講談社 翻訳読み物新刊情報

2004年3月刊行

ロラおばちゃんがやってきた:表紙

ロラおばちゃんがやってきた

How Tia Lola came to visit stay

フーリア・アルバレス 作
神戸万知 訳

ISBN 4-06-212313-4
定価 1470円(税込)


ロラおばちゃんが、ドミニカ共和国からやってきた。
どこにって? ミゲルとファニータの家に!

2人の両親は離婚してニューヨークを離れ、ここヴァーモントでママと3人暮らしになった。
学校が終わってまっくらになるまで、子どもたちだけで過ごすことを心配したママが、ロラおばちゃんにヘルプを求め、すぐさまロラおばちゃんはたくさんの荷物をもってやってきてくれたのだ。
オウムの形をしたピニャータ(お菓子入れ)や、ドミニカの国旗が入った筒。おばさんの日用品に親戚たちからのたくさんのお土産。
ミゲルたちの家が、にぎやかになる――。

ロラおばちゃんは太陽にようにあったかい。
両親が離れたことでさみしくなっている子どもと、大人ひとりになり心細く思っているママの気持ちを、おいしい料理やお話でぽかぽかにしてくれる。ミゲルやファニータは、おばちゃんに英語を教えてあげたりなど、お互い(?)に助け合う生活がはじまった。でもおばちゃんは、いつまでいてくれるのだろう。

あったかい笑顔は、それだけで人をうれしく幸福にしてくれる。
いいなあ、ロラおばちゃんのような大人の存在は。
ロラおばちゃんのあったかさにふれたい人は、ぜひご一読を!
どうしてロラおばちゃんが黄色いスカーフをしているのか知りたい人、ドミニカ共和国ってどんなところかなと思った人もぜひぜひ!

!翻訳者 神戸万知さんのHPでWeb版あとがきが読めます!


【作者】フーリア・アルバレス Julia Alvarez ドミニカ出身のアメリカの詩人、作家。1950年生まれ。10歳の時にアメリカに移住。1991年に著した小説『ガルシア姉妹はどうやって英語のなまりをなくしたか』がベストセラーとなる。ほかに、『ひみつのあしあと』『わたしたちが自由になる前』などがある。

【訳者】神戸万知 ごうど・まち ニューヨーク州立大学卒業。白百合女子大学大学院博士課程修了。訳書に『四月の野球』(理論社)、『デルトラ・クエスト モンスターブック』(岩崎書店)、共著に『ファンタジービジネスのしかけかた』(講談社)など。
http://homepage1.nifty.com/pika_pika/

【画家】木内達朗 きうち・たつろう


2003年7月刊行

マジックショップシリーズ 2冊同時刊行!

ジェニファーと不思議なカエル:表紙 ジェレミーとドラゴンの卵:表紙
ジェニファーと不思議なカエル


ISBN:4-06-211940-4
定価:本体1400円(税別)
 ジェレミーとドラゴンの卵 


ISBN:4-06-211939-0
定価:本体1400円(税別)
ブルース・コウヴィル 作
金原瑞人 訳
茂利勝彦 画

マジックショップって?
自分の住んでいる町はよくわかっていると思う。
それが小さな町であれば、知らない通りなんてないはず。
でも、この2冊に登場する、ジェニファーもジェレミーも、
ひょんなことから自分の町で知らない通りが現れ、そこを歩いていて、
不思議な店に入るのだ。その不思議な店が「マジックショップ」。
中に入ると、マジシャンが使う道具がずらりと並んでいる。
あなたなら、何を買う?

◆ジェニファーと不思議なカエル◆

 ジェニファーは「マジックショップ」でヒキガエルを買う。お値段75セントなり。
 ペットについて書く作文の宿題用にと思っていたのだけど、このヒキガエル、「マジックショップ」にいただけあって(?)ふつうではない。
 「ガマ」は言葉が話せる、とってもいばりんぼ。声まねがすごく得意。
 買う時の注意は、とにかく「しっかり世話をすること」。
 「ガマ」の世話はなかなか大変。
 そして、「事」は起こるべくして起こった。


 まっすぐ、すっきり、物語が入ってくる。
 ジェニファーは美人になりたかった。それなのに、ペットはヒキガエルの「ガマ」で、お世辞にも美しい見かけではない。
 そして「ガマ」のおかげで、ハプニングが次々と!
 いばりんぼの「ガマ」だって、夜ひとり(いや、一匹で)涙する悩みもかかえているのだ。
 ジェニファーの「美人」になりたい願望、「ガマ」の野望(?)、さまざまなことがからみあう。
 パズルがはまるように、ラストはかちっとおさまる、その快感!

