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月刊児童文学翻訳

─2006年9月 別冊(No. 83)─

児童文学翻訳学習者による、児童文学翻訳学習者のための、
電子メール版情報誌<HP版+書店街>
http://www.yamaneko.org/
編集部:mgzn@yamaneko.org
2006年9月25日発行 配信数 2390

もくじ

 徳間書店大特集号(保存版)

 第1部
  ◎「子どもたちに良書を」 
    ◇◆児童書編集部編集長上村令さんのお話から◆◇

 第2部
  ◎やまねこのおすすめ本 
    ◇◆新刊から注目作まで、レビュー15本公開!◆◇

  ◎特別編 
    ◇◆邦訳絵本が生まれるまで◆◇
 

●このページでは、書店名をクリックすると、各オンライン書店で詳しい情報を見たり、本を購入したりできます。

 


 今年で創設13年を迎えた、徳間書店児童書編集部。そこから生み出されたすばらしい作品の数々は、当クラブ内掲示板でもたびたび話題になり、本誌でも取り上げることが多い。また、年末恒例の〈やまねこ賞〉では常連となっている。海外作品の刊行数も多いため、翻訳を志す者にとっては注目の存在だ。

 この別冊号では、第1部として、児童書編集部編集長の上村令さんから児童文学の翻訳作品に対する取り組みをお伺いした。続く第2部では、読み物を中心にやまねこ会員おすすめの作品を多数ご紹介するとともに、特別編として邦訳絵本が産声を上げるまでの過程を、エッセイ形式でお届けする。

 


●第1部●  「子どもたちに良書を」
◇◆児童書編集部編集長上村令さんのお話から◆◇


◆児童書編集部の概要

 アサヒ芸能を母体とした徳間書店は、1954年に創業。そこに児童書編集部が誕生したのは、それから40年後の1993年のことだった。1年の準備期間を経て、3人でスタートした編集部は、翌94年5月に最初の絵本『いじわるブッチー』『たくさんのお月さま』『あるげつようびのあさ』の3冊を、そして6月には児童文学『おじいちゃんは荷車にのって』『オスカルとポプラ通りのひみつ』『海辺の王国』の3冊を刊行。以来、「子どもの本は、どんなによくてもよすぎることはない」を合言葉に、現在まで翻訳書だけで「年間平均24.3冊、つまり月2冊」のハイペースで、世界各国の良書を日本の子どもたちに送りつづけている。徳間書店の児童書といえば、背表紙に描かれた、少し開いたドアから、ちょこんと顔をのぞかせるかわいいクマのロゴがおなじみだが、これは〈とびらのむこうに別世界〉という同社のキャッチコピーを表したもの。良書を通じて、子どもたちにまだ見ぬ広い世界を知ってほしいという編集部の願いが感じられる。

◆出版傾向

 徳間書店から1年間に出版される児童文学は、翻訳作品が7〜8割を占め、中でも英国の作品が3割にものぼっている。だが意外にも、編集部としては、翻訳作品だけを重視しているわけではないという。翻訳作品ならではの国や文化の違いによるおもしろさもあるが、基本的には日本を含め、どこの国の作品かにはこだわらず、世界のどこでも通用する普遍的なすばらしさをもった良書を紹介したい考えだ。上村さん曰く、「世界には子どもの識字率を上げることに一生懸命にならざるをえない国もいまだに多くあるわけで、そういう国では児童書の数自体が多いとはいえません。そうした国の作品も、おもしろいものがあればぜひ出したいとは思うのですが、現実にはやはり、盛んな出版活動の中で切磋琢磨される国に、優れた作品が多くなります。そういう意味で、やはり英語、ドイツ語など出版点数の多い言語の作品には、魅力的なものが多くなりますね。むしろ割合的なことからすれば、日本の作品はなかなかの健闘ぶりかもしれません。世界中の出版物という観点からみれば、日本の作品というのは、ごく一部ですからね」。

◆魅力的な作品に出会うために

 作品探しの場は、基本的にはボローニャとフランクフルトのブックフェアだ。春にボローニャでみつけた作品の検討が一段落したころ、秋のフランクフルトで新しい本を探しはじめるというサイクル。フェアでは他言語の作品も英語で紹介されるため、世界各国の作品を探すことができる。またフェアの前後では、現地の図書館員や海外の編集者の話をきくなど、情報収集も欠かさない。

◆持ちこみについて

 持ちこみも受けつけている。持ちこまれた作品を出版するか否か判断の基準は、その作品が魅力的かどうかという一点だけで、仕事の実績は関係ない。また基本的には持ちこんだ本人に能力があれば、翻訳者として採用したいと考えている。
 ただし検討にかなり時間がかかること、思い入れの強さに左右されることなく、作品の良し悪しについて冷静な判断をしてもらいたいこと、自社で膨大な数の作品を検討しているため、紹介作品がすでに検討済みである場合も多いこと、この三点をふまえてもらいたい、とのことだ。

◆出版のプロセス

 編集部が1年間に出版を検討する作品数は500冊以上にものぼる。児童文学の場合の検討のプロセスは、まずネイティブリーダー数人に目を通してもらい、その評価により、候補作品を約3割に絞る。そこから日本人リーダーのひとりにシノプシス作成を依頼し、できあがったシノプシスには刊行会議前に編集者全員が必ず目を通す。出版を決定するにあたっては「編集部全員が出版に賛成」が条件になる。このようにシステマティックな選書プロセスをふんでいるのは、ひとりだけではなく、いろいろな人の目でみて、魅力的な作品かどうかを判断できるようにとの考えからだ。こうして出版の運びとなるのは500冊中5〜10冊。たった3人の編集部員でこの選書から編集までの作業をコーディネートするのは並大抵の苦労ではないと思われるが、すべては日本の子どもたちに良書を紹介したいという熱意があってのことなのだろう。出版が決定した作品については、版権取得の手続きをとった後、担当の編集者が翻訳者を選定、翻訳と編集の作業がはじまるが、その過程でもなるべく自分の担当以外の作品にも互いに目を通しあい、よりよい作品づくりを目指しているという。

