東京創元社 新刊情報 2000-2003年

6月刊行『500年のトンネル』上下 『僕は生きている』

2003年9月刊行

シカゴより好きな町:表紙 シカゴより好きな町
A Year Down Yonder

リチャード・ペック
斎藤倫子 訳

ISBN 4-488-01319-8
本体1800円+税

『シカゴよりこわい町』続編
2001年度ニューベリー賞受賞作!


メアリ・アリス15歳、
1937年ルーズベルト不況の中、シカゴで家族そろってくらすことが困難となり
田舎の祖母の家に行くことになった。
昔は兄ジョーイと一緒に祖母の家で過ごしたこともある。
でもひとりであのおばあちゃんと……。

笑って、笑って、ほろりとさせるペックのニューベリー受賞作、
銃をぶっぱなす豪快なおばあちゃん健在です!

ひさしぶりにたっぷり笑いながらページを繰った。
メアリ・アリスの心情がつぶさに伝わってきて、どきどきし、
おばあちゃんの豪快さ、優しさ、強さに、胸うたれる。
あわただしくも、満ち足りた心地よさを味わうラスト。
出会えてよかった、「おばあちゃん」
よし、私もこんなふうに強くかっこよくなるぞ。

リチャード・ペック作品リストやまねこ翻訳クラブ作成)


【作者】リチャード・ペック Richard Peck アメリカ中部、イリノイ州の田舎町の生活を鮮やかに描き出したリチャード・ペックは、同じくイリノイ州ディケーター育ち。児童/ヤングアダルト向けの作品は20以上を数え、さまざまな賞を受賞している。1988年に発表された『シカゴよりこわい町』でニューベリー賞オナーに選ばれ、全米図書賞児童書部門の最終候補となって話題を呼んだ。本書はその続編にあたり、ニューベリー賞を受賞。

【訳者】斎藤倫子 さいとう・みちこ 1954年生まれ。国際基督教大学語学科卒。主な訳書に、リチャード・ペック『シカゴよりこわい町』、マイラ・ゴールドバーグ【綴り字のシーズン】(以上、東京創元社)、バーリー・ドハーティ『ホワイト・ピーク・ファーム』(あすなろ書房)、プリシラ・カミングズ『旅立ちの翼』、アン・ロレンス『ロバになったトム、アン・メリック『だれかがドアをノックする』(以上、徳間書店)、ベラ・B・ウィリアムズ『スクーターでジャンプ!』、シンシア・ライラント『メイおばちゃんの庭』(以上、あかね書房)がある。


2003年9月刊行

〈ダークホルム二部作〉後編!

グリフィンの年:表紙 グリフィンの年
Year of the Griffin

ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
浅羽莢子 訳

ISBN 4-488-57204-9
定価 本体800円+税

『ダークホルムの闇の君』の後日譚とくれば、発売を待っていた方も多いのでは。
お待たせしました、今回はダークの娘エルダが物語の主人公です。

魔術師大学はケリーダ総長から若手たちの委員会に運営が任されていた。
しかし、大学運営は赤字がふくらむばかり。
大学側は新入生の父母に寄付を募る、それが事件の発端に……。
そこで、新入生のグリフィンたちが大活躍!

  
『ダークホルムの闇の君』では巡礼観光団とダーク魔術師、そしてその家族が大きな騒動を巻き起こした。
それから8年、ダークの娘、グリフィンのエルダも成長し大学のキャンパス・ライフを楽しむようになった。
魔術師大学といえど、若者たちが集うところ、ふつうの大学と変わらない。違いは学ぶものが魔法ということ。
ダイアナ・ウィン・ジョーンズ書く魔法世界は、地に足のついたリアリティある世界。
イギリスらしさ(?)たっぷりのファンタジイを堪能あれ。
あぁ、かなうことなら、私も魔術師大学に通いたい……。

『ダークホルムの闇の君』好評既刊発売中!


ダイアナ・ウィン・ジョーンズ作品リストやまねこ翻訳クラブ作成)

【訳者】浅羽莢子 あさば・さやこ 東京大学文学部卒。英米文学翻訳家。主な訳書、ピーク《ゴーメンガースト三部作》、キャロル『死者の書』、ジョーンズ『わたしが幽霊だった時』『九年目の魔法』『ダークホルムの闇の君』ほか多数。

挿画・佐竹美保/解説・荻原規子



2003年6月刊行

2001年度プリンツ賞 オナー作品

ぼくは生きている

テリー・トルーマン
藤村 裕美 訳

ISBN 4488013171
本体1200円+税

ぼく、ショーンは14歳。脳性麻痺だ。脳性麻痺は病気ではない。体の状態をあらわす言葉だ。
自分で筋肉をコントロールできない。知能検査の結果もいちじるしく低い。
だいすきなチョコレートケーキも噛むこができない。反射作用で嚥化されるのを待つ。
嚥化、呼吸、筋肉の収縮、勃起など、脳幹のつかさどる機能はすべて正常に働く。
ただ、それらを意識して働かせることができないだけだ。
しかし、誰もしらないが、ぼくはものすごい能力をもっているんだ。


読み終わって、表紙を再度みて、物語を反芻した。
家族はだれもがショーンを愛している。母さんも父さんも、兄さんも姉さんも。
でも父さんはショーンをみているのがつらすぎた。
詩人で、大きな賞を受賞し、あちこちから講演を依頼され、テレビにもしょっちゅうでている父さん。
父さんとショーン――最後のページを繰るのをためらわないでほしい。

