※こちらは「書評編」です。「情報編」もお見逃しなく!! ※8月は定期休刊です。次回は2003年9月号になります。どうぞお楽しみに! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● 2003年7月号(書評編)    =====☆                    ☆=====   =====★   月 刊  児 童 文 学 翻 訳   ★=====    =====☆   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ☆=====                                  No.52 ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●児童文学翻訳学習者による、児童文学翻訳学習者のための、電子メール版情報誌● ●http://www.yamaneko.org/                         ● ●編集部:mgzn@yamaneko.org     2003年7月15日発行 配信数 2500 無料● ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●2003年7月号(書評編)もくじ● ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◎賞情報1:2003年ボストングローブ・ホーンブック賞発表 ◎賞情報2:2003年チルドレンズ・ブック賞発表 ◎賞情報3:速報! 2002年度カーネギー賞、ケイト・グリーナウェイ賞発表 ◎特集:カーネギー賞、ケイト・グリーナウェイ賞候補作レビュー ★カーネギー賞 "Martyn Pig" ケヴィン・ブルックス作 "Across the Nightingale Floor" リアン・ハーン作 "The Shell House" リンダ・ニューベリー作 ★ケイト・グリーナウェイ賞 "Jethro Byrde, Fairy Child" ボブ・グラハム文・絵 "Man on the Moon" サイモン・バートラム文・絵 "The Cockerel and the Fox" ヘレン・ウォード再話・絵 "Pants" ジャイルズ・アンドレーエ文/ニック・シャラット絵 ◎注目の本(未訳読み物):"Harry Potter and the Order of the Phoenix"               J・K・ローリング作 ◎Chicoco の親ばか絵本日誌:第23回「絵本につっこむ」(よしいちよこ) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●賞情報1●2003年ボストングローブ・ホーンブック賞発表 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  6月10日、ボストングローブ・ホーンブック賞が発表された。★Winner(受賞作)、 ☆Honor(次点、各部門2作品)は以下の通り。 2003 Boston Globe‐Horn Book Awards 【フィクションと詩】(Fiction and Poetry) ★"The Jamie and Angus Stories"   written by Anne Fine, illus. by Penny Dale (Candlewick) ☆"Feed"   by M. T. Anderson (Candlewick) ☆"Locomotion"   by Jacqueline Woodson (Putnam)  受賞作は少年ジェイミーと牛のぬいぐるみアンガスの話。アンガスの首についてい た取り扱い表示タグを、ジェイミーがはずしてしまったことから騒動が始まる。作者 Fine は今年 "Up on Cloud Nine" が、カーネギー賞の Highly Commended に選ばれ た。次点の "Feed" は近未来小説。人々は生まれてすぐに、脳にテレビやコンピュー タがつながれ、直接情報が入ってくるように管理されている。その結果、異常な消費 文化が生まれた。人類はどのようになっていくのか? 作者の Anderson は、 "Handel, Who Knew What He Liked" で、昨年も次点に選ばれた。"Locomotion" は、 火事で両親を失った少年が主人公。詩を通して心の中を吐露する。作者 Woodson の 邦訳作品としては「マディソン通りの少女たち」シリーズ(さくまゆみこ訳/ポプラ 社)などがある。 【ノンフィクション】(Nonfiction) ★"Fireboat: The Heroic Adventures of the John J. Harvey"   by Maira Kalman (Putnam) ☆"To Fly: The Story of the Wright Brothers"   written by Wendie C. Old, illus. by Robert Andrew Parker (Clarion) ☆"Revenge of the Whale: The True Story of the Whaleship Essex"   by Nathaniel Philbrick (Putnam)  受賞作の "Fireboat" は、消防艇ジョン・J・ハーベイ号の生涯を追ったもの。絵 本には、エンパイア・ステート・ビルなど、同じ時代に造られたものが多く登場する。 作者の Kalman の邦訳作品は、イヌ詩人マックスが主人公のシリーズほか、『おこし ておきたい、おそくまで』(デヴィッド・バーン文/神宮輝夫訳/マガジンハウス) がある。候補作の "To Fly" は、飛行機を発明したライト兄弟の物語。作者の Old は、歴代大統領のほか、ルイ・アームストロングなどミュージシャンの伝記も書いて いる。"Revenge of the Whale" は、全米図書賞ノンフィクション部門を受賞した "In the Heart of the Sea" を子ども向けに書き直したもの。 