2008年河出書房新社 新刊情報 |
2008年12月刊行
体は人の忠実なしもべだ。人が体を必要としなくなったとき、体にはそれがわかる。 アンウェルは病床にあった。死にかけているようだ。年齢は20歳。 アンウェルには兄がいた。名前はヴァーノン。過去に存在した兄。アンウェルの現在にはいない兄。 フィニガンがいる。アンウェルの友だちだろうか。そうであるともいえ、そうでないともいえる。 アンウェルとフィニガンのふたりの物語が、章ごとに語られている。 ふたりのエピソードは時に重なり、読み始めのころのわからないことだらけの「現在」が少しずつ、ほぐされてくる。 両親のこと、兄のこと、近隣の人々、そして大事な犬、サレンダーのこと。 おもしろくて引き込まれるのとは違う感覚をもつ。物語の強い吸引力に対して、したがうように読む。 不思議な読後感だった。 混沌としたはじまりから、ぐわっと、アンウェルの「現在」が見えた時、ラストに言葉を失う。 物語の力技をとことん味わえる小説だ。 ソーニャ・ハートネット Sonya Harthnett
|
河出書房新社 (http://www.kawade.co.jp/)
〒151-0051
東京都渋谷区千駄ヶ谷 2-32-2
編集部 03-3404-8611 営業部 03-3404-1201
Copyright © 2004-2009 Kawade Shobo Shinsha, Publishers. All rights reserved.
Last Modified: 2009/02/12
担当:さかな
HTML編集:
出版翻訳ネットワーク・やまねこ翻訳クラブ