◆こだわりの編集

 徳間書店の幼年読み物や絵本は、細部にわたって幼い読者の目線に立った、細やかな気配りのいきとどいた編集がなされている印象がある。「何か秘訣は?」との質問に、次のふたつの答えが返ってきた。
 まず編集にあたってとくに気をつけているのは「幼い読者、とくに絵本の読者は自分で読むより、だれかに読んでもらうことのほうが圧倒的に多い」ということ。この点に着目した徳間ならではの工夫は、なんといっても丁寧な〈読み合わせ〉の作業だ。編集者と翻訳者がひざをつき合わせ、何度も作品を音読し、リズムや語感をたしかめながら、検討を重ねていく。この作業は、丸一日、あるいはそれ以上にも及ぶことがあるという。翻訳者と編集者の綿密なコラボレーションがあってはじめて、幼い読者にぴったりと寄り添った、子どもに優しい作品ができあがるのだ。
 また、もうひとつ注意しているのが「幼い読者は知っていることが限られている人たちだ」ということ。この部分を補うための工夫は児童書の編集には不可欠だ。たとえば〈ターキッシュ・ディライト〉や〈ジンジャー・ブレッド〉をどう訳すかということ。日本になじみのないものについては、子どもが理解しやすいようにある程度の変更も考える。一番の基本は原作に忠実であることだが、子どもの〈読み〉をさまたげることのないよう、ケース・バイ・ケースで細やかな対応を心がけている。
 上記のふたつの答えには、読み手としての子どもの力を信頼する上村さんの姿勢が感じられる。たしかに幼い読者は生活経験が少なく、知識が少ないため、大人と同じようには物事を理解できないかもしれない。とくにそれが、母国語以外の言語で語られる、異文化のなかでのできごとならなおさらだ。だが、子どもたちが受けとりやすいリズムや言葉で届けることができれば、彼らはどんなに幼くても、ちゃんと作品のメッセージを受けとめる力を持っている。

◆ロバート・ウェストールとダイアナ・ウィン・ジョーンズ

 これまでに徳間書店から出版されたロバート・ウェストールとダイアナ・ウィン・ジョーンズの作品はあわせて20冊、徳間書店の児童文学ラインナップのなかで大きな柱となっている。
 上村さんが考えるロバート・ウェストールの魅力は「なんといっても質の高い、すぐれた作品だということ。トーンは暗いけれど、つねに希望があるし、何より著者が人間を信じているのが感じられます」とのこと。たとえば『かかし』(1987年に上村さんが当時在籍されていた福武書店から刊行、2003年に徳間書店より復刊)についても、カーネギー賞を受賞するなど高く評価はされていたものの、出版当時の日本では児童書にしては暗いと敬遠するむきも多かった。だが上村さん自身はとても良い作品だと思ったため出版を決めた。「子どもをとりまく暗い事件が多い今、さらに重要になってきた一冊。時代が作品に追いついたのかもしれないという気もしています」。
 ダイアナ・ウィン・ジョーンズには、80年代から注目していたが、刊行を決めたのは、1997年の『魔法使いハウルと火の悪魔』だった。その後、ダイアナ・ウィン・ジョーンズ作品はファンタジーブームにのって一気にブレイクすることになるのだが、上村さん曰く「ひとりの作家のどの作品がはじめに紹介するのに適しているか、時代 に合っているかという見極めも編集者としての手腕のひとつ」とのこと。〈作品の本質的な良さ〉と〈時代の流れ〉をバランスよく見極める目、どうやらこのあたりが徳間書店の選書ポイントなのかもしれない。

◆「子どもの本だより」について

 児童書創刊当時から発行している小冊子「子どもの本だより」は9月現在で75号を数えている。ここに掲載されるのは、単なる自社の新刊紹介にとどまらず、作家や翻訳家へのインタビュー記事や子どもの本専門店の紹介まで実に盛りだくさんな内容だ。編集部では自社作品のプロモーションの一端という枠を越え「より多くの人々に子どもの本についてもっと知ってもらいたい」「こんなおもしろい本があるんだと知ってもらいたい」と発行をつづけている。ここにもまた「子どもたちに良書を」という編集部の熱意を垣間みることができる。

◆今後の出版予定について

 人気の「大魔法使いクレストマンシー」シリーズ(ダイアナ・ウィン・ジョーンズ作)については続編の出版が決まっている。9月に『おばけのジョージー ともだちをたすける』(ロバート・ブライト文・絵)と『ふたりきりの戦争』(ヘルマン・シュルツ作)、10月には『サンタの最後のおくりもの』(マリー=オード・ミュライユ&エルヴェール・ミュライユ文/クェンティン・ブレイク絵)と『ぼく、ふゆのきらきらをみつけたよ』(ジョナサン・エメット文/ヴァネッサ・キャバン絵)、来年以降はルーマー・ゴッデンによる人形が出てくる物語など、出版が待ち遠しい作品が目白押しだ。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 【翻訳学習者のみなさんへ】 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 英日両方の言葉の力を磨いていただきたいと思います。児童書の翻訳には、なによりも読者である子どもに伝わる日本語力を身につけることが大事。場合によっては、大人の作品を訳すよりずっと難しい面もあります。子どもの本だったら簡単かもしれないという安易な理由で、児童書の翻訳を志していただきたくはありません。とにかく英語も日本語も、たくさんの本を読み、知識と表現を豊かにしてください。

 

徳間書店児童書編集部

住所  〒105-8055 東京都港区芝大門2-2-1
電話  03-5403-4347
ホームページ  http://www.tokuma.co.jp/kodomonohon/ 

(取材・文/相山夏奏)

▽徳間書店新刊案内(メープルストリート)
http://www.litrans.net/maplestreet/p/tokuma/index.htm

 

第1部「子どもたちに良書を」   第2部   『ねこのパンやさん』   『のんきなりゅう』   『ひとりぼっちのねこ』   「大魔法使いクレストマンシー」シリーズ   「スーパーヒーロー・パンツマン」シリーズ   「チャーリー・ボーンの冒険」シリーズ   『〈ナイト・シー〉の壁をぬけて』   『さよなら、ママ』   『緋色の皇女アンナ』   『川の上で』   『あくまくん』   『フランチスカとくまのアントン』   『二つの旅の終わりに』   『マイがいた夏』   『青春のオフサイド』   特別編「邦訳絵本が生まれるまで」   もくじ

 

●第2部●  やまねこのおすすめ本
◇◆新刊から注目作まで、レビュー15本公開!◆◇

【新刊:絵本1冊・幼年読み物2冊】


『ねこのパンやさん』
ポージー・シモンズ文・絵/松波佐知子訳

定価1,575円(税込) 2006.07 32ページ ISBN 4198621993
"Baker Cat" by Posy Simmonds
Jonathan Cape Children's Books, 2004
 

