まもなくウェールズに渡る。10歳で家族とともにカナダに移住し、自然に囲まれた生活を送る。後にウェールズに戻りさまざまな仕事についた後、作家としてデビューした。出版された作品は本文で紹介した2作品のみで、邦訳はまだない。

【参考】
▼ヘザー・ダイアーのページ(Chicken House 内)
http://www.doublecluck.com/authordetails.php?aname=Dyer,%20Heather&btype=fiction711
 

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●賞速報●

★2006年度アストリッド・リンドグレン記念文学賞発表
★2006年ドイツ児童文学賞ノミネート作品発表(受賞作の発表は10月6日)
★2005-2006年ビスト最優秀児童図書賞ショートリスト発表(受賞作の発表は5月31日)
★2006年国際アンデルセン賞(ハンス・クリスチャン・アンデルセン賞)発表
★2006年度フェニックス賞発表
★2006年オーストラリア児童図書賞候補作発表(受賞作の発表は8月18日)
★2006年金のキス賞(オランダ)ノミネート作品発表(受賞作の発表は4月19日)

海外児童文学賞の書誌情報を随時掲載しています。「速報(海外児童文学賞)」をご覧ください。



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●イベント速報●

★展示会情報

軽井沢絵本の森美術館
 「グリム童話のあゆみ展◆一枚絵と絵本にみる口伝え童話の“かたち”◆」
川村記念美術館「マルク・シャガール −ラ・フォンテーヌの『寓話』−」など
 

★イベント情報

「上野の森親子フェスタ」など
 

★コンクール情報

インターカレッジ札幌「第3回翻訳コンクール」など
 
 
 詳細やその他のイベント情報は、「速報(イベント情報)」をご覧ください。なお、空席状況については各自ご確認願います。

(笹山裕子/井原美穂)



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●お菓子の旅●第35回 ドイツ生まれの固めのゼリー
〜グミ〜

"Nicht so ein schones wie bei uns", sagte der kleine, fette Konig. Er biss ein letztes Mal von dem Gummibarchen ab. "Tut mir leid fur dich, na, fur euch alle naturlich."

von Axel Hacke, mit Bildern von Michael Sowa
         "Der kleine Konig Dezember" Verlag Antje Kunstmann(1993)
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*

 僕の家にときどきやってくる王様は、僕の人さし指くらいの大きさしかない。きまぐれにあらわれてはいろんな話をしていくのだけれど、どうやら王様たちの世界では、人生は大人から始まって、子ども時代が最後にくるらしい。"Der kleine Konig Dezember"(『ちいさなちいさな王様』アクセル・ハッケ作/ミヒャエル・ゾーヴァ絵/那須田淳、木本栄共訳/講談社)は、そんな不思議な王様と会社員の「僕」とのやりとりが綴られたお話。冒頭の引用は、王様が自分の体ほどもある大好物のグミベアーにかじりつきながら、ふたつの世界はどちらがしあわせなのかと比較している場面です。哲学的な着眼点と発想に思わず引き込まれてしまう、すてきな物語です。
 さて、そのグミベアーをはじめとする「グミ」が生まれたのはドイツ。1922年、ハリボー社の創業者ハンス・リーゲルは、当時お祭りの曲芸のひとつだった踊るクマの姿にヒントを得て、初代のグミベアーを開発しました。食べるとゴムのように弾力があることから、ドイツ語で「ゴム」という意味の Gummi と名づけられました。これが大ヒットして、やがてグミは世界中に広まっていったのです。欧米のホテルではよく、ベッドサイドにチョコレートが置かれていますが、ドイツではグミベアーにお目にかかれることもあります。
 日本では1980年に初めてグミタイプのお菓子が発売され、その後1988年から「グミ」という名前が使われるようになりました。今ではお菓子売り場にさまざまな色や形のグミが並んでいます。日本製のやわらかいグミに較べ、文字通りゴムのように固いドイツ製のグミは、その独特の食感が人気の秘密かもしれません。
 今回は、日本のグミに近い固さのものを簡単に手作りする方法をご紹介します。普通のゼリーよりもゼラチンを多く使うので、常温で溶け出すことはありません。
 

*-* 手作りグミの作り方 *-*

画像はこちら(やまねこ翻訳クラブ喫茶室)

材料:(小さめのチョコレート型約15個分)

  • 果汁(好みのもの) 大さじ3
  • レモン汁 大さじ2
  • 粉ゼラチン 15g
  • 水あめ 大さじ1
  • 砂糖 大さじ3
  • サラダ油 少量
  1. 鍋に果汁とレモン汁を入れ、ゼラチンをふり入れてふやかしておく。
  2. その他の材料を全部1に加え、弱火で煮溶かす。
  3. サラダ油を塗ったチョコレート型(製氷皿でもよい)に入れて冷蔵庫で約10分冷やし固め、型から取り出す。

★参考文献・ウェブサイト
『ローカロリーのおいしいケーキづくり』(大森いく子著/成美堂出版)
http://www.haribo.com/planet/sprachauswahl.html
http://home.tokyo-gas.co.jp/shoku110/trend/076.html
http://www.meiji.co.jp/inquiry/kyakusou/sweets/candy.html#05

「やまねこ翻訳クラブお菓子掲示板」

(冬木恵子/鎌田裕子)

※編集部注:「schones」「Konig」の「o」、「Gummibarchen」の「a」、「fur」「naturlich」の「u」の上にウムラウト(¨)がつく。「biss」の「ss」はエスツェット。

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●読者の広場●海外児童文学や翻訳にまつわるお話をどうぞ!

このコーナーでは、海外児童書にまつわるお話、ご質問、ご意見等を募集しています。mgzn@yamaneko.org までお気軽にお寄せください。
  • メールはなるべく400字以内で、ペンネームをつけてお送りください。
  • タイトルには必ず「読者の広場」とお入れください。
  • 掲載時には、趣旨を変えない範囲で文章を改変させていただく場合があります。
  • 回答も読者のみなさまから募集し、こちらに掲載させていただきます。編集部からメールでの回答はいたしませんので、ご了承ください。


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●編集後記●

新しいはじまりの季節です。レビューの主人公たちは、新しいなにかをみつけたようです。子どもたちが明るい未来と出会えますように。(た)

発 行: やまねこ翻訳クラブ
発行人: 笹山裕子(やまねこ翻訳クラブ 会長)
編集人: 竹内みどり/大原慈省/横山和江(やまねこ翻訳クラブ スタッフ)
企 画: 赤間美和子 井原美穂 鎌田裕子 笹山裕子 早川有加 冬木恵子 村上利佳
協 力: 出版翻訳ネットワーク 管理人 小野仙内
さかな 小湖 ながさわくにお ハイタカ
html版担当 ワラビ

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