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2009年10月号
   =====☆                    ☆=====
  =====★   月 刊  児 童 文 学 翻 訳   ★=====
   =====☆   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ☆=====
                                No.114
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児童文学翻訳学習者による、児童文学翻訳学習者のための、電子メール版情報誌
http://www.yamaneko.org                         
編集部:mgzn@yamaneko.org     2009年10月15日発行 配信数 2360 無料
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●2009年10月号もくじ●
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◎注目の本(邦訳絵本):『ともだちのしるしだよ』
            カレン・リン・ウィリアムズ、カードラ・モハメッド文/
                        ダーグ・チャーカ絵/小林葵訳
◎注目の本(邦訳読み物):『あきらめないで 〜白血病と闘ったわたしの日々〜』
                      マルティナ・アマン作/本田雅也訳
◎注目の本(未訳読み物):"Wintergirls" ローリー・ハルツ・アンダーソン作
◎世界の本棚(スペイン語):"Estela"
               パブロ・アルボ文/ミゲル・アンヘル・ディエス絵
◎賞速報
◎イベント速報
◎お菓子の旅:第49回 栄養満点、オーツ麦の香ばしい味 〜フラップジャック〜
◎読者の広場

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●注目の本(邦訳絵本)●難民キャンプではぐくまれた友情のしるし
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『ともだちのしるしだよ』
カレン・リン・ウィリアムズ、カードラ・モハメッド文/
ダーグ・チャーカ絵/小林葵訳
岩崎書店 定価1,680円(税込) 2009.08 32ページ ISBN 978-4265810529
Amazonで詳細を見る  bk1で詳細を見る
"Four Feet, Two Sandals"
text by Karen Lynn Williams and Khadra Mohammed,
illustrations by Doug Chayka
Eerdmans Books for Young Readers, 2007
Amazonで原書の詳細を見る

 表紙には、頭をスカーフで覆ったイスラムの女の子がふたり。ひと組のサンダルを
片足ずつ履いて、仲よさそうに歩いている。ふたりの友情のはじまりは……。
 パキスタンにある難民キャンプに、古着の山が届いた。大勢の難民が手を伸ばす。
10歳のリナが手にしたのは、青い花かざりのついた黄色いサンダルだった。新品で、
サイズもちょうどいい。もう2年も裸足で暮らしてきたリナは、そのサンダルに、う
っとり。でも、片方しかない。もう片方は、別の女の子が持っていってしまった。
 翌日、その女の子がやってきて、サンダルをリナにくれた。片方だけを履くのは変
だと、おばあちゃんに言われたそうだ。リナは、交代で履こうと思いつき、提案する。
「あなたが きょう、ふたつともはいて、あしたは わたしが ふたつともはくの」
フェローザという名の女の子は、それを聞いて、にっこり。ふたりは友だちになった。
 リナもフェローザも、戦火のアフガニスタンから逃げてきた難民だ。キャンプでの
生活は厳しいが、一緒に水くみの列にならんだり、地面に字を書いて勉強したり、こ
れまでの思い出や将来のことを語り合ったりして、静かに友情を育てていく。
 リナは、アフガンからの長く苦しい道のりを、赤ちゃんだった弟をおぶって歩いて
きたという。フェローザの家族は、もうおばあちゃんしかいない。言いようのない切
なさを感じるが、同時に、こんな苛酷な状況でも、やさしく、慎ましく、そして、希
望を持って生きているリナとフェローザの健気さには、胸を打たれる。このレビュー
を書くにあたり、声に出して読んでみたが、終盤でフェローザが、「ともだちのしる
しだよ」と言うところから先は、涙がこみあげ、声がふるえてしまった。ひと組のサ
ンダルを分け合うという純粋な友情が、この物語の最大の魅力だろう。
 粗末なテントが立ちならぶ難民キャンプと、そこに暮らす人々の様子は、背景にし
っかり描かれている。乾燥した大地は、明るい色で描かれており、温かみがあるもの
の、緑のない不毛の地だ。戦争や難民とは縁のない日本の子どもたちの心にも、この
見慣れぬ風景は残るだろう。いつか難民の厳しい現実を知ったときに、リナとフェロ
ーザのことを思い出してほしい。この絵本を愛する大人として、そう願っている。

