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あかいはな さいた
タク ヘジョン 文・絵
かみや にじ 訳
ISBN 978-4-00-111208-5
定価 本体1400円+税 |
物語が生きる力を育てる
脇 明子 著
ISBN 978-4-00-025301-7
定価 本体1600円+税 |
白い色を背景に、13種類の花が見開きいっぱいに咲きほこっている。チューリップは花びらの質感がまるでさわれるかのような、さわったら、そのふくふくとした花びらをさわれるかのように思えるほどの美しさ。
それらの花に添えられているのは、シンプルな短い詩。たとえばおきなぐさはこんな感じ。
おもいに ふけるおきなぐさ
はるの ひざしに うとうとと
表紙の花はまつばぼたん。
みんな にっこり まつばぼたん
まいあさ そろって まあるい えがお
花と言葉をたっぷり楽しめる絵本です。 |
ダイジェストにまとめることができないくらい濃密に物語の力について語られている。かといって、重たい内容ではない。3年前に『読む力は生きる力』を刊行し、その後さまざまな現場で見聞き、調べたことをもとに、「本を読まれること自体が大切ではない」という気持ちになったという。そこまでの思考をたどるのは、子どもたちが好む昔話の魅力をさぐっていくことでもあった。試行錯誤しながら、思考を深めた著者の言葉は、かろやかでいて深い。
物語に力のある本を子どもに手渡そうという著者の気持ちが強く伝わってくる。
物語に興味のある人にはおすすめしたい一冊。 |
タク ヘジョン
1975年、ソウルに生まれる。大学でイラストレーションと西洋画を専攻。現在は、子どもたちに絵を教えながら、フリーのイラストレーターとして活躍している。水彩画を好んで描き、はじめての絵本作品『ネコのまつ階段』で、2003年イ ゥギョン賞を受賞した。
かみや にじ(神谷丹路)
1958年、東京に生まれる。国際基督教大学卒業。韓国に留学した後、韓国の歴史や文化を紹介する仕事にたずさわっている。子どもの本の訳書に『だまされたトッケビ』『あかてぬぐいのおくさんと7にんのなかま』『よじはん よじはん』(以上、福音館書店)、『仙女ときこり』(岩崎書店)、『パンチョギ』(少年写真新聞社)などがある。
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脇 明子
1948年生まれ、東京大学大学院人文科学研究科修了(比較文学)。現在、ノートルダム清心女子大学教授。「岡山子どもの本の会」代表。岡山県子ども読書活動推進会議会長。著書に『読む力は生きる力』(岩波書店)、『幻想の論理』『ファンタジーの秘密』(以上、沖積舎)、絵本に『おかぐら』(福音館書店)など。訳書は、マクドナルド『お姫さまとゴブリンの物語』、デ・ラ・メア『ムルガーのはるかな旅』、キャロル『不思議の国のアリス』、ハーン『雪女 夏の日の夢』(以上、岩波少年文庫)など多数。
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