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月刊児童文学翻訳

─2004年12月号(No. 65)─

児童文学翻訳学習者による、児童文学翻訳学習者のための、
電子メール版情報誌<HP版+書店街>
http://www.yamaneko.org/
編集部:mgzn@yamaneko.org
2004年12月15日発行 配信数 2370

もくじ

 ◎特集:第7回やまねこ賞――会員が選んだ、今年の児童書ベスト5は?
 ◎注目の本(邦訳読み物):『魔女のこねこゴブリーノ』
                  アーシュラ・ウィリアムズ作/中川千尋訳
 ◎注目の本(未訳読み物):"Becoming Naomi Leon" パム・M・ライアン作
 ◎賞速報
 ◎イベント速報
 ◎お菓子の旅:第30回 英国生まれのクリスマスケーキ 〜フルーツケーキ〜
 ◎読者の広場: 海外児童文学や翻訳にまつわるお話をどうぞ!

●このページでは、書店名をクリックすると、各オンライン書店で詳しい情報を見たり、本を購入したりできます。

 


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☆☆ FOSSIL 〜 Made in USA のカジュアルウオッチ ☆☆
「FOSSILは化石って意味でしょ?レトロ調の時計なの?」。いえいえ、これは創業者の父親がFOSSIL(石頭、がんこ者)というあだ名だったことから誕生したブランド名。オーソドックスからユニークまで様々なテイストの時計がいずれもお手頃価格で揃います。レトロといえば、時計のパッケージにブリキの缶をお付けすることでしょうか。数十種類の絵柄からお好きなものをその場で選んでいただけます。選ぶ楽しさも2倍のフォッシルです。

TEL 03-5981-5620

http://www.fossil.co.jp/

(株)フォッシルジャパン:やまねこ賞協賛会社



●特集●第7回 やまねこ賞       協賛:(株)フォッシルジャパン
 


 過日、やまねこ翻訳クラブで、昨年11月から今年9月までに出版された邦訳児童書、および、過去に海外で出版された未訳児童書を対象に、ベスト5の投票が行われました。以下にその結果をご報告します。大賞に輝いた邦訳作品の翻訳家の方には、賞状と副賞が贈られます。なお、前回に引き続き、株式会社フォッシルジャパンより、副賞の時計をご提供いただきました。
副賞の時計の写真1 副賞の時計の写真2 副賞の時計の写真3

(右端)実際の副賞のバンドは白色

「読み物」「絵本」の分類については、原則として株式会社図書館流通センター(TRC)による分類種別に準拠していますが、一部の本については、当クラブの判断で種別を変更しています。
 記事中に記載した、本誌の過去のレビューについては、やまねこ翻訳クラブサイトに掲載のバックナンバーをご参照ください。
http://www.yamaneko.org/mgzn/
 なお、すべての投票と感想はこちらでごらんいただけます。
http://www.yamaneko.org/yn_award/index.htm



★☆★☆【2004年 第7回やまねこ賞 読み物部門】☆★☆★

★大賞 『ホエール・トーク』クリス・クラッチャー作 金原瑞人、西田登訳 青山出版社

 黒人と日系と白人の血を引いたT・Jは頭脳明晰でスポーツ万能だが、体育会のメンバーが幅をきかす高校の雰囲気に反発を感じ、あえて部活動には参加していない。そんな彼が、ひょんなことから水泳部を作ることになる。集まっ てきたのは一癖も二癖もある面々。プールもない高校で、彼らは体育会の連中を見返すことができるのか。アメリカ図書館協会のヤングアダルト・ベストブックに選ばれた作品。

◎とにかく面白くかっこいい話、登場人物のひとりひとりがユニークでひきこまれる。(りり)
◎なんかこう熱いものを感じさせてくれたし、心の芯からいろんな想いをぐいっと呼び覚ましてくれるような感じでした。(えみりい)
◎とにかく爽快でした。(tommy)
◎主人公の強さに勇気づけられました。(コアラン)
◎珍しく友だちにメールであらすじを送り、薦めた本です。(shoko)

* * * * * * * * * * * * * * * * * *

【受賞のことば】 翻訳家 金原瑞人さん

 このところ、「受賞、おめでとう!」という機会はたくさんあるんだけど、「受賞、おめでとうございます!」といわれる機会はほとんどない。さて、ずいぶん昔に産経の賞をもらったきりかな。そんなわけで、とても嬉しい! それも自分としては今年一押しのヤングアダルト小説『ホエール・トーク』で選ばれるなんて! これを選んで下さった方にとっても、選んでくださらなかった方にとっても、来年はよい年でありますように。

【受賞のことば】 翻訳家 西田登さん

『ホエール・トーク』は訳了まで約20か月を要した難物ですが、最後まであきらめずに訳し抜いたおかげで新聞数紙に書評が載り、ネット書店の読者レビューでも好意的に取り上げられ、ついには猫好きにとってはたまらない名前の賞まで頂くことができました。新米翻訳家としてこれ以上は望めないスタートが切れたことを、今後の仕事の励みにしたいと思います。実り多い試練を与えてくださった金原先生と、投票してくださった皆さんに、心からの感謝を! 