【絵本】(Picture Book) ★"Big Momma Makes the World"   written by Phyllis Root, illus. by Helen Oxenbury (Candlewick) ☆"Dahlia"   by Barbara McClintock (Foster/Farrar) ☆"Blues Journey"   written by Walter Dean Myers, illus. by Christopher Myers (Holiday)  受賞作は創世記をモチーフにした作品。赤ちゃんを抱えながら、ビッグママが世界 を作り上げていく。Oxenbury はアクリル絵の具を使い、雲の表情を演出。この雲と の相乗効果でビッグママの大きさや温かさが、実によく描かれている。英国のケイト ・グリーナウェイ賞候補にたびたび名を連ね、また受賞するだけのことはある。邦訳 作品は多数あり。作者の Root は『キスなんかしないよ!』(ウィル・ヒレンブラン ド絵/こだまともこ訳/徳間書店)などが紹介されている。候補作の "Dahlia" は、 おてんばな女の子と抱き人形の話。中世を思わせる雰囲気、細かな絵が魅力。"Blues Journey" は Myers 親子が手がけた作品。"Harlem"、"Monster" に続いて3度目の次 点である。奴隷制度に苦しめられた黒人たちの哀歌、ブルースについての物語。                                 (西薗房枝) 【参考】 ◆ホーンブック公式サイト http://www.hbook.com/bghb2003.shtml ◇ボストングローブ・ホーンブック賞について (本誌1998年10月号「世界の児童文学賞」) http://www.yamaneko.org/mgzn/dtp/1998/10.htm#bungaku ◇ボストングローブ・ホーンブック賞受賞作品リスト(やまねこ翻訳クラブ資料室) http://www.yamaneko.org/bookdb/award/us/bghb/ ◇"Fireboat: The Heroic Adventures of the John J. Harvey" レビュー (「月刊児童文学翻訳あるふぁ」2003年2月号/有料、1部100円) バックナンバー購読はこちら↓ (まぐまぐプレミアム会員登録が必要) http://premium.mag2.com/reader/servlet/Search?type=mag&keyword=P0000022 ◆Anne Fine 公式サイト http://www.annefine.co.uk/ ◆Maira Kalman 公式サイト http://www.mairakalman.com/home.html ◆Wendie C. Old 公式サイト http://www.wendieold.com/ ◇ウォルター・ディーン・マイヤーズ主要作品リスト(やまねこ翻訳クラブ資料室) http://www.yamaneko.org/bookdb/author/m/wmyers.htm ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●賞情報2●2003年チルドレンズ・ブック賞発表 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  現地時間6月14日、英国でチルドレンズ・ブック賞が発表された。1980年に「子ど もの本グループ連盟(FCBG)」主催で始められたこの賞は、子ども向けのフィクショ ンを対象に、候補作から受賞作まで子どもたちの投票によって決められる。幼年向け、 低学年向け、高学年向けという3つのカテゴリーがあり、それぞれ1作ずつ賞が与え られ、さらにその中から大賞が選ばれる。審査員の子どもたちには、受賞パーティー へ出席し、候補作家たちと交流できるという素敵な特典までついている。 今年度の大賞作★、受賞作☆は以下の通り。 The Red House Children's Book Award 2003 ★大賞(高学年向け部門)  (The Overall Winner & The Winner of Books for Older Readers Category)  "Skeleton Key" by Anthony Horowitz (Walker) ☆低学年向け部門(The Winner of Books for Younger Readers)  "Blitzed" by Robert Swindells (Doubleday) ☆幼年向け部門(The Winner of Books for Younger Children)  "Pants" by Giles Andreae and Nick Sharratt (David Fickling)  大賞に輝いた "Skeleton Key" は、少年スパイが主人公のシリーズ3作目。1作目 の "Stormbreaker" は、同賞の最終候補作ともいえる2001年のトップ10に入っている。 邦訳は、「女王陛下の少年スパイ! アレックス」シリーズとして、『ストームブレ イカー』、『ポイントブランク』(竜村風也訳)、『スケルトンキー』(森嶋マリ訳 /いずれも荒木飛呂彦絵/集英社)と、3作全て出版されている。  低学年向け部門賞の受賞作 "Blitzed" は、第二次世界大戦に興味をもっていた主 人公が、大戦当時のロンドンにタイムスリップしてしまうという話。作者 Swindells の作品で、1985年に同賞を受賞した "Brother in Land" は、『弟を地に埋めて』 (斉藤健一訳/福武書店)として邦訳出版されている。  幼年向け部門賞の受賞作 "Pants" は、たくさんのユニークなパンツが登場する楽 しい絵本。2002年度のケイト・グリーナウェイ賞のショートリストにも入っている。 作者の Andreae は、絵本を数多く出版しているが、残念ながら邦訳はまだない。