朔北社 新刊情報(2006年)

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2006年12月刊行

表紙:ボッケ  ボッケ

ハリエット・ヴァン・レーク 作
野坂悦子訳

ISBN 4-86085-047-5
定価 1365円(税込)

ボッケとリー

むかしむかし、どこにもいない 女の子が いてね。
でも、きっと もうすぐ でてきてくれる。
もし でてきたら、その子のなまえは「ボッケ」、
ヤナギの木のなかに すむと おもうよ。
 タッタタラー!

 この絵本はこんな風にはじまり、片側の絵でボッケの誕生が描かれています。
この誕生シーンが、ほんとに「タッタタラー!」という感じ。え? そんな感じわかんないって?
そうこれはやっぱり絵でみなくちゃ!

 タッタラー!って誕生したボッケにはリーといういつも一緒にいる子がいて、2人は散歩したり、寝そべったりしている。ささやかな日々をつづった話は、それぞれに「こんぼう」とか、「メウシ」とかタイトルがつけられ、おおざっぱなコマ割りの絵が添えられている。そう、これはボッケたちの絵日記のようなもの。おもしろいことがあったら、2人は「そのはなし、かきとめておかなくちゃ」って、ヘンテコリンな姿勢でせっせとメモしている。ゆるーくて幸せなボッケたちを読んでいると、いい天気に散歩したようなついている気分になってくる。ボッケとリーの気持ち、ぜひ味わってください。

 ちなみに、作者のハリエット・ヴァン・レークのデビュー作『レナレナ』は、残念ながらいまは絶版で入手困難。絵本好きにはいまも語りつがれる名作絵本で、こちらも独特のしあわせがただよっている。図書館ででもぜひ探してみてみてください。

ハリエット・ヴァン・レーク
1957年、有名な漫画家ヤン・ヴァン・レークの長女として、オランダのライデンに生まれる。1987年に出したデビュー作『レナレナ』(リブロポート刊、絶版)で、「金の石筆賞」を受賞。ユニークな絵本として日本でも話題をさらい、「レナレナしたことありますか?」と絵本の専門雑誌「Pee Boo」で評された。その後もハリエットは数年に一度、絵本作りを続け、『ボッケ』で2002年に銀の絵筆賞を受賞。いっぽうで1991年には女性二人による劇団「バンケッチェ」を結成し、さまざまなアート活動を続けている。現在は、ロッテルダムに2人の息子と暮らす。

野坂悦子
1959年、東京に生まれる。翻訳者として『レナレナ』でデビュー。それから60点以上の本を訳してきたが、出発点の『レナレナ』には特別な思いがある。ボッケやリーと同じくらい好奇心が旺盛で行動力に富み、現在は翻訳活動にくわえ、日本が生んだ紙芝居文化を世界のあちこちで広めている。おもな訳書に『ペピーノ』『10ぴきのいたずらねこ』『オシリカミカミをさがせ!』(朔北社)、『フランダースの犬』(岩波書店)、『エヴァはおねえちゃんのいない国で』(くもん出版)、『しろくまさんはどこ?』(ほるぷ出版)などがある。


2006年11月刊行

ポッチャーン!:表紙 ポッチャーン!

フィリップ・コランタン 作
ふしみ みさを 訳

ISBN 4-86085-046-7
定価 1260円(税込)

たいていの絵本は横にページを繰っていきますが、この絵本は縦にページを繰ります。
この細長い版型が『ポッチャーン!』の特長。
むかし、あるところに〜という昔話調の語りではじまり、オオカミが井戸の水にうつったお月様をチーズと勘違いします。おなかがペッコペコのオオカミは、チーズほしさに、井戸にポッチャーン!
あらら。
でもその後にきたブタに……。


次々と井戸の中で展開されるお話に笑い出してしまいます。落ちた井戸がさまざまに変化(?)するのですから。ほそながーい井戸の中でのできごとをどうぞお楽しみください。


絵本を見つけて翻訳された伏見操さんからのメッセージをあわせてご紹介します。
 
少しずつ冬の気配がしてきました。お元気ですか?
今回はありそうでなかった、ちょっと変わった本をご紹介します。一見したところ、少々細めの本という印象ですが、実はこの本、縦にぐんと伸びて、開きます。単純なのに、意外と気がつかない形です。お話もこの形にぴったりあって、テンポよく進んでいきます。
 作者のフィリップ・コランタンはファッション誌などでも活躍したイラストレーターです。彼はもうひとつ「何の御用で」という、なんともおかしい本を出しています。ひとこま漫画のような絵本で、たとえば雪の中、サンタが大きな袋をかかえてやってきて、扉の前に立つと、扉を開けた親子が「何の御用で?」ときいたり、壁にローラースケートで激突して、血だらけになっている息子に「痛かった?」とお母さんがきいたり。延々とどうにもならない質問が繰り返されます。最初見たときは、涙を流して笑いました。「ポッチャーン!」と一緒に、こんな本も出せたらいいのになと思います。
 それでは、また。
 