 あるパン屋で働くおすネコは、意地悪な主人と怠け者の奥さんにこき使われて、朝から晩まで働き通し。店の中でいたずらをするネズミたちに目を光らせるのも、商品のパンを焼くのも、洗い物も、掃除も、すべてネコの仕事なのだ。その上、夕ご飯さえもらえずに、夜はネズミ捕りをさせられる。でも、ネコには元気なネズミたちを追いかける気力など残っているわけがない。ネズミは捕まえられず、罰として朝ご飯も減らされ、ネコはどんどんやせていくばかり。そんなネコを気の毒に思い、救いの手を差し伸べたのは、なんとネコに捕まえられるはずのネズミたち。さてさて、どんな作戦に出たのやら……。
 天敵のはずのネコを、ネズミたちが助けようとするユーモラスな物語。パン屋の主人と奥さんがいかにも自分勝手で意地悪そうに描かれているだけに、かわいらしい動物たちの仕返しが、痛快で楽しめる。体が大きくて影響力もある人間の大人を、小さなネズミたちが知恵を集めてやっつける様子に、大喜びをする子どもたちもいるだろう。
 作者のポージー・シモンズは、英国のサン紙やガーディアン紙などで長く漫画を連載していただけあって、コマ割りを効果的に用いて、物語にメリハリをつけている。ネコが疲れ果ててしょんぼりしている場面では、見開きをいっぱいに使った大きな絵を、助けを申し出たネズミたちが力を合わせてせっせとはたらく場面では、漫画のような連続した絵を使うなど、緩急自在に小気味よくストーリーを進めていく。
 遊び心たっぷりに細部まで描きこまれた絵や、登場人物たちのコミカルなセリフには、読むたびに新しい発見がある。親子で読んでいても、それぞれに気になるところがあり、読み終わってからお互いの感想を聞いて、「え、そんなセリフがあったの?」とか、「そんな場面があったっけ?」などと言っては、もう1度ページをめくり、さらに新しい発見をするという繰り返し。ページのすみからすみまで眺めまわし、何度でも読み返して楽しめる絵本だ。2004年度ケイト・グリーナウェイ賞ノミネート作品。

(笹山裕子)


【文・絵】ポージー・シモンズ(Posy Simmonds)

1945年、英国バークシャーに生まれる。ロンドンのセントラル・スクール・オブ・アートで学んだのち、新聞などに
漫画やイラストを描く。1987年から子どもの本を手がけるようになり、日本でも『せかいいちゆうめいなねこフレッド』(かけがわやすこ訳/あすなろ書房)などが紹介されている。

【訳】松波佐知子(まつなみ さちこ)

神奈川県生まれ。青山学院女子短期大学卒業。「バベル絵本翻訳コンテスト」優秀賞を受賞。訳書に『ナガナガくん』(シド・ホフ文・絵)、『池のほとりのなかまたち』(ラッセル・ホーバン作/どちらも徳間書店)がある。

【参考】
▽ケイト・グリーナウェイ賞候補作品ロングリスト(やまねこ翻訳クラブ資料室)
http://www.yamaneko.org/bookdb/award/uk/greenawy/greell.htm
 

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『のんきなりゅう』
ケネス・グレアム作/インガ・ムーア絵/中川千尋訳

定価1,890円(税込) 2006.07 90ページ ISBN 4198622000
"The Reluctant Dragon" abridgement and illustrations by Inga Moore
Walker Books, 2004
 

 むかし、丘のつらなる美しい村に、男の子が住んでいた。ある日、父さんから「竜を見た」という話を聞いた男の子は、こわがるどころか「ぼくにまかせて」と胸をたたく。本を読むのが好きで、竜についてくわしいのだ。さっそくつぎの日、男の子が会いにいくと、当の相手はほら穴の前でねそべっていた。自分は「なまけもの」だという〈りゅう〉。たしかに、わざわざ人を襲う気などなさそうだ。しかも男の子と同じで、礼儀正しいし、詩を作るのが好きらしい。ふたりは友達になった。
 ところが、村では本物の竜がいるといううわさが広まり、どうにかしなければとみんなが思うようになった。そこに竜退治の騎士、聖ジョージがやってくる。村人たちに期待されて、竜を討ちとることになった聖ジョージ。戦いたくないといいはるりゅう。りゅうを心配する男の子。そこで3人が考えたのは……?
 なんともうれしい本が出た。『たのしい川べ』で有名な作家グレアムが100年以上前に書いた作品に、古典の挿絵に定評のある現代の画家ムーアが絵をつけた。全ページ、フルカラー! 持っているだけでわくわく、なのだ。もちろん、めくってみると、もっといいことがある。中世の人たちの生き生きとした様子や、イギリスの美しい風景に出合えるのだから。細かい線画に微妙なグラデーションの色彩が施された絵は、いわゆる「まじめな絵」で、りゅうや登場人物の表情がとぼけているため、ほどよく脱力していて楽しい。そして物語自体も楽しいことは、言うまでもない。特にりゅうと男の子と聖ジョージのやりとりには、『たのしい川べ』に通じる、品を失わない温かな紳士的ユーモアが感じられて、「川べ」ファンとしてはうきうきしてしまう。
 ところで、あとがきによると、この作品はムーアが出版社と相談して、今の子どもたちが読みやすいよう、グレアムの原作をうまく「剪定」したものらしい。日本では、オリジナルの翻訳版がこれまで数冊出ているが、それを読んだことのある人も、ムーアの絵が物語をどのように語っているかが見られて楽しめそうだ。また、この物語を初めて読む人も、挿絵のおかげですんなり作品に入り込めるにちがいない。
 緑に囲まれ、竜が暮らす、ゆったりした中世の世界を楽しんではいかがだろうか。

(田中亜希子)


【作】ケネス・グレアム(Kenneth Grahame)

1859年、スコットランドのエディンバラに生まれる。5歳のとき、母の死をきっかけに、祖母の暮らすイングランドのバークシャーに移る。のちに、銀行に勤めながら、大人向けの作品を発表するようになった。有名な子ども向けの作品『たのしい川べ』(石井桃子訳/岩波書店)は、ひとり息子のために書いたもの。1932年没。

【絵】インガ・ムーア(Inga Moore)

英国、グロースターシャー在住。多数の児童書の挿絵を手掛ける画家。特に古典作品の絵には定評があり、グレアムの "The Wind in the Willows" の挿絵も描いている。絵本 "Six-Dinner Sid" で、1990年スマーティーズ賞受賞。

【訳】中川千尋(なかがわ ちひろ)