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【文】カレン・リン・ウィリアムズ(Karen Lynn Williams):1952年米国コネティ
カット州生まれ。医師である夫とともにアフリカのマラウイや中米のハイチに渡り、
さまざまな慈善活動を経験。子どもの頃から好きだった執筆も続け、1990年に絵本
"Galimoto"(Catherine Stock 絵)を出版。以後、著書多数。現在は、米国に戻り、
難民支援のボランティア活動をしながら、執筆活動を続けている。

【文】カードラ・モハメッド(Khadra Mohammed):米国ペンシルヴァニア州のピッ
ツバーグ難民センター所長。20年以上にわたって難民の支援活動に従事。本作品の舞
台となったパキスタンのペシャワールで活動したこともある。祖国はソマリア。作家
としては、本作品同様、カレン・リン・ウィリアムズと共著の絵本 "My Name is
Sangoel"(Catherine Stock 絵)が最新刊である。

【絵】ダーグ・チャーカ(Doug Chayka):米国ニューヨーク州のロチェスター工科
大学芸術学部を1996年に卒業。ドイツのベルリン芸術大学に2年間留学した後、ニュ
ーヨーク州で教鞭を執りながら画家として活躍していたが、フロリダ州の芸術大学に
招かれ、今年9月に赴任したばかり。絵本の挿絵は数冊手がけており、"The Secret
Shofar of Barcelona"(Jacqueline Dembar Greene 文)が最新刊である。

【訳】小林葵(こばやし あおい):1992年東京都生まれの現役高校生。本作品が課
題となった第15回いたばし国際絵本翻訳大賞英語部門で最優秀賞を受賞し、翻訳者デ
ビューを果たした。

【参考】
▼カレン・リン・ウィリアムズ公式ウェブサイト
http://www.karenlynnwilliams.com/

▼カードラ・モハメッド紹介ページ(ピッツバーグ難民センター公式ウェブサイト内)
http://www.pittsburghrefugeecenter.org/about.htm

▼ダーグ・チャーカ公式ウェブサイト
http://dougchayka.com/editorial/

                                (大作道子)

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●注目の本(邦訳読み物)●2度の白血病を克服した少女の力強い闘病記
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『あきらめないで 〜白血病と闘ったわたしの日々〜』
マルティナ・アマン作/本田雅也訳
徳間書店 定価1,575円(税込) 2009.05 265ページ ISBN 978-4198627416
Amazonで詳細を見る  bk1で詳細を見る
"Wer nicht kampft, hat schon verloren" by Martina Amann
Sauerlander, 2000
Amazonで原書の詳細を見る

 1988年、小学校1年のマルティナは突然、背中の痛みにおそわれた。検査の結果、
急性リンパ性白血病と診断される。その日から、家族とも満足に会えない長い入院生
活が始まった。化学療法、放射線治療など1年以上の治療に耐え、ようやく学校にも
どることができたが、それから5年後、再び血液検査で異常な数値があらわれる。白
血病の再発だった。
 本書は、2度にわたる白血病治療と復学してからの出来事や心境について、作者が
17歳のときから執筆を始めたものである。粗削りで率直な文章からは、治療のつらさ
や入院生活の寂しさ、不安などがありありと伝わってくる。治療の副作用には、激し
い吐き気や止まらない鼻血、食べることも飲むことも、しゃべることすらままならな
い口内炎の痛み、そして脱毛などがある。健康な人が読めば腰がひけてしまうほど過
酷なものばかりだ。髪が全部抜けてしまうのは、思春期の女の子とあれば、なおさら
耐えがたいことだったろう。さらに、長い治療生活が終わったあとにも多くの苦労が
あるという。すぐにはもどらない体調のまま、普通の生活についていかなくてはなら
ないのだ。復学後も飲み続ける薬のせいで感染症にもかかりやすく、食欲もなくなる。
そういったことを単純に心の問題だと決めつけられるなど、まわりからはなかなか理
解してもらえない。長く隔離されていたせいか、友人たちともうまくいかず孤立して
いく様子にも胸が痛くなった。
 病気を経験したことで、それまであたりまえだと思っていた自然の美しさや自由に
手足を動かせることなどが、実は奇跡のようなものだと作者は気づく。また同じ病気
の親友を亡くしたあとに抱く罪悪感にも似た思いや、ふと去来する再発の不安など、
同じような病気を体験した者としておおいに共感できた。
 この本は、健康な人はもちろん、決して珍しい病気ではなくなった〈がん〉などの
難病と向きあっている人々に、ぜひ手にとってもらいたい1冊である。「たとえ再発
しても絶対にあきらめない」という若い作者のメッセージを闘病の糧として、ひとり
でも多くの人が病気を克服することを願ってやまない。

