2003年9月刊行全米図書賞受賞作
●キンバリー・ウィルス・ホルト著作リスト(やまねこ翻訳クラブ作成) 【作者】キンバリー・ウィルス・ホルト Kimberly Willis Holt フロリダ州生まれ。海軍士官の父をもち、幼年期はアメリカ内外の各地で暮らす。テキサス州アマリロ在住。デビュー作『マイ・ルイジアナ・スカイ』(1998)(白水社より近刊予定)で、ボストン・グローブ=ホーンブック賞ほか多数受賞。本書で1999年ヤングアダルト部門全米図書賞受賞。 【訳者】河野 万里子(こうの・まりこ) 1959年生。上智大学外国語学部フランス語学科卒業。国際翻訳賞新人賞受賞(1993)。主要訳書にフランソワーズ・サガン『愛は束縛』『逃げ道』(新潮社)、ドナ・ウィリアムズ『自閉症だったわたしへ』(新潮社)、ルイス・セプルベダ『カモメに飛ぶことを教えた猫』(白水社)、シュジー・モルゲンステルン『秘密の手紙 0から10』(白水社)など多数。 装丁 丹羽朋子/カバー絵 小林治子 |
2003年3月刊行2002年ニューベリー賞オナー(次点)作品
「理由なんてないけど、心の奥のほうでそうだってわかるっていうこと、ない?」大人たちにそうたずねるのは、11歳の主人公プリムローズ。彼女にはわかっていた――両親はまだ生きている、と。彼女の両親は、嵐の日に舟で海に出たまま戻ってこない。学校のカウンセラーは、今後のためにも、両親が死んだという事実を認めたほうがいいと迫るが、プリムローズは聞く耳をもたなかった。両親はどこかの島に流れ着いて娘のことを心配しており、なんとかして戻ってくるはず……プリムローズはそう信じていたのだ。やがてプリムローズは、たった一人の身内であるジャックおじさんと暮らし始める。そして、小さな町の中では数々の騒動がもちあがるのだった。 プリムローズは、自分の考えをきちんと持った女の子(でも、どこか抜けたところがあって、とんでもない事件をひきおこしたりもする)。彼女の目を通して、町の人々の姿が語られていく。防虫剤のにおいをプンプンさせる近所のおばあさん、何かにつけて自分の一族の自慢話をするカウンセラー等々。プリムローズに悪気はないのだけれど、その冷静でシニカルな視点にはにやりと笑わされる。ユーモアのきいた、少々おおげさともいえる描写は、前作の "The Trolls" 同様、ホーヴァートの得意とするところ。そのおかしさを透かして、本当に大切なものや、隠れた悲しみや孤独が見えてくる。そのあたりが、本作品がボストングローブ・ホーンブック賞次点、ニューベリー賞次点に選ばれた所以だろう。筋の運びに多少強引さは感じるものの、これだけの役者たちを登場させて最後に丸くおさめる手腕には、素直に感嘆させられる。 題名の "Everything on a Waffle" は、町にあるレストランが、どんな料理もワッフルの上にのせて出すことに由来している。ちゃんと目を開けていれば、小さな町でも人生のいろんなことがわかる、そんなことがこの題名に込められているのかもしれない。そのレストランのオーナー、ミス・バウザーは、プリムローズの話を聞いてくれ、アドバイスをくれる人。また、ジャックおじさんも、両親の生死には触れず、プリムローズをそのまま受け入れてくれる。自分にとって本当に大切な人は、ワッフルのように身近にいて見守ってくれる人だと、プリムローズは気づくのだ。 各章の終わりに添えられたユニークなレシピの数々もお楽しみに。 (植村わらび) メールマガジン「月刊児童文学翻訳」2002年2月掲載レビュー及び作者紹介より 【作者】Polly Horvath (ポリー・ホーヴァート) 1957年ミシガン州生まれ。9歳から創作をはじめ、18歳までのあいだ原稿を書いては編集者に送り続けた。その頃原稿を受け取った編集者の一人が現在のエージェントである。18歳でいったん執筆を中断し、トロントやニューヨークの学校でダンスを学ぶ。1989年に1作目である
"An Occasional Cow" を出し、本作品で6作目。カナダのバンクーバー島在住。 |
2002年12月刊行フランスで最も権威ある児童文学賞〈トーテム賞〉を受賞!国内外合わせると合計16の賞に輝いたYA小説!
読後感がさわかで心地よく、生きていることの躍動感あふれるヤングアダルト小説! 〜〜 内容 〜〜 10歳のエルネストは生まれると同時に母を亡くした。 そして父は謎の行方不明に――。 祖母に育てられたエルネストの生活は、毎日判を押したように単調なもの。 食べるものも着るものも毎日同じ。 エルネストはそれが自分の生活だと思っていた。 そこに新しい風が入ってくる。 14人きょうだいの13番目の女の子、ヴィクトワールが転校してきたのだ。 彼女はエルネストの生活に積極的に介入し、どんどん変化をもたらす。 止まった空気が動き出した。祖母までも、新しい風にふかれ……。 年齢に応じてそれぞれに楽しみ、味わうことのできるチャーミングな一冊。 (訳者あとがきより) 【作者】ジュジー・モルゲンステルン アメリカのニュージャージー州ニューアーク生まれ。30年ほど前に、南フランスに移り、現在はニース在住。 |
2002年10月刊行
【作者】ティム・ボウラー(Tim Bowler) 1953年、イギリス生まれ。大学でスウェーデン語やスカンジナビアの文化を学んだのち、林業から教師まで様々な職を経て、最初の作品 ”Midget" を書き上げる。三作目の "River Boy"で1997年カーネギー賞を受賞。本作は五作目にあたり、初の邦訳となる。 【訳者】小竹由美子(こたけ ゆみこ) 1954年生まれ。早稲田大学法学部卒業。訳書にジャクリーン・ウィルソン『みそっかすなんていわせない』『バイバイわたしのおうち』(以上、偕成社)など。 〜 〜 内容 〜 〜 嵐の夜、両親はそろって出かけ、きょうだい3人で留守番する予定だった。しかし、エラは兄フィンが友人の家に行きたいのを知り、快く送り出す。弟のサムと一緒に待ってるから大丈夫……。兄フィンが家に戻ってきた時に玄関においてあった紙切れには、「だれかに話したら、娘の命はない。またわれわれのほうから連絡する」 〜 〜 〜 〜 〜 誘拐という恐ろしい出来事と共に、静かな家族生活が一変します。兄が妹を大事に思う気持ち、弟が不思議な能力を発揮するシーン、そのどれもが、緊迫した空気の中で物語は進行します。 http://www.timbowler.co.uk/ ▼出版社HPで一部を立ち読みできます。 http://www.hakusuisha.co.jp/ |
2002年8月刊行
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Last Modified: 2004/05/18
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