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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2019年9月号 =====☆ ☆===== =====★ 月 刊 児 童 文 学 翻 訳 ★===== =====☆  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ☆===== No.194 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 児童文学翻訳学習者による、児童文学翻訳学習者のための、電子メール版情報誌 http://www.yamaneko.org 編集部:mgzn@yamaneko.org 2019年9月15日発行 配信数 2490 無料 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●2019年9月号("The Hate U Give" 特集)もくじ● ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◎はじめに ◎映像化された児童文学:第3回 『ヘイト・ユー・ギブ』 ◎この人に聞きたい! やまねこ会員インタビュー: 第4回 服部理佳さん/瀬尾友子さん ◎賞速報 ◎イベント速報:★やまねこ翻訳クラブ協力企画のお知らせあり★ ◎読者の広場 |
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●はじめに● ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 米国の作家アンジー・トーマスのデビュー作 "The Hate U Give"。人種差別と憎し みの連鎖に深く切り込んだ本作は高く評価され、数々の児童文学賞を受賞し、映画に もなりました。日本では、邦訳『ザ・ヘイト・ユー・ギヴ あなたがくれた憎しみ』、 映画『ヘイト・ユー・ギブ』として紹介されています。なんとどちらの翻訳も、やま ねこ翻訳クラブ会員が担当しました! 今月号は "The Hate U Give" 特集と銘打って、映画のレビュー、翻訳者おふたり へのインタビューと座談会の様子をお届けいたします。 |
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●映像化された児童文学●第3回 『ヘイト・ユー・ギブ』 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 海外の児童書を原作とした、おすすめの映画やドラマをご紹介している本コーナー。 今回は、"The Hate U Give" 特集号として、映画版のレビューをお届けいたします。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 『ヘイト・ユー・ギブ』(原題 "The Hate U Give") 監督:ジョージ・ティルマン・ジュニア 出演:アマンドラ・ステンバーグ、レジーナ・ホール、ラッセル・ホーンズビー、 K・J・アパ、アルジー・スミス、コモン、アンソニー・マッキーほか 2018年製作/アメリカ 日本劇場未公開、デジタル配信開始2019年(FOXデジタル・ロードショー配信) 原作:『ザ・ヘイト・ユー・ギヴ あなたがくれた憎しみ』 アンジー・トーマス作/服部理佳訳/岩崎書店 Amazonで検索する |
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●この人に聞きたい! やまねこ会員インタビュー● 第4回 服部理佳さん/瀬尾友子さん("The Hate U Give" 特集) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 本コーナーでは、やまねこ翻訳クラブでの活動を生かしながら活躍している会員に 話を聞いていきます。今回は "The Hate U Give" でのコラボが実現した服部理佳さ んと瀬尾友子さんのおふたりに、一緒に登場していただくことにしました。聞きたい ことがたくさんあったため、まずメールで個々にインタビューした後、東京某所の貸 し会議室に集まっていただき、DVD を所々参照しながら座談会形式で話をうかがいま した。 前半をメールで回答いただいたもので構成し、後半を座談会の報告という形でまと めてあります。2人分でボリュームたっぷりです。最後までお楽しみください。 ●Part 1 翻訳家への道のり ●Part 2 やまねこ翻訳クラブとの関わり ●Part 3 "The Hate U Give" ●Part 4 映画の感想 ●Part 5 翻訳あれこれ ●Part 6 字幕翻訳と吹替翻訳(ロングバージョンに掲載) ●Part 7 最後に 【服部理佳(はっとり りか)さん】 +────────────────────────────────────+ |横浜市生まれ。