※こちらは「書評編」です。「情報編」もお見逃しなく!! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● 2003年5月号(書評編)    =====☆                    ☆=====   =====★   月 刊  児 童 文 学 翻 訳   ★=====    =====☆   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ☆=====                                  No.50 ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●児童文学翻訳学習者による、児童文学翻訳学習者のための、電子メール版情報誌● ●http://www.yamaneko.org/                        ● ●編集部:mgzn@yamaneko.org     2003年5月15日発行 配信数 2580 無料● ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●2003年5月号(書評編)もくじ● ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◎賞情報1:2003年MWA賞(エドガー賞)発表 ◎賞情報2:2003年アガサ賞発表 ◎賞情報3:カーネギー賞・グリーナウェイ賞候補作発表 ◎注目の本(邦訳絵本):『だいすき そんなきもちをつたえてくれることば』              ハンス&モニック・ハーヘン作              マーリット・テーンクヴィスト絵 ◎注目の本(邦訳読み物):『オスティア物語 古代ローマの謎ときアドベンチャー』               キャロライン・ローレンス作 ◎注目の本(未訳読み物):"Recycled" サンディ・マッケイ作 ◎Chicoco の親ばか絵本日誌:第22回「ぼくが守ってあげる」(よしいちよこ) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●賞情報1●2003年MWA賞(エドガー賞)発表 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  5月1日、MWA賞(エドガー・アラン・ポー賞)が発表された。アメリカ探偵作 家クラブ(Mystery Writers of America)が主催。前年度に出版された広義のミステ リー作品の中より選出される。現在12の部門賞が設けられているがここでは児童文学 に関係する2部門のみ掲載する。 2003年の★Winner(受賞作)、☆Nominees(候補作)は以下の通り。 【最優秀ヤングアダルト小説賞】(Best Young Adult) ★Winner  "The Wessex Papers, Vols. 1-3" by Daniel Parker (Avon) ☆Nominees  "Cheating Lessons" by Nan Willard Cappo (Atheneum)  "Safe House" by Jenny Carroll (Simon & Schuster)  "Hit and Run" by Mark Delaney (Peachtree)  "The Night the Penningtons Vanished" by Marianna Heusler (Larcom Press)  YA部門受賞作は、Wessex Academy を舞台にしたサスペンスストーリー。自分の 生活レベルの違いに苛立ちを覚えた少年たちが、生活レベルの高い者たちを次々に脅 かしていく。全3巻で完結。"Cheating Lessons" は Cappo のデビュー作。ディベー トチームに所属する少女が主人公。"Safe House" は超能力を持つ少女 Jess が、ふ としたきっかけで行方不明の子どもを捜すこととなり、事件に巻き込まれていくとい う話。作者の Jenny Carroll は、実は『プリンセス・ダイアリー』(金原瑞人・代 田亜香子訳/河出書房新社)の Meg Cabot である。"Hit and Run" の主人公は、十 代ばかりの探偵4人組。単なるひき逃げ事件の調査を引き受けたはずが、とんでもな いことに発展してしまう。"The Night the Penningtons Vanished" は、主人公の Isabella が、叔母の店から忽然と消えたつがいの小鳥を探すうちに、友人2人と共 に事件に関わってしまう話。 