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月刊児童文学翻訳

─2003年7月号(No. 52 書評編)─

※こちらは「書評編」です。「情報編」もお見逃しなく!!

児童文学翻訳学習者による、児童文学翻訳学習者のための、
電子メール版情報誌<HP版>
http://www.yamaneko.org/mgzn/
編集部:mgzn@yamaneko.org
2003年7月15日発行 配信数 2,500


「どんぐりとやまねこ」

     M E N U

◎賞情報1
2003年ボストングローブ・ホーンブック賞発表

◎賞情報2
2003年チルドレンズ・ブック賞発表

◎賞情報3
速報! 2002年度カーネギー賞、ケイト・グリーナウェイ賞発表

◎特集
カーネギー賞、ケイト・グリーナウェイ賞候補作レビュー

★カーネギー賞
"Martyn Pig" ケヴィン・ブルックス作
"Across the Nightingale Floor" リアン・ハーン作
"The Shell House" リンダ・ニューベリー作

★ケイト・グリーナウェイ賞
"Jethro Byrde, Fairy Child" ボブ・グラハム文・絵
"Man on the Moon" サイモン・バートラム文・絵
"The Cockerel and the Fox" ヘレン・ウォード再話・絵
"Pants" ジャイルズ・アンドレーエ文/ニック・シャラット絵

◎注目の本(未訳読み物)
"Harry Potter and the Order of the Phoenix" J・K・ローリング作

◎Chicoco の親ばか絵本日誌
第23回「絵本につっこむ」(よしいちよこ)



賞情報1


―― 2003年ボストングローブ・ホーンブック賞発表 ――



 6月10日、ボストングローブ・ホーンブック賞が発表された。★Winner(受賞作)、☆Honor(次点、各部門2作品)は以下の通り。



2003 Boston Globe‐Horn Book Awards

【フィクションと詩】(Fiction and Poetry)

"The Jamie and Angus Stories"
written by Anne Fine, illus. by Penny Dale  (Candlewick)

"Feed"
by M. T. Anderson (Candlewick)

"Locomotion"
by Jacqueline Woodson (Putnam)



 受賞作は少年ジェイミーと牛のぬいぐるみアンガスの話。アンガスの首についていた取り扱い表示タグを、ジェイミーがはずしてしまったことから騒動が始まる。作者 Fine は今年 "Up on Cloud Nine" が、カーネギー賞の Highly Commended に選ばれた。次点の "Feed" は近未来小説。人々は生まれてすぐに、脳にテレビやコンピュータがつながれ、直接情報が入ってくるように管理されている。その結果、異常な消費文化が生まれた。人類はどのようになっていくのか? 作者の Anderson は、"Handel, Who Knew What He Liked" で、昨年も次点に選ばれた。"Locomotion" は、火事で両親を失った少年が主人公。詩を通して心の中を吐露する。作者 Woodson の邦訳作品としては「マディソン通りの少女たち」シリーズ(さくまゆみこ訳/ポプラ社)などがある。



【ノンフィクション】(Nonfiction)

"Fireboat: The Heroic Adventures of the John J. Harvey"
by Maira Kalman (Putnam)

"To Fly: The Story of the Wright Brothers"
written by Wendie C. Old,
illus. by Robert Andrew Parker (Clarion)

"Revenge of the Whale: The True Story of the Whaleship Essex"
by Nathaniel Philbrick (Putnam)



 受賞作の "Fireboat" は、消防艇ジョン・J・ハーベイ号の生涯を追ったもの。絵本には、エンパイア・ステート・ビルなど、同じ時代に造られたものが多く登場する。作者の Kalman の邦訳作品は、イヌ詩人マックスが主人公のシリーズほか、『おこしておきたい、おそくまで』(デヴィッド・バーン文/神宮輝夫訳/マガジンハウス)がある。候補作の "To Fly" は、飛行機を発明したライト兄弟の物語。作者の Old は、歴代大統領のほか、ルイ・アームストロングなどミュージシャンの伝記も書いている。"Revenge of the Whale" は、全米図書賞ノンフィクション部門を受賞した "In the Heart of the Sea" を子ども向けに書き直したもの。



【絵本】(Picture Book)

"Big Momma Makes the World"
written by Phyllis Root,
illus. by Helen Oxenbury (Candlewick)