早稲田大学法学部卒業。法律事務所に勤務しながら翻訳を学び、| |2015年に『プリンセス・ブートキャンプ』(M・A・ラーソン作/アルファポリ| |ス)で翻訳家デビュー。訳書に『ドラゴンのお医者さん ジョーン・プロクター| |は虫類を愛した女性』(パトリシア・バルデス文/フェリシタ・サラ絵/岩崎書| |店)、『片恋協奏曲』(キーラ・キャス作/ポプラ社)など。やまねこ翻訳クラ| |ブ会員。 | +────────────────────────────────────+ 【瀬尾友子(せお ゆうこ)さん】 +────────────────────────────────────+ |神奈川県生まれ。大学で美術を専攻し、卒業後は一般企業に就職。カナダ留学を| |経て映像翻訳の道に進み、1998年に独立。映画やドラマの字幕・吹替翻訳を多数| |手掛けている。おもな作品に『レヴェナント 蘇えりし者』『君の名前で僕を呼| |ンで』『ボヘミアン・ラプソディ』など。絵画の制作もおこなっており、2017年| |からグループ展に出展。今年の末には大阪で初の個展を開く予定。やまねこ翻訳| |クラブ会員。 | +────────────────────────────────────+ 【服部理佳さん訳書リスト】 http://www.yamaneko.org/bookdb/int/ls/rhattori.htm 【瀬尾友子さん映像翻訳作品リスト】 http://www.yamaneko.org/bookdb/int/ls/yseo.htm 【インタビュー ロングバージョン】 http://www.yamaneko.org/bookdb/int/thug.htm ●Part 1 翻訳家への道のり ───────────────────────── Q★まず、服部理佳さんにおうかがいします。翻訳者を目指されたきっかけを教えて ください。また、どのように勉強してこられましたか? 【服部さん】以下【服】:子どものころから、童話やYAの作家になるのが夢で、大 学時代まであれこれ書いていました。法律事務所に就職後も続けるつもりでしたが、 合理的な実務の世界とはチャンネルが違うというのか、うまく創作ができなくなって しまい、原文があるものなら文章を書き続けられるのではないかと、翻訳者を目指す ことにしました。通信教育を2年ほど続けてから、フェロー・アカデミーの田村義進 先生のクラスに通うようになり、先生が版権エージェントの日本ユニ・エージェンシ ー主催の翻訳ワークショップに移られた後も、先生のクラスを取って勉強してきまし た。今も通っています。 Q★翻訳者デビューの経緯を教えてください。 【服】:田村先生のご紹介で、ユニ・エージェンシーさんからリーディングの仕事を いただくようになり、そのうちのひとつが出版されることになって、翻訳者に推薦さ れ、2015年の初邦訳書『プリンセス・ブートキャンプ』(M・A・ラーソン作/アル ファポリス)につながりました。こう言うとスムーズに行ったようですが、かなり時 間がかかり、途中あきらめかけたこともあります。 Q★お勤めの傍ら、翻訳をされているそうですね。両立は大変だと思いますが、その 秘訣は何でしょう。 【服】:兼業なので、やはり翻訳時間の確保には苦労しています。平日は仕事から帰 ってから、夜中の3時半くらいまで翻訳していましたが、無理がたたったのか体調を 崩してしまったので、今は朝5時に起きて出勤前に翻訳しています。完全に体調が戻 ったら、もう少し起床時間を早めたいと思っています。 ここまでやってこられたのは、職場の理解があったことが大きいと思います。長く 勤めているので、週に1日、土日と別にお休みをいただいたり、締切前には休みを調 整してもらったりと、いろいろ融通していただいています。経済的問題などで両立し てやらざるを得ない場合、職場の人間関係は大事だなと思います。 Q★続いて、映画の吹替翻訳をされた瀬尾友子さんにうかがいます。翻訳家を目指す ようになった経緯については、翻訳者ネットワーク「アメリア」の会員インタビュー (*1)で詳しく答えておられるので、読者のみなさんにはそちらを読んでいただきた いと思います。簡単にまとめると、社会人に一度区切りをつけてカナダに半年留学、 帰国後再度会社勤めをされる傍ら、翻訳学校に通い始めたのが1996年。すぐにプロの 映像翻訳者を目指し始めた、ということですね。 (*1)https://www.amelia.ne.jp/user/reading/flavor66_01.jsp 【瀬尾さん】(以下【瀬】):その通りです。その後のことも「通訳翻訳WEB」の リレーエッセイ「苦戦した駆け出し時代 5年かけ憧れの吹替を」(*2)に書いてい ますので、よろしければご覧ください。 (*2)https://tsuhon.jp/column/6080 Q★映像翻訳には字幕翻訳と吹替翻訳がありますが、今は吹替のお仕事が中心のよう ですね。 