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【作】マルティナ・アマン(Martina Amann):1981年、ドイツ南部のバイエルン州
アルゴイ、カウフボイレンに生まれる。7歳で急性リンパ性白血病に罹患。1年以上
の闘病の末に復学するも、12歳で再発。再び闘病生活をおくったあと、治癒する。17
歳から執筆を始めた本書は、2000年にドイツで出版された。2007年にヴェルツブルク
大学教育学部を卒業。

【訳】本田雅也(ほんだ まさや):1964年東京生まれ。東京外国語大学大学院博士
後期過程修了。ドイツ近現代文学、児童文学専攻。訳書に『ロビンソンの島、ひみつ
の島』(クラウス・コルドン作/徳間書店)、共訳には『闘いなき戦い─ドイツにお
ける二つの独裁下での早すぎる自伝』(ハイナー・ミュラー作/谷川道子・石田雄一
・一條涼子共訳/未來社)、『子どもべやのおばけ』(カーリ・ゼーフェルト作/倉
澤幹彦共訳/徳間書店)などがある。

【参考】
▼白血病について(国立がんセンター がん対策情報センターウェブサイト内)
http://ganjoho.ncc.go.jp/public/cancer/data/leukemia_basis.html

                                (石井柚実)

【特殊文字】
「kampft」:「a」の上にウムラウト(¨)がつく
「Sauerlander」:2つ目の「a」の上にウムラウト(¨)がつく

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●注目の本(未訳読み物)●摂食障害に苦しむ少女の閉ざされた心
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『ウィンターガールズ』(仮題) ローリー・ハルツ・アンダーソン作
"Wintergirls" by Laurie Halse Anderson
Viking Juvenile, 2009 ISBN 978-0670011100
288pp.
Amazonで詳細を見る

 主人公のリアは18歳。かつては親友だったが、最近は疎遠になっていたキャシーが
死んだ。過食と嘔吐に苦しんでいたキャシーは、死の直前、リアに何度も電話をかけ
てきていた。その電話を無視したことが、リアを苦しめる。思えば14歳の冬、ふたり
はやせようと誓い、そのころからすべてが少しずつ変わり始めていたのだ。リア自身
も数年前から摂食障害に陥っていた。マッチ棒のようにやせ細り、体は食べ物を欲し
ているのに、もっとやせたいという思いから逃れられない。2度の入院も効果はなく、
週に1度の体重チェックをごまかして、リアの拒食はエスカレートしていく。家族は
リアを心配するけれど、気持ちはすれ違うばかりだ。やがてリアはキャシーの幽霊に
悩まされるようになり、体重はますます減っていく。ついには自らを傷つけて病院へ
運ばれるが、治療を受けても、セラピストと話してみても、リアの心は閉ざされたま
まだ。そんなリアに回復への道はあるのだろうか?
 物語はリアの一人称で進んでいく。その語りは痛々しくて生々しい。食べ物はすべ
て即座にカロリー換算。抑え込まれた本当の気持ちは、小さなフォントで片隅に書か
れたり、上から線で消されたり。食べちゃダメ食べちゃダメと、それだけで埋め尽く
されているページもある。食べないことで少しずつ生きることから遠ざかろうとする
リア。自分で自分を傷つけるリア。なぜそんなに頑ななの? なぜそこまで自分を否
定するの? とやりきれない気持ちになる。読みながら苦しくて、それでもページを
めくる手は止まらなかった。
 摂食障害になる恐れは誰にでもある。リアやキャシーの場合、きっかけはもう少し
やせたいという軽い気持ちだった。けれど痩身をよしとする社会の風潮に、家族に対
する不信感と思春期の不安定な心が重なって、抜け出せない状況に陥ってしまう。安
易に始めたダイエットが悲惨な事態を招くこともあると知らない少女たちに、是非こ
の本を読んでもらいたい。摂食障害の患者数は年々増加しているというが、この病気
の厳しい現実を知らない大人たちにも一読をおすすめする。決して明るい話ではない
し、リアやキャシーの言動は衝撃的ですらある。だが少女たちの心の闇から目をそら
さず、その苦しみを知ってほしい。

