※こちらは「書評編」です。「情報編」もお見逃しなく!! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● 2001年2月号(書評編) =====☆ ☆===== =====★ 月 刊 児 童 文 学 翻 訳 ★===== =====☆  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ☆===== No.27 ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●児童文学翻訳学習者による、児童文学翻訳学習者のための、電子メール版情報誌● ●http://www.nifty.ne.jp/forum/flitrans/yamaneko/mgzn/      ● ●編集部:yamaneko-mgzn@office-ono.com 2001年2月15日発行 配信数 2090 無料● ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●2001年2月号(書評編)もくじ● ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◎特集:2000年度 ウィットブレッド児童文学賞発表 〜受賞作とレビュー〜 ◎注目の本(邦訳読み物):キット・ピアソン作『丘の家、夢の家族』 ◎注目の本(未訳絵本):イアン・ファルコナー作 "Olivia" ◎注目の本(未訳読み物):ケイト・ディカミロ作 "Because of Winn-Dixie" ◎Chicoco の親ばか絵本日誌:第7回「2ひきのジョージ」(よしいちよこ) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●特集●2000年度 ウィットブレッド児童文学賞発表 〜受賞作とレビュー〜 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  去る1月23日、2000年度ウィットブレッド児童文学賞の発表が行われた。この賞は、 イギリス人作家によって書かれた7歳以上の子ども向けの作品を対象とし、文学とし て質が高く、かつ多くの子どもたちに読まれている一作に贈られるものである。受賞 作、および候補作は以下のとおり。  ★受賞作   "Coram Boy" by Jamila Gavin (Mammoth)  ☆候補作   "Heaven Eyes" by David Almond (Hodder Children's Books) "Arthur:The Seeing Stone" by Kevin Crossley-Holland                        (Orion Children's Books) "Troy" by Ade(`)le Geras (David Fickling Books)                         ※(`)は直前の文字の上に付く  受賞作の "Coram Boy" は、18世紀のイギリスを舞台に、貧困や奴隷売買など当時 の社会問題にも触れながら少年たちの友情や親子の葛藤を描いた重厚な作品。作者の Jamila Gavin はインド生まれで、インド人の父とイギリス人の母を持つ。ガーディ アン賞(児童書部門)の候補となった "The Wheel of Surya"(1992)や "The Track of the Wind"(1997)をはじめ、多くの優れた作品を書いている。  候補作の "Heaven Eyes" は、施設を抜け出し川を下った3人の子どもたちが不思 議な老人と少女に出会う物語。"Skellig"(『肩胛骨は翼のなごり』/山田順子訳/ 東京創元社)で1999年にカーネギー、ウィットブレッド両賞を、"Kit's Wilderness" で本年プリンツ賞を受賞したデイヴィッド・アーモンドの3作目である。  "Arthur:The Seeing Stone" は、1986年に "Storm"(『あらし』/島田香訳/ほる ぷ出版)でカーネギー賞を受賞した Kevin Crossley-Holland の作品。騎士になるこ とを夢見る少年アーサーの目を通して、中世の生活やアーサー王伝説が綴られている。  "Troy" は、トロイア戦争のさなか、同じ相手に恋をした王家付きの姉妹の物語。 作者の Ade(`)le Geras はエルサレム生まれ、"Golden Windows"(1994)でアメリ カの文学賞 The National Jewish Book Award を受賞している。                                 (生方頼子) ◇参考:ウィットブレッド賞のサイト http://www.whitbread.co.uk/bookaward/index.html ◇編集部注:当メールマガジンでは、今までこの賞のことを「ホイットブレッド賞」 と表記しておりましたが、原語での発音、および日本で確立してきた表記法に鑑み、 今後は「ウィットブレッド賞」と表記することといたします。 **************************************************************************** ◆本年の受賞作レビュー◆ 複雑な人間模様を描いた傑作長編         ジャミーラ・ガヴィン作『コーラム・ボーイ』(仮題)             Jamila Gavin "Coram Boy" 323pp.   Mammoth 2000, ISBN 0-7497-3268-7  時は18世紀。下層の人々の生活は苦しく、子どもを育てられない家も多かった。ロ ンドンのコーラム・ホスピタルは、そんな親に捨てられた子どもを手厚く養育する施 設として知られていた。その頃、ロンドンと近郊の州を行商していたオーティスはコ ーラム・マンと呼ばれ、しばしば「コーラムに届けて」と赤ん坊を託された。人助け をしているかに見えた彼だが、実の顔は残忍そのもので、子どもを売って金を儲け、 赤ん坊は生き埋めにもし、また、知的障害のある息子メシャックには鞭を振るった。  メシャックにとって、行商先の館で見かける、家庭教師の娘メリッサが心の支えだ った。彼は彼女のことを「エンジェル」と崇めていた。しかしメリッサは館の長男ア レクサンダーと恋に落ちる。アレクサンダーはカテドラル・スクールで教会の音楽活 動に意欲的に取り組んでいたが、家の後を継がせようとする父親に無理やり連れ戻さ れたのだった。音楽を取り上げられ絶望した彼は、ついに家を捨てる決意をし、心引 き裂かれる思いでメリッサに別れを告げる。彼が去ったあと、メリッサは自分が身ご もっていることを知った。そして8年の歳月が流れ……。  コーラム・ホスピタルは、慈善家のトーマス・コーラムが1741年に設立した実在の 孤児院だ。また、作中で作曲家ヘンデルがここでコンサートを行うが、これも史実に 基づいている。作者は徹底した時代考証によって、当時のイギリス社会の明と暗をく っきりと浮かび上がらせた。描かれる「暗」の部分は痛ましく、読む者の胸をえぐる が、物語から聞こえてくる聖歌隊の歌声やハープシコードの調べなどが、その重苦し さを救っている。また、ページを繰るのが辛くなりながらも、その手を止められなか ったのは、封印された過去や迫り来る危機など、謎とサスペンスを織り込んだ、作者 の巧みなストーリー運びのせいだろう。複雑に絡み合った糸が徐々に解きほぐれてい く様は、実にドラマティックで、読者を一気にラストまで引っ張っていく。  物語全体を貫くのは、愛と友情と絆だ。とりわけメシャックのそれは、計り知れな いほど深い。彼の言葉は魂の声のように心に響き、本を閉じた今も耳に残っている。 忘れることのできない1冊となりそうだ。 ◇参考:Thomas Coram 関連サイト http://www.thedorsetpage.com/people/thomas_coram.htm     http://www.coram.org.uk/heritage/museum.htm                                 (蒲池由佳) ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 【作者】Jamila Gavin(ジャミーラ・ガヴィン):1941年、インドのムソーリに生ま れる。少女期に英国に移住。トリニティカレッジで音楽を学び、卒業後はBBC放送で 音楽関係の仕事に携わる。"The Magic Orange Tree and Other Stories"(1979)で 作家デビュー。"Coram Boy" で2000年度ウィットブレッド児童文学賞を受賞。彼女の 作品はまだ日本では紹介されていない。現在、グロスター在住。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●注目の本(邦訳読み物)●想像と現実が錯綜する不思議な世界 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━                    キット・ピアソン作『丘の家、夢の家族』                 本多英明訳 2000.10.31 徳間書店 本体1,600円            Kit Pearson "Awake and Dreaming"      Penguin Books Canada 1996  9歳のシーオはバンクーバーで若い母親と2人で暮らしている。