【最優秀児童図書賞】(Best Juvenile) ★Winner  "Harriet Spies Again" by Helen Ericson (Random House/Delacorte Press) ☆Nominees  "O'Dwyer & Grady: Starring in Acting Innocent"   by Eileen Heyes (Simon & Schuster/Alladin Paperbacks)  "The Case of the Greedy Granny: Jake Gander, Storyville Detective"   by George McClements (Hyperion)  "Riding the Flume" by Patricia Curtis Pfitsch (Simon & Schuster BFYR)  "Sammy Keyes and the Search for Snake Eyes"   by Wendelin Van Draanen (Random House/Knopf Books for Young Readers)  Juvenile 部門受賞作は、ルイーズ=フィッツヒューが1964年に書いた『スパイに なりたいハリエットのいじめ解決法』(鴻巣友季子訳/講談社)の続編。前作にかな りの影響をうけた Ericson が、1974年に亡くなったフィッツヒューの後を受ける形 で作品化した。両親の不在で、家政婦と2人で留守を預かる Harriet。そこへ怪しげ な夫婦が近所に引っ越してきた。Harriet は2人の身辺を探り始める。"Starring in Acting Innocent" は1932年のニューヨークを舞台に、子役の O'Dwyer と共演者 Grady の2人が、同じスタジオの女優が殺された事件を解決していく話。今年6月に は2作目が出版予定。探偵 Jake Gander がおとぎ話に潜りこみ活躍するのは、"The Case of the Greedy Granny"。パロディーが盛りだくさんの作品である。"Riding the Flume" は、主人公の Francie が、事故で亡くなった姉の秘密を知ったことから、 事件に入り込んでしまう。Draanen の作品は、「少女探偵サミー・キーズ」シリーズ の内の1作で、昨年5月に出版されたもの。邦訳は2003年4月に、『少女探偵サミー ・キーズとホテル泥棒』(加藤洋子訳/集英社)が、出版されている。                                 (西薗房枝) 【参考】 ◆Mystery Writers of America 公式サイト http://www.mysterywriters.org/index.htm ◆Jenny Carroll のサイト http://www.jennycarroll.com/ ◆Marianna Heusler のサイト http://www.mariannamystery.com/ ◆Helen Ericson e-book(eBookMall) http://www.ebookmall.com/alpha-authors/Helen-Ericson.htm ◆Patricia Curtis Pfitsch のサイト http://www.pfitsch.com/ ◆Wendelin Van Draanen 関連ページ(ランダムハウス) http://www.randomhouse.com/kids/vandraanen/ ◆Sammy Keyes 関連ページ《子ども向け》(Kidsreads.com) http://www.kidsreads.com/series/series-keyes.asp ◇MWA賞(エドガー賞)受賞作品リスト(やまねこ翻訳クラブ資料室) http://www.yamaneko.org/bookdb/award/us/mwa/index.htm ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●賞情報2●2003年アガサ賞発表 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  5月3日、マリス・ドメスティック主催のアガサ賞が発表された。Best Novel、 Best First Mystery Novel、Nonfiction、Short Story、Children's/YA の5部門に 分けられている。ここでは児童文学に関する1部門のみ掲載する。 2003年度の★Winner(受賞作)、☆Nominees(候補作)は以下の通り。 【児童書及びヤングアダルト部門】(Children's/YA) ★Winner  "Red Card: A Zeke Armstrong Mystery" (The Zeke Armstrong Mysteries, 1)   by Daniel J. Hale & Matthew LaBrot (Top Publications) ☆Nominees  "Whistler in the Dark" (American Girl History Mysteries, 16)   by Kathleen Ernst (Pleasant Company Publications)  "Hoot" by Carl Hiaasen (Knopf)  "The Secret of the Red Flame" by K. M. Kimball (Aladdin Library)  "The Maltese Kitten: A Sam the Cat Mystery"   by Linda Stewart (Cheshire House Books)  受賞した "Red Card: A Zeke Armstrong Mystery" は Daniel J. Hale と Matthew LaBrot の叔父、甥コンビによる共作である。