"Dahlia"
by Barbara McClintock (Foster/Farrar)

"Blues Journey"
written by Walter Dean Myers,
illus. by Christopher Myers (Holiday)



 受賞作は創世記をモチーフにした作品。赤ちゃんを抱えながら、ビッグママが世界を作り上げていく。Oxenbury はアクリル絵の具を使い、雲の表情を演出。この雲との相乗効果でビッグママの大きさや温かさが、実によく描かれている。英国のケイト・グリーナウェイ賞候補にたびたび名を連ね、また受賞するだけのことはある。邦訳作品は多数あり。作者の Root は『キスなんかしないよ!』(ウィル・ヒレンブランド絵/こだまともこ訳/徳間書店)などが紹介されている。候補作の "Dahlia" は、おてんばな女の子と抱き人形の話。中世を思わせる雰囲気、細かな絵が魅力。"Blues Journey" は Myers 親子が手がけた作品。"Harlem"、"Monster" に続いて3度目の次点である。奴隷制度に苦しめられた黒人たちの哀歌、ブルースについての物語。

(西薗房枝)

【参考】

◇ホーンブック公式サイト

◇ボストングローブ・ホーンブック賞について
(本誌1998年10月号「世界の児童文学賞」)

◆ボストングローブ・ホーンブック賞受賞作品リスト(やまねこ翻訳クラブ資料室)

◇"Fireboat: The Heroic Adventures of the John J. Harvey" レビュー
(「月刊児童文学翻訳あるふぁ」2003年2月号)

*バックナンバー購読にはやまねこ翻訳クラブへの入会が必要です。

◆Anne Fine 公式サイト

◆Maira Kalman 公式サイト

◆Wendie C. Old 公式サイト

◇ウォルター・ディーン・マイヤーズ主要作品リスト(やまねこ翻訳クラブ資料室)

 

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賞情報2


―― 2003年チルドレンズ・ブック賞発表 ――



 現地時間6月14日、英国でチルドレンズ・ブック賞が発表された。1980年に「子どもの本グループ連盟(FCBG)」主催で始められたこの賞は、子ども向けのフィクションを対象に、候補作から受賞作まで子どもたちの投票によって決められる。幼年向け、低学年向け、高学年向けという3つのカテゴリーがあり、それぞれ1作ずつ賞が与えられ、さらにその中から大賞が選ばれる。審査員の子どもたちには、受賞パーティーへ出席し、候補作家たちと交流できるという素敵な特典までついている。

 今年度の大賞作★、受賞作☆は以下の通り。



The Red House Children's Book Award 2003

★大賞(高学年向け部門)
(The Overall Winner & The Winner of Books for Older Readers Category)

"Skeleton Key" by Anthony Horowitz (Walker)

☆低学年向け部門
(The Winner of Books for Younger Readers)

"Blitzed" by Robert Swindells (Doubleday)

☆幼年向け部門
(The Winner of Books for Younger Children)

"Pants" by Giles Andreae and Nick Sharratt (David Fickling)



 大賞に輝いた "Skeleton Key" は、少年スパイが主人公のシリーズ3作目。1作目の "Stormbreaker" は、同賞の最終候補作ともいえる2001年のトップ10に入っている。邦訳は、「女王陛下の少年スパイ! アレックス」シリーズとして、『ストームブレイカー』、『ポイントブランク』(竜村風也訳)、『スケルトンキー(森嶋マリ訳/いずれも荒木飛呂彦絵/集英社)と、3作全て出版されている。

 低学年向け部門賞の受賞作 "Blitzed" は、第二次世界大戦に興味をもっていた主人公が、大戦当時のロンドンにタイムスリップしてしまうという話。作者 Swindells の作品で、1985年に同賞を受賞した "Brother in Land" は、『弟を地に埋めて』(斉藤健一訳/福武書店)として邦訳出版されている。

 幼年向け部門賞の受賞作 "Pants" は、たくさんのユニークなパンツが登場する楽しい絵本。2002年度のケイト・グリーナウェイ賞のショートリストにも入っている。作者の Andreae は、絵本を数多く出版しているが、残念ながら邦訳はまだない。絵を担当した Sharratt は、ジャクリーン・ウィルソンの挿絵でお馴染み。ポップで明るく元気の出る絵で人気のある画家である。

