やまねこ調査隊

　2000年12月、やまねこ翻訳クラブ会員による、翻訳児童書ベスト５の投票が行われた。対象となるのは、1999年11月から2000年10月までに出版された邦訳児童書。読み物・絵本の部門別に、その結果をご報告する。

■第３回やまねこ賞　読み物部門
大賞『黄金の羅針盤』『神秘の短剣』
　　　（ライラの冒険シリーズ I・II）　　
　　　フィリップ・プルマン作　大久保寛訳　新潮社
２位『ハリー・ポッターと賢者の石』
　　『ハリー・ポッターと秘密の部屋』
　　　Ｊ・Ｋ・ローリング作　松岡佑子訳　静山社
３位『第八森の子どもたち』
　　　エルス・ペルフロム作　野坂悦子訳　福音館書店
４位『地獄の悪魔アスモデウス』
　　　ウルフ・スタルク作　菱木晃子訳　あすなろ書房
５位『金鉱町のルーシー』
　　　カレン・クシュマン作　柳井薫訳　あすなろ書房

■第３回やまねこ賞　絵本部門
大賞『かようびはシャンプー』ウーリー・オルレブ作
　　　ジャッキー・グライヒ絵　もたいなつう訳　講談社
２位『エヴァ　花の国』ラスカル文　ルイ・ジョス絵
　　　山田兼士訳 セーラー出版
３位『ローザからキスをいっぱい』
　　　ペトラ・マザーズ作　えんどういくえ訳　ＢＬ出版
４位『雪の写真家ベントレー』
　　　ジャクリーン・ブリッグズ・マーティン作
　　　メアリー・アゼアリアン絵　千葉茂樹訳　ＢＬ出版
５位『たったひとりの戦い』
　　　アナイス・ヴォージュラード作　平岡敦訳　徳間書店

　読み物部門では、人気の「ハリー・ポッター」を押さえ、壮大な冒険ファンタジー「ライラの冒険」シリーズ（３部作中の２作）が堂々の大賞受賞。「ライラ」は投票者のほとんどが１位か２位に推しているところからも、評価の高さがうかがえる。完結編の翻訳も待ち遠しい。３位のオランダ戦争文学も含め、読み応えのある大部の作品が上位を占めることになった。

　一方、絵本部門は、バラエティあふれるラインナップとなった。子どもの日常を生き生きととらえた大賞作、重厚な印象と余韻を残す２位作品ほか、家族のふれあいを描いた感動作、伝記ノンフィクション、絵の力を見せつけた大判絵本などが顔を並べた。

　本好きのやまねこたちおすすめの絵本と読み物、2001年の読書ライフの参考にしてみてはいかがだろうか。

（ながさわくにお）

「やまねこ調査隊」もくじ

３月号「洋書でブレイク」