13歳のサッカー少年 Zeke が、コーチ の命をねらう相手を捜し出すという話。候補に挙がった Ernst は2001年エドガー賞 にノミネートされている。歴史物が得意な作家で、今回は1800年代の話。"Hoot" は 今年ニューベリー賞オナーに選ばれた。すでに『ホー HOOT』(千葉茂樹訳/理 論社)として、今年4月に出版されている。"The Secret of the Red Flame" は1871 年のシカゴを舞台に、主人公の少年が、殺人者という汚名を着せられた友人を救うた め、真犯人をみつけようと奔走する。"The Maltese Kitten: A Sam the Cat Mystery" はサムという名の灰色のネコが主人公のシリーズ、3作目。                                 (西薗房枝) 【参考】 ◆MALICE DOMESTIC 公式サイト http://www.malicedomestic.org/ ◆'The Zeke Armstrong Mysteries' シリーズのサイト http://www.zekearmstrong.com/index.html ◆Carl Hiaasen のサイト http://www.carlhiaasen.com/ ◆'A Sam the Cat Mystery' シリーズのサイト http://www.samthecat.com/index.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●賞情報3●カーネギー賞・グリーナウェイ賞候補作発表 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  5月2日、カーネギー賞・グリーナウェイ賞のショートリスト(最終候補作)が発 表された。英国図書館協会が主催するこの賞は、イギリスでは最も権威ある児童文学 賞である。今年は3月3日にロングリストとして39作品があがっていた。発表及び授 賞式は7月11日。ショートリストは以下の通り。 (ロングリストは、やまねこ翻訳クラブサイトの「速報(海外児童文学賞)」コーナ ーに掲載中。 http://www.yamaneko.org/award/index.htm) 【カーネギー賞候補作】〜 Carnegie Medal 〜(作家対象) "Martyn Pig" by Kevin Brooks (The Chicken House) "Ruby Holler" by Sharon Creech (Bloomsbury Children's Books) "Up on Cloud Nine" by Anne Fine (Corgi Books) "The Edge" by Alan Gibbons (Dolphin Paperbacks) "Across the Nightingale Floor" by Lian Hearn (Macmillan Children's Books) "The Shell House" by Linda Newbery (David Fickling Books) "The Dark Horse" by Marcus Sedgwick (Dolphin Paperbacks)  ケヴィン・ブルックスは初めての小説 "Martyn Pig" で候補となった。父親の殺害 事件にまきこまれた少年を主人公としたミステリだ。シャロン・クリーチは、"Love that Dog" で昨年のカーネギー賞 Commended となった。今年は "Ruby Holler" でノ ミネートされている。今年3月には絵本の『みんなのすきな学校』(ハリー・ブリス 絵/長田弘訳/講談社)が邦訳刊行されたばかり。『ぎょろ目のジェラルド』(岡本 浜江訳/講談社)と "Flour Babies" で2度カーネギー賞を受賞、"Tulip Touch" で Highly Commended に選ばれたアン・ファイン。今回候補となったのは、ふたりの少 年の友情を描いた "Up on Cloud Nine" だ。"Shadow of the Minotaur" で2001年カ ーネギー賞候補となったアラン・ギボンズは、先月初の邦訳『テリーの恋』(金原瑞 人・田中亜希子訳/主婦と生活社)が刊行された。候補作の "The Edge" は家庭内暴 力から逃げ出す母と息子を緊迫感のある筆致で描いている。"Across the Nightingale Floor" は、封建時代の日本に似た架空世界を舞台にした「鳳物語」シ リーズ3部作の1作目。