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【作】Laurie Halse Anderson(ローリー・ハルツ・アンダーソン):1961年ニュー
ヨーク州に生まれる。YA小説から絵本まで数多く執筆。『スピーク』(金原瑞人訳
/主婦の友社)でゴールデン・カイト賞フィクション部門、マイケル・L・プリンツ
賞オナー、"Chains" で全米図書賞児童書部門最終候補、スコット・オデール賞に選
ばれるなど、高い評価を得ている。最新の邦訳作品は「マック動物病院ボランティア
日誌」シリーズ(中井はるの訳/金の星社)。

【参考】
▼ローリー・ハルツ・アンダーソン公式ウェブサイト
http://www.writerlady.com/

▼"Wintergirls" 公式ウェブサイト
http://wintergirls.net/

                                (佐藤淑子)

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●世界の本棚(スペイン語)●海底をさすらう星の子が見つけたもの
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『海に落ちた星 エステラ』(仮題)
パブロ・アルボ文/ミゲル・アンヘル・ディエス絵
"Estela" text by Pablo Albo, illustrations by Miguel Angel Diez
Thule Ediciones, 2007 ISBN 978-8496473737(Spain)
32pp.
Amazonで詳細を見る

 先日、テレビ番組で深海の風景を見た。真っ暗な水中に、見たことのない生物が漂
っている。ナレーションによると、世の中には宇宙に行った人より、深海にたどり着
いた人の方が少なく、そこは未知の世界だそうだ。もしかしたら、この絵本に描かれ
ているようなファンタジーが潜んでいるかもしれない。
 エステラは、夜空にぶら下がるブランコに乗っている星の女の子。地上の人たちは、
多くの星の中でひときわ輝くエステラを見て願いをかける。エステラはうれしくなっ
て、さらに明るい光を放った。
 ある日、星空に突風が吹いた。巻き込まれたエステラと星の子たちは、ブランコか
ら放り出されて宇宙をさまよう。そのうちにエステラは仲間とはぐれて、たったひと
りで地球の海に落ちた。星がまたたく空とは違って、水の中は真っ暗で塩からくて寒
い。エステラはとても悲しくなり、どんどん光をなくしていく。そして、とうとう海
底まで沈んでしまった。
 海の中のエステラは、夜空での輝くばかりの笑顔とは表情がまったく違う。幻想的
なイラストは、寂しさを表すような暗い色彩だ。ようやく同じ姿の星の子たちを見つ
けて、ぱっと輝くエステラだったが、仲間に入れてもらえない上に冷たい言葉を浴び
せられ、ふたたび悲しい表情になる。空にも戻れないひとりぼっちのエステラは、ど
こへ行けばいいのだろう。思い出したのは、私が子どものころ、家庭の事情で思いが
けず転校したときの心細さだ。うつむいたエステラの後ろ姿が、そのときの私に重な
って見える。見知らぬ場所で周囲になじめないのは、誰にとってもつらくて寂しい。
 でも大丈夫。絵をよく見ると、エステラの周りには心配そうに見守る珍妙な生物や
魚がいる。怖そうなものとも、案外すてきな友だちになれるかもしれない。小さなき
っかけで不安や寂しさが消えて、希望が生まれることもある。どんなところでも自分
らしさをなくさず、それを分かってくれる仲間がいれば、輝きを取り戻すことも、新
たな居場所を見つけることもできるのだ。

