2003年10月刊行
はっきりした色づかいの表紙が目をひく。 勉強に、アルバイトに、そしてもちろん(?)恋に、とジュリアスの夏はいそがしくあわただしい。 少年の夏に、3歳の子どもがくっついているのが楽しい。 オマルの特訓、オムツはずしは、現役の母親にも難題だ。 さて、ジュリアス君のお手並み拝見! 【作者】クラウディア・ミルズ Claudia Mills アメリカの作家。夫と二人の息子とともにコロラド州のボールダーに住む。コロラド大学で哲学を教えながら、子ども向けの本を30冊以上書く。日本に作品が紹介されるのは、本書がはじめて。 |
2003年4月刊行
ソルジャー・マム 海辺の小さな町、ストラウドウオーターに住むジャスミンの夢は、大好きなバスケットボールで奨学金をもらって、大学に進学すること。でも、職業軍人である母さんが戦地へおもむくことになって……。 1990年8月、イラクがクウェートに侵攻し、湾岸戦争に発展したとき、アメリカは約3万7千人の女性兵士を戦場におくりました。これは、突然の招集で母親を奪われ、一歳の弟とともに母親のボーイフレンドと暮らすことになった少女ジャスミンの成長と「新しい家族のありかた」を考える物語です。 作者まえがきより ●約3万7千人の女性兵士が「砂漠の嵐作戦」に送られ、そのうち1万6300人が母子家庭、1200名が軍人同士の結婚で子どものいる女性でした。初めのころの招集は、本書のようにきわめて不十分な通知だけで、子どもたちは長期の母親不在に対してなんら適切な処置なしに置き去りにされました。● 2003年3月に開戦したイラク戦争を思い起こさせる湾岸戦争――。 【訳者】若林千鶴 (わかばやし・ちづる) 1954年、大阪市生まれ。大阪教育大学大学院修了後、中学校教員。国語と図書館担当。楽しむだけでなく、考えさせる読書指導にも力を注ぐ。著書に『学校図書館を子どもたちと楽しもう』(青弓社)、『ディベートをたのしもう』(共著、さ・え・ら書房)、訳書に『ブランディ反抗期真っ最中』(さ・え・ら書房)ほか多数ある。 【画家】むかいながまさ (向井長政) 1941年、鎌倉市生まれ。上智大学スペイン語科卒。出版社勤務を経て、画家として独立。子どもの本に絵を描いて35年になる。『にじ色のガラスビン』(あかね書房)、『ソフィーのねがいごと』(あすなろ書房)、『海にかえった4頭のクジラ』(小峰書店)、『きょうりゅうが学校にやってきた』シリーズ(金の星社)等々。 さすらいの旅 ― 続・生きのびるために 地中には地雷、空からは爆撃……。 飢えとたたかいながら、家族をさがして旅を続けるアフガンの少女が、荒廃した国土で体験し、見たものは? 前作『生きのびるために』は、タリバン政権下のアフガニスタンで、父をタリバン兵に連れ去られ、食糧もつきたパヴァーナの家族の生活が描かれている。家族が生きのびるために取った方法とは――。家族をすくうため、11歳の少女パヴァーナは髪を切り、少年となってカブールの町で働くことになったのだ。 続編の『さすらいの旅』では、母親と姉弟の行方がわからなくなったため、パヴァーナと父は共に、住んでいた町を離れ旅に出る。父親は旅途中で衰弱し死んでしまうが、パヴァーナは、生きのびるため、父の死をのりこえ家族探しの旅を続ける。 前作にひきつづき、過酷な状況は変わらない、いや前より厳しくなっている。飢えの描写が詳細に描かれ、パヴァーナが文字どおり生きのびる様がそこにある。厳しい環境の中、会えない友人に向かって、パヴァーナは手紙を書き、気持ちを涸れさせないようにする。表現することは、パヴァーナにとって生きのびる一つの手段なのだ。そして、廃屋にいた赤ちゃんに、別の場所では片足の少年と出会い、旅は続く。パヴァーナは家族に会えるのだろうか――。 作者あとがきで、少し明るい光がみえてくる。 ――将来のアフガニスタンにとって最も大きな希望は、学校が再開されたことです。今では男の子も女の子も、すべての子どもたちに教育をうける機会があります。しかし、あらゆるものが破壊され、国民がいちじるしい貧困におちいっているこの国が、学校を再建したり、生活の必需品を供給するためには、世界中の人びとからの助けが必要です。