最近、リアン・ハーンという名前はオーストラリア在住の作 家、ジリアン・ルビンシュタインの筆名であると明かされた。この作品の邦訳は来年 予定されている。リンダ・ニューベリーの "The Shell House" は、現代と第一次世 界大戦時の話を並行して描いた作品で、昨年のガーディアン賞候補にもなった。マー カス・セジウィックは、デビュー作 "Floodland" で2001年ブランフォード・ボウズ 賞を受賞、第2作『魔女が丘』(唐沢則幸訳/理論社)で2002年エドガー賞候補とな った。第3作の "The Dark Horse" は、昨年のガーディアン賞候補。北方の村を舞台 としたミステリアスな物語。今年7月中旬には邦訳の出版が予定されている。 【参考】 ◆アン・ファインのサイト http://www.annefine.co.uk/ ◆シャロン・クリーチのサイト http://www.sharoncreech.com/ ◆アラン・ギボンズ関連ページ(Allen and Unwin) http://www.allen-unwin.com.au/authors/apGibbons.asp ◆'Tales of the Otori'(鳳物語)シリーズのサイト http://www.theotori.com/ ◆ジリアン・ルビンシュタインのサイト http://www.gillianrubinstein.com/ ◆リンダ・ニューベリーのサイト http://www.btinternet.com/~L.Newbery/ ◇"The Dark Horse" のレビュー(本誌2002年11月号書評編) http://www.yamaneko.org/mgzn/dtp/2002/11b.htm#darkhors                                (竹内みどり) 【ケイト・グリーナウェイ賞候補作】〜 Greenaway 〜(画家対象) "Man on the Moon" by Simon Bartram (Templar Publishing) "Albert le Blanc" by Nick Butterworth (Collins) "That Pesky Rat" by Lauren Child (Orchard Books) "Who's Afraid of the Big Bad Book?" by Lauren Child (Hodder Children's Books) "Jethro Byrde, Fairy Child" by Bob Graham (Fairy Child Walker Books) "The Kiss That Missed" by David Melling (Hodder Children's Books) "Pants" by Nick Sharratt (David Fickling Books) "The Cockerel and the Fox" by Helen Ward (Templar Publishing)  本年度の候補作品は、宇宙の話からおとぎ話まで様々なスタイルの作品が並んだ。 サイモン・バートラムの "Man on the Moon" は、月へ毎日通勤するボブの1日を描 いた作品で、レトロ調の画風。月で掃除をしたり観光客の相手をしたりという設定が ユニークだ。ニック・バトワース(バターワース)は『ゆきのふるよる』(はやしま み訳/金の星社)などの絵本が日本でも数多く紹介されている作家。今回の候補作品 となった "Albert le Blanc" は、おもちゃ屋に並ぶおもちゃたちの中で一番悲しそ うな顔をした白いくまのぬいぐるみを主人公にした話。『ぜったいたべないからね』 (木坂涼訳/フレーベル館)で一昨年グリーナウェイ賞に輝いたローレン・チャイル ドは、本年度も2作品が候補にあがった。1作はすでに邦訳が出版されている『ペッ トになりたいねずみ』(木坂涼訳/フレーベル館)。もう1作 "Who's Afraid of the Big Bad Book?" は、一昨年度候補作品『こわがりハーブ えほんのおおかみに きをつけて』(中川千尋訳/フレーベル館)の続編である。両作品ともに、遊び心に あふれたチャイルドらしい作品。ボブ・グラハムは、昨年度に引き続いてのノミネー トとなった。今回の "Jethro Byrde, Fairy Child" は、セメントと雑草のはびこる 都会で、女の子が妖精を探す話。パステルカラーのきれいな色が印象的だ。デイビッ ド・メリングの "The Kiss That Missed" は、王子をすり抜けて森の中へ消えた王様 の投げキスを騎士が探しにいくおとぎ話。勇敢とはいえない騎士のどたばたぶりがお もしろい。ニック・シャラットの "Pants" は、下着のパンツを讃える元気いっぱい の絵本。とんでもないパンツも登場するのでお楽しみに。ヘレン・ワードの "The Cockerel and the Fox" は、チョーサー作『カンタベリー物語』の中の寓話のひとつ、 高慢な雄鶏とずる賢いきつねの話を絵本にあらわしたもの。