絵 を担当した Sharratt は、ジャクリーン・ウィルソンの挿絵でお馴染み。ポップで明 るく元気の出る絵で人気のある画家である。                                 (西薗房枝) 【参考】 ◆チルドレンズ・ブック賞 公式サイト http://www.redhousechildrensbookaward.co.uk/winners.htm ◇チルドレンズ・ブック賞について (本誌2002年3月号情報編「世界の児童文学賞」) http://www.yamaneko.org/mgzn/dtp/2002/03a.htm#bungaku ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●賞情報3●速報! 2002年度カーネギー賞、ケイト・グリーナウェイ賞発表 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  7月11日、イギリスで最も権威ある児童文学賞、カーネギー賞、およびケイト・グ リーナウェイ賞の発表が行われた。受賞作、および特別推薦作品(Highly Commended) と推薦作品(Commended)は以下の通り。シャロン・クリーチは、米国人初のカーネ ギー賞受賞者になった。また、グリーナウェイ賞を受賞したオーストラリア在住のボ ブ・グラハムは、3度目のノミネートでの受賞となった。 【カーネギー賞】(作家対象) Carnegie Medal 2002 ★Winner   "Ruby Holler" by Sharon Creech (Bloomsbury)〈本誌6月号レビュー掲載〉 ☆Highly commended   "Up on Cloud Nine" by Anne Fine (Doubleday)〈本誌6月号レビュー掲載〉 【ケイト・グリーナウェイ賞】(画家対象) Kate Greenaway Medal 2002 ★Winner   "Jethro Byrde, Fairy Child" by Bob Graham (Walker)                          〈本誌今月号レビュー掲載〉 ・Commended   "That Pesky Rat" by Lauren Child (Orchard)   〈本誌増刊号 No.3 ローレン・チャイルド特集号レビュー掲載〉 ※候補作リストは本誌5月号書評編参照のこと。全候補作のレビューを先月号および 今月号の特集記事で掲載。ただし、カーネギー賞候補の "The Dark Horse" とグリー ナウェイ賞の Commended に選ばれた "That Pesky Rat" については、すでに本誌バ ックナンバーおよび増刊号に掲載済みなので、そちらを参照願いたい。                                 (横山和江) 【参考】 ◆カーネギー賞、ケイト・グリーナウェイ賞サイト http://www.carnegiegreenaway.org.uk/ ◇カーネギー賞、ケイト・グリーナウェイ賞について (本誌1999年7月号情報編「世界の児童文学賞」) http://www.yamaneko.org/mgzn/dtp/1999/07a.htm#a1bungaku ◇カーネギー賞、ケイト・グリーナウェイ賞受賞作品リスト                         (やまねこ翻訳クラブ資料室) http://www.yamaneko.org/bookdb/award/uk/carnegie/index.htm http://www.yamaneko.org/bookdb/award/uk/greenawy/index.htm ◇候補作一覧(本誌2003年5月号書評編) http://www.yamaneko.org/mgzn/dtp/2003/05b.htm#prize3 ◇"That Pesky Rat"(『ペットになりたいねずみ』)レビュー  (本誌増刊号 No.3 ローレン・チャイルド特集号) http://www.yamaneko.org/mgzn/plus/html/z03/#rat ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●特集●カーネギー賞、ケイト・グリーナウェイ賞候補作レビュー ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  先月号に引き続き、両賞の候補作のレビューをお届けする。書誌に注記がないもの のレビューは、英国版の本を参照して書かれている。なお米国版の詳しい出版状況は 「やまねこオンライン書店街」を参照のこと。 【Highly Commended と Commended について】  カーネギー賞およびケイト・グリーナウェイ賞では、受賞作以外の候補作の中から、 特別推薦作品(Highly Commended)と推薦作品(Commended)が選ばれる。本誌レビ ューおよびやまねこ翻訳クラブ資料室の作品リストでは、これらを Highly Commended(または HC)、Commended(またはC)と表記している。 **************************************************************************** ★カーネギー賞(作家対象)候補作 **************************************************************************** "Martyn Pig" 『マーティン・ピッグの最悪の日々』(仮題) by Kevin Brooks ケヴィン・ブルックス作 The Chicken House 2002, 220pp. ISBN 1903434998 (UK)  ぼくはとっても不幸なんだ。まずは名前。マーティン(Martyn)の「イ」はIじゃ なくてY。変な綴りだろ。名字はピッグ、ぶたのピッグだ。それに、父さんは飲んだ くれの役立たずの怠け者。