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"Whale Talk"の情報をオンライン書店でみる

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◆2位 『アグリーガール』
        ジョイス・キャロル・オーツ作 神戸万知訳 理論社

  優等生で人気者のマットは、高校の授業中に、爆破テロの疑いで警察に連れて行かれる。疑いは晴れたものの、周囲の人々は急によそよそしくなり、敵意さえ見せるようになる。孤立したマットに救いの手を差し伸べたのは、自分のことを「アグリーガール」と呼ぶアーシュラ。ふたりは少しずつ心を通わせていく。

◎主人公やまわりのひとたちの心理描写がとてもすばらしい。(yoshiyu)
◎すべてが面白かったです。(ゆずみ)
◎主人公のアグリーガールがかっこいい!(Chicoco)
◎マットとかわすメールのやりとりが切なくて、胸がキュンとなりました。(蒼子)

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"Big Mouth & Ugly Girl"の情報をオンライン書店でみる

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◆3位 『モギ――ちいさな焼きもの師』
        リンダ・スー・パーク作 片岡しのぶ訳 あすなろ書房

 12世紀後半の韓国に焼きもので知られた村があった。12歳の少年モギは、家も親もなく、橋の下で暮らしていた。近くに住む焼きもの師ミンが作る高麗青磁の美しさに魅せられたモギは、見習いとなり働くようになる。いつかは焼きものを作れるようになることを夢みて、モギは薪集めや粘土運びに精を出す。2002年ニューベリー賞受賞作品。(本誌2002年5月号書評編「注目の本」のレビューをご参照ください)

◎日本語の美しさや力を感じさせる名訳。(レイラ)
◎ぜいたくな今の時代に、静かに輝いている。(ちゃぴ)
◎好きなもののためにこんなにがんばれるということ、そして好きなことができる喜びが素直に伝わってきました。(蒼子)
◎モギのまっすぐな気持ちに心を洗われるすがすがしい作品。(ワラビ)

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"A Single Shard"の情報をオンライン書店でみる

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◆4位 『チョコレート・アンダーグラウンド』
        アレックス・シアラー作 金原瑞人訳 求龍堂

 選挙で勝利をおさめた健全健康党が「チョコレート禁止法」を発令した! チョコレートだけでなく、砂糖もキャンディーも、甘いものはすべて禁止される。ハントリーとスマッジャーは密かにチョコレートを作り、地下チョコバーまで開いた。捜査官やチョコレート探知機、そしてふたりを怪しむ少年団との攻防が始まる。

◎ほんとにチョコが食べられなくなったらどうしようと心配になるほど、のめり込んで楽しみました。(SUGO)
◎ユニークな設定の中、「自由」とは、と考えさせられました。(ゆま)
◎本全体で伝えているメッセージを重くうけとりました。(shoko)
◎チョコレートよ、永遠に。(りり)

『チョコレート・アンダーグラウンド』の情報をオンライン書店でみる

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"Bootleg"の情報をオンライン書店でみる

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◆5位 『ダストビン・ベイビー』
        ジャクリーン・ウィルソン作 小竹由美子訳 偕成社

 エイプリルの誕生日は4月1日。ピザ屋の裏のゴミ箱から見つけ出された日だ。今は里親のマリオンと暮らし、友だちもいて幸せだけれど、自分を産んだお母さんのことがいつも心にひっかかっている。わたしは望まれない子だったの? お母さんはわたしのことを忘れてしまったの? 14歳の誕生日、エイプリルは自分の過去をたどり始める。(本誌2004年11月号「注目の本」のレビューをご参照ください)

◎原作ももちろんですが、邦訳の素晴らしさに感動しました。(ぐりぐら)
◎主人公エイプリルを取り巻く人々の温かさがいい!(ち〜ず)
◎最後の章では一気に感動が胸にこみあげてきました。(tommy)
◎今年出たウィルソンの邦訳では一番好き。(hanemi)

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"Dustbin Baby"の情報をオンライン書店でみる

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◆6位以下の作品

6位『タトゥーママ』、7位『海のはてまで連れてって』『ママは行ってしまった』(2作同点)、9位『ワニてんやわんや』、10位『駆けぬけて、テッサ!』『ロラおばちゃんがやってきた』『ダルシマーを弾く少年』(3作同点)



