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2007年5月刊行
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気むずかしやの伯爵夫人
サリー・ガードナー 作・絵
村上利佳 訳
ISBN 978-4-03-521510-3
定価 本体価格1200円+税 |
物語の作者、サリー・ガードナーは、アートカレッジで絵を学び、舞台美術や舞台衣装のデザイナーとして活躍していたそうです。このお話の絵もすべて作者によるもので、表紙からして、紫色が効果的に何が起きるのかという興味をそそられます。そしてページを繰っていくうちに、本全体が舞台となり、そこで物語がすてきに展開されるのを、劇場で見ているかのようにワクワクさせてくれるとびきりお洒落な物語――それがこの『気むずかしやの伯爵夫人』です。
伯爵夫人といっても、人間ではなく人形です。お屋敷の大広間で暮らしていた高価な人形である伯爵夫人も、理由はわからないまま、他の人形たちとともに箱にいれられ公園に置きざりにされてしまいました。自分がそんなことをされたなんて、伯爵夫人はとうてい納得できません。親切なネズミ夫婦が箱に入っていた人形たちを助けてくれるのですが、伯爵夫人だけはどうにもぎくしゃくしてしまいます。そうして、とうとう……。
ほとんど、全ページにわたり、魅力的な挿画がつけられています。写真を背景にし、イラストで人形の絵が描かれたもの、イラストに濃淡をつけて雰囲気を出しているもの。いずれも、立体的なイラストは、目の前で人形たちが動いているのを見るかのような楽しみに満ちています。タイトルにあるように、置きざりにされた境遇を受け止めているほかの人形と違い、ひとり伯爵夫人だけは、気持ちに折りあいをつけることができません。周りを不機嫌にさせるような、危険にあわせてしまうような、そんなことばかりする伯爵夫人。それでも、まったくの悪いひとではないことが、あたたかい筆致から伝わってきます。
原書では続編も刊行されている〈公園の小さななかまたち〉シリーズ。またぜひ人形たちの物語が読めますよう!
【作・絵】サリー・ガードナー Sally Gardner
ロンドンに生まれ育つ。難読症のため14歳まで読み書きができなかったが、やがて美術の才能に気づき、アートカレッジで本格的に絵を学ぶ。その後15年にわたって劇場に勤務し、舞台美術や舞台衣装のデザイナーとして活躍。出産を機に児童書の創作を始め、多くの絵本や童話を発表。2005年には初の長編小説"I
Coriander"がネスレ児童図書賞金賞を受賞。
【訳】村上利佳 むらかみ りか
南山大学外国語学部英米科卒業。商事会社に勤務後、結婚を経て翻訳の勉強を始める。児童書の翻訳家をめざすオンラインクラブ《やまねこ翻訳クラブ》に参加し、現在はスタッフとして活動中。名古屋市在住。本書が初めての訳書となる。
装丁/矢野徳子(島津デザイン事務所)
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2007年4月刊行
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セーラーとペッカ、町へいく
ISBN 978-4-03-960310-4 |
いったいどうした? セーラーとペッカ
ISBN 978-4-03-960320-3 |
ヨックム・ノードストリューム
菱木晃子 訳
本体価格 各1300円+税 |
きゃー! と思わず声をあげてしまいました、カワイイ!
このキュートな絵本をどう紹介したらいいのでしょう。
ぜったい手にとってください! とにもかくにも見てほしい絵本です。
訳者の菱木晃子さんも惚れ込んだという、セーラーとペッカのシリーズはスウェーデンからやってきました。
セーラーは引退した船乗り。ペッカはセーラーの人生の友。このふたりの、ゆるゆるした日常が、これまたゆるゆるした絵と言葉で綴られていくのです。黒いけむりがボンネットからボンネットからふきだしたって、セーラーとペッカはあわてない。その車で町まで行くはずだったけれど、車がなくたって町には行ける。こんな風に。
町まではちょっととおいけれど、
天気がいいから、だいじょうぶ。
海はどこまでも青く、ないでいます。
散髪したり、散歩したり、買い物したり、時に具合が悪くなって寝込んだり。でも、元気になればダンスも踊る。
全5巻をそろえるのが今からまちきれません。
ヨックム・ノードストリューム Jockum Nordström
1963年ストックホルム生まれ。コンストファック(国立芸術工芸デザイン大学)卒業。ドローイングやコラージュなどの技法を使った物語性あふれる独創的な画風で国際的に注目されている現代美術作家。ニューヨーク近代美術館(MoMA)、ロサンゼルスのハマーミュージアム、ロンドンのテート・モダンなどの企画展に参加。2005年にはストックホルム現代美術館で個展が開催された。絵画の他に、新聞やCDジャケットなどのイラストレーション、オブジェ、アニメーションといった幅広い分野で活躍している。
〈セーラーとペッカ〉シリーズは、彼の唯一の絵本作品。子どもから大人まで楽しめる作品として評価が高く、『セーラーとペッカの運だめし』は、年間でもっともおもしろい子どもの本をつくった作者におくられるヘッファクルンペン賞と、もっともすぐれた子どもの本を描いた画家におくられるエルサ・ベスコフ賞を受賞している。
現在、おなじく画家として知られる妻のカーリン・マンマ・アンダーソンと2人の息子とともにストックホルムに在住。
菱木晃子 ひしきあきらこ
1960年東京都生まれ。慶應義塾大学卒業。スウェーデン語を中心に北欧児童書の翻訳を手がけている。
おもな訳書に、『マイがいた夏』(マッツ・ヴォール作/徳間書店/2006年度IBBYオナーリスト国内最優良翻訳作品)、『ぼうしのおうち』(エルサ・ベスコフ作/福音館書店)、『ちいさくなったパパ』(ウルフ・スタルク作/小峰書店)、『海の島 ステフィとネッリの物語』(アニカ・トール作/新宿書房)などがある。
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Last Modified: 2007/05/24
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