母さんはもうずっと前に家を出た。だから父さんの面倒を みるのは、このぼくの役目さ。まだ14歳なのに。でも意地悪な伯母さんの世話にはな りたくないから、仕方ない。唯一の友達で憧れの女の子アレックスも、最近いかれた バイク野郎とつきあい始めた。最悪だよね。もうすぐクリスマスなのに。でも信じて ほしい。ぼくは父さんを殺すつもりなんか、これっぽっちもなかったんだ……。  重苦しい物語かと思いきや、主人公マーティンの独白に、不思議な味わいとおかし みすら感じられる作品だ。内向的で大のミステリ好きでもあるマーティンの、独特な 善悪観が全体を覆い、思春期の虚無と切実さが表裏一体となって行間を漂う。  彼が「事故」と語る父親の死後、事態は思わぬ方向に転がり、泥沼の展開となる。 そこに深く関わるのが、アレックスと彼女のボーイフレンド、ディーンだ。事件のあ らましはほぼすべて明かされているのに、結末の予想がまったくつかない。緊張感を 誘うでもなく、どこまでもゆるやかにマーティンは語る。そして確かにこの「最悪の 日々」の物語は終わるのだが……いや、ここから始まるのかもしれない。                                 (森久里子) ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 【作】Kevin Brooks(ケヴィン・ブルックス):デヴォンシャー生まれ。バーミンガ ムとロンドンの学校を卒業後、火葬業補助、動物園の売り子、公務員などさまざまな 職業に就いたのち、「好きな時間に起きられて、好きな服を着られて、妻といつでも 散歩に行ける」作家業に。YA向け作品は本書がはじめて。昨年末刊行の "Lucas" では、孤独な少女と少年の心の触れ合いを、鮮烈かつ繊細に描いている。 ◆ケヴィン・ブルックス インタビュー http://www.thisispush.com/voices/brooks_qa.htm **************************************************************************** "Across the Nightingale Floor" 『鴬張りの向こうには』(仮題) by Lian Hearn リアン・ハーン作  Picador 2003, 309pp. ISBN 0330493345 (UK) (PB)  平和な山村で15歳になるまで暮らしてきたタケオ。しかしある日、イイダ・サダム 率いるトーハン藩の武士たちに村を襲撃され、母と妹、養父を失った。オオトリ藩の 継承者オオトリ・シゲルに救われ、奇跡的に生き延びたタケオは、シゲルの養子とな った。その後シゲルの旧友から、タケオは実の父親のことや今まで知らなかった自分 の素性を聞かされる。タケオの実父はスパイと暗殺を請け負う一族のリーダーで、有 能な暗殺者だった。そしてタケオの超人的な聴力はその血の証だと。イイダ・サダム への復讐を胸に、タケオは剣や忍術の訓練を受ける。  タケオの物語と同時進行で、幼くしてトーハンの人質となったカエデの物語も語ら れる。カエデとタケオの義父シゲルの婚礼が決まったことから、2人の物語がひとつ になる。特殊能力を持った孤児の主人公タケオの敵討ちに、主君への忠誠心と裏切り が交錯し、さらにタケオとカエデの恋が彩りを添える。戦国時代の日本を思わせる場 所を舞台にし、実在の地名が登場するが、これは異世界を舞台にしたファンタジーだ。 本作は全3作からなるオオトリ物語の第1作であるため、すべての謎が解決とはなら ず、残りは次作以降でのお楽しみとなる。なお、タイトルは、イイダ・サダムが防御 のため寝室に至る廊下を鴬張りにしていることによる。                                 (赤塚京子) ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 【作】Lian Hearn(リアン・ハーン):オーストラリアの人気作家、ジリアン・ルビ ンシュタインの別名。1942年イングランドに生まれる。オックスフォード大学卒業後、 1973年オーストラリアに移住。1989年に "Beyond the Labyrinth" で、1995年に "Foxspell" でオーストラリア児童図書賞(いずれも Older Readers 部門)に輝く。 本作品の邦訳が来年予定されており、作者初の邦訳となる。 ◆'Tales of the Otori' シリーズのサイト http://www.theotori.com/ ◆ジリアン・ルビンシュタインのサイト http://www.gillianrubinstein.com/ **************************************************************************** "The Shell House" 『貝殻の家』(仮題) by Linda Newbery リンダ・ニューベリー作 David Fickling Books 2002, 356pp. ISBN 0385603894 (UK) David Fickling Books 2002, 335pp. ISBN 0385750110 (US) (このレビューは、US 版を参照して書かれています)  夏の終わりに17歳のグレッグがふと足を踏み入れたのは、第一次大戦中に火事にあ った大邸宅の焼け跡だった。空っぽの貝のように外壁だけが残った屋敷、広大な庭園、 湖のほとりの東屋……そんな風景に心ひかれ、彼は足しげくそこを訪れるようになる。 そして、邸宅の歴史をひもとくうちに、火事のあった頃に戦地で死んだとされている 屋敷の跡継ぎエドモンドの消息に疑問を抱く。それとともにグレッグをめぐる人間関 係も、親友のジョーダン、東屋で出会った少女フェイスを中心に変わり始める。  第一次大戦下の若き兵士エドモンド、現代の少年グレッグを軸に、2つの時代の物 語が交互に展開していく。異なる時代を生きる2人には、偶然同じ場所に立ったとい うことしか接点がない。