2006年偕成社新刊情報 |
2006年6月刊行
これは美しい写真絵本! 表紙には2人の姉弟がいる。姉は、きれいな布をパッチ ワークしたワンピースを着て、はにかむような笑顔を見せ、その横にいる弟が誇らし げにきれいなお姉ちゃんを見上げている。 姉の名前はンネカ。弟の名前はチディ。チディはいつも青がいちばん好きな色と言 う。「だって、空も青いし、ぼくのよそゆきも青いんだもん」。もしかして、他の色 の名前を知らないのかしらと、おかあさんが心配するので、それなら教えてあげよう と、姉のンネカがさまざまな色を言葉と写真で紹介することにした。チディとおかあ さんはそっと耳をすます。 ンネカは、自分たちの生活にひきつけて色を説明する。「赤」であれば、赤い帽子 は大おじさんが儀式や会合など、大事な時にかぶるものだという話をし、大おじさん の帽子姿を見せてくれる。どの語り口からも家族や親戚の愛情や誇りが感じられ、読 んでいてとても心地よい。「白」の紹介もいい。「おとなは、白いチョークをつかっ てねがいごとをします。ながいきできるように、とか、子どもがしあわせになるよう に、とねがうのです。」ンネカの話にぴったり寄り添った写真は、「色」を生き生き とひきたたせている。 わが家の子どもたちに読んでみると、この「白」のページでは「何をねがいごとし ているのかな」と興味を示し、自分たちの好きな色のページはうれしそうに聞いてい た。4歳の末娘はピンク色が大好きなので、この絵本でも「ピンク」のページはこと さら大事に聞き、「これ、わたしの好きな色とおんなじ!」と声をあげた。 作者のオニェフルさんは、自分の生まれ育ったアフリカをたくさんの子どもたちに 紹介したいと、現在住んでいる英国から、何度もナイジェリアを訪れては写真を撮り、 作品をつくり続けているそうだ。 さて、お姉ちゃんからたくさんの色を教えてもらったチディ。いちばん好きな色を もう一度聞かれ、何て答えただろう? ンネカが表紙で着ていたワンピースの由来も 最後にわかるのだが、これもぜひ読んで知ってほしい。 やまねこ翻訳クラブ「月刊児童文学翻訳」2006年7月刊行 注目の邦訳絵本より ©林さかな【文・写真】イフェオマ・オニェフル(Ifeoma Onyefulu)
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Last Modified: 2006/07/18
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