■□■2007年 フェリシモ出版 新刊情報■□■

◆ソムリエのいる本屋さん @Bookport◆

2007年4月刊行

イブと小さいクリスティーネ:表紙  イブと小さいクリスティーネ


H・C・アンデルセン 原作
赤木かんこ 文
堀川理万子 画

ISBN 978-4-89432-400-8
定価 1238円+税

いやはや、こんなアンデルセン知ってた?シリーズは本当にすごい。
今回は「イブと小さいクリスティーネ」。赤木かん子さんは「これがアンデルセンの童話?」と驚かれたでしょうか?とあとがきでたずねています。アンデルセンでよく知られている作品より、「不思議な充足感をかもしだす」この作品を作らせてもらえて嬉しく思っているかん子さんの気持ちが伝わってきます。

幼なじみのイブとクリスティーネが森で迷ってしまい、そこで出会ったひとりの背の高い女のひと。この女のひとはイブとクリスティーネに不思議な贈り物をします。3つの願いのクルミです。この一つ一つに、このうえもなくよいものが入っているとその女のひとはいいます。イブとクリスティーネは何を願ったでしょうか……。

堀川理万子さんの絵は透明感と奥行きをもち、シンプルな背景にふたりの表情や住んでいる土地を浮かび上がらせます。どの絵もすばらしく美しいです。そうして、アンデルセンの話もまたなんと奥深いものでしょう。童話といえど、この話は大人の琴線にこそふれるものだと思います。読後にもたらすなんともいえない気持ちは、人生経験をつんだ大人だからこそ感じ取るものがあるのではないでしょうか。

ぜひぜひもっと出してほしいアンデルセンシリーズです。

ハンス・クリスチャン・アンデルセン Hans Christian Andersen
1805年デンマークに生まれる。詩人・作家。14歳の時、舞台俳優を目指してコペンハーゲンに出るが、挫折。しかし、詩集や戯曲が認められ、1835年に発表した小説『即興詩人』で作家としての地位を確立。そして、多くの詩や戯曲、小説、紀行文とともに、「人魚姫」「親指姫」「雪の女王」など160編余りの童話を残す。1875年没。

赤木かん子
子どもの本の研究者、本の探偵、図書館棚づくりプロデューサー。1984年、子どものころに読んだ書名や作者名を忘れてしまった本を探し出す「本の探偵」を始める。以来、子どもの本を中心に、本や文化の紹介、書評、講演など幅広い分野で活躍。著書に、『調べ学習の基礎の基礎』(ポプラ社)、『この本読んだ? おぼてる?』「本の探偵事典」シリーズ(フェリシモ出版)など多数。

堀川理万子
1965年東京都生まれ。東京芸術大学大学院美術研究科修了。東京・京都などでの具象絵画作品の個展を中心に活動。自作絵本に『ぼくのシチュー、ままのシチュー』『くまちゃんとおじさん、かわをゆく』(ハッピーオウル社)、絵を手掛けた作品に『かめのヘンリー』(福音館書店)『きつねのスケート』(徳間書店)など多数。


2006年9月刊行

火打ち箱:表紙  火打ち箱

H・C・アンデルセン 原作
赤木かん子 文
高野文子 ペーパークラフト・画


ISBN 4-89432-388-5
定価1300円(税込)


こんなアンデルセン知ってた?がキャッチフレーズの絵本、第2弾は『火打ち箱』。
今回の絵は、なんと漫画家の高野文子さんによるペーパークラフト!
つくづく、「こんなアンデルセン知ってた?」の言葉がぴったりで、「いえ、知りませんでした。はじめてのアンデルセン世界です」と答えたくなります。

「火打ち箱」のお話は、なんといっても犬がキモです。茶碗くらいある目をもつ犬、目玉が水車くらいある犬、塔くらいの目をもつ犬と、こんな犬をどう表現するのか。赤木かん子さんが、アンデルセンの作品の中でも完成度の高い話をぜひ絵本で手渡したいと願い、大きな目玉の犬をどう描けるのか逡巡しているときに、高野文子さんが「思いついたことがあるのよ」と、つくることに手をあげてくださったそうです。

そして、高野文子さん。いままで趣味で作っていたペーパークラフトを、今回自らデジタルカメラで撮影までして完成させました! じゃじゃーん。

これはもう見ていただくしかありません。
戦争から帰る途中の兵隊さんが、おいち、に、おいち、に歩いている姿からひきこまれてしまいます。
高野文子ワールドと赤木かん子ワールドがみごとにとけあっていて、会心の一作といえるでしょう。

どうやって撮影したかは、高野さん自身によるイラストがあとがきにあります。こちらも必見!