母親は自分のこと しか頭になく、娘の面倒を見ようとしない。時には、物乞いをするために、シーオを 繁華街で踊らせもする。そんなシーオの楽しみは、本を読むことと空想の世界に入り こむこと。シーオは理想の家族に囲まれている自分を想像した。お兄さんとお姉さん、 弟と妹、それから、やさしいお父さんとお母さんがいて、家族は豊かでぜったいにい がみあわない……。ある日、母親はボーイフレンドと一緒に住みたいと言いだし、シ ーオはビクトリアに住む伯母の家に預けられることに。ビクトリアへ向かうフェリー のなかで、想像とそっくりな理想の家族と知り合ったシーオは、空に出ていた新月に 願いごとをする――「この家族のひとりになれますように」。気がつくと本当にその 家族の一員になっていた。これは夢なの? 魔法なの? 戸惑いながらも満ち足りた 日々を送るシーオ。だが、幸せな日々はいつまで続くのだろうか。  児童虐待を受けているといってもいいようなかわいそうな少女の話から、物語は一 転、ファンタジーの世界へ入っていく。思いがけないストーリー展開に私は、どうし て? どうして? と、急きたてられるようにページをくった。謎ときのおもしろさ に加え、主人公シーオの悲喜が切なくせまってくる。  シーオと同じように、私たちも本にひきこまれる時、現実を忘れて至福のときを味 わい、このまま永遠にと願うことがある。この本で、想像と現実が複雑にからみあう 不思議な幻想の世界に迷いこんだ私は、ファンタジーが慰めを与えてくれるだけのも のではないと感じた。ファンタジーは内面から私たちを支え、現実の世界で生きる力 を私たちに送りこみ、現実を変えることさえあるのだ。この本には、豊かに強く生き るためのヒントがあちらこちらに隠されている。くりかえし何度も読みたい1冊。現 実と折り合いがつかなくなりそうな時もきっと助けになってくれる。  また、シーオが読みふける本の数々も興味深い。『若草物語』や『ナルニア国もの がたり』など、馴染みの児童書や絵本の名前が次々現れて嬉しくなったが、知らない 本もあったので読んでみたい。新しい友達に出会えるかもしれない。                                 (三緒由紀) ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 【作者】Kit Pearson(キット・ピアソン):1947年、カナダ生まれ。児童図書館 員・教師をしながら、児童書を書きはじめる。現在は執筆に専念している。この作品 でカナダ総督文学賞(児童書部門)を受賞。日本では、ほかに『床の下の古い時計』 (金の星社)が紹介されている。バンクーバー在住。 【訳者】本多英明(ほんだ ひであき):1949年生まれ。相模女子大学英語英米文学 科教授。『四人の旅立ち』(芸林書房)、『たのしく読める英米児童文学』(ミネル ヴァ書房)などの著書がある。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●注目の本(未訳絵本)●愛すべきはコブタのオリビア!  ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━                       イアン・ファルコナー作『オリビア』(仮題) Ian Falconer "Olivia" 40pp. Atheneum Books 2000, ISBN 0-6898-2953-1                    ★2001年コールデコット賞オナー受賞作品  オリビアは赤い服がよく似合うコブタ。得意なことがたくさんある。歌うこと、ダ ンス、砂の城づくり、絵を描くこと……。そのどれもがとびきりオリビア流なのだ。  とにかく絵を見てほしい。まず色合い。モノクロを基調に、他に使われている色は 赤、そしてうっすらとしたピンク。たったこれだけの色なのに、一度みると、しっか りオリビアの印象が残る。ストーリーはいたってシンプル。オリビアの日常が紹介さ れているだけで、特別なドラマはない。時にはめちゃくちゃなことしをしているオリ ビア。しかし、文章にも絵にも大げさな表現はなく、それがより一層、おかしみを誘 い、絵本の魅力を引き立てている。  オリビアの日常を見ていて思う。小さい人の行動範囲は狭いはず。でも、大人はそ の狭い世界の大きな行動に、振り回されてはくたびれ、反面、そのパワフルさをうら やましく思うのだ。お昼寝をしたくなくて、オリビアは何をすると思う? お母さん に砂の城づくりを教わったオリビアはどんなお城をつくると思う? どうかページを めくるのを楽しみにしてほしい。砂の城ページは、私のイチオシ、何度みても見飽き ない。まだまだオリビアの大きな楽しい行動は続く。どれもが、ねぇ、みてみてと周 りに紹介したくなる。  さて、楽しい一日にも終わりがある。