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【文】パブロ・アルボ(Pablo Albo):1971年スペイン、アリカンテ生まれ。2002年
に一般向けの作品を出版し、作家としてデビュー。翌年から児童書を発表し始める。
2008年に "Diogenes" で、ラサリーリョ賞の文芸創作部門を受賞した。創作活動以外
にストーリーテラーとしても活躍しており、国内外でのイベントやラジオ番組などに
出演している。

【絵】ミゲル・アンヘル・ディエス(Miguel Angel Diez):スペイン、アリカンテ
生まれ。本作が初めての出版作品。2007年にイラストを手がけた絵本 "Mi abuelo
Simon lo sabe"(Nieves Perez 作)で、アリカンテ市国際児童絵本コンクールの最
優秀賞を受賞した。

【参考】
▼パブロ・アルボ公式ウェブサイト(スペイン語)
http://www.pabloalbo.com/

▼ミゲル・アンヘル・ディエス公式ブログ(スペイン語)
http://miguelangeldiez.blogspot.com/

                                (井原美穂)

【特殊文字】
「Angel」:「A」の上にアクセント記号(')がつく
「Diez」:「i」の上にアクセント記号(')がつく
「Diogenes」:「o」の上にアクセント記号(')がつく
「Perez」:最初の「e」の上にアクセント記号(')がつく

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●賞速報━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

★2009年オーストラリア児童図書賞受賞作発表
★2009年スペイン国民イラスト賞発表
★2010年度アストリッド・リンドグレーン記念文学賞候補発表
★2009年ブックトラスト・ティーンエイジ賞ショートリスト発表
★2009年 Booktrust Early Years Awards 発表
★2009年ニルス・ホルゲション賞発表
★2009年ガーディアン賞受賞作発表
★2009年オランダ金の石筆賞発表

 海外児童文学賞の書誌情報を随時掲載しています。「速報(海外児童文学賞)」を
ご覧ください。
http://www.yamaneko.org/cgi-bin/sc-board/c-board.cgi?id=award

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●イベント速報━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

★展示会情報
 軽井沢絵本の森美術館
「中欧三国の絵本展 〜チェコ・スロヴァキア・ポーランドに見る絵本の諸相〜」
 那珂川町山村開発センター「IBBYがすすめる世界の児童書展」 など

★講座・講演会情報
 大阪府立国際児童文学館「神宮輝夫さん講演会」 など

★コンテスト情報
 第16回いたばし国際絵本翻訳大賞 など

 詳細やその他のイベント情報は、「速報(イベント情報)」をご覧ください。なお、
空席状況については各自ご確認願います。
http://www.yamaneko.org/cgi-bin/sc-board/c-board.cgi?id=event

                           (笹山裕子/冬木恵子)

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●お菓子の旅●第49回 栄養満点、オーツ麦の香ばしい味 〜フラップジャック〜
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They went through into the kitchen, where Aisling was removing a tray of
flapjacks from the oven and Aidan was screaming for a piece at the top of
his lungs.
                "The Last of the High Kings" by Kate Thompson
                    Random House Children's Books(2007)
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       『プーカと最後の大王(ハイ・キング)──時間のない国で 2──』
            ケイト・トンプソン著/渡辺庸子訳/東京創元社(2008)
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 引用は2005年のガーディアン賞、ウィットブレッド賞受賞作『時間のない国で』の
続編『プーカと最後の大王』から。アイルランドに住むリディ家には4人の個性的な
子どもたちがいますが、一番幼いエイダンは、なかなかのやんちゃ坊主。お母さんが
焼いたできたてのフラップジャックを欲しがって、オーブンの前で金切り声を上げて
いるところです。この本で紹介されているフラップジャックは、オートミール(籾殻
を取り除いたオーツ麦を蒸して押しつぶし、乾燥させたもの)にバターやシロップな
どを混ぜてオーブンで焼いたものですが、17世紀の初めごろはフラップジャックとい
うと厚めのパンケーキを指しました。フラップ(flap)はひっくり返す、ジャック
(jack)はこの場合は単に「もの」という意味で、まさにパンケーキの説明そのもの。
その名残から、アメリカでは今でもパンケーキをフラップジャックと呼ぶことがある
そうです。オートミールを使ったフラップジャックは1920年から1930年ごろにイギリ
スで登場しました。私の住むオーストラリアにも同様のお菓子がありますが、ミュー
ズリーバーと呼ぶのが一般的で、チョコレート入りや上面をヨーグルトで固めたもの
など、さまざまな種類が売られています。オーツ麦は鉄分、カルシウム、食物繊維が
豊富なので栄養価の高いスナックですが、食べ応えのあるものも多く、買うのに躊躇
してしまうことも。そこで今回は少し軽めのフラップジャックのレシピをご紹介。オ
ーブンから香ばしいにおいが流れ出すと、すぐに食べたい! と思ったエイダンの気
持ちがわかるでしょう。紅茶はもちろん、冷たいミルクとの相性も抜群です。