1958年生まれ。東京芸術大学美術学部芸術学科卒業。翻訳家として多数の訳書を手掛け、『ふしぎをのせたアリエル号』(リチャード・ケネディ作/徳間書店)などでは挿絵も担当している。『のはらひめ おひめさま城のひみつ』(徳間書店)など数々の創作絵本も世に送り出し、絵本作家としても活躍。『天使のかいかた』(理論社)で、第9回日本絵本賞読者賞を受賞。

【参考】
▼ケネス・グレアムの生い立ちについて
http://www.berkshirehistory.com/bios/kgrahame.html

▽中川千尋作品リスト(やまねこ翻訳クラブ資料室)
http://www.yamaneko.org/bookdb/int/ls/cnakagaw.htm

▽本誌1999年4月号「プロに訊く」
http://www.yamaneko.org/bookdb/int/cnakagaw.htm

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『ひとりぼっちのねこ』
ロザリンド・ウェルチャー文・絵/長友恵子訳

定価1,365円(税込) 2006.08 110ページ ISBN 4198622116
"I Want to Be Somebody's Cat" by Rosalind Welcher
West Hill Press, 1986
 

 白い子ねこには家があって、かわいがってくれる人たちと一緒に暮らしていた。自分用のお皿でおいしいごはんを食べ、自分用のボウルで水を飲んでいた。お気に入りの椅子もあったし、夜はたいてい、女の子と一緒に寝ていた。夏が終わったある日、子ねこが落ち葉と遊んでいる間に、みんなはいつのまにか荷物をまとめていた。子ねこを連れて行きたがる女の子に、お父さんはこう言う。「だいじょうぶ。ねこっていうのはね、ネズミや鳥とかをつかまえて、ひとりで生きていけるんだよ。」と。泣きじゃくる女の子に、「来年の夏、また田舎に来たときに、別のねこを飼ってあげるから。」と声をかけて、お母さんがなぐさめた。そして、車に乗って行ってしまった。
 子ねこはみんなが戻ってくるのを待った。何日も何日も。けれどみんなは帰ってこなかった。寒いし、お腹がすくので、あきらめて、新しい家を探すことにした。けれど、近くの家はどれも閉まっている。おまけに雪が降ってきた。ほかのねこたちと仲よくしたかったのに、相手にしてもらえない。犬には追いかけられ、人間の子どもたちには雪の玉を投げつけられた。そんなとき、森の中にぽつんと立つ家を見つけた。玄関のドアが開いて、女の子が出てきたが……。
 詩のような文章と、作者自身による、デッサンのように素朴な挿絵が魅力的な本。主人公である子ねこは、作者、ロザリンド・ウェルチャーの家に姿を見せ、いつしか住み着くようになった白い子ねこがモデル。作者あとがきに「飼いはじめてよく知るようになると、(中略)うちにくるまでの出来事を話してくれているような気がしました」と書かれているように、子ねこの身に起きたことが子ねこの視点で語られている。夏が終わり、避暑に来ていた人たちが町に帰るとき、夏の間飼っていた動物たちを置き去りにする。作者はそんな光景を毎年見ているのだろう。子ねこが最初に暮らしていた家の父親の無知さや、母親の身勝手さの描き方に、作者の静かな怒りを感じる。この美しい本に込められたメッセージは非常に重い。
 表紙の子ねこはやせてさびしい目をしているが、カバー袖の写真で作者に抱かれている白いねこは、ふっくらしていて、愛されているものならではの貫禄に満ちている。

(赤塚きょう子)


【文・絵】ロザリンド・ウェルチャー(Rosalind Welcher)

米国の作家、イラストレーター。ニューハンプシャー州の森の中で暮らし始める前は、小型帆船で大西洋を横断したこともあるという。ニューヨークのメトロポリタン美術館に、ウェルチャーがデザインしたグリーティングカードが数点、収められている。邦訳は本作が初めて。そのほかの作品に "Social Insecurities"、"Dear Tabby" などがある。

【訳】長友恵子(ながとも けいこ)

北海道網走郡美幌町生まれ。ボストン大学経営大学院卒業。訳書に『中世の城日誌 少年トビアス、小姓になる』(リチャード・プラット文/クリス・リデル絵/岩波書店)、『ドラゴンだいかんげい?』(デイヴィッド・ラロシェル文/脇山華子絵/徳間書店)など。やまねこ翻訳クラブ会員。
 

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【3シリーズ】


「大魔法使いクレストマンシー」シリーズ  ダイアナ・ウィン・ジョーンズ作

『魔法使いはだれだ』 野口絵美訳 2001.08 304ページ ISBN 4198614040
『クリストファーの魔法の旅』 田中薫子訳 2001.10 360ページ ISBN 4198614350
『魔女と暮らせば』 田中薫子訳 2001.12 304ページ ISBN 419861461X
『トニーノの歌う魔法』 野口絵美訳 2002.03 304ページ ISBN 4198614881
                          以上、各定価1,785円(税込)
『魔法がいっぱい』 田中薫子・野口絵美訳 2003.03 232ページ ISBN 4198616639
定価1,575円(税込)
 

「クレストマンシー」とは9つの命を持つ大魔法使いのこと。魔法が正しく使われているかどうか監督する役目を担う。本シリーズには、すべての作品にクレストマンシーが登場する。『魔法使いはだれだ』では、現代のイギリスの共学の寄宿学校が舞台だが、この学校のある世界では魔法が厳禁。ある日「このクラスに魔法使いがいる」というメモが見つかった。身に覚えのある生徒たちは難を避けようとするが、とうとう逃げ切れなくなり、呪文をとなえてクレストマンシーに助けを求める。『クリストファーの魔法の旅』では、当代のクレストマンシーであるクリストファー・チャントの少年時代が描かれる。時代は19世紀のように思えるイギリス。仲の悪い両親の間で育つクリストファーは母方のラルフ伯父さんに憧れる。ところが、この伯父さんは、眠っている間に別世界(パラレルワールド)に行く能力のあるクリストファーを利用して、あることを企んでいた。『魔女と暮らせば』では、クレストマンシーとなった壮年期のクリストファーが、自分の城に孤児となった遠縁の姉弟を引き取る。しかし城での生活を不満に思った姉は自ら姿を消し、身代わりに自分と見た目がそっくりの女の子を出現させる。『トニーノの歌う魔法』では、イタリアにある小国、カプローナでことは起きる。200年にわたって反目し合う魔法使いの名家であるモンターナ家とペトロッキ家。両家のトニーノとアンジェリカは、ある日目を覚ますと人形になって同じ場所に閉じ込められていた。『魔法がいっぱい』はこのシリーズの外伝で、しゃれっ気たっぷりの短編4作品がおさめられている。
 パラレルワールドを自在に行き来する、粋なイギリス紳士然としたクレストマンシーことクリストファーの圧倒的な存在感にひかれ、時間を忘れて読んでしまう。また、子どもの心理描写が巧みで、ダイアナ・ウィン・ジョーンズのストーリーテラーとしての醍醐味が楽しめるシリーズ。新作の邦訳が待たれる。