だが、性の目覚め、同性への友情を越えた思慕、神への疑念 ……と、迷いや悩みはどこか重なり合う。どちらの時代でも、自分らしい生き方を模 索してもがく若者たちの、不器用ながらもひたむきな姿が心に残った。  同性愛や信仰、戦争観など、重いテーマを同時に取り上げているため、難しく、あ るいは重苦しく感じる部分もあるだろう。だが、丹念につづられた心の動き、鮮やか な風景描写、ユニークな構成など、読者をひきつけて読ませる要素は十分だ。まずは 物語に浸って、それからじっくり考えてみてほしい。そんな1冊である。                                 (児玉敦子) ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 【作】Linda Newbery(リンダ・ニューベリー):1952年、英国エセックス生まれ。 現在はノーサンプトンシャー在住。教師などさまざまな職業を経て、1988年の "Run with the Hare" で作家としてデビュー。以来、YAや子ども向けの作品を発表し続 けている。邦訳に『口笛ジャックをおいかけて』(長滝谷富貴子訳/文研出版)があ る。本作は2002年ガーディアン賞にもノミネートされている。 ◆リンダ・ニューベリー公式サイト http://www.btinternet.com/~L.Newbery/index.html **************************************************************************** ★ケイト・グリーナウェイ賞(画家対象)候補作 **************************************************************************** "Jethro Byrde, Fairy Child" 『アナベルと妖精の子エテロ・バード』(仮題) by Bob Graham ボブ・グラハム文・絵 Walker Books 2002, 30pp. ISBN 0744588634 (UK) ★2002年度ケイト・グリーナウェイ賞受賞作  アナベルは妖精に会いたい女の子。パパは「コンクリートに草ちょっぴり」のこん な都会じゃ、妖精はいないっていうけれど、アナベルは毎日探してる。そしてある日、 とうとう見つけちゃった! 羽がはえてるフィンガーサイズの男の子。「ぼくの名前 はエテロ・バード。妖精の子どもだよ」エテロは妖精がたくさん集まる「ピクニック 大会」に、家族総出でホットドッグやなんかを売りにいくところだった。けれども、 一家をのせた空飛ぶワゴン車が、なぜかアナベルの家のそばに落ちてしまったのだ。 アナベルはひょんなことから出会ったバード一家を、自分の家のお茶に招待する……。  作者ボブ・グラハムの絵は、ほのぼのマンガチックな線画にカラフルな水彩が特徴。 そんなグラハムが描く妖精は、身近で人間っぽい。エテロ・バードはキャップをかぶ り、ジーンズをはいている。名前もあまり妖精らしからぬ苗字付きの名前だ(まあ、 字面からは太古の雰囲気や妖精っぽさが漂っているけれど)。グラハム独特の温かい ユーモアが光るこの絵本は、お茶の場面に出てくる「フェアリーケーキ」のように甘 くてやさしい。ただケーキと違うのは、ちょっぴりスパイスが効いてるところ。妖精 の世界を肯定しながらも、人間はやっぱり人間の/現実の世界に生きていることをさ りげなく示している。カラフルで楽しいだけじゃない、地に足のついてる作品だ。                                (田中亜希子) ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 【文・絵】Bob Graham(ボブ・グラハム):1942年オーストラリア生まれの絵本作家。 作品には、オーストラリア児童図書賞など、大きな児童書賞の受賞作、または候補作 になったものがいくつかある。グリーナウェイ賞に関しては、1997年に『チャボのオ ッカサン』(まつかわまゆみ訳/評論社)が、2001年に "Let's Get a Pup!"(未訳) が候補作に選ばれており、今回3度目のノミネートで受賞となった。メルボルン在住。 ◆"Let's Get a Pup!" レビュー(本誌2002年6月号書評編) http://www.yamaneko.org/mgzn/dtp/2002/06b.htm#let'sget **************************************************************************** "Man on the Moon" 『月ではたらく ボブのいちにち』(仮題) by Simon Bartram サイモン・バートラム文・絵 Templar Publishing 2002, 30pp. ISBN 1840114452 (UK)  月好きが高じて月の管理人になったボブは、毎朝、地球から仕事場に通っている。 6時に起きて朝食をとり、自転車で丘の上の発射台に向かう。宇宙船での通勤時間は たったの15分。9時には仕事開始だ。午前中は掃除。今や観光地と化し、空き缶や紙 くずだらけの月に掃除機をかけたり、ゴミを拾ってポリ袋に入れたり。午後にはツア ーの宇宙船が月の空へとやってくる。窓から眺める人々に、逆立ちや宙返り(これぞ 月面宙返り!)を見せるのもボブの仕事だ。客が月面に降り立つ時にはガイドもこな す。そんな時きまってでてくる宇宙人についての質問に、ボブはうんざりしつつも親 切に答える。「宇宙人などいませんよ」と。火星や土星の管理人との付き合いがたま にあるものの、月面は自分ひとりの気楽な職場だ――とボブは思っているのだが……。  システマチックな空間のはずの宇宙船が、やかんがシューシューいうような生活感 ただよう場所に描かれる。ゴミに埋もれた月面も、今の時代には考えられない。とこ ろがあたかも3Dアニメのような立体感で、リアルにせまってくる絵を見ていると 「月がこんなに身近になる日も、意外と近いのでは?」と思えてくる(もちろんゴミ だらけはごめんだが)。