(西薗房枝)

【参考】

◆チルドレンズ・ブック賞 公式サイト

◇チルドレンズ・ブック賞について
(本誌2002年3月号情報編「世界の児童文学賞」)

 

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賞情報3


―― 速報! 2002年度カーネギー賞、ケイト・グリーナウェイ賞発表 ――



 7月11日、イギリスで最も権威ある児童文学賞、カーネギー賞、およびケイト・グリーナウェイ賞の発表が行われた。受賞作、および特別推薦作品(Highly Commended)と推薦作品(Commended)は以下の通り。シャロン・クリーチは、米国人初のカーネギー賞受賞者になった。また、グリーナウェイ賞を受賞したオーストラリア在住のボブ・グラハムは、3度目のノミネートでの受賞となった。



【カーネギー賞】(作家対象)
Carnegie Medal 2002

★Winner
"Ruby Holler" by Sharon Creech (Bloomsbury)
〈本誌6月号レビュー掲載〉
☆Highly commended
"Up on Cloud Nine" by Anne Fine (Doubleday)
〈本誌6月号レビュー掲載〉


【ケイト・グリーナウェイ賞】(画家対象)
Kate Greenaway Medal 2002

★Winner
"Jethro Byrde, Fairy Child" by Bob Graham (Walker)
〈本誌今月号レビュー掲載〉

・Commended
"That Pesky Rat" by Lauren Child (Orchard)
〈本誌増刊号 No.3 ローレン・チャイルド特集号レビュー掲載〉


※候補作リストは本誌5月号書評編参照のこと。全候補作のレビューを先月号および今月号の特集記事で掲載。ただし、カーネギー賞候補の "The Dark Horse" とグリーナウェイ賞の Commended に選ばれた "That Pesky Rat" については、すでに本誌バックナンバーおよび増刊号に掲載済みなので、そちらを参照願いたい。

(横山和江)

【参考】

◆カーネギー賞、ケイト・グリーナウェイ賞サイト

◇カーネギー賞、ケイト・グリーナウェイ賞について
(本誌1999年7月号情報編「世界の児童文学賞」)

◇カーネギー賞受賞作品リスト(やまねこ翻訳クラブ資料室)

◇ケイト・グリーナウェイ賞受賞作品リスト(やまねこ翻訳クラブ資料室)

◇候補作一覧(本誌2003年5月号書評編)

◇"That Pesky Rat"(『ペットになりたいねずみ』)レビュー
 (本誌増刊号 No.3 ローレン・チャイルド特集号)

 

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特集

―― カーネギー賞、ケイト・グリーナウェイ賞候補作レビュー ――



 先月号に引き続き、両賞の候補作のレビューをお届けする。書誌に注記がないもののレビューは、英国版の本を参照して書かれている。

【Highly Commended と Commended について】
 カーネギー賞およびケイト・グリーナウェイ賞では、受賞作以外の候補作の中から、特別推薦作品(Highly Commended)と推薦作品(Commended)が選ばれる。本誌レビューおよびやまねこ翻訳クラブ資料室の作品リストでは、これらを Highly Commended(または HC)、Commended(またはC)と表記している。



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★カーネギー賞(作家対象)候補作
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『マーティン・ピッグの最悪の日々』(仮題)
ケヴィン・ブルックス作

"Martyn Pig" by Kevin Brooks

The Chicken House 2002, 2002 ISBN 0747560293(UK)

 ぼくはとっても不幸なんだ。まずは名前。マーティン(Martyn)の「イ」はIじゃなくてY。変な綴りだろ。名字はピッグ、ぶたのピッグだ。それに、父さんは飲んだくれの役立たずの怠け者。母さんはもうずっと前に家を出た。だから父さんの面倒をみるのは、このぼくの役目さ。まだ14歳なのに。でも意地悪な伯母さんの世話にはなりたくないから、仕方ない。唯一の友達で憧れの女の子アレックスも、最近いかれたバイク野郎とつきあい始めた。最悪だよね。もうすぐクリスマスなのに。でも信じてほしい。ぼくは父さんを殺すつもりなんか、これっぽっちもなかったんだ……。