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★☆★☆【2004年 第7回やまねこ賞 絵本部門】☆★☆★

★大賞 『魔女の子どもたち』アーシュラ・ジョーンズ文 
        ラッセル・エイト絵 みはらいずみ訳 あすなろ書房

 魔女の子どもたちがやってくると、いつもみんなはひやひやドキドキ。おぼえたばかりの魔法で、つぎからつぎへと騒ぎを起こし、公園は今日も大混乱!
 2001年度ケイト・グリーナウェイ賞ショートリスト作品。2003年に刊行された続編、"The Witch's Children and the Queen"の邦訳出版も待たれる。
本誌2002年7月号書評編「賞情報・特集」をご参照ください)

◎原書で惚れましたが、邦訳であらためて惚れ直しました。(小湖)
◎のびやかでユニークな絵とお話、大胆かつ納得いくオチ!(りり)
◎ことばのやりとり、かわいい子どもたち、魔女のおかあさん、言うことなしです。(めい)
◎テンポのよさとストーリー展開のうまさに脱帽です。文と絵が干渉しあって大きなうねりとなった最高のお手本。(NON)
◎子どもと一緒に読んで、大笑いしました。幼稚園や保育園の読み聞かせで、子どもたちがどんな反応をしてくれるのかなと思いました。(SUGO)

* * * * * * * * * * * * * * * * * *

【受賞のことば】 翻訳家 みはらいずみさん

 やまねこ賞大賞に選んでくださり、ありがとうございます。ちびまじょちゃんがひとつだけ知っている魔法の、なんともいえないキュートさ、絵の遊びの数々……こんなすばらしい本を訳す機会に恵まれただけで幸せでしたのに、賞までいただけて光栄です。訳文へのアドバイスをはじめ細部まで心配りをしてくださったあすなろ書房の山浦さん、本にぴったりの書き文字を作成してくださったデザイナーの桂川さんをはじめ、お世話になった方々、やまねこ翻訳クラブのみなさまに、ただただ感謝、です。 

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◆2位 『エルシー・ピドック、ゆめでなわとびをする』エリナー・ファージョン文
        シャーロット・ヴォーク絵 石井桃子訳 岩波書店

 村一番のなわとび上手、エルシーは、妖精からも認められ、秘密の技を受け継ぐ。長い歳月の後、村人に訪れた危機。年老いたエルシーはなわとびを手に立ち上がる。
 イギリスの伝承歌をもとに、1937年、ファージョンが書き上げた短編を、60年後、ヴォークが絵本として再び送り出した作品。

◎おはなしと絵がとけあって、ケーバーン山や妖精たちがうかびあがってきた。(ワラビ)
◎踊りだしたくなるようなときめきに包まれる。この感覚は子どものころと同じ。自分の変わらない部分で感じることができて、幸せな気持ちになった。(Incisor)
◎懐かしいお話が絵本になりました。眺めても声に出して読んでも楽しい本です。(ケンタ)
◎この絵本を読むたびに、子どもに対する深い愛情と、まなざしに心がふるえる。(さかな)

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"Elsie Piddock Skips in Her Sleep"の情報をオンライン書店でみる

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◆3位 『げんきなグレゴリー』
        ロバート・ブライト文・絵 なかつかさひでこ訳 徳間書店

 村で一番の元気少年、グレゴリーは、村一番のあわてものかも。おばあちゃんの話だって最後まで聞かず、飛び出して行ったから、さあ大変!
 30年以上未訳のまま眠っていた名作が、ヤッホーと元気いっぱいはじけた。
本誌2004年2月号書評編「注目の本」のレビューをご参照ください)

◎グレゴリーの「ヤッホー!」は、我が家の日常生活にしみこんでいるので、1位にしないわけにはいかないと思いました。(hanemi)
◎とにかく、グレゴリーの元気ではちゃめちゃなところが楽しい!(ち〜ず)
◎ヤッホー! ヤッホッホー!という元気のいい声が響いてくる、楽しくてあったかい絵本。(さかな)
◎ほんとうに元気になっちゃいます。のびのびグレゴリーは理想の子どもだなー。あわてんぼなところがまたいいです。(NON)

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◆4位 『マドレンカのいぬ』
        ピーター・シス文・絵 松田素子訳 BL出版

 いぬが欲しいけど……。自分には見える、「見えないいぬ」に首輪をつけ、散歩に出かけたマドレンカ。あらら? 街の人たちにも見えるのかな?
 空想の世界を旅する少女とあたたかな周囲の人々、友達との出会い。シスの繊細な筆に包まれ、マドレンカはまた素敵な女の子になった。第4回やまねこ賞絵本部門、第4位『マドレンカ』続編。

