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どこからも彼方にある国
アーシュラ・K・ル=グィン 著
中村浩美 訳 |
スキ・キス・スキ!
アレックス・シアラー 著
田中亜希子 訳 |
彼女のためにぼくができること
クリス・クラッチャー 著
西田登 訳 |
ISBN 978-4-251-06672-5
定価 本体1300円+税 |
ISBN 978-4-251-06671-8
定価 本体1500円+税 |
ISBN 978-4-251-06674-9
定価 本体1500円+税 |
オーウェン・トマス・グリフィスは17歳。同級生らとコミュニケーションをとるのに苦手意識をもち、まわりととけこみたいと思いながらも、結果はいつも失敗に終わり、浮いた存在になってしまう。
けれど、出会うべくして出会ったナタリーとは話しがあった。作曲家をめざしているナタリーは現実的にその目的をかなえるべく、音楽の勉強と学費を稼ぐべく音楽でアルバイトをする忙しい日々を送っている。
ふたりはたくさん会話する。
ナタリーはオーウェンにはっぱをかける。
お金がないから大学にすすめないなんて言うな。
学資ローンを組むなり、奨学金をもらえばいい。
「(奨学金の)競争を勝ちぬけばいいじゃない。挑戦あるのみよ。ちがう?」
互いに刺激を受け、会話をかわし、ふたりの仲は順調にみえたのだが……。
原書刊行は1976年。
集英社コバルト文庫より『ふたり物語』(杉崎和子訳)で1983年に刊行されていた作品。
ボーイ・ミーツ・ガールストーリーとしてのみずみずしさとせつなさをあわせもち、ル=グィンらしい知的な洞察がスパイスのようによく効いている青春物語。 |
『青空のむこう』で大ブレイクしたアレックス・シアラーのガールズ・ストーリー。
アリー中学生の女の子。
スティービー・マンズに恋をした。
彼は大人気バンドのボーカルだ。
アリーの恋は本物!?
《好き!》という気持ちのパワーは、高いハードルも越える?、越えそう?な力をもつ――ベタな言い方ですが、ほんとうにそのパワーを感じるアリーの物語。
ストーリー・テラーのシアラーは、そんなベタな女子心を中心にすえながら、思春期の少女からみた親への視線、友情などをからませて、読ませます。
原書刊行は1998年。シアラー初期の作品ですが、スターに恋する少女のときめきは2011年の今と変わらないのでは。
一気読みしてしまう物語を堪能してください。 |
あたりまえといえばそうですが、タイトルから翻訳が秀逸です。
原題"Staying Fat for Sarah Byrnes"
邦題『彼女のためにぼくができること』
ぼく、エリックは太ってます。
親友、サラ・バーンズは顔にひどいやけどがあります。3歳のとき大やけどを負ったのですが、適切な治療を受けさせてもらえず、あとが残りました。
エリックは太っているのですが、水泳選手として頭角をあらわしはじめてからは、あえて太っている体型を維持します。それが原題です。サラのために太ったままでいること。
クリス・クラッチャーの他の作品を読んだことのある読者は、描かれている背景の厳しさをご存知でしょう。今回の作品も厳しい、重たい。実の両親のサラに対してしたこと、していること。エリックは体を張ってサラへの友情をつらぬきます。
すさまじく残酷なリアルなYAストーリー、読みごたえありまくりです。 |
【作者】アーシュラ・K・ル=グィン(Ursula K.LeGuin)
アメリカの小説家。SF小説、ファンタジー小説を多数執筆。ヒューゴ賞、ネビュラ賞、ローカス賞など数々の賞を受賞。主なSF作品に『闇の左手』(小尾芙佐/早川書房)、『所有せざる人々』(佐藤高子/早川書房)、ファンタジー作品に「ゲド戦記9シリーズ(清水真砂子/岩波書店)、「西のはての年代記」シリーズ(谷垣暁美/河出書房新社)、絵本には「空飛び猫」シリーズ(村上春樹/講談社)など、翻訳出版された作品が多数ある。
【訳者】中村浩美
愛知県生まれ。YA、ファンタジー作品を中心に翻訳にたずさわる。主な訳書に『サイレントボーイ』(ロイス・ローリー/アンドリュース・プレス)、「ウルフ・タワー」シリーズ(タニス・リー/産業編集センター)、『ジョナサン・ストレンジとミスター・ノレル』(スザンナ・クラーク/ヴィレッジブックス)、「ハウス・オブ・マジシャン」シリーズ(メアリ・フーパー/小学館)などがある。
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【作者】アレックス・シアラー (Alex Shearer)
イギリスの小説家。テレビのシナリオライターとして執筆活動を始め、映画、舞台、ラジオ劇の脚本で活躍した。その後、小説を書こうと決心し、児童やティーンを主な対象とした作品を発表。『青空のむこう』『13ヵ月と13週と13日と満月の夜』『チョコーレート・アンダーグラウンド』(金原瑞人訳/求龍堂)、『スノードーム』(石田文子訳/求龍堂)、『ラベルのない缶詰をめぐる冒険』(金原瑞人訳/竹書房)など、翻訳出版された作品が多数ある。
【訳者】田中亜希子
千葉県生まれ。銀行勤務ののち、翻訳業に。読み聞かせの活動もおこなっている。訳書に絵本『コッケモーモー!』(ジュリア・ダラス=コンテ文/アリソン・バートレット絵/徳間書店)、児童書『秘密の島のニム』(ウェンディ・オルー/あすなろ書房)、YA「魔法の森」シリーズ(パトリシア・C・リーデ/東京創元社)、『僕らの事情。』(デイヴィッド・ヒル/求龍堂)、『バディ、たいせつな相棒』(V・M・ジョーンズ/PHP研究所)などがある。
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【作者】クリス・クラッチャー(Chris Crutcher)
アメリカの小説家。主に若い世代を対象とした作品を書いている。翻訳作品に『ホエール・トーク』(金原瑞人・西田登共訳/青山出版社)、『アイアンマン――トライアスロンにかけた17歳の青春』(金原瑞人・西田登共訳/ポプラ社)がある。作家活動の他に児童およびファミリーセラピスト、児童擁護活動も行っている。
【訳者】西田登
愛知県生まれ。訳書に『歩く』(ルイス・サッカー/講談社)、『ソードハンドー闇の血族』(マーカス・セジウィック/あかね書房)、「ターニング・ポイント」シリーズ(デイヴィッド・クラス/岩崎書店)、『ホエール・トーク』(クリス・クラッチャー/青山出版社)、『アイアンマン――トライアスロンにかけた17歳の青春』(クリス・クラッチャー/ポプラ社)などがある。
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