 重苦しい物語かと思いきや、主人公マーティンの独白に、不思議な味わいとおかしみすら感じられる作品だ。内向的で大のミステリ好きでもあるマーティンの、独特な善悪観が全体を覆い、思春期の虚無と切実さが表裏一体となって行間を漂う。

 彼が「事故」と語る父親の死後、事態は思わぬ方向に転がり、泥沼の展開となる。そこに深く関わるのが、アレックスと彼女のボーイフレンド、ディーンだ。事件のあらましはほぼすべて明かされているのに、結末の予想がまったくつかない。緊張感を誘うでもなく、どこまでもゆるやかにマーティンは語る。そして確かにこの「最悪の日々」の物語は終わるのだが……いや、ここから始まるのかもしれない。

(森久里子)

【作】Kevin Brooks(ケヴィン・ブルックス)

 デヴォンシャー生まれ。バーミンガムとロンドンの学校を卒業後、火葬業補助、動物園の売り子、公務員などさまざまな職業に就いたのち、「好きな時間に起きられて、好きな服を着られて、妻といつでも散歩に行ける」作家業に。YA向け作品は本書がはじめて。昨年末刊行の "Lucas" では、孤独な少女と少年の心の触れ合いを、鮮烈かつ繊細に描いている。



【参考】
◆ケヴィン・ブルックス インタビュー

 

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『鴬張りの向こうには』(仮題)
リアン・ハーン作

"Across the Nightingale Floor" by Lian Hearn

Picador 2003, 309pp. ISBN 0330493345 (UK) (PB)

 平和な山村で15歳になるまで暮らしてきたタケオ。しかしある日、イイダ・サダム率いるトーハン藩の武士たちに村を襲撃され、母と妹、養父を失った。オオトリ藩の継承者オオトリ・シゲルに救われ、奇跡的に生き延びたタケオは、シゲルの養子となった。その後シゲルの旧友から、タケオは実の父親のことや今まで知らなかった自分の素性を聞かされる。タケオの実父はスパイと暗殺を請け負う一族のリーダーで、有能な暗殺者だった。そしてタケオの超人的な聴力はその血の証だと。イイダ・サダムへの復讐を胸に、タケオは剣や忍術の訓練を受ける。

 タケオの物語と同時進行で、幼くしてトーハンの人質となったカエデの物語も語られる。カエデとタケオの義父シゲルの婚礼が決まったことから、2人の物語がひとつになる。特殊能力を持った孤児の主人公タケオの敵討ちに、主君への忠誠心と裏切りが交錯し、さらにタケオとカエデの恋が彩りを添える。戦国時代の日本を思わせる場所を舞台にし、実在の地名が登場するが、これは異世界を舞台にしたファンタジーだ。本作は全3作からなるオオトリ物語の第1作であるため、すべての謎が解決とはならず、残りは次作以降でのお楽しみとなる。なお、タイトルは、イイダ・サダムが防御のため寝室に至る廊下を鴬張りにしていることによる。

(赤塚京子)

【作】Lian Hearn(リアン・ハーン)

 オーストラリアの人気作家、ジリアン・ルビンシュタインの別名。1942年イングランドに生まれる。オックスフォード大学卒業後、1973年オーストラリアに移住。1989年に "Beyond the Labyrinth" で、1995年に "Foxspell" でオーストラリア児童図書賞(いずれも Older Readers 部門)に輝く。本作品の邦訳が来年予定されており、作者初の邦訳となる。



【参考】
◆'Tales of the Otori' シリーズのサイト

◆ジリアン・ルビンシュタインのサイト

 

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『貝殻の家』(仮題)
リンダ・ニューベリー作

"The Shell House" by Linda Newbery

David Fickling Books 2002, 356pp. ISBN 0385603894 (UK)
David Fickling Books 2002, 335pp. ISBN 0385750110 (US)

(このレビューは、US 版を参照して書かれています)

 夏の終わりに17歳のグレッグがふと足を踏み入れたのは、第一次大戦中に火事にあった大邸宅の焼け跡だった。空っぽの貝のように外壁だけが残った屋敷、広大な庭園、湖のほとりの東屋……そんな風景に心ひかれ、彼は足しげくそこを訪れるようになる。そして、邸宅の歴史をひもとくうちに、火事のあった頃に戦地で死んだとされている屋敷の跡継ぎエドモンドの消息に疑問を抱く。それとともにグレッグをめぐる人間関係も、親友のジョーダン、東屋で出会った少女フェイスを中心に変わり始める。