【瀬】:実は自分で吹替に絞ろうと思ったことはなく、今も名刺の肩書は「字幕・吹 替翻訳」です。1998年から仕事を始めて、最初の5年間は字幕オンリーで、初めての 仕事は、5分くらいの音楽アーティストインタビューでした。その頃も吹替をやりた いと思っていたのですが、当時は新人が参入できる機会が少なく、勉強をしながらチ ャンスをうかがっていた、という感じです。吹替の仕事で最初にいただいたのは、ビ デオスルーと呼ばれる、日本では劇場公開されずビデオ・DVD で販売される作品で、 新作ではなく旧作のコメディーでした。 今でも字幕と吹替の両方を担当させていただきたいという気持ちは同じです。それ ぞれに良さと面白さ、難しさがあります。 Q★さて、瀬尾さんの大学での専攻は美術でした。お仕事で役に立っていると思われ ることはありますか? 【瀬】:実は20年間、履歴書に「美術出身」と書き続けているにもかかわらず、クラ イアントからはほぼ認識されておらず、仕事上あまり効果は出ていないかも……。 ただ、翻訳学習者時代には、美大受験の体験が大きな支えになりました。具体的に は、「今できなくても明日はできるかも」と思えたこと。美大受験のための絵の予備 校では、自分よりも絵のうまい人たちに囲まれ、講師からも「お前が一番下手だ」と 言われていました。それでも耐えて描き続けていたら、美大受験の1週間前に突然デ ッサンが描けるようになったんです。翻訳学校に通っていた当時も、決して謙遜では なくて本当に評価が低かったのですが、「今日ダメでも明日突然分かるかも」と思い 続けることで、あきらめずに済みました。今でも同じ気持ちです。与えられた時間の 中で最大限の努力はしますが、これでいいと思ったことはありません。基本的な情報 を徹底的に調べ、その情報をもとに最終的な形を決めるという意味で、絵を描くこと と翻訳は似ているなあと思います。 今は、1日の仕事を終えた後の夜に絵を描いています。グループ展で絵を発表する ことが増え、それを機にウェブサイト(*3)を作りました。ツイッター(*4)でも発 信しています。 (*3)https://yooseku.wixsite.com/yooseku (*4)https://twitter.com/Yooseku ●Part 2 やまねこ翻訳クラブとの関わり ─────────────────── Q★瀬尾さんが映像翻訳者を目指されたちょうどその頃、やまねこ翻訳クラブが創設 され(1997年)、瀬尾さんはすぐに入会されましたね。児童書の翻訳家を目指す者が 多いクラブですが、どのような思いで入られましたか。 【瀬】:私はもともと海外文学の児童書(「ドリトル先生」シリーズ、「ナルニア国 物語」シリーズ、『オズの魔法使い』など)で育ったので、クラブができると知って すぐに入会を決めました。当時読んでいたものも、ほとんどが翻訳書か、海外文学を 児童向けにまとめた全集だったと思います。翻訳の勉強を始めた時は映像と出版の違 いを意識していなかったこともあり、入会に迷いはありませんでした。 入会してすぐにカニグズバーグ作品のシノプシス勉強会があり、「こんな児童書が あるんだ!」と驚きました。リアルな世界を描いた児童書がたくさんあることに気づ かされ、次々と読んでいきました。ジャクリーン・ウィルソンの「ガールズ」シリー ズにも夢中になりました。尾高薫さんの訳文には衝撃を受けました。文字の情報なの に声が聞こえてくるといいますか。今でも私にとって尾高さんの訳文は特別です。ず いぶん影響を受けたと思います。 Q★古株の会員の間で、瀬尾さんといえば「映画と絵」です。クラブでの活動を、映 画に関することで振り返っていただけますか。 【瀬】:2002年には「映像化された児童文学」のデータベース(*5)をまとめて、ク ラブのウェブサイト内資料室で公開しました。これは新装版に生まれ変わって、今も 更新されています。 クラブのメールマガジン「月刊児童文学翻訳」では、増刊号の編集を担当しました。 「ハリー・ポッター」シリーズをきっかけにしたファンタジー・ブームで、映像化作 品も次々と日本に入ってくるようになり、映画『ハリー・ポッターと賢者の石』とテ レビドラマ「ミルドレッドの魔女学校」シリーズのビデオ・DVD 発売に合わせて発行 したのが、増刊号【映像化された児童文学〈魔女編〉】(*6)です。ハーマイオニー とミルドレッドというふたりの魔女に焦点を当てて紹介しました。また、大人気だっ たジャクリーン・ウィルソンの「ガールズ」シリーズを増刊号で是非取り上げたいと 企画したのが、【理論社「ガールズ」シリーズ特集号 “ガールズ”が止まらない!】 (*7)です。この号では、英国で制作・放送されたテレビドラマについても、記事に 盛り込んでいます。 (*5)http://www.yamaneko.org/bookdb/gen/eiga/index.htm (*6)http://www.yamaneko.org/mgzn/plus/html/z05/index.htm (*7)http://www.yamaneko.org/mgzn/plus/html/z08/index.htm Q★一方、服部さんの入会は最近ですね。きっかけを教えてください。 【服】:勉強を始めた当初(十数年前)からウェブサイトをのぞいていましたが、勇 気が出ず、入会したのは数年前です。なかなか初邦訳書を出すチャンスがつかめず、 試行錯誤していた時、自力で持ち込みをしてどんどん道を開いていくやまねこの先輩 たちを見て勇気づけられ、入会しました。 Q★実際に入会されて、会員同士の交流はいかがですか。 【服】:入会直後にデビューが決まって忙しくなってしまい、しばらく休会していま したが、昨年2018年4月に開催された「本が好き!×やまねこ合同読書会オフ」(*8) で、はじめて活動に参加することができました。かなり緊張していたものの、みなさ んにあたたかく迎えてもらい、とても楽しい時間を過ごすことができました。その後、 2度ほど読書会に参加しましたが、毎回とても濃い内容で、勉強になっています。私 の師匠の田村先生は主にミステリーを訳しており、同期もみんなミステリー志向なの で、児童書やYAについて勉強したり、語ったりできる場がほかになく、やまねこの 活動は非常にありがたいです。実際に顔を合わせるようになって、皆さんの訳書をよ く読むようになり、児童書やYAの知識がだいぶ増えたと思います。 (*8)https://info.honzuki.jp/post-13432/ ●Part 3 "The Hate U Give" ──────────────────────── Q★では、今回の特別企画の原点である "The Hate U Give" の話に移りたいと思い ます。原作の刊行が2017年2月、邦訳『ザ・ヘイト・ユー・ギヴ』の刊行は2018年3 月でした。服部さんがこの本を訳すことになったきっかけを教えてください。 【服】:ユニ・エージェンシーさんからリーディングの依頼を受け、レジュメを作っ て提出したのがきっかけです。出版社に版権が売れても、翻訳まで担当できるとは限 らないのですが、この時は幸い任せていただけることになりました。後で編集者さん に聞いたところによると、レジュメの出来を見て(小説風にあらすじを作ったので、 試訳だと思われたようです)、これなら依頼してもいいと思ってくださったそうです。 Q★訳者として関わってこられて、この作品の一番の魅力は何だと思われますか? 【服】:アメリカの黒人社会が抱える問題を鋭くえぐりだしたテーマの魅力はもちろ んですが、そこに生きる人たちの姿が生き生きと描かれていて、登場人物一人一人に 愛着を抱かずにはいられませんでした。登場人物たちといっしょに、文字通り泣いた り、笑ったりしながら訳し、訳し終わった時には、この世界から離れるのが惜しいと 思うほどでした。厳しい現実が描かれているのに、いつまでもこの世界の中に浸って いたいと思わせるあたたかさがあります。そのあたたかさが、暗闇に光る希望の星の ように、作品全体を照らしている。そこが大きな魅力だと思います。 Q★訳すうえで、難しかったのはどんな点でしょう。 【服】:黒人英語の俗語が多く、普通の辞書には載っていないので、アメリカのオン ラインスラング辞典、Urban Dictionary(*9)を参照していました。あれがなかった ら訳せなかったかもしれないと思うほど、お世話になりました。終盤はだいぶ慣れま したが、黒人英語独特の言い回しにも苦労しました。黒人文化にも、それまであまり なじみがなかったので、高山マミさんの『ブラック・カルチャー観察日記 黒人と家 族になってわかったこと』(スペースシャワーネットワーク)等を読んで、雰囲気を つかみました。公民権運動の話や、実際の事件、実在のラッパー、曲などがたくさん 登場するので、フィクションではありますが、ある意味、ノンフィクションのような、 綿密な調べものが必要な作品でした。 (*9)https://www.urbandictionary.com/ Q★さて、映画『ヘイト・ユー・ギブ』(ジョージ・ティルマン・ジュニア監督)は、 2018年10月に米国で劇場公開され、日本では劇場公開はされず、2019年3月デジタル 配信開始、同年4月に DVD 発売となりました。瀬尾さんが映像翻訳の依頼を受けた のはいつ頃でしたか? その時、どのようなお気持ちでしたか。 【瀬】:受注した時期については守秘義務に入るので控えさせてください。ごめんな さい。映像は守秘義務がとても厳しいです。 話をいただいた時には、「あれ、もしかして、あの話題作では?」と思いましたが 半信半疑でした。それで、やまねこ会員さんたちのツイッターのつぶやきを再度検索 して「あ、やっぱりそうだ!」とびっくりしました。翻訳者として夢やいろいろな目 標があります。やまねこ会員さんの手掛けた作品の映画版を訳すという夢も、そのひ とつでした。