◎やっぱり、ピーター・シスの絵が好きです。息子も気に入っていて、しばらくは「目には見えない〜」と繰り返していました。(shoko)
◎前に歯がぬけて大騒ぎしたマドレンカでしたが、こんどはペットのいぬが飼いたくてしかたない。ラストが最高に楽しい。(Chicoco)
◎想像の豊かさと楽しさを感じました。(ちゃぴ)

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"Madlenka's Dog"の情報をオンライン書店でみる

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◆5位 『赤いカヌーにのって』
        ベラ・B・ウィリアムズ文・絵 斎藤倫子訳 あすなろ書房

 赤いカヌーを見つけたら、さあ、川へ! 計画を練って、準備を整え、3日間の川くだりに出発だ。普段味わえない冒険は、大変なこともあるけど、楽しく解決して前へ進んでいくんだ。
 ロープの結び方など、野外体験に必要な知識もおりまぜ、遊び心いっぱい!

◎川をくだっていくときに自分も同じようなドキドキした気持ちになれました。
(shoko)
◎自分でもこんな旅がしてみたいけど、お母さんの側は大変だから、子どもの立場で
参加したいな!(りり)
◎「物より思い出」ってまさにその通りだなと思う。たくましいお母さんたちが最高。
(ワラビ)

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"Three Days on a River in a Red Canoe"の情報をオンライン書店でみる

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◆6位以下の作品

6位 『メアリー・スミス』『しょうぼうていハーヴィ ニューヨークをまもる』(2作同点)、8位『いのり――聖なる場所』、9位『ペドロの作文』、10位『エレーナのセレナーデ』
 



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★☆★☆【2004年 第7回やまねこ賞 未訳部門】☆★☆★

★大賞 "The First Part Last" by Angela Johnson (2003年 アメリカ)

 2004年プリンツ賞とコレッタ・スコット・キング賞作家賞を受賞した作品。高校生のボビーがひとりで娘を育てる苦労を語る。
本誌2004年3月号書評編「特集」のレビューをご参照ください)

◎誕生、命の神秘。16歳の主人公の語る言葉は、重く哀しく、しっとりと心に響いてくる。(Incisor)
◎はっとするようなできごとの顛末が、簡潔でむしろ淡々とした言葉でつづられて、いっそう切ない。(りり)

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◆2位 "Lyra's Oxford" by Philip Pullman (2003年 イギリス)

 ある日、鳥に襲われている魔女のダイモンを助けたライラとパンタライモンは、そのダイモンに導かれて……。「ライラの冒険」シリーズ終了後の物語。

◎読書会でじっくり読め、「ライラ」シリーズをしみじみ思い返して再び余韻に浸れました。(えみりい)
◎やまねこの読書会のおかげで、作品を深く楽しむことができて幸せでした。(SUGO)

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◆3位 "Wee Free Men"シリーズ
       "The Wee Free Men" by Terry Pratchett (2003年 イギリス)
       "A Hat Full of Sky" by Terry Pratchett (2004年 イギリス)

「ディスクワールド」シリーズ児童向け作品2冊。主人公ティファニーは、弟を助けるために魔法をならう。"A Hat Full of Sky" は2年後のティファニーを描いている。

◎主人公ティファニーの強さがとても印象的だった。(ち〜ず)
◎"The Wee Free Men" の前作とともに、プラチェット世界の魅力があふれる作品。
某大国の hubris に対する辛口突っ込みがまたたまりません!(小湖)

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◆4位 "The Man Who Walked Between the Towers"
        by Mordicai Gerstein (2003年 アメリカ)

 1974年、世界貿易センターのツインビルの間を綱渡りした、フランス人の実話を描いた絵本。2004年コールデコット賞受賞作。
本誌2004年2月号書評編「特集」のレビューをご参照ください)

◎絵に迫力もあって、お話も面白い。ロープの上では自由、という表現がよかった。(shoko)
◎1974年8月の綱わたり――地上1340フィートの高さに吹く風が感じられ、そこから見える景色が味わえる。今はないビルもその人も、絵本の中に刻みこまれています。(ワラビ)

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◆5位(2作同点) "Al Capone Does My Shirts" by Gennifer Choldenko
                                  (2004年 アメリカ)

 1935年、12歳の少年ムースの一家は監獄の島アルカトラスに引っ越してきた。環境が変わったうえに、自閉症の姉の世話をすることになったムースは、さまざまな問題に立ちむかっていく。

◎アルカトラスに子どもが住んでいたなんて思ったこともなかったが、よく調査され
ている。主人公の葛藤をみごとに描いている。(レイラ)
◎主人公ムースの葛藤など、感情移入して読めました。(shoko)

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◆5位(2作同点) "Saffy's Angel" by Hilary McKay (2001年 イギリス)