 第一次大戦下の若き兵士エドモンド、現代の少年グレッグを軸に、2つの時代の物語が交互に展開していく。異なる時代を生きる2人には、偶然同じ場所に立ったということしか接点がない。だが、性の目覚め、同性への友情を越えた思慕、神への疑念……と、迷いや悩みはどこか重なり合う。どちらの時代でも、自分らしい生き方を模索してもがく若者たちの、不器用ながらもひたむきな姿が心に残った。

 同性愛や信仰、戦争観など、重いテーマを同時に取り上げているため、難しく、あるいは重苦しく感じる部分もあるだろう。だが、丹念につづられた心の動き、鮮やかな風景描写、ユニークな構成など、読者をひきつけて読ませる要素は十分だ。まずは物語に浸って、それからじっくり考えてみてほしい。そんな1冊である。

(児玉敦子)

【作】Linda Newbery(リンダ・ニューベリー)

 1952年、英国エセックス生まれ。現在はノーサンプトンシャー在住。教師などさまざまな職業を経て、1988年の "Run with the Hare" で作家としてデビュー。以来、YAや子ども向けの作品を発表し続けている。邦訳に『口笛ジャックをおいかけて』(長滝谷富貴子訳/文研出版)がある。本作は2002年ガーディアン賞にもノミネートされている。



【参考】
◆リンダ・ニューベリー公式サイト

 

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★ケイト・グリーナウェイ賞(画家対象)候補作
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『アナベルと妖精の子エテロ・バード』(仮題)
ボブ・グラハム文・絵

"Jethro Byrde, Fairy Child" by Bob Graham

Walker Books 2002, 30pp. ISBN 0744588634 (UK)

★2002年度ケイト・グリーナウェイ賞受賞作

 アナベルは妖精に会いたい女の子。パパは「コンクリートに草ちょっぴり」のこんな都会じゃ、妖精はいないっていうけれど、アナベルは毎日探してる。そしてある日、とうとう見つけちゃった! 羽がはえてるフィンガーサイズの男の子。「ぼくの名前はエテロ・バード。妖精の子どもだよ」エテロは妖精がたくさん集まる「ピクニック大会」に、家族総出でホットドッグやなんかを売りにいくところだった。けれども、一家をのせた空飛ぶワゴン車が、なぜかアナベルの家のそばに落ちてしまったのだ。アナベルはひょんなことから出会ったバード一家を、自分の家のお茶に招待する……。

 作者ボブ・グラハムの絵は、ほのぼのマンガチックな線画にカラフルな水彩が特徴。そんなグラハムが描く妖精は、身近で人間っぽい。エテロ・バードはキャップをかぶり、ジーンズをはいている。名前もあまり妖精らしからぬ苗字付きの名前だ(まあ、字面からは太古の雰囲気や妖精っぽさが漂っているけれど)。グラハム独特の温かいユーモアが光るこの絵本は、お茶の場面に出てくる「フェアリーケーキ」のように甘くてやさしい。ただケーキと違うのは、ちょっぴりスパイスが効いてるところ。妖精の世界を肯定しながらも、人間はやっぱり人間の/現実の世界に生きていることをさりげなく示している。カラフルで楽しいだけじゃない、地に足のついてる作品だ。

(田中亜希子)

【文・絵】Bob Graham(ボブ・グラハム)

 1942年オーストラリア生まれの絵本作家。作品には、オーストラリア児童図書賞など、大きな児童書賞の受賞作、または候補作になったものがいくつかある。グリーナウェイ賞に関しては、1997年に『チャボのオッカサン』(まつかわまゆみ訳/評論社)が、2001年に "Let's Get a Pup!"(未訳)が候補作に選ばれており、今回3度目のノミネートで受賞となった。メルボルン在住。



【参考】
◆"Let's Get a Pup!" レビュー(本誌2002年6月号書評編)

 

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『月ではたらく ボブのいちにち』(仮題)
サイモン・バートラム文・絵

"Man on the Moon" by Simon Bartram

Templar Publishing 2002, 30pp. ISBN 1840114452 (UK)