入会して22年でようやくかないました。 Q★邦訳は読まれたのでしょうか。 【瀬】:はい、読んでいます。原作ものの場合、邦訳は必ず読みます。映画と書籍と では媒体が違うので、必ずしも原作通りではない場合がありますが、それでも必ず読 みます。邦訳が出ていない場合は原書で読みます。今作については作者のアンジー・ トーマスが映画の製作にも携わっているという情報がありましたので、読まないとい う選択肢はありませんでした。やまねこ会員の間で話題になっている時から読もう読 もうと思いつつ、結局、受注のタイミングで読むことになりました。 *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** 【インタビュー後半:座談会】 7月某日、都内の貸し会議室に、服部さん、瀬尾さんのおふたりとやまねこ会員5 名が集まり、DVD『ヘイト・ユー・ギブ』を見ながら、いろいろな話題で盛り上がり ました。ここからは、その様子をお届けします。 (会員1〜4をそれぞれ【会1】〜【会4】としています) ●Part 4 映画の感想 ──────────────────────────── 【進行】:服部さんは、映画の吹替翻訳者がやまねこ会員だといつ知りましたか? 【服】:DVD が発売されてから、あるやまねこ会員さんにツイッターで教えてもらい ました。 【会1】:こんなめぐり合わせがあるんですね。本当にうれしいニュースでした。 【進行】:映画をご覧になって、いかがでしたか? 【服】:長い話を2時間にどう入れ込むのだろうと思っていたのですが、重要なメッ セージが漏れなく入っていて感動しました。デモの場面では、映像の迫力が素晴らし かったです。主人公のスターは、人がこんなにたくさんいる中で真実を話す決意をし たんだというのが、身に迫って感じられました。 【会2】:私は映像には疎いほうで、原作と違うぞと思うことがよくあるんですね。 今回は原作を読んでから時間も経っていたので新鮮な気持ちで見て、ああ映画ってこ うやって作るんだなと思いました。ネタバレになるので詳しく言えませんが、ある場 面で、"The Hate U Give Little Infants Fucks Everybody(子どもに植えつけた憎 しみが社会を殺す)" というテーマをこうやって表すのかと感心しました。役者さん も含めて、すごくよかったです。 【服】:ええ、あの場面はとても印象的でした。原作と離れていながらも……ああ、 本当にネタバレになるのでもどかしいですが(笑)……うまいなあと。 【会3】:主人公たちが警官に車を止められ、幼なじみのカリルが撃たれる場面を見 て、本と印象が違うと感じました。カリルが警官に逆らい、警官が黒人を恐れる様子、 そしてカリルを撃った後の警官の驚愕が、より強く伝わってきました。 【瀬】:映像のほうが、やはりダイレクトですね。銃声に迫力もあるし。 【服】:原作では、黒人と警官の対立を長いページを割いて説明しているのですが、 映画ではそれを短くまとめているせいでしょうか。デモの場面も、原作ではスターが みんなの前で話をしようと決意するまでが、すごく長いです。 【瀬】:映像では原作の長い部分をぎゅうっと縮めていますね。また、原作と同じせ りふでも、違う場面で使われているものがあり、原作のせりふとは違う意味合いにな ったものもあります。 【服】:そうですね。「ああ、このせりふがここに出てくるんだ」と思いました。 【瀬】:そんな違いはあるのですが、作者のアンジー・トーマスが映画の製作にも関 わっていることもあり、作品の核となるテーマをうまくすくいとった仕上がりになっ ていると思います。これまで映画やテレビドラマで取り上げられてきた伝統的な「黒 人差別」とは視点が異なり、目に見えづらい差別、無意識の差別――「自分たちは差 別主義者ではない」と本気で思っている人たちの差別の描写が秀逸です。 【服】:ええ、複雑な差別構造ですね。微妙な感覚なんですが、それがとてもうまく 表現されています。日本でも少し前に、テレビ番組でお笑い芸人が顔を黒く塗った 「黒塗りメイク」問題があった時、黒人をかっこいいと思ってやっているんだから別 に構わないんじゃないかという人が多かった。歴史的な背景をわかっていなくて、そ う考えてしまう人がたくさんいるんですね。 【瀬】:日本人でも、自分に引き寄せて考えられるテーマだと思います。 【会4】:私も、果たして自分はどうなんだろうと考えさせられました。 ●Part 5 翻訳あれこれ ─────────────────────────── 【進行】:瀬尾さん、吹替翻訳の作業は、どのように進めておられますか? 【瀬】:パソコンのモニターの左半分にワードを開き、右半分に映像を出して、音を 聞きながら訳していきます。この時、息を吸う音、息を吐く音なども、漏らさずに書 き出していきます。それからせりふが尺(せりふの長さ)に合うかどうかを、映像の 口の動きに合わせて、自分で繰り返ししゃべって確かめます。