(三山恵子)

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「スーパーヒーロー・パンツマン」シリーズ  デイブ・ピルキー作/木坂涼訳

『パンツマンたんじょうのひみつ』  2003.10 128ページ ISBN 4198617546
『パンツマンVS巨大トイレロボ』  2003.10 144ページ ISBN 4198617554
『パンツマンVS恐怖のオバちゃんエイリアン』  2003.12 144ページ ISBN 4198617864
『パンツマンVSおもらし教授 あんたのお名前なんてーの?』  2004.02 160ページ ISBN 4198618208
『パンツマンVSくいこみウーマン あやうしパンツパワー!』  2004.04 184ページ ISBN 4198618542
各定価1,000円(税込)
 

 わたしは「パンツマン」が大好き。アメリカで第1巻が出版された1997年以来のファンである。でも、この型破りな本を日本で出してくれる出版社があるとは思っていなかった。なんといったって、いじわるな校長がひょんなことから、いたずら小学生ふたり組の描いたマンガのヒーロー「パンツマン」に変身し、パンツ一丁で悪と戦うというおバカなストーリーだ。登場する敵たちは「オムツ博士」に「人食いトイレ」と“トイレネタ”満載だし、コマ割りマンガやパラパラアニメのページもあって、体裁もふつうの読み物とはまるでちがう。だから2003年、徳間書店からこのシリーズが出ると聞いたときには、大いに驚き、喜んだ。うれしい、これでうちの子どもたちにも読ませてやれるじゃないか。でも、あのおもしろさはちゃんと伝わるのか……?
 心配ご無用! パンツマンはむしろパワーアップして日本の読者の前に登場した。テンポのいい訳文は、ただ原作に忠実なだけじゃない。とんがりメガネのおっかない女教師リブル先生は「ざます」言葉でしゃべってるし、世界征服をたくらむオムツ博士にいたっては「アタクシこそ、悪の天才オムツ博士ヨ!」と女言葉。わはは、そうきたかー! 訳者が楽しみながら頭をひねる姿が、目に浮かぶようだ。
 作者のデイブ・ピルキーは、自身も子どものころ学校でマンガばかり描いていて、先生から「ろくな大人になれませんよ」と言われつづけたのだという。作中でマンガを描くいたずらふたり組ハロルドとジョージは、そんな作者の分身だし、しかめっつらの校長が、のほほんとしたパンツマンに変身するさまには、作者の願いがたっぷり込められている。おもしろいことをとことん楽しんじゃうのが、子ども。それを笑って見守るのが、大人。のんきな笑顔を浮かべるパンツマンは、だから痛快でかっこいい。うん、やっぱりわたしはパンツマンが大好きだ。

(ないとうふみこ)

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『パンツマンVS恐怖のオバちゃんエイリアン』の情報をオンライン書店でみる
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"Captain Underpants and the Invasion of the Incredibly Naughty
Cafeteria Ladies from Outer Space (and the Subsequent Assault
of the Equally Evil Lunchroom Zombie Nerds)"の
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『パンツマンVSおもらし教授 あんたのお名前なんてーの?』の
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"Captain Underpants and the Perilous Plot of Professor Poopypants"の
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「チャーリー・ボーンの冒険」シリーズ  ジェニー・ニモ作/田中薫子訳

『チャーリー・ボーンは真夜中に』  2006.01 360ページ ISBN 4198621233
『時をこえる七色の玉』  2006.02 352ページ ISBN 4198621373
『空色のへびのひみつ』  2006.03 360ページ ISBN 4198621519
                  各定価1,995円(税込)
※本シリーズは5巻まで出ており、邦訳も出版予定。
 

 もし写真から声や音が聞こえるようになったら? 写真の取り違えがきっかけで、ある日突然チャーリー・ボーンに、こんな不思議な能力が現れた。そのせいで、芸術専門の寄宿学校に無理矢理入れられた11歳のチャーリー。この学園には、他にも特殊な力を持った、〈めぐまれし者〉と呼ばれる子どもたちがいた。
 チャーリーとその仲間たちが、取り違えられた写真にうつった行方不明の娘を探し出す第1巻、タイムスリップしてきたチャーリーの先祖を助ける第2巻、魔力を持つ空色のヘビが登場する第3巻。学園を舞台に子どもたちが悪と戦い、さまざまな謎を解いていくというのが、全巻に共通するストーリーだ。チャーリーの一族・校長や先生たちの陰謀、死んだとされる父に関する秘密、そして〈めぐまれし者〉たちがその血を受け継いだという〈赤の王〉について……。たくさんの謎は巻を追うごとに、少しずつ明らかになってゆく。
 寄宿学校に魔法というと、「ハリー・ポッター」シリーズを思い浮かべる読者もいるだろう。だが、〈めぐまれし者〉たちは、どんな力でも使えるオールマイティーな存在ではない。この点がかえって本シリーズの魅力となっている。写真や絵から声や音を聞くチャーリー以外にも、衣類から持ち主の気持ちを読む者や、嵐を呼べる者もいる。だが、それぞれの能力以外は、全く普通の人間と変わらない。そんなチャーリーたちが、ふしぎな力を持つ大叔父や友人らと協力しあい、敵に立ち向かう。魔法だけに頼らず、できる人ができることをする。自分の特技を生かしながら各々が成長していく姿には、とても好感が持てた。完全でなくていい、自分にも何かできることがあると感じさせてくれるのがとても嬉しい。友情や人を信じることの大切さを伝えてくれるこの物語、ぜひともたくさんの子どもたちに読んでほしい。

(美馬しょうこ)

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【9作品】

 


