●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━      月刊      やまねこ      A C T I V A T O R (FA-TEXT)      やまねこ翻訳クラブ・アクチベーター                       (2012年11月20日)                           No.233 ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  編集・発行……やまねこ翻訳クラブ http://www.yamaneko.org/ ------------------------------------------------------------------------ 【目次】 ●デイヴィッド・アーモンド氏来日講演会&オフ報告 ●掲示板ア・ラ・カルト ------------------------------------------------------------------------ デイヴィッド・アーモンド氏来日講演会&オフ報告 ------------------------------------------------------------------------    2010年に国際アンデルセン賞作家賞を受賞した英国の作家デイヴィッド・   アーモンド氏が来日され、各地で講演会が開催された。またこの講演会を   きっかけに、会場近くで会員のオフも開かれた。去る11月3日と5日、   大阪と東京で行われた講演会に出席したメンバーによる、現地での様子や   オフの感想をお届けする。  ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ●大阪篇 「アーモンド氏が来日されるそうですよ」と掲示板に書き込まれたその日から、 会員の間で話題になっていた講演会。大阪では、講演会の前に、ランチオフが行 われた。名古屋から参加した会員もいて、オフは大いに盛りあがった。新しめの 会員の私は、オフに行く前にはいつも緊張するのだが「翻訳絵本が好き」という 共通点があるだけで打ち解けた気分になり、いつのまにか笑い転げている。おい しい中華をいただきながら、それぞれが持ってきていたアーモンド氏の本を取り 出してしゃべり続け、話がはずんで時間を忘れるほどだった。  会場に到着すると、大勢の参加者でほぼ席が埋まっていた。空いている席をみ つけて座ると、ほどなくアーモンド氏が登場。「皆さん、想像してみてください。 私が小さくなって少年になった姿を」そうおっしゃってから、作家となるための 準備期間だったとも言える子どものころの話をされた。話にひきこまれて「ぼく は作家なんだ」と図書館の書棚の前でうっとり夢見る少年の姿が心に浮かんでき た。皆が思い描いた想像上のアーモンド少年が、そのとき会場の中を飛び回って いただろう。想像する力によって物語が伝わるのだと実感した。子どものころの 話を楽しんだ後は、アイディアのかたまりのような創作ノートを見せてもらって 感激し、会場のリクエストによるブレイクの詩の朗読にうっとり。たくさんの質 問に対する返答に聴き入った。  緊張ぎみで参加していた講演会だったが、アーモンド氏の世界にひたるうち、 気持ちがほぐれて、楽になるのが感じられた。想像の翼を広げて、物語の中を好 きなように飛び回っていいのだと思えたからだろう。講演会が終わるころには、 すっかり自由で開放的な気分になっていた。                                (はなみ) ●東京篇  11月5日、津田塾大学併設の津田ホールで『闇から光へ――デイヴィッド・ア ーモンド自身を語る』と表された講演会が行われた。司会を金原瑞人氏がつとめ られ、ゲストに前国際アンデルセン賞選考委員のジュンコ・ヨコタ氏をお迎えし たイベントは、会場を埋めつくす人の熱気にあふれ、ユーモアあるやり取りで温 かい笑いに包まれながら、大盛況のうちに幕を閉じた。創作の根源に触れる深い お話もうかがえ夢のような時間だったが、その2時間前に行われたやまねこオフ は、私にとって、講演会に勝るとも劣らない素晴らしい時間だった。  今回がオフ初参加で、どの方とも面識がなく、ガチガチに緊張していた私を皆 さんの温かい笑顔が迎えてくれた。ああ、これがハンドル名しか知らなかった皆 さんなんだ!という感動もつかの間、まずは名刺交換。名刺の準備がなかったた め軽いカルチャーショックを受けながらも、素敵な名刺をいただき、うれしい気 持ちでいっぱいになった。新しく出たアーモンド氏の本の話を中心に、近況報告 や最近の翻訳本事情、やまねこの活動について、大阪オフのこと等々、話がつき ず、普段そのような話をする場のない者にとって、居心地の良い最高に幸せな時 間だった。改めてこのクラブの一員でいられることに心から感謝した1日となっ た。  次回のオフにはぜひ名刺を持って参加したい。そして初オフの方も含め、子ど もの本が好きなたくさんの方々と出会って、またこの日のような幸せな時間を共 有できたら、と思う。                                  (衣央) ------------------------------------------------------------------------ 掲示板ア・ラ・カルト ------------------------------------------------------------------------    「#」のうしろの数字は、各掲示板での発言番号を表しています。 ★読書室掲示板★ http://www.yamaneko.or.tv/open/c-board/c-board.cgi?id=dokusho 【主なトピック】 #3550〜 『リックとさまよえる幽霊たち』読みました(続き) #3551〜 『ジェンナ 奇跡を生きる少女』読みました(続き) #3552〜 「真夏の読書探偵」作文コンクール、結果発表! 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