―― 【作者】デボラ・エリス Deborah Ellis カナダ・オンタリオ州で育ち、17歳のころより、非暴力、平和運動、女性解放、反戦等の政治活動に参加。現在は、トロントの精神障害者の施設でカウンセラーとして働く。カウンセラーとしての仕事のほか、作家活動、アフガン難民を支援するNGOの中心人物として活躍中。『Xをさがして』(さ・え・ら書房)で、2000年度カナダ総督文学賞(児童書部門)を受賞。本書で、2002年度同賞最終候補。 【訳者】もりうち すみこ (森内寿美子) 1955年、福岡県生まれ。九州大学教育学部卒業。訳書に『Xをさがして』『生きのびるために』(共にさ・え・ら書房)、『とどまることなく』『キング牧師の力づよいことば』(共に国土社)、『真実の裏側』(めるくまーる)、『かしこいブタのロリポップ』(アリス館)、『ジェニー・エンジェル』(岩崎書店)。 【画家】吉川聡子 (よしかわ・さとこ) 1968年、北海道生まれ。北海道教育大学で日本画を学ぶ。作品に『イソップ』(金の星社)、『シャーロット・ドイルの告白』(偕成社)、『ビターチョコレート』『ブランディ反抗期真っ最中』『生きのびるために』(共にさ・え・ら書房)、文庫版『ガラスの仮面』シリーズ表紙画(白泉社)など。 |
2003年3月刊行
【作者】ジョーン・リンガード Joan Lingard 1932年、スコットランドのエディンバラ生まれ。北アイルランドのベルファストで教育を受け、教員生活を経て作家活動にはいる。現代イギリスの宗教・家庭問題をテーマに作品を発表。主な作品に『ベルファストの発端』に始まる「ふたりの世界」5部作(晶文社)、『トムのほんとうのうち』(徳間書店)などがある。現在、エディンバラ在住。 【訳者】定松 正 さだまつ・ただし 1937年、長崎県生まれ。共立女子大学文芸学部教授。主な訳書に『紅はこべ』(春陽堂書店)、『漁師とそのおかみさん』(西村書店)、『みどりの魔法の城』(大日本図書)、『いくじなし!』『赤い十字章』『ジョージア――旅立ちの予感』(共にさ・え・ら書房)ほか。 【画家】田上千晶 たがみ・ちあき 成城大学国文学科卒業後、セツ・モードセミナー卒業。フリーイラストレーターとして広告・書籍で活動。 |
2003年3月刊行
1960年代のイスラエル ユダヤ人女性の家に アラブ人医学生が下宿した 2人は静かに暮らしていたが…… この物語の主人公は、アラブ人のハミッドです。イスラエル市民権をもっていて、イスラエルの大学、医学部にすすみますが、下宿先を見つけることができません。誰もが、アラブ人と名のるとドアをぴしゃっと閉じるのです。最後に紹介されたところで、ドアが開きました。しかし、家主であるミリアムはハミッドをハミッドと呼びません。どんなに訂正しても違う名前で呼びつづけます。ハミッドは事情がつかめないまま、ミリアムのあたたかい応対に下宿先に落ち着きます。ミリアムの呼んでいる名前はだれ? 差別の物語でも、戦争の物語でもありません。 民族や紛争のことでもありません、 いえ、そのことにもふれてはいるのです。 でも、ここではハミッドとミリアムという2人の人間が描かれています。 壁を感じるのではなく、 気持ちが通いあうことの希望を、よろこびを。 本の帯には 「氷のとびらをとかす ひと筋の光」とあります。 その光はどこからくるのでしょう――。 【作者】ドリット・オルガッド Dorit Orgad ナチス政権下のドイツに生まれ、1939年、2歳の時、家族とともに現イスラエルに帰還。ヘブライ大学にて経済学、社会学を修め、教師およびジャーナリストになる。その後、バル・イラン大学にてユダヤ哲学博士号取得。50冊の著作のうちほとんどが、イスラエル国内テレビ、ラジオで脚色放送され、各賞受賞。当作品はドイツ語、スペイン語に翻訳されている。 こちらは2001年12月に刊行された本です