『〈ナイト・シー〉の壁をぬけて』

オットー・クーンツ作/原田勝訳
定価1,680円(税込) 1998.12 288ページ ISBN 4198609578
 

 白血病で余命少ない姉と、姉を思いやりながらも反発する弟の葛藤と成長を軸に、異様な町でふたりが遭遇する、不思議な出来事が語られる。
 セアラは、病気を理由に同情され、特別扱いされることに我慢できず、自ら孤立し、わがままな振る舞いを続けていた。弟のベンや両親は、医者からの宣告をセアラに隠し、残された時間を温かく見守ろうと取り繕う。しかし、ベンは姉の横暴さに怒りを感じ、苦悩する。不治の病を患った少女との最後の夏を、静かな山荘で過ごそうとする家族の物語は、癒しを題材としたヤングアダルト小説の趣で幕を開ける。
 ところが、先に出発していた父親が待ち合わせ場所に現れない。山荘近くの住人は不親切で、どこか怪しい。一転して、話は犯罪の臭いがするミステリーホラーの様相を呈し始める。しかし、作者の想像力は読み手の予測をさらに超える。不安を抱えたセアラとベンの前に気味の悪い生き物を登場させ、ふたりを襲わせるのだ。流れを追えば追うほど、全く先が読めなくなってしまう。
 家族が徐々に実態のつかめない事件へと巻き込まれる展開には、緊張と同時に苛立ちさえ覚える。だが、迫る危機にセアラとベンは果敢に立ち向かう。壮大な時間と空間を相手に、苦痛を抱えた10代前半の主人公が、その小さな存在を懸けて挑んでいく。心の痛みが限界に近づいた時、人間は何を支えに生きればよいのか。人の絆とは、希望とは、そして、命とは何なのかを問いかける、力強い作品である。

(大原慈省)

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『さよなら、ママ』

エリザベス・ツェラー作/清水美子訳
定価1,365円(税込) 2000.02 168ページ ISBN 4198611483
 

 13歳の少女ドードーは、誕生日に、鍵付きの日記帳を両親からプレゼントされた。わくわくして日記を書き始めるドードー。しかしママが病気になり、検査した結果、がんにかかっていることが判明する。それ以来、ドードーは、やるせない気持ち、怒り、悲しみを日記につづるようになった。大好きなママのことはもちろん、学校のこと、親友のこと、7歳の弟のこと、パパのこと、それに、初恋の相手クリスチャンのこと。ママは手術をして両方の胸を取ってしまった。ママの具合がよくなることを期待していたが、ある日、ママから、自分の命は長くないことを告白される。
 乳がんに冒された母親と家族の生活が、娘の日記という形で書かれている。時間をつかまえておきたい、すてきだったこと、悲しいことも。ドードーは、心の中にあるたくさんのイメージを言葉にし、書いた日記を何度も読み返す。日記は、彼女にとって秘密の場所であり、慰めなのだ。ママのにおいがするTシャツを着ると、ママの「肌」を着ている気がすると語る場面は、母親への深い愛情とせつない気持ちが伝わってくる。しかし、愛する家族の病気を次第に受け入れるドードーの日記からは、彼女の成長のあとが見え、物語のラストでは、希望の光さえも感じられる。この作品を読んだ子どもたちが、人間の運命について考えるきっかけになればと願う。原書は1990年に出版され、現在もドイツ語圏で読み続けられている。

(大隈容子)

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『緋色の皇女アンナ』

トレーシー・バレット作/山内智恵子訳
定価1,575円(税込) 2001.03 264ページ ISBN 4198613311
 

 アンナは11世紀末、ビサンチン帝国皇帝アレクシオス1世の世継ぎの娘として、緋色の産室で生を受けた。思慮深い家庭教師と皇帝の母である厳しい祖母に、幼いころから帝王教育を授けられ、玉座につくときを待ち望む日々。母方の縁者で由緒ある家柄の青年と婚約し、12歳にしてすべてが思いのまま、幸せの絶頂にいた。
 しかし、弟ヨハネスの存在により、アンナの運命の歯車が狂っていく。アンナはヨハネスを、不器量で粗暴なだけの子どもと侮っていた。逆に祖母は、成長するにつれて賢くなるアンナを、次第に自分の地位を脅かす疎ましい存在に思い始め、ヨハネスを帝位につけようと考えた。アンナは母と祖母の、次代の皇帝をめぐる仲違いから祖母を敵視。その憎しみを口にしてしまったため、ヨハネスの計略で、皇位継承権を剥奪された。さらに父帝の死で、追い詰められたアンナと母は――。
 本書では、実在した皇女アンナの激動に満ちた少女時代が、史実に基づいて描かれている。荘厳な宮殿やその中の重々しい雰囲気の描写も、まるで歴史書のように見事だが、何よりも魅力的なのはアンナの人物像だ。次期女帝として世を謳歌するわがままな姫君の、突然の失墜。それでも誇りを決して失わず、凛とした気品にあふれている。アンナがたどった道のりは、その年齢の少女には過酷で痛々しいばかり。アンナの、多くの波乱を経験した後の人生が安らかであったようにと、心から祈らずにはいられない。

(井原美穂)

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『川の上で』

ヘルマン・シュルツ作/渡辺広佐訳
定価1,260円(税込) 2001.04 152ページ ISBN 4198613451
 

 ドイツからイギリスの統治に変わって15年以上経った、1930年代の東アフリカ(現タンザニア)。ドイツ人宣教師のフリートリヒは、騒動を起こしてつかまった若者の命を救うために、唯一の友人である現地の王に頼まれてイギリス人との仲裁に立った。ところが、数日家を空けた間に、妻が熱病で亡くなり、娘も同じ病にかかってしまう。呪術師から、川を下って大きな町の病院に連れて行くようすすめられ、宗教上の敵対関係にある人間を信用していいものか悩みつつも、娘を助けたい一心で、小船で旅に出た。呪術師に教えられたとおり、夜は川べりの村に立ち寄ると、示し合わせたように村人たちにあたたかく迎えられ、その土地のやり方で看病される。また、ある村では、娘に話をしてあげるよう助言され、フリートリヒは、今まで家族に語らなかった自分の過去を語り続けた。日を追うごとに娘は回復し、町に着いたときには……。
 アフリカ奥地に住む人々の生活のようすがとてもリアルで、自然に映像が浮かんでくる。訳者あとがきによると、作者自身の経験や実在の人物を元にした登場人物も描かれているとのこと。異文化のふしぎさと、物語る力を強く感じる作品だ。主人公は、川でのつらい旅を乗り越えるとともに、異文化を次第に受け入れていく。また、信仰に基づく頑なな心がほどけるにつれ、父と子の仲が深まっていくようすは、ともに川を旅したような達成感とともに、さわやかにわたしの心に残った。原書では、3巻目まで続編が刊行されている。

(横山和江)