 月好きが高じて月の管理人になったボブは、毎朝、地球から仕事場に通っている。6時に起きて朝食をとり、自転車で丘の上の発射台に向かう。宇宙船での通勤時間はたったの15分。9時には仕事開始だ。午前中は掃除。今や観光地と化し、空き缶や紙くずだらけの月に掃除機をかけたり、ゴミを拾ってポリ袋に入れたり。午後にはツアーの宇宙船が月の空へとやってくる。窓から眺める人々に、逆立ちや宙返り(これぞ月面宙返り!)を見せるのもボブの仕事だ。客が月面に降り立つ時にはガイドもこなす。そんな時きまってでてくる宇宙人についての質問に、ボブはうんざりしつつも親切に答える。「宇宙人などいませんよ」と。火星や土星の管理人との付き合いがたまにあるものの、月面は自分ひとりの気楽な職場だ――とボブは思っているのだが……。

 システマチックな空間のはずの宇宙船が、やかんがシューシューいうような生活感ただよう場所に描かれる。ゴミに埋もれた月面も、今の時代には考えられない。ところがあたかも3Dアニメのような立体感で、リアルにせまってくる絵を見ていると「月がこんなに身近になる日も、意外と近いのでは?」と思えてくる(もちろんゴミだらけはごめんだが)。作者が得意とする光と影を十分に計算した、精緻な筆が創り出す近未来。ページを繰る度に必ずどこかに現れる、あの生物を探すのもまた楽しい。

(大塚典子)

【文・絵】Simon Bartram(サイモン・バートラム)

 1952年、英国エセックス生まれ。バーミンガム・ポリテクニックでイラストレーションを専攻し、1990年卒業。雑誌や新聞のイラストも手がけるが、子どもの本のイラストを描くのに最も重点を置いている。1998年、"Pinnochio" でマザーグース賞の候補となる。その他の作品に、"Pumpkin Moon" がある。

 

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『オンドリとキツネ――おせじにはご用心!』(仮題)
ヘレン・ウォード再話・絵

"The Cockerel and the Fox" by Helen Ward

Templar Publishing 2002, 40pp. ISBN 1840115157 (UK)

 むかし、ある農家に、毎朝高らかに時を告げるオンドリがいた。気高く、美しく、みんなから愛されているけれど、その分うぬぼれも強い。ある日、庭にしのびこんできたキツネが、オンドリにこう言った。「君の素晴らしい声を、聞かせてくれないか」いい気になったオンドリは、天を仰いで目をつぶり「コッケコッコー!」。してやったりと、キツネは喉元をガブリ。さて、オンドリはこのまま食べられてしまうのか?

 チョーサーの『カンタベリー物語』に語られる一編として有名なこのオンドリとキツネの話は、古くはイソップ物語にまで遡るそうだ。チョーサーの世界を忠実に再現したクーニーの絵本『チャンティクリアときつね』(平野敬一訳/ほるぷ出版/1975)とはがらりとイメージが変わり、こちらに登場するのは動物だけ。オンドリにくらいつくキツネの場面の迫力、キツネを追う動物たちの群れの場面の巧みさなど、構図の素晴らしさにはほれぼれする。1匹1匹を写実的に描きだした絵は、鮮やかで美しく魅力的。そのうえ、生き生きとした動物たちの表情や、少しだけデフォルメされた背景などに、作者の遊び心も感じられる仕上がりだ。

 巻末には、動物たちの解説が詳しくまとめられている。単に牛や豚といっても、様々な種類があること、また、作者の研究・調査の成果のほどが実感でき、興味深い。

(植村わらび)

【文・絵】Helen Ward(ヘレン・ウォード)

 1962年イングランド中南東部グロスターシャー生まれ。ブライトン美術学校で、レイモンド・ブリッグズら大御所の元でイラストレーションを学ぶ。主な作品は、同じく昔話を題材にした "The King of the Birds"、"The Hare and the Tortoise"、画家のウェイン・アンダーソンと組んで文章を担当した "The Tin Forest"、"The Dragon Machine" など。

 

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『パンツ』(仮題)
ジャイルズ・アンドレーエ文/ニック・シャラット絵

"Pants" text by Giles Andreae, illustrations by Nick Sharratt

David Flicking Books 2002, 25pp. ISBN 0385604343 (UK)