パレスチナとイスラエル 闘いのかたすみで パレスチナ・アラブ人のひとりとして、イスラエルへの憎悪と敵対心の中で育てられた少年サミール。ひざの手術を受けるためにイスラエルの病院に入院します。両親もだれも見舞いに来ることができない状況で、不安と孤独を感じるサミール。同じ病室にいるイスラエルの子どもたちと交流するうちに、敵だと教えられてきた彼らのことを、ひとりの人間として病状を案じるようになり……。 |
2003年2月刊行
19世紀の中頃、100万人もの人が餓死したと いわれるアイルランドのジャガイモ飢饉。 とある農村を舞台に、絶望と困難の中で生きのび、 そして希望を見いだし生きぬいた少女の物語。 ノリーと家族はイギリス人の地主のもと、厳しい地代を支払いながら、ジャガイモを育て生活していた。母親は亡くなり、父親は地代を支払うために出稼ぎでほとんど家にいない。 家の中の大人は祖父だけ。それから、ノリーと姉シリア、そして弟のパッチの3人の子どもたち。 「ジャガイモがやられりゃ、わしら飢え死にするまでよ」 近所に住むノリーの大事な友だち、ショーンの祖母の言葉がしめすとおり、ジャガイモは一家の命綱。 日々の食べ物にも困窮するくらいの中、ジャガイモが黒くなっていく――。 ノリーは、ふとしたことからアンナという一人暮らしの女性と親しくなる。アンナは薬草のことならなんでも知っている。 ときどき、ノリーやパッチに牛乳や食べ物も与えてくれる。ノリーはアンナから薬草について学び、深く交わるようになった。 ジャガイモはとうとう壊滅状態――、食べ物を手にいれるため、あらゆることをするノリー。 作者、ギフの8人の曾祖父母のうち、6人がその飢饉を生きのびたそうです。 1845年から1852年にかけてアイルランドをおそった大飢饉。多くのアイルランド系アメリカ人はこの飢饉のために、アメリカ人になったと作者は書いています。移民となって国を出たけれど、移動の途中で命をおとした人も少なくありませんでした。ギフは当時のことを語りたがらない人びとに会い、「知っていることをなんでもいいから話してください」とお願いし、いろいろな話を聞いているなかで、この物語の主人公ノリーがみえてきたといいます。いよいよ書くという時、ギフは願をかけました。 「どうか、当時のことをわたしに正しく語らせてください。子どもたちや孫たちに語りつぎたいのです。すべての人に知ってほしいのです」 【作者】パトリシア・ライリー・ギフ Patricia Reilly Giff アメリカ・ニューヨーク市ブルックリン生まれ。20年間教師をしたのち、子どものための本を書き始め、60冊をこえる著作は広く子どもたちに読まれ愛されている。"Lily's Crossing"で1998年度ニューベリー賞オナー、ボストン・グローブ・ホーンブック・オナーに選ばれ、本作ではゴールデンカイト・オナーに選ばれた。また"Pictures of Hollis Woods"では2003年度ニューベリー賞オナーに選ばれている。 現在コネチカット州在住。 【訳者】もりうち すみこ 森内寿美子 1955年、福岡県生まれ。九州大学教育学部卒業。訳書に『Xをさがして』『生きのびるために』(共にさ・え・ら書房)、『とどまることなく』『キング牧師の力づよいことば』(共に国土社)、『真実の裏側』(めるくまーる)、『かしこいブタのロリポップ』(アリス館)、『ジェニー・エンジェル』(岩崎書店)。 |
2003年2月刊行
ユウレイ学校仲間の「友情」と「冒険」シリーズ第5作!
|
アマーリア姫と恐怖ツアー 王立ユウレイ学校のなかまたち(4) アレクサンドラ・フィッシャー=フーノルト 作 松沢 あさか 訳 ユーリア・ギンスバッハ 画家 定価:本体1,200円+税 |
アマーリア、エドゥアルト、エミリーの三人が王立ユウレイ学校へ入学して、一 年がたちました。海賊船におそわれたり、ユウレイハンターがのりこんできたり、 学校にとっては、ハラハラドキドキの一年間でした。ところが、こんどはドキドキ ブルブル気分を求める人間たちが、ツアーを組んでやってきました。なかよし三人 組はこのときとばかり、習いおぼえたユウレイ術でツアー客をふるえあがらせます。 しかし、そのことでユウレイ学校が世間に知れわたり、観光名所になってはたまり ません。人間の子、フィンも加わって練りあげた「人間おことわり」作戦とは?