 養子であることを知り、自分のルーツを探し始めるサフィと、それを支える3人のきょうだいたちの、心あたたまる物語。2002年度ウィットブレッド賞受賞作。
本誌2003年1月号外「注目の本」のレビューをご参照ください)

◎サフィーの心の揺れ動き、芯の強いところが印象的。両親がしっかりしていないと
自然ときょうだいで助け合うものなのだなあ。4人きょうだいの個性がそれぞれとて
もいい。(ち〜ず)
◎きょうだい愛を感じる作品だった。自分も4人きょうだいだけど、ここまで仲良く
なかったな〜。(SUGO)

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◆7位以下の作品

7位(2作同点) "The Fall of Fergal" by Philip Ardagh、"Don't Let the Pigeon Drive the Bus!" by Mo Willems



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★☆★☆【番外編 第7回やまねこ賞 オールタイム部門】☆★☆★

 出版年を問わず、過去1年間にやまねこ翻訳クラブ会員が読んだ児童書の中から、ベスト5を選出しました。

★1位 『水晶玉と伝説の剣』
        ヴィクトリア・ハンリー作 多賀京子訳 徳間書店 2002

『水晶玉と伝説の剣』  amazon.jpロゴ  bk1ロゴ

"The Seer and the Sword"  amazon.comロゴ  amazon.ukロゴ  amazon.jpロゴ 

◆2位 『シカゴよりこわい町』/『シカゴより好きな町』(「シカゴ」シリーズ)
        リチャード・ペック作 斎藤倫子訳 東京創元社 2001/2003

(『シカゴより好きな町』は本誌2001年4月号書評編「注目の本」のレビューをご参照ください)

『シカゴよりこわい町』  amazon.jpロゴ  bk1ロゴ

"A Long Way from Chicago"  amazon.comロゴ  amazon.ukロゴ  amazon.jpロゴ 

『シカゴより好きな町』  amazon.jpロゴ  bk1ロゴ

"A Year Down Yonder"  amazon.comロゴ  amazon.ukロゴ  amazon.jpロゴ 

◆3位 『13ヵ月と13週と13日と満月の夜』
        アレックス・シアラー作 金原瑞人訳 求龍堂 2003

『13ヵ月と13週と13日と満月の夜』  amazon.jpロゴ  bk1ロゴ

"The Stolen"  amazon.comロゴ  amazon.ukロゴ  amazon.jpロゴ 

◆3位 『二つの旅の終わりに』
        エイダン・チェンバーズ作 原田勝訳 徳間書店 2003

『二つの旅の終わりに』  amazon.jpロゴ  bk1ロゴ

"Postcards from No Man's Land"  amazon.comロゴ  amazon.ukロゴ  amazon.jpロゴ 

◆3位 『龍のすむ家』
        クリス・ダレーシー作 三辺律子訳 竹書房 2003

『龍のすむ家』  amazon.jpロゴ  bk1ロゴ

"The Fire Within"  amazon.comロゴ  amazon.ukロゴ  amazon.jpロゴ

 

 1位の『水晶玉と伝説の剣』は、今年出版され、読書室掲示板でも話題になった『ヒーラーズ・キープ』(上下)の前編にあたる。水晶玉により予知能力が目覚めた王女トリーナと、彼女と宿命の糸で結ばれたランドン。トリーナの特異な能力ゆえに2人は陰謀に巻き込まれ、運命に翻弄される。「読み物部門2位に投票した続編の『ヒーラーズ・キープ』(上下)とあわせて心から楽しめた」(Incisor)とのコメントの通り、随所に伏線が張り巡らされているとの情報から、3冊を一気に読んだ会員も少なくなかったようだ。
 2位は、ニューベリー賞オナー作品、『シカゴよりこわい町』とニューベリー賞受賞作品、『シカゴより好きな町』の「シカゴ」シリーズ。新刊当時から、前者はやまねこ賞大賞受賞(2001年)、後者は2位(2003年)と、両作品とも会員の心をがっちりと掴んでいた。「なんといっても訳がうまいです」(ちゃぴ)、「やっぱり、おばあちゃん最高!」(ワラビ)というあたりが根強い人気の秘密か。
 3位には3作品が並んだ。どれも昨年出版された作品だ。『13ヵ月と13週と13日と満月の夜』は、アレックス・シアラーらしい緊張感のある展開が魅力。「ドキドキしてどんどん読めました」(shoko)という一言がそのすべてを物語っている。昨年の12月に来日し、話題になったチェンバーズの『二つの旅の終わりに』は、「作者による繊細な心理描写が非常に印象に残る」(ち〜ず)と、国際アンデルセン賞作家らしい評価を受けた。『龍のすむ家』はイギリスで人気のユーモアファンタジー。「続編の邦訳も出たようで、楽しみ!」(りり)と、まだまだ人気は続きそうだ。
 全体を通して、ローズマリ(ローズマリー)・サトクリフの作品が目に付いた。また復刊となった作品への投票が以前よりも増えている。ここから最近の出版事情に敏感に反応する会員の姿がうかがわれる。