ディレクターさん、音 声さん、声優さんと多くの人が関わるので、せりふが尺に合わないとなると、大きな 影響が出てしまいます。 また、スタジオでの吹替録音にも、時間が許せば立ち会うようにしています。 【進行】:ちなみに、『ヘイト・ユー・ギブ』で一番苦労されたところは? 【瀬】:一番苦労したのは、後半のデモ行進のところです。デモのコールをカウント しながら「×20回」などと台本を仕上げるので、とても時間がかかりました。最初の 学校の廊下の場面でも、次々と聞こえてくる脇役の声をひとつひとつ拾うのが大変で した。「ガヤ」と呼びますが、ガヤだけで2日かかりました。 それから、原作のある映像作品の場合、原作の邦訳からの「訳文の流用」が原則で きないという点でも気を使います。映像では著作権の管理が非常に厳しいので、邦訳 と同じにならないようにする必要があります。原作本の翻訳と映像の翻訳が一致しな いのは、そんな理由があるんです。 【服】:それは初めて聞きました。 【瀬】:服部さんは、ティーンのせりふを訳すのに、悩んだりしますか? 【服】:苦労しましたね。原作が生き生きとした語り口なので、それを損なわないよ うに、なるべく自然なせりふになるようにと心を砕きました。日本の作家で特に若い 人の作品を読んで研究したりもしました。でも、そうか、映画を見て参考にすればよ かったんですね。文字になった作品と違って、映像は「今」だなと改めて思いました。 【瀬】:私は、せりふの語尾に「〜だわ」は使わないようにしています。現代劇では、 「使ってください」と言われない限り、使いませんね。耳で聞くと、どうしてもおか しいので。 【服】:そうですね。私も子どものせりふには使いません。大人のせりふの場合は、 区別をつける意味でも使ってしまいますが。 【会1】:大人と言えば、邦訳本で、床屋のルイスさんのせりふはいい味が出ていま したね。「ばかげちょる」「知っちょるぞ」とか。キャラが立っていました。映画で は出番が少なかったのが残念。 【服】:師匠がそのあたりのせりふがお上手で、どこの方言かわからないような語尾 を使われるんです。それをまねしました。 【進行】:映画1本の納品までの日にちはどれくらいですか? 【瀬】:そうですね。120分の映画だと、1日10分として2週間弱です。映像翻訳の 納期は、だいたいそれくらいです。 【進行】:そんな短い期間で仕上げるんですね。児童書の翻訳はどうでしょう。服部 さんは、460ページをひと通り訳すのにどれくらいかけられましたか? 【服】:法律事務所の仕事と両立していることもあり、出版社の方からは余裕を持っ て6か月いただいていました。 【会2】:児童書の翻訳でも納期はさまざまで、もう少しきつくて、1か月あたりで 計算すると、100〜150ページぐらいのこともありますね。 【瀬】:納期も違いますが、守秘義務が厳しいのも映像翻訳ならではです。受注した 時期も、今訳している作品名も言えないし、映像を家から持ち出して人の目に触れさ せることも禁止です。文芸翻訳のように、ツイッターなどで「あと少しでこれが出ま す」などとつぶやくことはできません。 ●Part 7 最後に ────────────────────────────── Q★今後どのような作品を手掛けたいと思っていますか? 【服】:やはり、いちばん訳したいのはYAです。YAは日本の出版社に敬遠される ことが多く、邦訳される点数も少ないので、なかなかチャンスはめぐってこないかも しれませんが、チャンスがなければ自分でも持ち込むなどして、なるべく関わってい きたいと思っています。幸い、次に刊行される予定の作品もYAです。『ザ・ヘイト ・ユー・ギヴ』の作者アンジー・トーマスの第2作を訳しているところです。児童書 や絵本はもちろんですが、ずっと師匠について勉強してきたジャンルであるミステリ ーも、是非訳してみたいと思っています。 【瀬】:画家を扱った作品を担当したいです! 20年翻訳をしてきて担当できたのは、 『レンブラントの夜警』(ピーター・グリーナウェイ監督)ひとつだけです。 Q★翻訳家を目指している読書のみなさんへ、メッセージをお願いします。 【服】:出版翻訳家への道は、もともと狭き門ではありますが、最近はますます狭く なっている気がします。ですが、刊行部数が減っている代わりに、点数が増えている という話も聞きますし、焦らず、正しい方向に努力をしていれば、いつか訳書を出す チャンスはめぐってくると思います。私は勉強を始めてから単独訳書が出るまでに15 年以上かかりました。途中、何度、あきらめかけたことか! でも、しぶとくあきら めなかったおかげで、こんなに素晴らしい作品とめぐり合うことができました。その 間に下訳などの経験を十分に積み、デビューに備えることができたことを考えると、 かえってよかったのかもしれません。なかなか思うようにいかなくても、腐らず、努 力を続け、あきらめないことが大切だと思います。 【瀬】:翻訳の世界へようこそ! 翻訳の勉強を始めたり仕事を始めたりして、思う ような成果が上がらなくても焦る必要はありません。