★2003年チルドレンズ・ブック賞幼年向け部門受賞作

 パンツをはいていない人、手あげて! こう聞かれて手をあげる人は、まずいない。そう、大人も子どももたいてい身につけているもの――それが、パンツだ。

 色々な種類のパンツを、ニック・シャラットが原色をふんだんに使って、鮮やかに描いている。大体、子どもたちはみんな、パンツ1丁で走り回るのが大好き。そんな子ども心をくすぐるかのように、絵本の中は、右も左もユニークなデザインのパンツがあふれかえっている。電飾のついたパンツ、宝石のついたパンツ、お札で作ったパンツなど、どれも奇想天外だ。しかも、そのユニークなパンツをはいた子どもや動物が、文字通り、ページの右から左へとパンツを見せながらパレードしている。これはもう、子ども心をぎゅっと掴んで放さないだろう。

 一方、文章はリズム感に富み、英語特有のライム(押韻)も取り入れられていて、声を出して読むのにぴったりだ。読んであげたら、一緒になってパレードしてしまう子どもがきっといるはず。

 大人も思い切って、この絵本に出てくるようなパンツをはいてみるといいかもしれない。心がはじけること、間違いなしだ。

(村上利佳)

【絵】Nick Sharratt(ニック・シャラット)

ロンドン生まれ。美術学校を卒業した後、雑誌や児童書のイラストレーターとして活躍。ジャクリーン・ウィルソン作品の挿絵を描いて人気を得る。代表作に、『ちゃんとたべなさい』(ケス・グレイ文/よしがみきょうた訳/小峰書店)がある。 

 

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注目の本(未訳読み物)

――ハリー、思春期の混沌に! 闇との戦いで増える犠牲者  ――



『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』(仮題)
J・K・ローリング作

"Harry Potter and the Order of the Phoenix"
by J. K. Rowling
Bloomsbury 2003, ISBN 0747551006 (UK), 766pp.
Scholastic 2003, ISBN 043935806X (US), 870pp.

(このレビューは、UK 版、および US 版を参照して書かれています)

 夏休み、ハリーはまたダーズリー家で過ごしていた。魔法学校4年目の終わりに恐ろしい出来事があり、魔法界が大変な危機に直面しているというのに。親友や名づけ親から届くふくろう便は妙にそっけなく、「おばさんの家でおとなしくしているように」という内容ばかり。不満と怒りが募る中、ハリーは気晴らしに、いとこのダドリーいじめに精をだした。ところが、いきなり目の前に信じられないものが現れて……。

 魔法界の仲間と再会を果たしたハリーは、両親が殺された十数年前にも活躍した「不死鳥の騎士団」が再結成されたと知らされる。騎士団は「例のあの人」が率いる闇の魔術師たちと戦うために集ったという。一方、魔法省はダンブルドア校長の警告に反発し、ハリーと校長に対する世間の不信感を駆り立てている。その上、ホグワーツの運営にまで口を挟むようになり、その一環として、スネイプ先生に輪をかけて陰湿な教師が魔法学校に送り込まれてくる……。

 3年間待たれていたハリー・ポッターの第5巻が6月21日発売され、驚異的な予約販売・初版刊行数で、また大きく騒がれた。主人公ハリーが15歳ということを受け、心身ともに激しく揺れ動く思春期の雰囲気が強まった。課せられる制限に苛立ち、能力以上の問題に直面しても大人に相談せずに自分で抱え込んでしまう。また急に浮上した「異性」の不可解な言動に戸惑い、親友のハーマイオニーに解説してもらわなければならない。さらに、5年生の年度末には将来を左右するとも言われる大きな試験が待っている。ハリーは改めて自分がどのような生き方を選ぶかを考える時期が近づいてきたのだ。いい子だったハリーもキレやすい若者になり、内向的になりがちである。

 今まで物語の中核となっていた闇の魔術師たちとの戦いは、脅威として増したはずだが、この巻の大半では水面下の動きとなった。だが、潜行性なのでかえって恐怖感は強まる。また、今回は論理的に納得できない筋がいくつかでてきている。これらは今後の展開上、必要な伏線だと想像はできるが、やはり1作品としてみた場合、完成度に不満を抱かずにはいられなかった。ただ、シリーズ全体として向かっている方向は、期待できそうだ。善悪を単純に二分する今までのファンタジーにはない、画期的な結末が用意されているという信念は揺らがない。ウィットのきいたユーモアと魅力的な登場人物と共に迎えるハリーたちのホグワーツでの6年、そして最終学年が今から待ち遠しい。