作者が得意とする光と影を十分に計算した、精緻な筆が創り 出す近未来。ページを繰る度に必ずどこかに現れる、あの生物を探すのもまた楽しい。                                 (大塚典子) ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 【文・絵】Simon Bartram(サイモン・バートラム):バーミンガム・ポリテクニッ クでイラストレーションを専攻し、1990年卒業。雑誌や新聞のイラストも手がけるが、 子どもの本のイラストを描くのに最も重点を置いている。1998年、"Pinnochio" でマ ザーグース賞の候補となる。その他の作品に、"Pumpkin Moon" がある。 **************************************************************************** "The Cockerel and the Fox" 『オンドリとキツネ――おせじにはご用心!』(仮題) by Helen Ward ヘレン・ウォード再話・絵 Templar Publishing 2002, 40pp. ISBN 1840115157 (UK)  むかし、ある農家に、毎朝高らかに時を告げるオンドリがいた。気高く、美しく、 みんなから愛されているけれど、その分うぬぼれも強い。ある日、庭にしのびこんで きたキツネが、オンドリにこう言った。「君の素晴らしい声を、聞かせてくれないか」 いい気になったオンドリは、天を仰いで目をつぶり「コッケコッコー!」。してやっ たりと、キツネは喉元をガブリ。さて、オンドリはこのまま食べられてしまうのか?  チョーサーの『カンタベリー物語』に語られる一編として有名なこのオンドリとキ ツネの話は、古くはイソップ物語にまで遡るそうだ。チョーサーの世界を忠実に再現 したクーニーの絵本『チャンティクリアときつね』(平野敬一訳/ほるぷ出版/1975) とはがらりとイメージが変わり、こちらに登場するのは動物だけ。オンドリにくらい つくキツネの場面の迫力、キツネを追う動物たちの群れの場面の巧みさなど、構図の 素晴らしさにはほれぼれする。1匹1匹を写実的に描きだした絵は、鮮やかで美しく 魅力的。そのうえ、生き生きとした動物たちの表情や、少しだけデフォルメされた背 景などに、作者の遊び心も感じられる仕上がりだ。  巻末には、動物たちの解説が詳しくまとめられている。単に牛や豚といっても、様 様な種類があること、また、作者の研究・調査の成果のほどが実感でき、興味深い。                                (植村わらび) ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 【文・絵】Helen Ward(ヘレン・ウォード):1962年イングランド中南東部グロスタ ーシャー生まれ。ブライトン美術学校で、レイモンド・ブリッグズら大御所の元でイ ラストレーションを学ぶ。主な作品は、同じく昔話を題材にした "The King of the Birds"、"The Hare and the Tortoise"、画家のウェイン・アンダーソンと組んで文 章を担当した "The Tin Forest"、"The Dragon Machine" など。 **************************************************************************** "Pants" 『パンツ』(仮題) text by Giles Andreae, illustrations by Nick Sharratt ジャイルズ・アンドレーエ文/ニック・シャラット絵 David Flicking Books 2002, 25pp. ISBN 0385604343 (UK) ★2003年チルドレンズ・ブック賞幼年向け部門受賞作  パンツをはいていない人、手あげて! こう聞かれて手をあげる人は、まずいない。 そう、大人も子どももたいてい身につけているもの――それが、パンツだ。  色々な種類のパンツを、ニック・シャラットが原色をふんだんに使って、鮮やかに 描いている。大体、子どもたちはみんな、パンツ1丁で走り回るのが大好き。そんな 子ども心をくすぐるかのように、絵本の中は、右も左もユニークなデザインのパンツ があふれかえっている。電飾のついたパンツ、宝石のついたパンツ、お札で作ったパ ンツなど、どれも奇想天外だ。しかも、そのユニークなパンツをはいた子どもや動物 が、文字通り、ページの右から左へとパンツを見せながらパレードしている。これは もう、子ども心をぎゅっと掴んで放さないだろう。  一方、文章はリズム感に富み、英語特有のライム(押韻)も取り入れられていて、 声を出して読むのにぴったりだ。読んであげたら、一緒になってパレードしてしまう 子どもがきっといるはず。  大人も思い切って、この絵本に出てくるようなパンツをはいてみるといいかもしれ ない。心がはじけること、間違いなしだ。                                 (村上利佳) ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 【絵】Nick Sharratt(ニック・シャラット):ロンドン生まれ。美術学校を卒業し た後、雑誌や児童書のイラストレーターとして活躍。ジャクリーン・ウィルソン作品 の挿絵を描いて人気を得る。代表作に、『ちゃんとたべなさい』(ケス・グレイ文/ よしがみきょうた訳/小峰書店)がある。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●注目の本(未訳読み物)●ハリー、思春期の混沌に! 