映像の納期は短いですが仕事と してのキャリアは長期戦です。無駄なプライドを捨てて謙虚になり、自分には何が足 りないかを冷静に考えれば、見えてくるものがあります。映像翻訳の場合、1本目の 仕事を受注するのはそう難しくはありませんが、望む方向に舵を切ったり、階段を登 ったりするのはなかなか大変です。繰り返しになりますがとにかく焦らないこと。そ してクライアントや講師の発言に対して過剰に落ち込まないこと。息の長い仕事を目 指して、お互い頑張りましょう! *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** 5月に企画を立ててから、長きにわたってお付き合いいただいたおふたりに、心よ り感謝いたします。長いお付き合いの瀬尾さんと、初めてお会いできた服部さんから、 多岐に渡る話を聞くことができ、大きな刺激をもらいました。この感動が伝わるイン タビューになっていることを願います。最後までお読みいただき、ありがとうござい ました。 (取材・文:植村わらび) |
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●賞速報● ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★2019年ニュージーランド児童書及びヤングアダルト小説賞発表 ★2019年オーストラリア児童図書賞発表 海外児童文学賞の書誌情報を随時掲載しています。「速報(海外児童文学賞)」を ご覧ください。 http://www.yamaneko.org/cgi-bin/sc-board/c-board.cgi?id=award |
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●イベント速報● ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★展示会情報 そごう美術館「不思議の国のアリス展」 愛媛県美術館 「日本・スウェーデン外交樹立150周年記念 長くつ下のピッピの世界展〜リンドグレーンが描く北欧の暮らしと子どもたち〜」 など ★講座・講演会情報 クレヨンハウス「落合恵子さん講演会 拓く、結ぶ、明日へ。」 神戸市立中央図書館 「『少年少女の家』とオズボーン・コレクションのおはなし 〜トロント公共図書館の児童図書館活動〜」 など ★イベント情報 六甲オルゴールミュージアム 「開館25周年記念『オルゴールシアター 宇野亞喜良のシンデレラ』」 Jテラスカフェ「イチョウ並木の本まつり(第4回)」 など ★コンクール情報 「第26回いたばし国際絵本翻訳大賞」 など 詳細やその他のイベント情報は、「児童書関連イベント情報掲示板」をご覧くださ い。なお、空席状況については各自ご確認願います。 http://www.yamaneko.org/cgi-bin/sc-board/c-board.cgi?id=event ★★やまねこ翻訳クラブ協力企画のお知らせ★★ 「読書探偵作文コンクール2019」 主催 読書探偵作文コンクール事務局 協力 翻訳ミステリー大賞シンジケート、やまねこ翻訳クラブ いつも「読書探偵作文コンクール」にご協力いただき、ありがとうございます。 小学生部門、中高生部門ともに、作品が続々と届いています。 応募締切は★9月25日★です。詳細は、各部門の公式ウェブサイトをご覧ください。 公式ツイッター、フェイスブックページでも随時最新情報をお伝えしていますので、 どうぞご利用ください。 ▼「読書探偵作文コンクール」小学生部門 公式ウェブサイト http://dokushotantei.seesaa.net/ ▼「読書探偵作文コンクール」中高生部門 公式ウェブサイト https://dokutanchuko.jimdo.com/ ▼「読書探偵作文コンクール」公式ツイッター https://twitter.com/Dokusho_Tantei ▼「読書探偵作文コンクール」公式フェイスブックページ https://www.facebook.com/dokushotantei まだまだ間に合います、お子さんに、お友だちに、お知り合いに、ぜひお知らせく ださい! 過去の受賞作をもとに2017年に出版した『外国の本っておもしろい! 子どもの作 文から生まれた翻訳書ガイドブック』(サウザンブックス社)も、引き続きよろしく お願いいたします。 https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4909125051/dokushotantei-22/ref=nosim/ (冬木恵子/山本真奈美) |