夜、階段に座り込むオリビアの表情は寂しそ う。でも、寂しいと思うのは一瞬。次の瞬間には、眠る前の儀式のため、オリビアは また、元気全開。とにかく、最後の最後までオリビアはオリビアなのだ。 (林さかな) ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 【作者】Ian Falconer (イアン・ファルコナー):雑誌『ニューヨーカー』のアー ティスト。イラストの仕事の他、ニューヨークシティバレエ団、サンフランシスコオ ペラ劇場等の舞台や衣装のデザインも手がけている。"Olivia" は彼にとって初めて の絵本作品。アメリカでロングセラーとなっている絵本、"Eloise"(『エロイーズ』 リブロポート/絶版)を連想するところから、コブタ版 "Eloise" とも言われている。 又、"Eloise" の絵を描いた Hilary Knight も "Olivia" を絶賛。                                 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●注目の本(未訳読み物)●“笑う犬”が取りむすぶ、少女と人々の絆 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━           ケイト・ディカミロ作『ウィンデキシーのおかげで』(仮題) Kate DiCamillo "Because of Winn-Dixie" 182pp. Candlewick Press 2000, ISBN 0-7636-0776-2 ★2001年ニューベリー賞オナー受賞作品  10歳の少女オパールは、スーパーで買い物中に1匹ののら犬と出会った。臭くては げちょろけで汚いけれど、にかっと歯を見せて人なつこく笑う犬。オパールはたちま ち心を奪われ、この犬を飼おうと心に決める。スーパーの店名にちなんでつけた名前 は『ウィンデキシー』。フロリダの小さな町に引っ越してきたばかりのオパールは、 「ウィンデキシーのおかげで」さまざまな人たちと出会い、心を通わせていく。  ウィンデキシーには、笑うこと以外に、もうひとつ特技があった。それは人の話に じっと耳をかたむけること。だから、孤独だったオパールは心の丈をうち明けること ができたし、新たに出会った人たちから思いがけない話を聞くこともできた。それば かりではない。何年も前に家出した母のことをけっして口にしなかった父も、愛嬌者 で聞き上手のウィンデキシーにほだされて、少しずつオパールの知らぬ母の人となり を語りはじめるのだ。  犬、母を恋う娘、そして温かな近所の人たち。ひとつ間違えれば陳腐な人情ドラマ になってしまいそうな題材だが、この物語には甘ったるさなどみじんもない。それは、 人生における悲しみというものが見事に描かれているからだろう。オパールとウィン デキシーの出会う人々は、みな何らかの悲しみを抱えている。そのうちのひとり、年 老いた司書のミス・フラニーは、ひいおじいさんの話をしながら、彼が作り出したと いうキャンディーを食べさせてくれる。「甘くてもの悲しい」味のするそのキャンデ ィーは、登場人物たちの物語の、ひいては人生の象徴だ。悲しみのない人生なんてあ りえない。でもそれをしっかり味わうことが、喜びを味わうことにもつながる。悲嘆 とユーモアの入り交じった物語を読み進むうち、そんな思いが自然とわきあがる。  喜びにも悲しみにも耳をかたむけあうオパールたちの交わりは、物静かで、自然で、 そして深い。人の話を聞くこと、人の「おかげ」に感謝すること。これって、自己主 張の先行しがちな今の世の中に、とても必要なことじゃないだろうか。存分に物語を 楽しんだあと、そんなことにもふと考えが及んだ。ウィンデキシーのおかげで。                                 (内藤文子) ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 【作者】Kate DiCamillo(ケイト・ディカミロ):フロリダ大学卒業。子供時代を南 部で過ごし、現在はミネソタ州ミネアポリス在住。本書がデビュー作。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●Chicoco の親ばか絵本日誌●第7回「2ひきのジョージ」     よしいちよこ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  わがやには絵本の棚がふたつあります。しゅんの棚とわたしの棚です。わたしの棚 はしゅんがあまり入らない部屋のすみにあり、しゅんに触られたくない絵本を置いて います。しゅんは来月で2歳。好奇心が旺盛で、運動能力が発達し、家の中での行動 範囲をどんどん広げています。