【作者】アレクサンドラ・フィッシャー=フーノルト 1966年デュッセルドルフ生まれ。ドイツ学、イギリス学を修めたのち、1997年までケルンの旅行案内書出版社で編集業務。同年、長女の誕生を機に退社。その後、ミヒャエル・エンデに関する博士論文作成と子ども向けの読み物執筆の生活に入る。
【画家】ユーリア・ギンスバッハ 1967年ダルムシュタット生まれ。ハイデルベルク大学で芸術、音楽、ドイツ語を修め、青少年図書研究所で大学の研究課程を修了。現在イラストレーターとして、夫、五人の子どもと共にブラウボイレンに居住。
【訳者】松沢あさか 1932年、愛知県生まれ。名古屋大学文学部文学科(ドイツ文学専攻)卒業。訳書に『ウルフ・サーガ』(福音館書店)『ウーヌーグーヌーがきた!』『耳の中の小人』『絵で見るある町の歴史』(共にさ・え・ら書房)など。メールマガジン「月刊児童文学翻訳」2002年12月号「プロに訊く」に登場。
2002年12月刊行
ユウレイ学校仲間の「友情」と「冒険」シリーズ第3作! 人質をとられ、死の湖へよびだされたアマーリア姫。 あいては人間社会からきた、ユウレイハンターです。 この悪がしこい男との知恵くらべに、ユウレイ学校の 仲間たちは、勝つことができるでしょうか? アマーリアたちが王立ユウレイ学校に入学して、半年がたちました。海賊さわぎもおさまって、さあ、勉強とはりきっているところへ、またまた大事件が! なかよしの科学者ユウレイがきえ、なかまのエミリーもゆくえふめいです。監視カメラがねらっているのは、アマーリア? それとも? 小さなユウレイのなかまたちは、古城の宝をめぐるなぞを解きほぐすことができるでしょうか? |
2002年11月刊行
海賊の船長がねらうのは、ふしぎな力をもつなぞの鏡。 それをうばわれたら、ユウレイ世界はおしまいです。 悪だくみを知っているのは、アマーリア姫と仲間だけ。 知恵と勇気で立ちむかいますが、追いつめられて……。 ユウレイ学校仲間の「友情」と「冒険」シリーズ第2作! 王立ユウレイ学校の新学期。アマーリア姫、エドゥアルトたちは担任のピカピカよろいのエセルバート騎士に、ユウレイ術をおそわっています。ほかにエチケットの時間、ユウレイ史の時間もあって、生徒は大いそがし。そんなある夜、くらやみにまぎれて、ユウレイ海賊船が近づいてきました。ねらいは、ユウレイかがみ……。アマーリアたち4人組は、かがみを守るために立ちあがりました! |
2002年10月刊行
主人公はアマーリア姫。伯爵家の生まれで、ユウレイ歴は四百五十年。 今年はじめて、王立ユウレイ学校で女子ユウレイの入学が認められたので入学試験にチャレンジする。 今までは家つきユウレイだったのだけど、ぜひこの試験をパスして、お城でみんなを驚かすユウレイになりたいと願う。 でも、課題は簡単ではない。対戦相手は、半ポルターガイストのエドゥアルト! アマーリア姫とそのなかまたちの冒険シリーズ第1作 続刊『アマーリア姫と海賊船』『アマーリア姫と古城の宝』も近日刊行! 作者、アレクサンドラ・フィッシャー=フーノルト(Alexandra Fischer-Hunold) は、1966年生まれ。 1997年までケルンの旅行案内書出版社で編集業務をつとめる。 同年、出産を機に、エンデに関する博士論文作成と子ども向けの読み物執筆をはじめる。 読みやすい訳文、楽しい挿画、小学校低学年から楽しめます! |
2002年4月刊行
夢へのパスポートは七つの善行。 少女と野の風、 ドラゴンを道づれに、ウェールズをめぐるマイクとサンディーの旅。 2000年 ペーター・ヘルトリング賞 受賞 作者は1957年生まれ、多くのアンソロジーに作品を発表している。 初めての長編小説である本作でペーター・ヘルトリング賞を受賞。 |
さ・え・ら書房(http://www.saela.co.jp/)
〒162-0842 東京都新宿区市谷砂土原町3−1 TEL:03-3268-4261
電子メールによるお問い合わせはinfo@saela.co.jp で
Copyright (c) 2002-2003 SAERA SHOBO PUBLISHING COMPANY
Last Modified: 2003/10/22
担当:さかな
HTML編集: 出版翻訳ネットワーク・やまねこ翻訳クラブ