写実的な絵柄が特徴のワ ードは農場の動物たちを丁寧に描き、巻末に図録としてもまとめている。 【参考】 ◇ローレン・チャイルド作品リスト(やまねこ翻訳クラブ資料室) http://www.yamaneko.org/bookdb/author/c/lchild.htm ◇『ペットになりたいねずみ』レビュー  (本誌増刊号 No.3 ローレン・チャイルド特集号) http://www.yamaneko.org/mgzn/plus/html/z03/#rat                                (植村わらび) 【参考】 ◆カーネギー・グリーナウェイ賞公式サイト http://www.carnegiegreenaway.org.uk/ ◇過去の受賞作品リスト(やまねこ翻訳クラブ資料室) http://www.yamaneko.org/bookdb/award/uk/carnegie/ http://www.yamaneko.org/bookdb/award/uk/greenawy/ ◇カーネギー・グリーナウェイ賞について (本誌1999年7月号情報編「世界の児童文学賞」) http://www.yamaneko.org/mgzn/dtp/1999/07a.htm#a1bungaku ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●注目の本(邦訳絵本)●日蘭の5人が織りなす詩集絵本 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 『だいすき そんなきもちをつたえてくれることば』 ハンス&モニック・ハーヘン作/マーリット・テーンクヴィスト絵 野坂悦子・木坂涼訳/金の星社 本体1,500円 2003.03 49ページ "Jij Bent de Liefste" text by Hans and Monique Hagen, illustrations by Marit Tornqvist Em. Querido's Uitgeverij B.V., 2000 (Tornqvist の o の上にウムラウト)  見開き一面に広がる木の床。少女が床に赤いペンキでたくさんのハートを描いてい る。そんな絵の上に「だいすき」というタイトルの詩が白抜きの文字で記してあった。  だいすき  さがしているの/あたらしい ことば/だれも しらない ことば/  さがしているの/だいすき/わたしの そんなきもち/つたえてくれる ことば                                 (本文より)  大好きという気持ちを伝える言葉が、ハートを描く少女を通して、23篇の詩と23枚 の絵で綴られる。少女は夢や空想の世界にいったり、現実の世界に戻ったり。季節も、 雪におおわれた街、フリージアの花、真っ青に輝く青空、ひまわりの花の海、落ち葉 ……と移り変わっていく。  四季折々の日常のなかから、小さな女の子のなにげない言葉を拾い集めてつくった 詩集。けがをして〈ひざが赤い涙をながす〉なんて、ああ、小さな子の気持ちだなあ と思う。一方で、大人の心に鋭く突き刺さる詩もある。〈なくしたものは見つからな いけど、目をつぶれば頭の中に見える――〉子ども時代に別れをつげ、大人になると きに失ってきたものが頭に浮かんでくるようだった。  詩、そこには言葉の行進の心地よいリズムがある。でも、おすまししたお行儀のよ い言葉だけが続くのではない。たとえば、赤ちゃんに花を届ける詩がある。なぜ花を もっていくのかというと、オムツのにおいを消すためなのだ。きれいな絵に不釣り合 いかなと思える〈うんこくさいの どっかいけ〉というせりふも、一度絵本の世界に 入ってしまうと、声に出して読んでも気にならなくなっている。  すっかり絵本に浸ったあと、ふと、これが翻訳絵本であることを思い出す。オラン ダ語で詩を書いたハーヘン夫妻、画家、訳者と、5人の名前が連なる絵本はどうやっ てできたのか――。詩人がオランダ語の糸をつむぎ、それを、画家が絵という手法で 織り上げる。さらに日本語という糸を、野坂、木坂両氏がまたつむぎ、織り込む。海 を越えた5人の心ががっちりとからまっていることに、また嬉しくなった。                                 (河原まこ) ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 【文】ハンス・ハーヘン(Hans Hagen):1955年生まれ。"Het gouden oog"(1992年 銀の石筆賞)に代表される歴史小説のほか、子ども向けの絵本、詩、散文を多数発表 している。2002年金の絵筆賞に選ばれた "Ik schilder je in woorden"(ウィレミー ン・ミン絵)も彼の詩集。 【文】モニック・ハーヘン(Monique Hagen):1956年生まれ。夫、ハンスとの共作 に詩集4冊(すべてテーンクヴィスト絵)、絵本2冊(Sandra Klaassen 絵)があ る。子ども向け番組の司会者としても活躍している。 【絵】マーリット・テーンクヴィスト(Marit Tornqvist:o の上にウムラウト): 1964年、スウェーデン生まれ。