闇との戦いで増える犠牲者 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』(仮題) J・K・ローリング作 "Harry Potter and the Order of the Phoenix" by J. K. Rowling Bloomsbury 2003, ISBN 0747551006 (UK), 766pp. Scholastic 2003, ISBN 043935806X (US), 870pp. (このレビューは、UK 版、および US 版を参照して書かれています)  夏休み、ハリーはまたダーズリー家で過ごしていた。魔法学校4年目の終わりに恐 ろしい出来事があり、魔法界が大変な危機に直面しているというのに。親友や名づけ 親から届くふくろう便は妙にそっけなく、「おばさんの家でおとなしくしているよう に」という内容ばかり。不満と怒りが募る中、ハリーは気晴らしに、いとこのダドリ ーいじめに精をだした。ところが、いきなり目の前に信じられないものが現れて……。  魔法界の仲間と再会を果たしたハリーは、両親が殺された十数年前にも活躍した 「不死鳥の騎士団」が再結成されたと知らされる。騎士団は「例のあの人」が率いる 闇の魔術師たちと戦うために集ったという。一方、魔法省はダンブルドア校長の警告 に反発し、ハリーと校長に対する世間の不信感を駆り立てている。その上、ホグワー ツの運営にまで口を挟むようになり、その一環として、スネイプ先生に輪をかけて陰 湿な教師が魔法学校に送り込まれてくる……。  3年間待たれていたハリー・ポッターの第5巻が6月21日発売され、驚異的な予約 販売・初版刊行数で、また大きく騒がれた。主人公ハリーが15歳ということを受け、 心身ともに激しく揺れ動く思春期の雰囲気が強まった。課せられる制限に苛立ち、能 力以上の問題に直面しても大人に相談せずに自分で抱え込んでしまう。また急に浮上 した「異性」の不可解な言動に戸惑い、親友のハーマイオニーに解説してもらわなけ ればならない。さらに、5年生の年度末には将来を左右するとも言われる大きな試験 が待っている。ハリーは改めて自分がどのような生き方を選ぶかを考える時期が近づ いてきたのだ。いい子だったハリーもキレやすい若者になり、内向的になりがちであ る。  今まで物語の中核となっていた闇の魔術師たちとの戦いは、脅威として増したはず だが、この巻の大半では水面下の動きとなった。だが、潜行性なのでかえって恐怖感 は強まる。また、今回は論理的に納得できない筋がいくつかでてきている。これらは 今後の展開上、必要な伏線だと想像はできるが、やはり1作品としてみた場合、完成 度に不満を抱かずにはいられなかった。ただ、シリーズ全体として向かっている方向 は、期待できそうだ。善悪を単純に二分する今までのファンタジーにはない、画期的 な結末が用意されているという信念は揺らがない。ウィットのきいたユーモアと魅力 的な登場人物と共に迎えるハリーたちのホグワーツでの6年、そして最終学年が今か ら待ち遠しい。                                 (池上小湖) ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 【文】J・K・ローリング(J. K. Rowling):1965年、ウェールズ生まれ。エクセタ ー大学では古典文学とフランス語を専攻。離婚後、乳児を抱える貧困母子家庭の苦労 をなめつつ、最初の作品『ハリー・ポッターと賢者の石』(松岡佑子訳/静山社)を 書き上げた。本国イギリスをはじめ、世界各国で大ヒットし、出版界のあらゆる記録 を塗り替える超ベストセラーとなり、世界的なファンタジー・ブームを巻き起こした。 【参考】 ◆Bloomsbury 社のサイト(BBC 並びに Times 紙のインタビューへのリンクあり) http://www.bloomsbury.com/authors/microsite.asp?id=53§ion=1 ◇J・K・ローリング作品リスト(やまねこ翻訳クラブ資料室) http://www.yamaneko.org/bookdb/author/r/jkrow.htm ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●Chicoco の親ばか絵本日誌●第23回「絵本につっこむ」      よしいちよこ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  赤ちゃんのときは思いもしなかったことですが、しゅんはおしゃべりな子どもにな りました。なにに対しても、口をはさみたくなるみたいです。先日もかえ歌をうたい ながら「そんなん、ちゃうやろ」と自分で自分につっこんでいました。 『ピクニックにいこう!』(パット・ハッチンス作/たなかあきこ訳/徳間書店)は めんどり、がちょう、かもの3羽がお弁当を持って出かけるお話です。食べるのにい い場所を探しているうちに家にもどってきてしまいました。バスケットはなぜかから っぽ。お弁当はどうなっちゃったのでしょう。しゅんに「お弁当食べたの、だれだ?」 といって、読みはじめました。好きな果物をお弁当にするめんどりたちに、さっそく しゅんは「果物だけのお弁当なんか、あかん! ちゃんとお野菜も食べなさーい!」 とつっこみます。デザートばかりでうらやましいのでしょう。がちょうと気があうら しく、「ぼくもりんごが大すき。いっしょだねー」。ページをめくり、いよいよお弁 当があぶなくなると、「ああー! これっ! お弁当が食べられちゃうよ!」と、な にも気づかないめんどりたちに教えました。家に着いて「ぜんぶ、とちゅうで、おと しちゃったんだね」という3羽に「ちがう! ○○が食べちゃったんだよ! もうっ! ○○は悪い!」と、腹をたてていました。さて、何回も読んで犯人がわかってしまっ た今、読みはじめるまえに「お弁当食べたの、だれだ?」とわたしがいうと、すっと 表紙の絵を指さしてしまうしゅんであります。  3月生まれのしゅんは、もう次の誕生日のことを考えています。「こんどの誕生日 のプレゼントは……」と毎日いい、毎日希望のプレゼントが変わります。『ちびうさ まいご!』(ハリー・ホース作/千葉茂樹訳/光村教育図書)を読みました。誕生日 を迎えたちびうさは、みんなからお祝いされ、たくさんのプレゼントをもらいます。 その中の遊園地の券を持って、みんなで出発。