(笹山裕子/大原慈省/竹内みどり/大塚典子)

【参考】
▽やまねこ翻訳クラブおすすめの本 レビュー集
http://www.yamaneko.org/dokusho/shohyo/osusume/index.htm

▽やまねこ賞受賞作品リスト(やまねこ翻訳クラブ資料室)
http://www.yamaneko.org/bookdb/award/yn/index.htm




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●注目の本(邦訳読み物)●

―― 「魔女ねこ」になんかなりたくない! ――

『魔女のこねこゴブリーノ』  アーシュラ・ウィリアムズ作/中川千尋訳
福音館書店 定価1,365円(税込) 2004.04 256ページ ISBN:4834009998
"Gobbolino the Witch's Cat" by Ursula Moray Williams
Harrap, U.K., 1942

 ゴブリーノは魔女のこねこ。大きくなったら魔女ねこになるのが運命です。でも、ゴブリーノは、人に嫌われる魔女ねこなんかにはなりたくありません。だんろのそばであたたかいミルクを飲み、子どもたちとじゃれて遊ぶ、そんな「台所ねこ」になりたいのです。ゴブリーノは、普通の魔女ねことは体の色も少し違っていました。魔女のこねこは全身まっ黒のはずなのに、ゴブリーノの右の前あしはまっ白ですし、体全体にうっすらと縞模様まで見えます。おまけに緑の目のはずが、青いかわいらしい目をしています。母さんの魔女ねこや、その主人の魔女は、そんなゴブリーノをいじめたうえ、置き去りにしてしまいました。
 でも、ゴブリーノは、これで魔女ねこにならなくてもよくなったと喜び、自分を受け入れてくれる家を探して旅に出ることにします。かわいらしく賢いゴブリーノは、初めはだれからもかわいがられます。けれども、実は魔女のこねこだとわかると、嫌われたり怖がられたりして、出て行かざるをえなくなります。ゴブリーノが落ち着いて暮らせる場所は見つかるのでしょうか。
 なかなか幸福を見つけられないゴブリーノですが、それでも、出会った人たちの中には、本当はゴブリーノを愛してあげたい、いつまでも一緒にいたいと願ってくれる人たちもいました。そんな心温まる出会いには、読んでいるわたしまで救われる気持ちになりました。ゴブリーノは、自分を愛してくれた人の幸せを願って、自ら立ち去るという優しさも持っています。魔女ねこである自分が一緒にいては、その人までも周りから受け入れてもらえなくなる、と考えるからです。小さなこねこであるゴブリーノが、自分のことよりも、出会った人の幸福を考えられることに感動しました。いじらしいゴブリーノに、「そんなにがんばらなくてもいいよ」と声をかけたくなってしまいます。
 どんなときもへこたれないで、勇気と希望を持ち続けることがいかに大切か、あらためて知ることができました。自分の願いをかなえるために、明日からまた前に進んで行こうという気持ちにさせてくれる1冊です。

(村上利佳)

 

【文】アーシュラ・ウィリアムズ (Ursula Moray Williams)

1911年、イギリスのハンプシャーに生まれる。ウィンチェスター・カレッジ・オブ・アーツで学ぶ。1939年に発表した『木馬のぼうけん旅行』(石井桃子訳/福音館書店)は、古典的名作として親しまれている。70冊以上の子どもの本の著作があり、その中には、画家となった双子の姉バーバラや、アーシュラ自身が挿絵を描いたものもある。

【訳】中川千尋(なかがわ ちひろ)

1958年生まれ。東京芸術大学美術学部芸術学科卒業。翻訳や挿絵、絵本の創作など、幅広く手がけている。絵本の翻訳に「チム」シリーズ(エドワード・アーディゾーニ作/福音館書店)、読み物の翻訳に『ふしぎをのせたアリエル号』(リチャード・ケネディ作/徳間書店)、創作絵本に『天使のかいかた』(理論社)などがある。

【参考】
▽中川千尋作品リスト(やまねこ翻訳クラブ資料室)
http://www.yamaneko.org/bookdb/int/ls/cnakagaw.htm
 

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●注目の本(未訳読み物)●

―― メキシコの伝統ある祭と彫刻が生んだ物語 ――

『ナオミ・レオンになるとき』(仮題)
 パム・M・ライアン作
"Becoming Naomi Leo´n" by Pam Mun~oz Ryan
Scholastic Press 2004, ISBN 0439269695
246pp.