『愛についての小さなお話』(野坂悦子訳/小峰書店) で1996年銀の石筆賞受賞。スウェーデンとオランダを中心に活躍している。 【訳】野坂悦子(のざか えつこ):1959年、東京都生まれ。オランダ語を中心に、 海外の絵本や児童書を日本に紹介している。『おじいちゃんわすれないよ』(金の星 社/産経児童出版文化賞)など訳書多数。「紙芝居文化の会」の運営委員でもある。 【訳】木坂涼(きさか りょう):1958年、埼玉県生まれ。詩人、絵本作家。翻訳絵 本も数多く手掛ける。『ちちんぷいぷい ことばの宝箱』(岩崎書店)では、懐かし い日本の遊び歌などの編纂にかかわる。 【参考】 ◆ハンス&モニック・ハーヘンのサイト(オランダ語サイト、一部英語あり) http://www.hanshagen.nl/ ◇金の石筆賞・銀の石筆賞(やまねこ翻訳クラブ資料室) http://www.yamaneko.org/bookdb/award/nl/griffel.htm#g1990s ◇野坂悦子訳書リスト(やまねこ翻訳クラブ資料室) http://www.yamaneko.org/bookdb/int/ls/enozaka.htm ◇木坂涼作品リスト(やまねこ翻訳クラブ資料室) http://www.yamaneko.org/bookdb/int/ls/rkisaka.htm ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●注目の本(邦訳読み物)●古代ローマを舞台に繰り広げられる、友情と冒険の物語 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 『オスティア物語 古代ローマの謎ときアドベンチャー』 キャロライン・ローレンス作/田栗美奈子訳 PHP研究所 本体1,600円 2003.03 215ページ "The Thieves of Ostia" by Caroline Lawrence Orion Children's books, a division of the Orion Publishing Group Ltd., 2001  西暦79年6月、古代ローマの港町オスティア。フラビアは、旅に出る父親のジェミ ナス船長を見送るため、新しい友人2人とともに波止場へ出かけた。1人は、隣に越 してきたばかりのユダヤ人少年ジョナサンだ。彼に初めて会ったのは、フラビアが、 カササギに盗まれた指輪を取り戻そうとカシの木に登ったとき。木の根元を野犬に囲 まれているところを助けてもらったのだ。もう1人は、父親と金細工師の元へ出かけ る途中、奴隷として売りに出されていた黒い肌の少女ヌビア。カシの木で指輪と一緒 に見つけた装身具を金細工師に売ったところ、思いがけず大金が手に入ったので、そ のお金で父親にヌビアを買い取ってもらったのだった。  波止場からの帰り道、3人はジョナサンの家へ点々と続く血痕を発見する。家の中 には、番犬ボバスの首のない死体が残されていた。目撃者の証言などから、犬に娘を 殺された男が犯人と思われた。さっそく謎ときを開始した3人に、舌のない孤児の少 年ルーパスも加わり、徐々に事件の真相が明らかになっていく。  子どもたちの間には宗教や身分などの大きな違いが横たわっていたが、それが友情 を育む障害になることはなかった。フラビアの父ジェミナスとジョナサンの父モルデ カイの、聡明で偏らない考え方に支えられていたからだ。知恵と勇気で犯人探しに駆 けまわる子どもたちの姿は生き生きとしていて、読みながら彼らと一緒に冒険してい るような気がしてくる。また、古代ローマの町や人々の生活ぶりも興味深い。例えば、 町の目抜き通りに馬やロバのフンが落ちていたり、2階からおまるの中身を捨てる人 がいたりするのは当然のことで、環境はかなり不衛生だ。しかしその一方、公衆浴場 が発達していて、洗濯やアイロンがけ、マッサージ等のサービスもある。古代ローマ 人のきれい好きな一面や健康嗜好がうかがえ、現代の私たちにも通じるものを感じた。  これは 'The Roman Mysteries' シリーズの1作目である。全18作になる予定だ。 作者は西暦79年8月のベスビオ山噴火とポンペイの埋没をこのシリーズの中で取り上 げたいと考え、時代設定をしたという。次作では、そのポンペイで休暇を過ごすこと になる子どもたち。いったいどんな謎と冒険が待っているのだろうか。                                (赤間美和子) ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 【作】キャロライン・ローレンス(Caroline Lawrence):ロンドン生まれ。カリフ ォルニア大学バークリー校で古典文学を専攻し、ケンブリッジ大学で古典美術と考古 学の研究を、ロンドン大学ではヘブライとユダヤに関する研究を行う。小学校教師を 経て2001年に本作を発表。デビュー作であるこの作品は、世界11か国での出版が決ま っている。 【訳】田栗美奈子(たぐり みなこ):東京生まれ。