それにしても、これほど厳しいテーマを、これほど真っ正面から真剣に、
しかもユーモラスに、そして切なく扱った作品があっただろうか。

               解説より 金原瑞人



【作者】テリー・トールマン Terry Trueman 米国アラバマ州のバーミングハムに生まれる。ワシントン大学の創作科に学び、文学士号を得た。また東ワシントン大学では、応用心理学で理学修士を得ている。現在、ワシントン州スポーカンに息子ふたりと在住。

【訳者】藤村裕美 ふじむら・ひろみ 国学院大学文学部卒業。英米文学翻訳家。主な訳書、アームストロング『始まりはギフトショップ』、アンダースン『証拠が問題』、シャタック『ハネムーンの死体』、ベイリー『死者の靴』、バークリー『ウィッチフォード毒殺事件』など。



2003年6月刊行

ガーディアン賞受賞作品

500年のトンネル上下:表紙
500年のトンネル 上・下
The Sterkarm Handshake

スーザン・プライス
金原瑞人・中村浩美 訳

(上)ISBN 4-488-59901-X 本体840円+税
(下)ISBN 4-488-59902-8 本体740円+税

21世紀、ひとつの企業FUPが莫大な費用をかけて極秘に開発したもの、〈タイムチューブ〉。
それは、トンネル様の装置で、くぐりぬけると、瞬時に別の時空間に移動できるものだった。
FUPは、調査隊を16世紀に送りこんだ。人の手あかのついていない自然、豊富な資源、それらを企業の利益につなげようとしていたのだ。
16世紀の舞台はイングランド/スコットランド辺境地帯。近隣の人々と戦いにあけくれるスターカーム一族が住んでいた。彼らは21世紀からの調査人らを〈エルフ〉とよび、天然資源を提供するかわりに、「白い薬」を交換に受け取っていた。
しかし、彼らの間は平穏無事に契約が履行されなかった。500年もの時を越え、彼らは戦い、そして21世紀の〈エルフ〉と16世紀の人が恋におちた……。

ひとつの企業が、タイムトンネルを開発した。
チューブを行ったりきたりすることが、簡単にできるのだ。
500年もの時は、人間も自然も大きくかえていた。
21世紀の人間は手あかのついていない豊富な資源を、16世紀にみつけようとしたのだ。
この別空間どうしの人が出会って恋をした。
21世紀の社会では、目立たない研究員アンドリアは、
16世紀では魅力的な女性と映り、美しく勇敢な若者ピーアと恋におちる。
戦いと恋のゆくえはどこへ――。


▼作者スーザン・プライスの公式ホームページ
http://www.susanprice.org.uk/
▼スーザン・プライス邦訳作品リスト(やまねこ翻訳クラブ作成)
http://www.yamaneko.org/bookdb/author/p/sprice_j.htm


【作者】スーザン・プライス Susan Price 1955年、英国のブラック・カントリー工業地帯に生まれる。14歳で『デイリー・ミラー』紙の短編小説コンクールに入賞。第一作"The Devil's Piper"は、16歳のときに出版社に認められ、18歳のときに出版された。その後、ファンタジーとホラーの分野で執筆を続け、1987年に『ゴースト・ドラム 北の魔法の物語』でカーネギー賞、1999年に"The Sterkarm Handshake"でガーディアン賞を受賞している。

【訳者】金原瑞人 法政大学教授、翻訳家。プライス『エルフ・ギフト』、ベイトマン『ジャックと離婚』、ブロック『ウィーツィ・バット』など多数。

【訳者】中村浩美 翻訳家。レーガン『世界でいちばん愛しい人へ』(共訳)ほか。

 

2000年2月刊行

「ダンデライオン」表紙

ダンデライオン

メルヴィン・バージェス作 池田真紀子訳 

原題: "JUNK "

【あらすじ】 見知らぬ都会へ家出してきた十四歳の少年と少女は、アナーキストを名乗る青年たちに拾われ、ストリートの知恵を学びながら、占拠された空き屋で暮らすことに。時あたかもパンク時代。見るものすべてが新しい――だがドラッグの陥穽が二人を待っていた。繊細な筆致と冷静な人間観察が描き出す、悲しい青春のかたち。全英の話題をさらった、衝撃の物語。カーネギー賞、ガーディアン賞受賞作。

【作/メルヴィン・バージェス】 1954年ロンドンに生まれ、サセックス、サリーで少年期を過ごす。18歳で学業を終え、ジャーナリストを志すも半年で断念、煉瓦積みなどをして糧を得るようになった。1984年ロンドンに移り、服飾業界向けにマーブル染めを開始。小説や戯曲の執筆を断片的につづけていたが、1990年に、カーネギー賞の候補にのぼった『オオカミは歌う』(偕成社)で念願のデビューを果たす。どんな題材を扱っても、人間の表裏を見とおし容赦のない物語に仕上げてしまうところが本領で、個性豊かな実力派として一作ごとに評価を高め、本書ではカーネギー賞とガーディアン賞に輝いた。現在、妻子とランカシャーに在住。

【訳/池田真紀子(いけだまきこ)】 1966年東京生まれ。上智大学卒業。英米文学翻訳家。主な訳書、キョウコ・モリ『シズコズ・ドーター』『めぐみ』、ウェルシュ『トレインスポッティング』、エヴァンズ『最後の娘』、ディーヴァー『ボーン・コレクター』など。

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メープル・ストリート

Last Modified: 2003/9/19
担当:さかな
HTML編集: 出版翻訳ネットワークやまねこ翻訳クラブ