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『あくまくん』

ハイケ&ヴォルフガング・ホールバイン作/カロリーネ・ケーア絵/酒寄進一訳
定価1,365円(税込) 2001.08 144ページ ISBN 4198614059
 

 ぼくには、ひみつがある。じつは、ぼくにしか見えない、悪魔の子と友だちなんだ。ぼく、ユスティンは9歳、あくまくんは211歳、だけどなぜだか、とっても気が合うんだ。あくまくんは、両親と3人で「火の国」に住んでいる。「火の国」とは、人間の世界と地獄のあいだにあって、地獄を追い出された悪魔が住むところ。悪魔のつとめは、人間を困らせ恐ろしい目にあわせることなのに、あくまくん一家はそれが苦手なんだ。ある日あくまくんは、世にもおぞましい地獄の主に、ちゃんと悪いことができれば、一家を地獄にもどしてやるといわれる。そこで、ぼくとの会話をヒントに、とんでもない悪さを考えつき、次々と実行にうつしていく。ところが何をやっても裏目に出て、結果的に人助けばかりしてしまう。人間がよろこぶたびに、翼や、つのや、しっぽを地獄の主にもぎ取られ、どんどん悪魔らしさがなくなっちゃって……。
 あくまくんの悪事は、章を追うごとにエスカレートする。あくまくんが地獄に帰れるよう応援したいが悪さはしてほしくない、けれど失敗して罰を受けるのもかわいそう。読者はそんなジレンマを抱え、次は何が起きるのかとはらはらしながら読み進めるだろう。家族のためにがんばるあくまくん、でもユスティンとの仲はぎくしゃくしていくばかり。ふたりの揺れ動く複雑な心境も実に読み応えがある。こうした葛藤は、人間界の子どもたちの日常にもよくあるのではないだろうか。さて、ふたりの友情と、あくまくん一家の運命は? 最後には、大きなサプライズが待っている。

(清水陽子)

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『フランチスカとくまのアントン』

ヴィルヘルム・トプシュ作/ダニエーレ・ヴィンターハーガー絵/齋藤尚子訳
定価1,470円(税込) 2003.06 136ページ ISBN 4198617015
 

 むかしむかし、フランチスカというしっかりものの女の子がいた。たった1人で農場をきりもりする彼女は、あばれ馬を素手で捕まえる怪力の持ち主で、キノコの穴場など、森のことなら何でも知っている。村の若者から求婚されても、へたなパートナーならいらないとはねつける。そんな威勢のいい彼女が、ある日、森でくまと出会った。両者はたちまち意気投合し、共同生活をすることになる。アントンという名前をもらったくまは家事を担当、フランチスカは農場の仕事に専念した。一緒に暮らすうちに、2人はお互いが大好きになる。アントンは人間の生活に慣れようとけなげに努力し、村の火事では身を挺しての大活躍をみせた。ところが事件が起きる。盗賊が現れ、金貨とくまの毛皮を持ってこいと村人を脅したのだ。さて、アントンの運命は?
 出会った日、よろしくとキスした後で、フランチスカは「キスはもうおしまい」と宣言する。べたべたした関係は好みでないから。それでも2人の仲のよさは充分すぎるほど伝わってきて、どのページも隅々まで幸せに満ちている。ただし、親しき仲にも礼儀あり。アントンは仕事の領分をきっちり守り、相手の仕事には口も手も出さない。一方フランチスカは、冬眠というくまの習性を受け入れる。よきパートナーの鉄則は、相手を尊重することなのだ。実は、2人の幸せな生活にはもうひとつ秘訣がある。それはアントンの作るおいしい料理の数々。ごちそうさまといいたくなる物語だ。

(大塚典子)

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『二つの旅の終わりに』

エイダン・チェンバーズ作/原田勝訳
定価2,520円(税込) 2003.09 528ページ ISBN 4198617449
 

 17歳のイギリス人少年ジェイコブは、第二次世界大戦中にオランダで戦死した祖父の墓参りのため、アムステルダムへ行くことになった。現地では、負傷して亡くなった祖父を最後まで看病してくれた、ヘールトラウという女性とその家族が歓迎してくれるはずだった。しかし実際に着いてみると、ヘールトラウは末期がんに苦しみ、安楽死を望んでいることがわかった。戸惑うジェイコブだったが、ヘールトラウの孫息子ダーンのアパートに滞在してアムステルダムを散策し、街の人々とふれあううちに、オランダという国や文化に興味を抱きはじめる。そして、ホスピスにいるヘールトラウに会ったジェイコブは、祖父との出会いから別れまでをつづった、ヘールトラウの手記を贈られた。そこには、ドイツ軍との戦いの様子、負傷して軍を離れた祖父を知り合いの農場にかくまって暮らした日々の様子、そして祖父の秘密が記されていたのだ。
 現代のジェイコブと、第二次世界大戦中のヘールトラウの物語が交互に語られる構成で、読者は50年の時を行ったり来たりしながら真相に近づいていく。戦時中のことや祖父の秘密だけでなく、現代の人びとが抱えるさまざまな問題まで盛りこみながらも、非常にまとまりのある、奥深い作品になっている。運河を行くボートから見たアムステルダムの風景の美しさや、安楽死や同性愛に関する先進的な議論など、オランダについても、主人公と一緒に新しい発見をすることができた。1999年度のカーネギー賞を受賞した作品。

(笹山裕子)

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『マイがいた夏』

マッツ・ヴォール作/菱木晃子訳
定価1,890円(税込) 2004.05 400ページ ISBN 419861864X
 

 スウェーデンのゴットランド島にある石灰の町。この町に住む12歳の少年ハリーは、小学校生活最後の夏を迎えていた。毎日一緒に過ごすのは、幼なじみの親友ハッセ。森の中に秘密の小屋を作ったり、石灰採取のために爆破が行われている山に入って度胸試しをしたり、大人の真似をしてタバコを吸ってみたり。兄弟のように育ち、何でも打ち明けあってきたハリーとハッセだったが、髪の長い美しい少女マイが転校してきて、ふたりともマイを意識していることに気づいてから、それまで通りの無邪気な幼なじみではいられなくなった。その夏、ふたりの間にはいつもマイがいた。空き家に忍びこんでダンスの練習をしたり、ポーランド船から逃げ出した亡命者をかくまったり、えこひいきをする学校の先生にいたずらをしたり、海でマイに泳ぎを教えたり……3人で過ごしたその夏は、しかし思いがけない形で終わりを告げる。
 美しい島の風景とともに描かれる少年の初恋の物語。相手を想う温かな気持ちや心のときめきだけでなく、嫉妬したり、自分をよく見せたいばかりにライバルを出し抜いたり、ちょっとしたことでへそを曲げたりといった、恋するがゆえに抱いてしまう醜い気持ちまでもが、丁寧に表現されていて、主人公に共感しながら読むことができる。作者自らの、少年時代の体験をもとにした作品ということだが、決して美化することなく等身大に描かれた登場人物たちが、初めての恋に揺れる心の純粋さや、二度と戻らない少年の日々の美しさを、かえって強く感じさせてくれた。