*-* フラップジャックの作り方 *-*

                  画像はこちら(やまねこ翻訳クラブ喫茶室)


材料(15センチ×25センチのトレイ1枚で12個分)

 オートミール(乾燥したもの) 130g      バター          80g
 ブラウンシュガー        60g      ココナッツ粉末      25g
 はちみつ         大さじ2      塩         小さじ1/2
 お好みのドライフルーツ(レーズン、細かく刻んだアプリコットなど)    70g

1.バター、ブラウンシュガー、はちみつを弱火にかけて溶かす。
2.オートミールとココナッツ、ドライフルーツ、塩をボウルに入れて混ぜたあと、
  1を加えてさらに混ぜる。
3.クッキングシートを敷いたトレイに2を入れてポテトマッシャー(手でもよい)
  で上からしっかり押さえ、表面を平らにする。
4.180度に熱しておいたオーブンで表面に焼き色がつくまで約15分〜20分焼く。
5.オーブンから取り出し、少し冷めてからナイフで長方形に12等分する。

★参考図書、ウェブサイト
Marguerite Patten's Century of British Cooking (1999)
Oxford English Dictionary
The food timeline http://www.foodtimeline.org/

★「やまねこ翻訳クラブお菓子掲示板」
http://www.yamaneko.or.tv/open/c-board/c-board.cgi?id=okashi

                         (かまだゆうこ/冬木恵子)

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●読者の広場● 海外児童文学や翻訳にまつわるお話をどうぞ!
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 このコーナーでは、本誌に対するご感想・ご質問をはじめ、海外児童書にまつわる
お話、ご質問、ご意見等を募集しています。mgzn@yamaneko.org までお気軽にお寄せ
ください。

※メールはなるべく400字以内で、ペンネームをつけてお送りください。
※タイトルには必ず「読者の広場」とお入れください。
※掲載時には、趣旨を変えない範囲で文章を改変させていただく場合があります。
※質問に対するお返事は、こちらに掲載させていただくことがあります。原則的に編
集部からメールでの回答はいたしませんので、ご了承ください。

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●お知らせ●

 本誌でご紹介した本を、各種のインターネット書店で簡単に参照していただけます。
こちらの「やまねこ翻訳クラブ オンライン書店」よりお入りください。
http://www.yamaneko.org/info/order.htm
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           ・☆・〜 次 号 予 告 〜・☆・

 詳細は毎月10日頃、やまねこ翻訳クラブHPメニューページに掲載します。
          http://www.yamaneko.org/info/index.htm
 どうぞお楽しみに!

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●編集後記●『ともだちのしるしだよ』は昨年の「いたばし国際絵本翻訳大賞」の課
題作品で、当クラブでは今年の頭にコンテスト事後勉強会を行いました。単語や文の
1つ1つを検討したことを思い出しながら邦訳を読んで、やはり良い作品だなと改め
て思いました。(う)
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発行人 村上利佳(やまねこ翻訳クラブ 会長)
編集人 植村わらび/赤間美和子/井原美穂(やまねこ翻訳クラブ スタッフ)
企 画 石井柚実 大作道子 かまだゆうこ 児玉敦子 笹山裕子 佐藤淑子
    冬木恵子 村上利佳
協 力 出版翻訳ネットワーク 管理人 小野仙内
    ながさわくにお muzu 林檎
    html版担当 ぐりぐら
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