ある日、わたしの棚があらされました。しゅんは一度 目をつけると、納得するまで探索をやめません。それをおそれたわたしは、絵本を2 冊、しゅんの棚に移しました。どちらも主人公の名前はジョージ。2ひきのジョージ にほかの絵本を救ってもらったのです。  1冊は "Bark, George" (Jules Feiffer/HarperCollins)。こちらのジョージは子 犬です。しゅんは、愛らしいジョージを指さし「じょーじ、かあいー(かわいい)」 といいます。母犬が "Bark, George." というと、ジョージは "Meow" となきました。 母犬が犬の正しいほえ方を何度教えても、ジョージは "Quack"、"Oink"、"Moo" とな きます。医者がジョージの口の中を調べると、出てきたのは……。簡単な短い英文の リズムがおもしろいらしく、しゅんは声をあげて笑い、真似します。これまで犬とい うと「わんわん」でしたが、"Arf" を覚えたことで、「うーわーん」や「あうあう」 などバリエーションができました。画一的な「わんわん」からの脱却です。  もう1ぴきのジョージは、人気者のおさるのジョージです。1999年に出版された新 しいシリーズはわたしの棚に隠したままで、しゅんに譲ったのはペーパーバックの "Curious George Rides A Bike" (H.A.Rey/Houghton Mifflin Company)。邦訳は岩波 書店の『じてんしゃにのるひとまねこざる』です。ジャングルからおじさんの家に来 てまる3年。ジョージは記念に自転車をもらいます。さっそく乗っているうちに、な ぜか新聞配達を手伝い、なぜか川でボート遊びをし、なぜかサーカスに加わり……。 あいかわらず、ジョージの好奇心のおもむくままに話が展開します。物語が長いので、 しゅんはまだ全文をきちんと聞けず、さきにページをめくってしまいます。ベッドを おりるジョージを指さして「おはよー」、食事のページでは「きまーす(いただきま す)。さまー(ごちそうさま)」、ジョージが自転車ごところぶと「じてんしゃ、こ わーた(壊れた)。じょーじ、ないてる」と説明してくれます。ジョージの体型と 「知りたがりや」の表情は、しゅんにそっくり。とはいえ、しゅんはまだ自転車はお ろか三輪車にも乗れないのですけれど。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●編集後記●新世紀、子どもと子どもの本はどう変わっていくでしょう。変わらぬも のを信じつつ、変わっていくものに敏感でありたいと思います。(き) PR━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━    【FOSSIL .....The American Authentic】  1984年、テキサス州ダラス生まれ。「fun, smile and humor」がモットーです。  楽しいイラスト入りのティン缶がパッケージ。お店でお好きな絵柄をお選びくだ  さい。申し遅れましたが私は「カジュアル・ウオッチ」。老若男女の皆様にご提  供できる豊富な品揃えが自慢です。日本でもお買い求めいただけます。  詳しくはフォッシル・ホームページまで。 http://www.fossil.com                   ★フォッシルジャパン:やまねこ賞協賛会社 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 発 行 やまねこ翻訳クラブ        発行人 吉井知代子(やまねこ翻訳クラブ 会長) 編集人 菊池由美 (やまねこ翻訳クラブ スタッフ)   企 画 河まこ キャトル きら くるり こべに さかな 小湖 Gelsomina      sky SUGO Chicoco つー どんぐり NON BUN ベス みーこ      みるか MOMO YUU りり Rinko ワラビ わんちゅく 協 力 @nifty 文芸翻訳フォーラム     小野仙内 ながさわくにお ちゃぴ 麦わら ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ・このメールマガジンは、「まぐまぐ」( http://www.mag2.com/ )を利用して配信 しています。購読のお申し込み、解除もこちらからどうぞ。 ・バックナンバーは、http://www.nifty.ne.jp/forum/flitrans/yamaneko/mgzn/でご 覧いただけます。 ・ご意見・ご感想はyamaneko-mgzn@office-ono.comまでお気軽にお寄せください。 ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●無断転載を禁じます。