「きょうはたんじょうびだもん。ぼく、 もうおっきいんだから」と、ちびうさははりきっていますが、大きい子が乗るような 乗り物はまだ無理。おまけに、みんなからはぐれてしまい……。しゅんは、すかさず 「誕生日だけど、ちびうさはまだちっちゃい子なんだよ。ぼくはブランコできるから、 おっきい」と胸をはってつっこみました。つなぎの服とかわいい帽子(うさぎだから こんな形なのはしかたがないですね)のせいもあって、しゅんはちびうさが年下だと 思っていたのです。最後のページのろうそくを数えて、「ぼくといっしょ! ちびう さ、赤ちゃんやと思ったわ」とびっくり。「しゅんだって、迷子になったら、ちびう さみたいに泣くでしょ」とわたしがいうと、しゅんは素直に「うん」と認めました。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●お知らせ●  本誌でご紹介した本を、各種のインターネット書店で簡単に参照していただけます。 (今号掲載の本の情報は、7月15日から反映される予定です。)こちらの「やまねこ オンライン書店街」よりお入りください。http://www.yamaneko.org/mgzn/shop/ PR━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ☆☆ FOSSIL 〜 Made in USA のカジュアルウオッチ ☆☆ 「FOSSILは化石って意味でしょ?レトロ調の時計なの?」。いえいえ、これは創業者 の父親がFOSSIL(石頭、がんこ者)というあだ名だったことから誕生したブランド名。 オーソドックスからユニークまで様々なテイストの時計がいずれもお手頃価格で揃い ます。レトロといえば、時計のパッケージにブリキの缶をお付けすることでしょうか。 数十種類の絵柄からお好きなものをその場で選んでいただけます。選ぶ楽しさも2倍 のフォッシルです。 TEL 03-5428-3701 http://www.fossil.com       (株)フォッシルジャパン:やまねこ賞協賛会社 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▽▲▽▲▽   海外児童書のシノプシス作成・書評執筆を承ります   ▽▲▽▲▽    やまねこ翻訳クラブ(info@yamaneko.org)までお気軽にご相談ください。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*    PR    〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*             夏号、8月初旬発行予定!            英語圏に日本の児童文学情報を発信!      英文ウェブジン "Japanese Children's Books (Quarterly)"           ただいま春号公開中↓ 自由閲覧です↓          http://www.yamaneko.org/mgzn/eng/index.htm 〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*    PR    〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜* ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━     ☆★姉妹誌「月刊児童文学翻訳あるふぁ」(購読料/月100円)☆★ 洋書ビギナーにおすすめの、楽しく読める未訳書ガイド。クイズに答えてポイントを ためると、プレゼントももらえます。詳細&購読申し込みはこちらから(↓)。                      http://www.yamaneko.org/mgzn/alfa/ (第21号は9月5日発行。申し込み手続きは前日までにおすませください。) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆次号予告は毎月10日頃、やまねこ翻訳クラブHPメニューページに掲載します。◆           http://www.yamaneko.org/info/index.htm ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●編集後記●今月は3つの賞情報をお届けしました。読んでみたい本を拾っていくと、 私の好みは、どうやら子どもたちが選ぶものに近いようです(^^)(あ) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 発 行 やまねこ翻訳クラブ 発行人 竹内みどり(やまねこ翻訳クラブ 会長) 編集人 赤間美和子(やまねこ翻訳クラブ スタッフ) 企 画 蒼子 えみりい 河まこ キャトル きら ぐりぐら くるり ケンタ     さかな 小湖 Gelsomina sky SUGO ち〜ず Chicoco ちゃぴ つー     月彦 どんぐり なおみ NON hanemi ぱんち みーこ みるか 麦わら     めい MOMO ゆま yoshiyu りり りんたん レイラ ワラビ     わんちゅく 協 力 出版翻訳ネットワーク 管理人 小野仙内     anya Incisor ながさわくにお ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ・このメールマガジンは、「まぐまぐ」( http://www.mag2.com/ )を利用して配信 しています。購読のお申し込み、解除もこちらからどうぞ。 ・バックナンバーは、http://www.yamaneko.org/mgzn/ でご覧いただけます。 ・ご意見・ご感想はmgzn@yamaneko.orgまでお気軽にお寄せください。 ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●無断転載を禁じます。