お茶の水女子大学文教育学部英 文科卒業。翻訳家・桜美林大学短期大学部非常勤講師。訳書に『“It”(それ)と呼 ばれた子』『ロストボーイ』『デイヴ』(デイヴ・ペルザー著/青山出版社)、『子 どもに変化を起こす簡単な習慣』『最悪なことを、子どもとともに乗りこえる心の習 慣』(バーバラ・コロローソ著/PHP研究所)など。 【参考】 ◆'The Roman Mysteries' シリーズのサイト http://www.romanmysteries.com/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●注目の本(未訳読み物)●環境のことと家族のこと……どちらもたいせつにしたい ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 『リサイクル――ぼくは地球を守る』(仮題) サンディ・マッケイ作 "Recycled" by Sandy McKay Longacre, 2001, ISBN 1-877135-49-6 (PB) 131pp. 「今年はゴミについて勉強しよう」――担任のリード先生の提案で、コリンはゴミ問 題に取り組むようになった。家族に協力を呼びかけるが、反応は今ひとつ。お父さん は半年前から失業中。不動産会社で働くお母さんの頭の中は仕事のことだけで、スト レスがたまるとハンググライダーをしにいく。お母さんの仕事がうまくいくたびにお 父さんは不機嫌になり、2人の間の溝は深まっていた。  リサイクルについて学ぶためにクラスで訪れた地元の施設で、コリンは責任者パデ ィの「ここではどんなものでもリサイクルしてしまう」という説明に感銘を受けた。 年配のパディと12歳のコリンは、昔からの知り合いのように親しくなった。  ある日、パディの施設に市議会から、もうすぐ借地契約が切れるという退去勧告通 知が届いた。同じころ、自分が手がけていた区域が売れ、巨額の手数料が入るとお母 さんが興奮していた。しかし、売れたのはパディの施設のある土地だった。  コリンがリード先生やクラスの仲間に呼びかけた結果、借地契約が切れる日にみん なで抗議運動を行うことが決まった。コリンの取り組みに理解を示すようになってい たお父さんは、自分たち家族も参加しようと言い出す。当然お母さんは激怒し、2人 の関係はさらに険悪になる。そしてその日がきた……。  地球を守る環境活動家としての使命に燃えるコリンの奮闘記がメイン・テーマであ る。同時に、気持ちがすれ違いばらばらになってしまった家族が、どうやってもう一 度結びつきを取り戻したかをつづる家族再生の物語でもある。人にはそれぞれの思い があるので、家族の問題はごみを分別するようには簡単に片付かない。コリンがいら だつ気持ちはわかるが、あせらず、時間をかけることが大事なのだ。  あっと驚くクライマックスのあとで迎える結末は、完全なハッピーエンドではない かもしれない。けれどコリンたち家族の明るい未来が予見できるので、読み終わった あと、晴れ晴れとした気持ちになるはずだ。  各章の冒頭に「環境問題豆知識」が、巻末に「ミミズの飼い方」「リサイクルペー パーの作り方」が掲載されている。                                 (赤塚京子) ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 【作】Sandy McKay(サンディ・マッケイ):1959年、ニュージーランド、南島、モ スギールに生まれる。オタゴ大学を卒業後、果物店経営に携わったのち、フリーライ ターに。"Recycled" は初めて書いた小説で、2002年 "New Zealand Post Children's Book Awards" のジュニア向けフィクション部門を受賞している。2002年に第2作 "My Dad, the All Black" を刊行。 【参考】 ◆サンディ・マッケイ インタビュー1 http://www.bookcouncil.org.nz/writers/mckaysandy.htm (New Zealand Book Council: New Zealand Writers) ◆サンディ・マッケイ インタビュー2 http://library.christchurch.org.nz/Childrens/ChildrensAuthors/SandyMcKay.asp (Christchurch City Libraries: Interviews with NZ Children's Authors) ※2004年3月、作者紹介文中の「ニュージーランド、ダニーデンに生まれる」を「ニ ュージーランド南島、モスギールに生まれる」に訂正し、「と第3作 "Becky's Big Race"」を削除 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●Chicoco の親ばか絵本日誌●第22回「ぼくが守ってあげる」    よしいちよこ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  ある日、しゅんと買い物に行った店で、Curious George のTシャツを見かけまし た。