(笹山裕子)

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『青春のオフサイド』

ロバート・ウェストール作/小野寺健訳
定価1,890円(税込) 2005.08 376ページ ISBN 4198620490
 

 第二次世界大戦後まもなくのこと。17歳のロバートは、学校の先生のエマ・ハリスと恋に落ちた。出会ったころは、お互いに、ただ好意をもっていただけだった。それがラテン語の個人授業のため、週に1度エマの家で会うにつれ、ふたりは惹かれあうようになる。密かに会う日々がつづいた。美しい自然に囲まれた町へ遠出したり、家族の留守中にエマの家に泊まったり。ロバートは、エマへの愛に溺れながらも、大好きなラグビーの練習に励んだ。エマと会えないときはつらい思いを勉強にぶつけ、よい成績をおさめることもできた。だが、いつまでも、そのままでいられるわけはなかった……。
 ウェストールの作品を読むと、あまりのリアルさに、いつもうならせられる。臨場感にあふれていて、ひとつひとつのシーンが心に焼きつくのだ。この作品では、ロバートがエマと遠出したときの情景や、ラグビーの強豪チームとの試合の場面が印象深い。また、登場人物の心理描写も実に巧みで、大人への階段をのぼる少年の混沌とした思いがひしひしと伝わってくる。ラグビーや勉強における栄光と、恋愛や友情におけるほろ苦さが重厚な筆致で描かれているのは、ウェストールならではだ。そして、やはり忘れてならないのは、戦争で婚約者を失ったエマの耐えきれぬほどの苦しみだろう。戦争児童文学の巨匠といわれる作者の、戦争に対する怒りのメッセージがきこえてくるようだ。

(早川有加)

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『ねこのパンやさん』     『のんきなりゅう』   『ひとりぼっちのねこ』   「大魔法使いクレストマンシー」シリーズ   「スーパーヒーロー・パンツマン」シリーズ   「チャーリー・ボーンの冒険」シリーズ   『〈ナイト・シー〉の壁をぬけて』   『さよなら、ママ』   『緋色の皇女アンナ』   『川の上で』   『あくまくん』   『フランチスカとくまのアントン』   『二つの旅の終わりに』   『マイがいた夏』   『青春のオフサイド』

 

●特別編●
翻訳絵本が生まれるまで


「子どものころ、どんな絵本が好きだった?」徳間書店から翻訳絵本を出すことが決まり、初めて担当の編集者の方にお会いしたとき、まずこう聞かれました。がちがちに緊張していたわたしでしたが、懐かしい絵本をひとつ、またひとつと挙げていくうちに、飽きることなく眺めた場面や、角が丸くなるまで何度もめくったページ、それに窓から差し込んでいた太陽の匂いや、母の膝のぬくもりまでが、ありありとよみがえってきました。そして今自分が、小さな読者に絵本を手渡す側に立っているのだという、大きな喜びと責任を感じたのです。
 何もかも初めてのわたしを、編集者の方はとても忍耐強く見守り励ましてくれました。前もって送っておいた訳文をじっくりと読んで、くどいところは削り、あやふやな点は調べなおし、主人公の心の動きを想像して丁寧に言葉を選び、それぞれの場面で何が大切かを、話し合いました。風ひとつとっても、どんな音がしただろうか、どんな吹きかたをしただろうかと、時には身振りをまじえながら一緒に考えるのです。常に訳文を声に出し、リズムやスピード感を確認したのは、絵本を読んでもらう子どもがどう受け取るかということを、編集者の方が非常に重視していたからでしょう。
 そうやって話し合ったことを元に原稿を書き直し、再び編集者の方に送る作業を何度も繰り返していくうちに、文章がどんどんとぎすまされていき、量も半分になりました。ようやく編集部のみなさんに読んでもらえる段階まできたとき、プロの翻訳者だったら、自分でここまで仕上げて持ってくるのだと聞き、何時間も推敲に付き合ってくださった編集者の方に対して、ありがたい気持ちでいっぱいでした。訳文がある程度できあがると、最後に、絵本を読んでもらう子どもさながらに、絵を見ながら、編集者の方が読んでくれる文章にひたすら耳を傾けるという作業をしました。そして、翻訳作業を始めてから5か月、『エミリーときんのどんぐり』(イアン・ベック文・絵)が書店に並んだのです。
 あれから10年以上が経ちましたが、相変わらずわたしは翻訳の修行を続けています。下訳やリーディングの仕事をコンスタントにもらえるようになりましたが、10年前に描いていた「翻訳家の夢」はまだはるか遠くにあります。あまりにも進歩がない自分に嫌気がさしたり、締切りに追われてただただ量をこなすのに一生懸命になったりすることもしばしばありますが、そんなとき、あの編集者の方のきらきらした目を思い出しながら、自分に問いかけるのです。「子どものころ、どんな絵本が好きだった?」それは、わたしに自分の原点を思い出させてくれる魔法の言葉なのです。

(笹山裕子)

 

第1部「子どもたちに良書を」   第2部   『ねこのパンやさん』   『のんきなりゅう』   『ひとりぼっちのねこ』   「大魔法使いクレストマンシー」シリーズ   「スーパーヒーロー・パンツマン」シリーズ   「チャーリー・ボーンの冒険」シリーズ   『〈ナイト・シー〉の壁をぬけて』   『さよなら、ママ』   『緋色の皇女アンナ』   『川の上で』   『あくまくん』   『フランチスカとくまのアントン』   『二つの旅の終わりに』   『マイがいた夏』   『青春のオフサイド』   特別編「邦訳絵本が生まれるまで」   もくじ

 


●編集後記● いつもより長くなりましたが、楽しんでいただけますように。(よ)
発 行: やまねこ翻訳クラブ
発行人: 井原美穂(やまねこ翻訳クラブ 会長)
編集人: 横山和江/大原慈省(やまねこ翻訳クラブ スタッフ)
企 画: 相山夏奏 赤塚きょう子 井原美穂 大隈容子 大塚典子 笹山裕子
清水陽子 田中亜希子 ないとうふみこ 早川有加 美馬しょうこ
三山恵子
協 力: 出版翻訳ネットワーク 管理人 小野仙内
おとむとむ さかな 小湖 タイ Chicoco
html版担当 ワラビ

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