※文中の広告、情報はメールマガジン発行当時のものです。

2026年7月号 No.242


●賞情報●2026年カーネギー賞作家賞/画家賞、各シャドワーズ・チョイス賞発表!

 英国図書館・情報専門家協会(CILIP: The Chartered Institute of Library and Information Professionals)が主催する、イギリスで最も権威ある児童文学賞、カーネギー賞作家賞および画家賞が6月23日に発表された。また、各候補作品を読んだ子どもたちが図書館や学校などの読書グループを通じて投票するシャドワーズ・チョイス賞も同時に発表された。なお、賞の名称は、2023年からカーネギー賞(The Carnegie Medal)がカーネギー賞作家賞(The Carnegie Medal for Writing)に、ケイト・グリーナウェイ賞(The Kate Greenaway Medal)がカーネギー賞画家賞(The Carnegie Medal for Illustration)に改められている。
 本号では各賞の受賞作品をご紹介する。

▼カーネギー賞作家賞および画家賞公式ウェブサイト
https://carnegies.co.uk/

▼同ウェブサイト内、2026年受賞作品発表ページ
https://carnegies.co.uk/2026-winners-announced/

▼同ウェブサイト内、「2026 Carnegies Ceremony」(動画)(発表の様子がオンタイムで流された)
https://carnegies.co.uk/take-part/2026-ceremony/

▽ショートリスト(最終候補作品)紹介記事(本誌2026年4月号「賞情報」)
https://yamaneko.org/bn-202604/#toc1

▽カーネギー賞作家賞(旧カーネギー賞)受賞作品リスト(やまねこ翻訳クラブ資料室)
https://yamaneko.org/bookdb/award/uk/carnegie/index.htm

▽カーネギー賞画家賞(旧ケイト・グリーナウェイ賞)受賞作品リスト(やまねこ翻訳クラブ資料室)
https://yamaneko.org/bookdb/award/uk/greenawy/index.htm

(※邦訳がある作家、画家については初出の際に片仮名表記を併記しています。)

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■作家賞■

★2026 Carnegie Medal for Writing Winner
☆2026 Shadowers’ Choice Medal for Writing Winner

“Wolf Siren”
 by Beth O’Brien (HarperCollins Children’s Books)

 今年のカーネギー賞作家賞と同シャドワーズ・チョイス賞は、Beth O’Brienのデビュー作”Wolf Siren”が受賞した。童話「赤ずきんちゃん」の主人公は、なぜおばあさんとオオカミが入れ替わっていることに気づかなかったのだろう、という作者の疑問から生まれた物語が、審査員やシャドワーズの心をつかんだ。詳しくは、本誌2026年4月号「賞情報:2026年カーネギー賞作家賞および画家賞ショートリスト発表」の紹介記事をご参照ください。
▽本誌バックナンバー2026年4月号
https://yamaneko.org/bn-202604/#toc2

【参考】
▼Beth O’Brien公式ウェブサイト
https://www.bethobrienwriter.com/

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■画家賞■

★2026 Carnegie Medal for Illustration Winner

“Wiggling Words”
 by Kate Rolfe (Two Hoots)

☆2026 Shadowers’ Choice Medal for Illustration Winner

“Lord of the Flies: The Graphic Novel”
 illustrated & adapted by Aimee de Jongh, written by William Golding (Faber & Faber)

【特殊文字】
「Aimee de Jongh」:「Aimee」のひとつめの「e」の上に(´)がつく

 画家賞には、ディスレクシア(難読症)をテーマにした”Wiggling Words”が選ばれた。作者のKate Rolfeは、昨年”Wolf and Bear”でショートリスト入りを果たし、今年見事受賞にかがやいた。本誌今月号のレビューで内容を詳しく紹介しているので、ぜひあわせてお読みください。