◆ジェレミーとドラゴンの卵◆

 こちら、ジェレミーもまた、「マジックショップ」にまよいこみ、買ったものは「ドラゴンの卵」。お値段25セントなり。
 買う時の注意は、やっぱり「しっかり世話をすること」。
 ジェレミーは愛情をこめて世話をした。
 ドラゴンと言葉は直接交わさない。イメージを頭に描き、伝えたいことを表現する。
 ドラゴンの成長は驚くほど早い。
 ジェレミーは、ドラゴンが大きくなったら、ドラゴンの世界に戻す役割もおっている。
 けれど、友情が芽ばえ、大好きなドラゴンを手放したくない……。


 魅力をふりまくいきもの、ドラゴン。
 世話は大変なのはわかるけれど、この物語を読むと自分でもそばにおいてみたくなる。
 イメージで語る交信のさまも美しく、読後はドラゴン世界の余韻たっぷり!

【作者】ブルース・コウヴィル Bruce Coville ニューヨーク州に生まれる。おもちゃ制作、小学校教師、雑誌編集業をへて、執筆活動に入る。60冊にのぼる児童向けの作品を書いているが、ほかにも詩、脚本、短編、新聞記事、何千通もの手紙、数年におよぶ雑誌への投稿もある。主な作品に『先生はエイリアン』『お城のゴブリン』。

【訳者】金原瑞人 
1954年、岡山県に生まれる。翻訳家。法政大学社会学部教授。主な訳書に、『豚の死なない日』『スウィート・メモリーズ』『ルーム・ルーム』『海の魔法使い』『イルカの歌』『レイチェルと滅びの呪文』『フェイス』『難民少年』『クリスマスの天使』『エルフギフト』「マインド・スパイラル」シリーズ『ヘヴンアイズ』など多数。

【画家】茂利勝彦 
岐阜県生まれ。神奈川県在住。「驚き」のあるファンタジックな世界を表現。『アイアンマン』『ソロモン王の洞窟』『昆虫ロボットの夢』。

装幀●坂川栄治+藤田知子(坂川事務所)

2003年6月刊行

『穴』のスタンリー、いかに生きのびるかを語る

 道:表紙

道 ROAD

ルイス・サッカー/作
幸田敦子/訳

表紙・扉/画 出久根育
本文/画 深瀬優子
装丁 鈴木成一デザイン室

原題: "Stanley Yelnats' Survival Guide to Camp Green Lake"(2003)

 

 やさしすぎて気の弱い、いつでも踏んだり蹴ったりの、でも、だからこそ、最後には運命を大逆転した男の子。そのスタンリーが、いばらの道の踏み越えかたを、キャンプ暮らしをふりかえりつつ、教えてくれます。答えをではない。いかに考え、選ぶかを。きれいごとはいっさい抜き。ただしユーモアたっぷりに。(まえがきより)

 表紙の絵は『穴』と同じ、少年矯正施設のキャンプで穴をほる中学生のスタンリー。当時の経験から学んだ、生きのびるための知恵とこつを、今や高校生になったスタンリーが大いに語ります。

【作者/ルイス・サッカー (Lois Sachar)】 1954年生まれ。アメリカで子どもたちに絶大な支持を受けている人気作家。『穴』で、1998年度の全米図書賞、1999年度ニューベリー賞ほか多数の賞を受賞。他に『トイレまちがえちゃった!』(講談社)も邦訳されている。

【訳者/幸田敦子 (こうだ あつこ) 1953年、東京生まれ。『リトル・カーのぼうけん』(リーラ・バーグ作/大日本図書)で翻訳家としてデビュー。主な訳書に、『イングランド田園讃歌』(スーザン・ヒル作/晶文社)、『誰もが戻れない』(ピーター ロビンスン作/講談社)などがある。1996年に出版された『千尋の闇』(R・ゴダード作/東京創元社)は、ミステリ界におけるゴダード人気の火つけ役となった。横浜在住。

【画家/出久根育 (でくね いく)】 1969年生まれ。武蔵野美術大学造形学部版画専攻卒業。主に銅版画を制作している。1998年にはボローニャ国際絵本原画展で入選した。『おふろ』(学習研究社)、『あめふらし』(グリム童話/パロル舎)などの作品がある。現在プラハ在住。

【画家/深瀬優子 (ふかせ ゆうこ)】 1967年生まれ。神奈川県出身。油絵具とテンペラを交互に塗り重ねる混合技法で、主に作品を描いている。

☆『穴』の原書 "Holes" のレビューおよび、やまねこ翻訳クラブ会員の感想もご覧下さい。

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Last Modified: 2004/04/22
担当:ちゃぴ さかな
HTML編集: 出版翻訳ネットワークやまねこ翻訳クラブ