  11歳のナオミ・ソレダー・レオン・アウトローは、弟とともに、カリフォルニアの曾祖母の元で暮らしている。両親は7年前に離婚し、メキシコ人の父サンティアゴはメキシコに住み、母スカイラは自分の人生を見つけるためと称して子どもたちから去っていった。両親の行方も知らぬまま、ふたりは、曾祖母と近所のメキシコ人老夫婦に深く愛されて育っている。しかし、幼いころの心の痛手からか、ナオミは、今でも人前でうまく話すことができない。学校では、アウトロー(おたずね者)という姓をからかわれるばかりで、たぐいまれな彫刻の才能を人に見せることもなかった。
 ある秋の日、突然スカイラが現れた。そして、親らしからぬ自分勝手な理由のために生母優先の養育権を主張し、無理やりナオミだけ引き取ろうとする。曾祖母と老夫婦は、ナオミを守るため、サンティアゴを見つけ協力を得ようと、子どもたちを連れてメキシコのオアハカへ旅立つ。オアハカでは、大きなラディッシュを刻んで像を作る祭がクリスマス前に開かれる。レオン家は代々木彫りの名人を生み、サンティアゴも祭に毎年参加するという。老夫婦の大勢の親戚にあたたかく迎えられ、ナオミは祭の準備に加わり、自分のルーツを実感する。が、父が見つからぬまま祭ははじまる。
 作者ライアンは、オアハカの色鮮やかな木彫りの民芸品に興味を持ち、「ラディッシュの夜(La Noche de Rabanos)」と呼ばれる祭を訪れたそうだ。この伝統の祭と彫刻を通して、アメリカ育ちのナオミは自分のルーツと可能性を見つけていく。ナオミのように、生い立ちを知らぬ子、養育権争いに巻き込まれる子、養育能力のない親をもつ子は、米国にとても多い。カリフォルニアに住む私自身、そんな子どもたちが心に重荷を背負うさまを聞くことは少なくない。また、メキシコ人をはじめ、出稼ぎや移民も多く、さまざまな事情で家族が離散して別の国に住む話も耳にする。だが、ナオミは、自分をしっかり受けとめてくれる大人に恵まれた。それが実の母でなくても、愛されていると確信し、その愛に応えようとするとき、人は、強く新たな一歩を踏み出せるのだろう。読み終えたとき、あたたかくやさしい気持ちで子どもを見つめたくなった。

(リー玲子)

 

【文】Pam Mun~oz Ryan(パム・M・ライアン)

1951年、カリフォルニア州サン・ホアキン・バレーに生まれる。メキシコ人の祖父母からメキシコ文化の影響を受けて育つ。サンディエゴ州立大学卒。同大学修士号取得。邦訳作品は『ライディング・フリーダム 嵐の中をかけぬけて』(こだまともこ訳/ポプラ社)他。"Esperanza Rising" で2002年プーラ・ベルプレ賞を受賞。サンディエゴ在住。

※編集部注:書名中のアセント(´)、作者名中のティルデ(~)は、直前のアルファベット上につく。

【参考】
▼パム・M・ライアン公式ウェブサイト
http://www.pammunozryan.com/

▽やまねこ翻訳クラブ プーラ・ベルプレ賞受賞作リスト
http://www.yamaneko.org/bookdb/award/us/pb/index.htm

▽『ライディング・フリーダム 嵐の中をかけぬけて』のレビュー
                     (やまねこのおすすめ 2003年2月)
http://www.yamaneko.org/dokusho/shohyo/osusume/2003/feb.htm#riding
 

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●賞速報●

★2004年カナダ総督文学賞(英語作品)発表
★2004年全米図書賞(児童書部門)発表
★2004年スマーティーズ賞発表

海外児童文学賞の書誌情報を随時掲載しています。「速報(海外児童文学賞)」をご覧ください。



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●イベント速報●

★展示会情報

安曇野絵本館
「アンドレ・ダーハン ベスト・コレクション」他
 

★セミナー・講演会情報

今江祥智さん講演会@和歌山
「子供の本 持札公開」他
 

★イベント情報

子どもの本のみせ ナルニア国
「新春『11ぴきのねこ』かるた大会」他
 
 
 詳細やその他の展示会・セミナー・講演会情報は、「速報(イベント情報)」をご覧ください。なお、空席状況については各自ご確認願います。

(井原美穂/笹山裕子/清水陽子)



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●お菓子の旅●第30回 英国生まれのクリスマスケーキ 
〜フルーツケーキ〜