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●読者の広場●海外児童文学や翻訳にまつわるお話をどうぞ! ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ このコーナーでは、本誌に対するご感想・ご質問をはじめ、海外児童書にまつわる お話、ご質問、ご意見等を募集しています。mgzn@yamaneko.org までお気軽にお寄せ ください。 ※メールはなるべく400字以内で、ペンネームをつけてお送りください。 ※タイトルには必ず「読者の広場」とお入れください。 ※掲載時には、趣旨を変えない範囲で文章を改変させていただく場合があります。 ※質問に対するお返事は、こちらに掲載させていただくことがあります。原則的に編 集部からメールでの回答はいたしませんので、ご了承ください。 |
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●お知らせ● 本誌でご紹介した本を、各種のインターネット書店で簡単に参照していただけます。 こちらの「やまねこ翻訳クラブ オンライン書店」よりお入りください。 http://www.yamaneko.org/info/order.htm ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ・☆・〜 次 号 予 告 〜・☆・ 詳細は10日ごろ、出版翻訳ネットワーク内「やまねこ翻訳クラブ情報」のページに 掲載します。どうぞお楽しみに! http://litrans.g.hatena.ne.jp/yamaneko1/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▽▲▽▲▽ 海外児童書のシノプシス作成・書評執筆を承ります ▽▲▽▲▽ やまねこ翻訳クラブ( yagisan@yamaneko.org )までお気軽にご相談ください。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★☆ 出版翻訳ネットワークは出版翻訳のポータルサイトです ☆★ http://www.litrans.net/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★☆メールマガジン『海外ミステリ通信』 隔月15日発行☆★ http://honyakuwhod.blog.shinobi.jp/ 未訳書から邦訳新刊まで、あらゆる海外ミステリの情報を厳選して紹介。翻訳家や 編集者の方々へのインタビューもあります! 〈フーダニット翻訳倶楽部〉 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= ◇各掲示板の話題やクラブの動きなど、HOT な情報をご紹介しています◇ ★やまねこ翻訳クラブ Facebook ページ https://www.facebook.com/yamaneko1997/ ★やまねこアクチベーター ツイッター https://twitter.com/YActivator ★広報ブログ「やまねこ翻訳クラブ情報」(出版翻訳ネットワーク内) http://litrans.g.hatena.ne.jp/yamaneko1/ *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●編集後記●今月の "The Hate U Give" 特集、いかがでしたでしょうか? たくさ んの方々のご協力により、特集が実現しました。ありがとうございました! とても 素晴らしい作品ですので、ぜひ本と映画の両方をお楽しみください。(も) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 発 行 やまねこ翻訳クラブ 編集人 森井理沙/平野麻紗/三好美香(やまねこ翻訳クラブ スタッフ) 企 画 赤塚きょう子 植村わらび 大作道子 おおつかのりこ 尾被ほっぽ 加賀田睦美 かまだゆうこ 蒲池由佳 瀬尾友子 服部理佳 冬木恵子 増山麻美 山本真奈美 山本みき 協 力 出版翻訳ネットワーク 管理人 小野仙内 からくっこ ささ ながさわくにお html版担当 ぐりぐら ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ・このメールマガジンは、「まぐまぐ」( http://www.mag2.com/ )を利用して配信 しています。購読のお申し込み、解除は下記のページからお手続きください。 http://www.mag2.com/m/0000013198.html ・バックナンバーは、http://www.yamaneko.org/mgzn/ でご覧いただけます。 ・ご意見・ご感想は mgzn@yamaneko.org までお気軽にお寄せください。 ・無断転載を禁じます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ |
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