2004年3月刊行
ウラはママやパパ、2人のお兄さんカレルとパウルの5人家族です。 ママは映画のディレクターで台本を書いたり、撮影のためにあちこち飛び回って仕事をしています。 パパは彫刻家です。ママとは反対にずっと家にいて、庭で石をけずったりわったりしながら石像をつくるのです。 ウラには仲良しの友だちもたくさんいます。大好きな友だちと大好きな家族に囲まれ、ウラの毎日は平和で楽しくすぎていました。 ところが、突然ママが病気になり行ってしまいました……。 大好きなママを失い、家族はつらい時を耐えなくてはなりません。 そんななか、パパに石像の注文をした大司教さまがウラの家に訪ねてきました。 えらい方なのに、たった一人で自分で車を運転してやってきたのです。それも赤いスポーツカーに乗って、です。 大司教さまはパパにお願いしたピエタをじっくりながめました。 昼の光、夕方の光の中でピエタをご覧になられました。 それから、大司教さまは、ウラたちがママを失ったこと聞き、こう話しました。 「あんたたちは、ママがいなくなって不しあわせだとおもっている。だが、かんがえてごらん。それはあんたたちが以前にとてもしあわせだったからだよ。」 読了し、私はこの大司教さまの言葉を何度も反芻しました。 不思議な言葉だと思いました。 物事をくりっとひっくり返してみせてもらったような気分になったのです。 しあわせと悲しみはとても近いのかもしれません。 おとぎ話のような美しさと、人間の深い信頼がこめられている物語だと思いました。 【作者】クリストフ ハイン Christoph Hein 1944年シレジア(現在ポーランド領)生まれ。ベルリンのフンボルト大学で哲学、論理学を修める。翻訳、ラジオ・演劇の脚本を手がけながら小説を発表。1982年の『行きずりの恋人/龍の血』(邦題『龍の血を浴びて』:同学社刊)で作家としての名を確立。旧東独時代から現在まで数々の文学賞を得ている。1998年ドイツ・ペンクラブ会長就任。児童書は本書が二作目。
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2004年2月刊行
本書は、世界の美術がどのような場所で、どのような人々によって、どういう技術で創られてきたかが、わかりやすい絵とともに簡潔な文章で紹介されています。 カバー袖の解説に「大むかしカメラがあったら、きっとこんな情景を見ることができたはずです」と書かれていますが、まさにその通り! たとえば、〈東洋〉の章にある《古代中国》―― 紀元前221年に中国を統一した秦の始皇帝のためにつくられた墓作りを、絵で再現しています。 始皇帝は皇帝になるとすぐに、巨大な自分の墓をつくらせたそうです。古代では奴隷や従者を生きたまま皇帝の死体とともに埋めていたそうですが、始皇帝の時代では、像を使っていたと説明されています。素焼きでつくられているたくさんの像が描かれ、像の胴体、顔、それぞれをできたものから墓におろし、墓の中で像を完成させていく手順がよくわかります。素焼きの兵隊はどれも等身大で顔のつくりもひとつひとつ違います。 〈伝統を離れて〉の章 《ナチスのパリ占領》―― ここではピカソの「ゲルニカ」の複製をみている、ドイツの駐仏大使が描かれています。 「これはあなたがなさったのですか?」と大使がピカソに質問すると、ピカソは「いや、あなたたちです」と答えたエピソードが紹介されています。 世界に広く知られた美術品は、カラー写真も掲載。うれしい美術の手引き書です。
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口語訳詩で味わう百人一首佐佐木幸綱 編著
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音楽としての「百人一首」と出会った佐佐木氏が、それぞれの歌の持つイメージ世界に焦点を当て、“理解する前に、まず感じてほしい”と願って編んだ本。 見開き2頁に、歌を一首、佐佐木氏による口語訳詩が紹介されている。 初句さくいん・下の句さくいん付き |
2004年1月刊行
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Last Modified: 2004/09/08
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