(池上小湖)

 

【文】J・K・ローリング(J. K. Rowling)

 1965年、ウェールズ生まれ。エクセター大学では古典文学とフランス語を専攻。離婚後、乳児を抱える貧困母子家庭の苦労をなめつつ、最初の作品『ハリー・ポッターと賢者の石』(松岡佑子訳/静山社)を書き上げた。本国イギリスをはじめ、世界各国で大ヒットし、出版界のあらゆる記録を塗り替える超ベストセラーとなり、世界的なファンタジー・ブームを巻き起こした。



【参考】
◆Bloomsbury 社のサイト(BBC 並びに Times 紙のインタビューへのリンクあり)

◇J・K・ローリング作品リスト(やまねこ翻訳クラブ資料室)

 

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Chicocoの親ばか絵本日誌 第23回 よしいちよこ

――  絵本につっこむ  ――



 赤ちゃんのときは思いもしなかったことですが、しゅんはおしゃべりな子どもになりました。なにに対しても、口をはさみたくなるみたいです。先日もかえ歌をうたいながら「そんなん、ちゃうやろ」と自分で自分につっこんでいました。

『ピクニックにいこう!』表紙

『ピクニックにいこう!』(パット・ハッチンス作/たなかあきこ訳/徳間書店)はめんどり、がちょう、かもの3羽がお弁当を持って出かけるお話です。食べるのにいい場所を探しているうちに家にもどってきてしまいました。バスケットはなぜかからっぽ。お弁当はどうなっちゃったのでしょう。しゅんに「お弁当食べたの、だれだ?」といって、読みはじめました。好きな果物をお弁当にするめんどりたちに、さっそくしゅんは「果物だけのお弁当なんか、あかん! ちゃんとお野菜も食べなさーい!」とつっこみます。デザートばかりでうらやましいのでしょう。がちょうと気があうらしく、「ぼくもりんごが大すき。いっしょだねー」。ページをめくり、いよいよお弁当があぶなくなると、「ああー! これっ! お弁当が食べられちゃうよ!」と、なにも気づかないめんどりたちに教えました。家に着いて「ぜんぶ、とちゅうで、おとしちゃったんだね」という3羽に「ちがう! ○○が食べちゃったんだよ! もうっ!○○は悪い!」と、腹をたてていました。さて、何回も読んで犯人がわかってしまった今、読みはじめるまえに「お弁当食べたの、だれだ?」とわたしがいうと、すっと表紙の絵を指さしてしまうしゅんであります。

『ちびうさまいご!』表紙

 3月生まれのしゅんは、もう次の誕生日のことを考えています。「こんどの誕生日のプレゼントは……」と毎日いい、毎日希望のプレゼントが変わります。『ちびうさまいご!』(ハリー・ホース作/千葉茂樹訳/光村教育図書)を読みました。誕生日を迎えたちびうさは、みんなからお祝いされ、たくさんのプレゼントをもらいます。その中の遊園地の券を持って、みんなで出発。「きょうはたんじょうびだもん。ぼく、もうおっきいんだから」と、ちびうさははりきっていますが、大きい子が乗るような乗り物はまだ無理。おまけに、みんなからはぐれてしまい……。しゅんは、すかさず「誕生日だけど、ちびうさはまだちっちゃい子なんだよ。ぼくはブランコできるから、おっきい」と胸をはってつっこみました。つなぎの服とかわいい帽子(うさぎだからこんな形なのはしかたがないですね)のせいもあって、しゅんはちびうさが年下だと思っていたのです。最後のページのろうそくを数えて、「ぼくといっしょ! ちびうさ、赤ちゃんやと思ったわ」とびっくり。「しゅんだって、迷子になったら、ちびうさみたいに泣くでしょ」とわたしがいうと、しゅんは素直に「うん」と認めました。

 

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●お知らせ●

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●編集後記●

今月は3つの賞情報をお届けしました。読んでみたい本を拾っていくと、私の好みは、どうやら子どもたちが選ぶものに近いようです(^^)(あ) 


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