 画家賞シャドワーズ・チョイス賞は、ウィリアム・ゴールディングの小説『蝿の王』を、Aimee de Jongh(エメー・デ・ヨング)がグラフィックノベル化した”Lord of the Flies: The Graphic Novel”に贈られた。詳しくは、本誌2026年4月号「賞情報:2026年カーネギー賞作家賞および画家賞ショートリスト発表」をご参照ください。
▽本誌バックナンバー2026年4月号
https://yamaneko.org/bn-202604/#toc3

【参考】
▼Kate Rolfe公式ウェブサイト
https://katerolfe.com/

▼Aimee de Jongh公式ウェブサイト
https://www.aimeedejongh.com/

(進藤浩子/三好美香)

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■カーネギー賞画家賞受賞作品レビュー:”Wiggling Words”■

“Wiggling Words” 『あばれるもじ』(仮題)
by Kate Rolfe ケイト・ロルフ文・絵
Two Hoots, 2025, ISBN 978-1035028443
★2026年カーネギー賞画家賞受賞作品

 物語が好き。だけど、文字がよじれて、ゆらゆらぴょんぴょんうごいて見える。だから本を読む気になれない。いらいらして、悲しくなってしまう。そんなはちゃめちゃごちゃごちゃの文字の山から、あることに気づいたんだ……。
 ディスレクシアは、日本では難読症や発達性読み書き障がいとも呼ばれ、近年かなり認知が広がってきた学習障がいのひとつである。ディスレクシアのキャラクターが登場する物語も、国内外問わず多く見られるようになってきた。作者のケイト・ロルフもこの障がいをかかえており、あとがきではどのように文字や物語を楽しんでいるか、自分なりの経験を具体的に伝えている。
 作中では、本に書かれた文章が主人公の目にどんなふうにうつるのかを、使う色数をしぼりながら、わかりやすいイメージで表している。ページにところせましと広がる文字。主人公は、その山と対峙して、意味のある記号としてではなく形としてとらえることによって、文字とのつきあい方を見つけ、自らの世界を築いていく。文字と絵の境がなくなるというのはこんなにも自由なのかと、その描き方の発想に驚かされ、作者の遊び心や創作の秘密を見せてもらったような気持ちになった。
 読みやすさを考えてか、文章はさほど多くないし、頭韻・脚韻が効果的に用いられているため、音読するとリズムが楽しい。そこにつづられた言葉は、障がいの有無にかかわらず、すべての読者の心に響くだろう。世界には無限の可能性が広がっていて、アイデアという名の種子は大きな花を咲かせてくれるはず。大切なのは、ちがいを知り、自分を信じること。どんなにわずかであっても、一歩一歩……いや、「一字一字」進むことなのだと、私たちの背中を押してくれる。

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【文・絵】Kate Rolfe(ケイト・ロルフ):英国、サフォーク州在住の絵本作家。アニメーションや映画製作を学んだのち、ケンブリッジ・スクール・オブ・アートで児童書イラストレーションの修士号を取得する。自らがディスレクシアだと公表しており、ニューロダイバーシティを扱う作品に力を入れている。本作は2024年に英国の国際イラストレーション賞(WIA)の児童書部門賞を受賞している。

【参考】
▼ケイト・ロルフ公式ウェブサイト
https://katerolfe.com/

(池田幸子)

●賞速報●

★2026年チルドレンズ・ブック賞発表
★2026年ボストングローブ・ホーンブック賞発表

 2025年より「速報(海外児童文学賞)」をnoteに移行しました。海外児童文学賞の書誌情報を随時掲載していますので、ぜひご覧ください。
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●編集後記●今月号では2026年カーネギー賞発表と、画家賞を受賞した作品のレビューをご紹介しました。4月号のショートリスト発表とあわせて、ぜひ、夏休みの読書の参考になさってください。8月はお休みをいただき、次回は9月号となります。どうぞお楽しみに!(み)
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発 行 やまねこ翻訳クラブ
編集人 三好美香/進藤浩子/平野麻紗/森井理沙(やまねこ翻訳クラブ スタッフ)
企画・執筆・協力 やまねこ翻訳クラブ会員有志
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