偕成社新刊情報 |
2004年8月刊行
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2004年3月刊行
未来の地球では、限定核戦争と伝染病の蔓延で人口が激減。 汚染されていないわずかな領土をもとめ、3つの連合体が疑似戦争を行う。 兵士は、遺伝子工作された子どもたち。1チーム3人、それぞれが指令、攻撃、防御を担当する。 小さいころから、友人などもたず、最高評議会が準備したメンダーがこの物語の主人公コーガンを育ててきた。戦争に勝つ兵士をつくるために。チームを組まされることになった、シャーラとブリッグは、コーガンとはまた違う複雑な生い立ちをもっていた。 シャーらやブリッグとの違いを知るにつけコーガンは、自分はなんだろうと考える。しかし、ゆっくり考える時間を持つ間もなく、日々訓練についやされる。 擬似戦争の結果はなにをもたらすのだろう……。 「戦争」「遺伝子操作」、これがこの物語のキーワードです。 物語では未来の設定といえ、この2つはまさに現実のものとなっているのは、読者もすぐに気づくでしょう。 そのせいか、遠い世界のできごとではなく、非常に近くで起きていることのようにリアリティを持ってページを繰るのです。 訳者の唐沢氏はあとがきでこう述べています。 ひょっとすると、人間が考えることをやめず、人間らしくあろうとするかぎり、現実の世界だろうが、ヴァーチャルな世界だろうが関係ないのかもしれません。むしろ、現実には不可能なことを体験できるぶん、ヴァーチャル・リアリティは人類にとって深刻な問題を解くカギになりうるという逆説も成りたつかもしれません。 【作者】グロリア・スカンジンスキ Gloria Skurzyinski 1930年、ペンシルバニア州ドゥケーン町生まれ。著書には、作者の育った鉄鋼の町を舞台にした「さよなら、ビリー・ラディッシュ」(1992年・未訳)や20世紀初めのアメリカ・ユタ州の炭坑労働者を描いた物語「岩を砕く人々」(2001年・未訳)の他に、娘のアレイン・ファーガソンとの共作「狼をねらう者」(1997年・未訳)など多くあり、多くの文学賞候補になっている。(c) Noriyuki Karasawa【訳者】唐沢則幸 からさわ のりゆき 1958年東京に生まれ、長野県に育つ。青山学院大学文学部英米文学科卒業。在学中に子どもの本に出会い、児童文学の翻訳を中心に活躍。絵本の翻訳に「ウォーリーのえほん」シリーズ、長編に『エヴァが目ざめるとき』『父がしたこと』「2099・恐怖の年」「崖の国の物語」シリーズ等多数の翻訳がある。 |
2004年2月刊行
アガサ・クリスティの楽しい冒険ミステリー?! このミステリは、謎解き役の探偵が登場せず、一般人のボビーとフランキーという2人が活躍する物語です。 「なぜエヴァンズにいわない?」 これはボビーが転落死した男性から聞いた最後の言葉です。 この言葉を口にしてから、男性は亡くなりました。 最初はなにも思わなかったこの言葉を、遺族のひとりに伝えてから、ボビーのまわりがにぎわいはじめます。 命をねらわれたボビーをみて、友人の令嬢フランキーは謎を解明しようと自らの推理をもとに動きだし……。 訳者の茅野美ど里さんが、この物語の魅力をあとがきで「あっけらかんとした明るい冒険物語」ともうひとつ語っています。 ポワロのように他の登場人物、すなわち読者が見落としていることをつかんで先んじて推理をしている人物がいません。読者はボビーとフランキーの理解のスピードとシンクロします。物語の進行と読む側の事件解明の速度が同じになるわけですから、心地よいペースで読み進めることができます。 そう、ぐいぐい物語に引き込まれながら、最後の最後まで「なぜエヴァンズにいわない?」がわからない。 このわからなさは、ボビーもフランキーも一緒なので、一緒にうーんと唸ってしまうのです。 手軽で読みやすい偕成社文庫、ぜひエヴァンズの謎をといてみてください。 【作者】アガサ・クリスティ Agatha Christie 1890年イギリスのデヴォンシャー州に生まれる。1920年最初の推理小説『スタイルズ荘の怪事件』出版。1926年『アクロイド殺人事件』を発表、ミステリー作家としての確固たる地位をきずく。1976年没。代表作に『オリエント急行殺人事件』『そして誰もいなくなった』『ABC殺人事件』等がある。
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Last Modified: 2005/04/19
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