 Meanwhile…
at Woodcock Pocket
"Fruitcake is one of Toot's favorite things" said Puddle.
"How many do you think we need?" Tulip asked.
Holly Hobbie
             "Toot&Puddle:I'll be home for Christmas"(2001)
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*

 もうすぐクリスマスがやってきますね。今回は、クリスマスにぴったりの本からの引用です。仲良しコブタの「トゥートとパドル」シリーズ、"Toot&Puddle:I'll be home for Christmas"(『トゥートとパドル クリスマスはきみといっしょに』/ホリー・ホビー作/二宮由紀子訳/BL出版)です。ボストン近郊のウッドコックポケットの家からスコットランドへ出かけていたトゥートは、クリスマスに間にあうようにと帰り道を急ぎます。一方、パドルはトゥートの大好きなフルーツケーキを焼く準備をして家で帰りを待ちます。そのようすが交互に描かれたお話は、外の寒さと家のなかの暖かさのコントラストが印象的。読後は、ほんわかとした気持ちになります。
 フルーツケーキは、英国生まれのお菓子。洋酒漬けにしたドライフルーツを混ぜて焼きあげたパウンドケーキ(*)です。起源は、ドライフルーツ入りのパンだといわれています。13世紀ごろから作られるようになったそのパンは、ケーキほど濃厚ではなく軽めのもの。フルーツケーキは、18世紀ごろからクリスマスや結婚式などお祝いの席で食べられるようになったそうです。そもそも、実りの季節に手間ひまかけて作られた貴重なドライフルーツを使った食べものですから、ごちそうとして食卓にのぼるのも、うなずけます。
 英国生まれのフルーツケーキはアメリカではあまり人気がないようですが、トゥートは大のお気に入り。濃厚な味が好みなのでしょうね。でも、わたしたち日本人には、ちょっぴり重たく感じられそう。ということで、日本人向けの軽めのレシピをどうぞ。

*バター、砂糖、小麦粉を1パウンド(454g)ずつ配合するバターケーキ。

*-* フルーツケーキの作り方 *-*

画像はこちら(やまねこ翻訳クラブ喫茶室)

材料:(16×7×6cmのパウンド型1本分)

  • バター  40g
  • 砂糖  50g
  • 卵  1個
  • 薄力粉  100g
  • 粉末アーモンド  10g
  • ベーキングパウダー  小さじ1
  • シナモンパウダー 小さじ1/2
  • ナツメグ  小さじ1/4
  • クローブ  小さじ1/6
  • くるみ 20g
  • ラム酒 適宜
  • ドライフルーツ(好みのもの)80g
  1. まず、ドライフルーツを細かく刻み、ラム酒に漬けこんでおく。
  2. 室温でやわらかくしておいたバターをボールに入れ、泡だて器でよく練ってから砂糖を2〜3回にわけて加え、混ぜあわせる。さらに卵を入れて、混ぜる。
  3. 2に、あわせてふるった、薄力粉、ベーキングパウダー、シナモンパウダー、ナツメグ、クローブを入れ、ゴムべらで切るようにさっくりと混ぜる。水気を切ったドライフルーツと刻んだくるみ、粉末アーモンドも加える。
  4. 3の生地を油(分量外)をぬった型に流しいれ、170度のオーブンで25〜30分焼く。竹串をさしてみて何もついてこなければ、できあがり。

★参考文献・ウエブサイト
『クリスマスのお菓子』(今田美奈子著/金の星社)
『ティータイムのイギリス菓子』(山田詩子著/文化出版局)
『百果辞典』(山本候充編/東京堂出版)
"The Food Timeline"    http://www.gti.net/mocolib1/kid/christmasfood.html
「月刊児童文学翻訳」1999年11月号 お菓子の旅「クリスマスプディングほか」
          http://www.yamaneko.org/mgzn/dtp/1999/11a.htm#a1okashi

「やまねこ翻訳クラブお菓子掲示板」

(早川有加/竹内みどり)

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◆次号予告は毎月10日頃、やまねこ翻訳クラブHPメニューページに掲載します。◆

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●編集後記●

やまねこ賞が発表になると、読みたい本のリストがまた増えます。自分が読みたい本は、子どもたちへのクリスマス・プレゼントとして買うのですが、「うちにくるサンタさんは、どうして本しかくれないの?」と娘に聞かれました。(あ)

発 行: やまねこ翻訳クラブ
発行人: さわざききょうこ(やまねこ翻訳クラブ 会長)
編集人: 赤塚きょう子/竹内みどり(やまねこ翻訳クラブ スタッフ)
企 画: 井原美穂 大塚典子 大原慈省 蒲池由佳 笹山裕子 清水陽子 
早川有加 村上利佳 リー玲子
協 力: 出版翻訳ネットワーク 管理人 小野仙内
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html版担当 ワラビ

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