このアンデルセンシリーズ、ぜったい続々だしてほしいです。

ハンス・クリスチャン・アンデルセン Hans Christian Andersen
1805年デンマークに生まれる。詩人・作家。14歳の時、舞台俳優を目指してコペンハーゲンに出るが、挫折。しかし、詩集や戯曲が認められ、1835年に発表した小説『即興詩人』で作家としての地位を確立。そして、多くの詩や戯曲、小説、紀行文とともに、「人魚姫」「親指姫」「雪の女王」など160編余りの童話を残す。1875年没。

赤木かん子
子どもの本の研究者、本の探偵、図書館棚づくりプロデューサー。1984年、子どものころに読んだ書名や作者名を忘れてしまった本を探し出す「本の探偵」を始める。以来、子どもの本を中心に、本や文化の紹介、書評、講演など幅広い分野で活躍。著書に、『調べ学習の基礎の基礎』(ポプラ社)、『この本読んだ? おぼてる?』「本の探偵事典」シリーズ(フェリシモ出版)など多数。

高野文子
本業は漫画家。短い読み切り物を得意とする。漫画の作品集では、『るきさん』(筑摩書房)、『黄色い本――ジャック・チボーという名の友人』(講談社)など。趣味で作っていたペーパークラフトを、今回自らデジタルカメラで撮影し、絵本として構成した。


2006年6月刊行

ナイチンゲール:表紙 ナイチンゲール


H・C・アンデルセン 原作
赤木かん子 文
丹地陽子 画


ISBN 4-89432-384-2
定価 1300円(税込)


アンデルセン原作の作品を描いのたのは、赤木かん子さん。
本の探偵としてよく知られているかん子さんは、8歳の時に「ナイチンゲール」を読み、この話の王さまがお年寄りに描かれているのに違和感をもったそうです。そこで、この『ナイチンゲール』では、王さまは小さな少年として描きました。

確かに、既に翻訳されているものを読むと、いずれもお年寄りに描かれている王さま。
かん子さんの小さい王さまという切り口はとても新鮮です。
この絵本を読んだあとに、もう一度既刊の「ナイチンゲール」を読んだのですが、ナイチンゲールのみずみずしく美しい話は小さい王さまならではのものとあらためて感じました。
話の筋は、ご存知の方も多いと思います。
世に名高い美しく鳴く鳥を手に入れたいと望んだ王さまの近くで、暮らすことになったナイチンゲール。その美しさに満足していたものの、贈り物で作り物の鳥に心変わりします。狭いかごで歌うことを望まなかったナイチンゲールは外の世界に戻るのですが、王さまが病気になり……。

丹地陽子さんの絵は、気品に満ち、ページを繰る楽しみがあります。ナイチンゲールの心情も絵全体から伝わってくるのです。
かん子さんの文章も品格があります。アンデルセンのよさを伝えるすばらしい文章。
ぜひご一読を!

ハンス・クリスチャン・アンデルセン Hans Christian Andersen
1805年デンマークに生まれる。詩人・作家。14歳の時、舞台俳優を目指してコペンハーゲンに出るが、挫折。しかし、詩集や戯曲が認められ、1835年に発表した小説『即興詩人』で作家としての地位を確立。そして、多くの詩や戯曲、小説、紀行文とともに、「人魚姫」「親指姫」「雪の女王」など160編余りの童話を残す。1875年没。

赤木かん子
子どもの本の研究者、本の探偵、図書館棚づくりプロデューサー。1984年、子どものころに読んだ書名や作者名を忘れてしまった本を探し出す「本の探偵」を始める。以来、子どもの本を中心に、本や文化の紹介、書評、講演など幅広い分野で活躍。著書に、『調べ学習の基礎の基礎』(ポプラ社)、『この本読んだ? おぼてる?』「本の探偵事典」シリーズ(フェリシモ出版)など多数。

丹地陽子
イラストレーター。雑誌の挿絵、書籍の挿画、広告、Webなどを中心に活躍中。書籍の挿画・挿絵の仕事に、『サーカス団長の娘』(日本放送出版協会)、『星を数えて』『ヘヴンアイズ』(河出書房新社)など多数。
ホームページ http://www.tanji.jp

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Last Modified: 2007/5/7
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