2006年11月28日
 伏見 操


【作】フィリップ・コランタン Philippe Corentin
1936年パリ生まれ。「ELLE」「marie claire」「VOGUE」など、一流ファッション誌のイラストを手掛けた後、絵本を発表しはじめる。そのユーモラスな画風の通り、楽しいもの、おかしいものが大好きで、趣味は昼寝。目指すは、子どもが安らかに眠りにつく、おやすみなさいの絵本ではなく、朝子どもをコチョコチョくすぐって、笑いながら起こすような作品。イラストは本人に似るというが、フィリップも、自分の描くオオカミによく似ているそう。同じく絵本作家のアラン・ル・ソーは、彼のふたごの兄弟である。邦訳作品に「パパー!」(ポプラ社)がある。

【訳】ふしみみさを 伏見操
1970年埼玉県生まれ。英語、フランス語の絵本の翻訳や紹介をしている。楽しいもの、おかしいものが大好きで、趣味は昼寝であるのは、フィリップ同様。目指すは、ぷぷっとふきだしながらも、心によりそう絵本。「ポッチャーン!」は、縦にぐんぐん伸びる、ありそうでない版型と、最後にカエルまでが井戸からいなくなり、オオカミをおいてきぼりにするところが気に入っている。主な作品に『ローラ』『ボヨンボヨンだいおうのおはなし』『どうぶつにふくをきせてはいけません』(朔北社)、『アナトールさんのロバ』(青山出版社)、『ろばのトコちゃんシリーズ』(ほるぷ出版)、『特急キト号』(PHP研究所)など多数。


2006年4月刊行

ボヨンボヨンだいおうのおはなし:表紙  ボヨンボヨンだいおうのおはなし 

ヘルメ・ハイネ作
 ふしみ みさを訳

ISBN 4-86085-037-8
定価 1365円(税込)

 ボヨーン バヨーン ボヨヨーン バヨヨーン

 音を表すカタカナは数あれど、さてこの音はなんでしょう。
 表紙をみたらわかりますね。そう、ベッドの上を飛び跳ねる音。
 あなたは経験したことがありますか? ふわふわする物の上を跳ねる心地よさ。トランポリンも気持ちいい、ベッドの上も気持ちいい。ベッドがなければ畳の上の布団だって(大人は嫌がるかも?)。

 だから、王様だって飛び跳ねるが好きなのです。
 なんといっても、王様ですからストレスの多い仕事をいつも抱えています。
 それらの憂さ晴らしに、ボヨーンボヨーンするのはもってこいだったのです。
 それなのに、それなのに、おせっかいな大臣のおかげで……。

 ヘルメ・ハイネは日本でもたくさんの絵本が紹介されている作家です。いろいろな画風がありますが、今回はコラージュ。
 70年代に一度刊行されているのですが、長らく絶版状態で、今回は非常にうれしい復刊でした。
 しっとりしたコラージュの模様はどのページでも美しく映え、王様の表情はあまりよく見えないのですが、それでも飛んでいる時は幸せだとわかります。だって、うきうきしている空気が流れているんですもの。
 どうぞみなさんもこの楽しみを王様と分かちあいましょう!


【作者】ヘルメ・ハイネ 1941年ベルリンに生まれる。大学で経済学と美術を学ぶ。1976年、絵本作家としてデビュー。ボローニャ国際児童図書展グラフィック賞などを受賞。最近のドイツで、もっとも成功し、人気のある絵本作家の一人である。 日本で翻訳されている絵本に「ぞうのさんすう」(あすなろ書房)、「ともだち」(ほるぷ出版)、「きみがしらないひみつの三人」(徳間書店)など。

【訳者】ふしみ みさを 1970年埼玉県生まれ。洋書絵本卸会社勤務を経て、フランス語、英語を中心に子どもの本の翻訳や紹介につとめている。主な訳書に、『どうぶつにふくをきせてはいけません』『ローラ うまれてくるあなたへ』(以上、朔北社)、『あいにいくよ、ボノム』(講談社)、『ビュンビュンきしゃをぬく』(岩波書店)、『うんちっち』(PHP研究所)など多数。

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Last Modified: 2007/2/22
担当:さかな

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