「ほしいなあ」とわたしがいうと、しゅんは「おかあさんの誕生日に買ってあげ る」。「だれのお金で?」と内心つっこみながらも、わたしはしゅんの気持ちをうれ しく思いました。さて、さるのジョージを指さして「これ、だれ?」ときくと、しゅ んは「知らない」(!)。お話が長めだという理由で、久しく読んでいなかったので 忘れてしまったのです。家に帰り、「ひとまねこざる」シリーズ6冊(H・A・レイ 文、絵*/光吉夏弥訳/岩波書店)を秘密の本棚(2001年2月号の連載第7回参照) から出すやいなや、しゅんはすっかり夢中になりました。毎日たて続けに2、3冊ず つ(これ以上はこちらが苦しいので我慢させ)読んでいます。『ひとまねこざるとき いろいぼうし』には、ジョージときいろいぼうしのおじさんがはじめて出会った場面 が書いてあります。おじさんの置いたぼうしを好奇心からかぶってしまったジョージ は、おじさんにつかまり袋に入れられ未知の世界へ……。しゅんは「ジョージはおじ さんと仲良しなのにどうして?!」と不安そうです。『ひとまねこざるびょういんへ いく』を読んだあとは、「おいしゃさんになりたい」といいだし、ウルトラマンや怪 獣の人形をならべ、「痛いけど、こわい病気にならないからね」と注射をうちました。 『かえるだんなのけっこんしき』(ジョン・ラングスタッフ再話/フョードル・ロジ ャンコフスキー絵/さくまゆみこ訳/光村教育図書)を読みました。かえるだんなが ねずみのおじょうさんにプロポーズし、結婚式をあげます。虫や小動物が集まって楽 しくお祝いのパーティーをしていると、大きな猫がやってきて、パーティーは大混乱。 しゅんは「どうしてかえるは刀とピストル持って行くのかなあ。結婚するのになあ」 といいました。「さあ、どうしてだろうね」とわたしがいうと、しゅんはすこし考え て「ねずみさんを守るためかな」といいました。最後に猫が登場するところを読むと かならず「ぼくがやっつけてやる!」といいます。そしてあとから、せっせと色紙と セロテープで刀とピストルを作ります。結婚といえば、しゅんは最近「おかあさん、 大好き。ぼく、おかあさんと結婚する」というようになりました。しゅんが生まれて から、わたしは翻訳の仕事をしたいという夢と育児との両立に悩んでばかりで、愛情 のそそぎ方に問題はないだろうかとつねに不安が頭から離れませんでした。しゅんが うまく話せるようになり優しい言葉をいうのを聞くと、かちかちだった心がふんわり とける思いがします。さてさて、何歳までこんなことをいってくれるのでしょうね。 *「ひとまねこざる」シリーズ6冊中2冊は「マーガレット・レイ文/H・A・レイ 絵」です。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●お知らせ●  本誌でご紹介した本を、各種のインターネット書店で簡単に参照していただけます。 (今号掲載の本の情報は、5月15日から反映される予定です。)こちらの「やまねこ オンライン書店街」よりお入りください。http://www.yamaneko.org/mgzn/shop/ PR━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ☆☆ FOSSIL 〜 Made in USA のカジュアルウオッチ ☆☆ 「FOSSILは化石って意味でしょ?レトロ調の時計なの?」。いえいえ、これは創業者 の父親がFOSSIL(石頭、がんこ者)というあだ名だったことから誕生したブランド名。 オーソドックスからユニークまで様々なテイストの時計がいずれもお手頃価格で揃い ます。レトロといえば、時計のパッケージにブリキの缶をお付けすることでしょうか。 数十種類の絵柄からお好きなものをその場で選んでいただけます。選ぶ楽しさも2倍 のフォッシルです。 TEL 03-5428-3701 http://www.fossil.com       (株)フォッシルジャパン:やまねこ賞協賛会社 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▽▲▽▲▽   海外児童書のシノプシス作成・書評執筆を承ります   ▽▲▽▲▽    やまねこ翻訳クラブ(info@yamaneko.org)までお気軽にご相談ください。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*    PR    〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*           !英文季刊誌 春号4月5日創刊!            英語圏に日本の児童文学情報を発信!      英文ウェブジン "Japanese Children's Books (Quarterly)"           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