●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━      月刊      やまねこ      A C T I V A T O R (FA-TEXT)      やまねこ翻訳クラブ・アクチベーター                       (2011年4月20日)                           No.216 ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  編集・発行……やまねこ翻訳クラブ http://www.yamaneko.org/ ------------------------------------------------------------------------ 【目次】 ●「いたばし国際絵本翻訳大賞」を受賞して ●掲示板ア・ラ・カルト ------------------------------------------------------------------------ 「いたばし国際絵本翻訳大賞」を受賞して ------------------------------------------------------------------------    3月上旬、待ちに待った「第17回いたばし国際絵本翻訳大賞」の結果   が発表になった。英語部門で見事、最優秀翻訳大賞を受賞した会員と、   イタリア語部門で特別賞を受賞した会員二人に、それぞれ喜びを語って   もらった。  ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~  翻訳コンクールに応募しはじめたのは、10年以上も前。自分なりに満足した訳 文なのに、賞にかすりもしない。どう勉強したらいい!? 困っていたころ、やま ねこ翻訳クラブを知り入会。コンテスト事後勉強会では、他の参加者の正確でな めらかな訳文にうっとり。さりげない文章の裏に、とことん調べて考え抜いた過 程があると知った。なるほど、次は私も! とはりきるが、2次審査通過もなら ず。そんな繰り返しのなかで、仲間から、宝をいっぱいもらった。  一方、我が子への読みきかせから出発したお話会活動は、どんどん面白くなっ た。ついに「地域の子どもたちに、よい絵本・お話を届けるのが私の役目。翻訳 は他の人にまかせよう」と決心。でも、やっぱり翻訳は好き! だから応募は続 けた。その楽しみに時々、2次審査通過というおまけもついてきた。  今回は「審査なんかどうでもいい。この絵本を日本の子たちに届けるならどう する?」と好き勝手に訳したら、なんと最優秀賞!! いまだに信じられない。で も、やまねことお話会、今まですべての活動がここに集約されたと思っている。  一緒に活動してきた仲間、私のお話をきいてくれた子どもたち、ありがとう。 これからも私は、よい絵本とお話を子どもたちに届けていきたい。                                (ちゃぴ)  思いおこせば13年前、子育てに追われ何かしないと、と焦っているころ出会っ たのが「いたばし翻訳大賞」でした。スペイン語の翻訳家を目指すもまだそのこ ろはスペイン語のコンテストがなく、スペイン語に似ていて少しかじったことの あるイタリア語で応募したら運よく1次通過。それに気をよくして送り続けたも のの鳴かず飛ばずで結局断念していたのですが、前年度のやまねこの事後勉強会 に参加するために英語と一緒にイタリア語も久々に再挑戦することにしました。 結果はボツ! ところが勉強会の後の今年度のイタリア語で思いがけず入賞する ことができました。これは勉強会でメンバーの皆さんの翻訳に対する真剣な思い に触れることができたからだと思います。1冊の絵本でもしっかり下調べをし、 絵本の隅々にまで注意を払い、お互いの訳文を吟味しコメントし自分の訳に反映 させる。これは何語であっても同じことです。それに気づかせてくれた勉強会、 そしてやまねこに入会したおかげで一緒に喜んでくれる仲間や目標とする先輩方 に出会えたことこそ私にとって何よりのご褒美です。                              (あぐりんこ) ------------------------------------------------------------------------ 掲示板ア・ラ・カルト ------------------------------------------------------------------------    「#」のうしろの数字は、各掲示板での発言番号を表しています。 ★読書室掲示板★ http://www.yamaneko.or.tv/open/c-board/c-board.cgi?id=dokusho @「カーネギー賞&ケイト・グリーナウェイ賞候補作を読もう会」開催中@  【 】内の「カ賞」はカーネギー賞、「グ賞」はケイト・グリーナウェイ賞、  「SL」はショートリスト作品、「LL」はロングリスト作品を表します。 【主なトピック】 #3060〜 【カ賞LL】『ピーターと象と魔術師』感想をどうぞ(続き) #3061〜 【グ賞SL】"Ernest" 感想をどうぞ(続き) #3062〜 【グ賞LL】"Norris: The Bear Who Shared" 感想をどうぞ(続き) #3063〜 【グ賞LL】『かしこいさかなはかんがえた』感想をどうぞ(続き) #3072〜 ドイツ児童文学賞ノミネート作品発表! #3079〜 ケイト・グリーナウェイ賞ショートリスト発表! #3080〜 カーネギー賞ショートリスト発表! #3081〜 アストリッド・リンドグレーン記念文学賞発表! #3085〜 【グ賞SL】"April Underhill, Tooth Fairy" 感想をどうぞ(続き) #3089〜 フェニックス賞発表! #3090〜 オーストラリア児童図書賞候補作発表!  賞関連の情報は、速報掲示板もご利用ください。 ▽「速報(海外児童文学賞)」掲示板 http://www.yamaneko.org/cgi-bin/sc-board/c-board.cgi?id=award 【新刊絵本】 #3070〜【グ賞LL】『ぼくがいちばん!』(ルーシー・カズンズ文・絵/灰島 かり訳/岩崎書店):なんでも自分がいちばんだと、ちょっぴりいばっている犬。 でも、まわりのみんなはなんだかつまらなさそうで……。誰もがみんな、いちば んのところを持っている。大切なことをほんわか優しく教えてくれる絵本。 【邦訳絵本】 #3059〜『木いちごの王さま』(サカリアス・トペリウス原作/きしだえりこ文 /やまわきゆりこ絵/集英社):木いちごつみに出かけて迷子になってしまった 2人の女の子。夜の森で、2人の目の前に現れたのは? 「母と子の名作童話」 シリーズに収められていたフィンランドの作品が、新たな挿絵でうれしい復刊。 #3071〜【グ賞LL】『パックン! おいしいむかしばなし』(ルーシー・カズ ンズ文・絵/灰島かり訳/岩崎書店):大判の絵本の中に「あかずきんちゃん」、 「さんびきのやぎ」、「おおきなかぶ」など、よく知られた昔話が8編。ユーモ ラスな擬音語、擬態語がたくさん使われていて、声に出して読むのが楽しい。 【未訳絵本】 #3066〜【グ賞LL】"Red Ted and the Lost Things"(text by Michael Rosen, illustrated by Joel Stewart, Candlewick Press):テディベアのレッド・テ ッドは、地下鉄で持ち主の女の子に置き忘れられた。自力で女の子の家に戻るた め、駅の忘れもの置き場で出会ったワニのぬいぐるみとともに、いざ町へ。けな げなレッド・テッドがかわいくてたまらない! #3091〜【グ賞SL】"Me and You"(by Anthony Browne, Doubleday):森の中 から現代の町中に舞台を移した、アンソニー・ブラウン版「3びきのくま」。対 照的な色遣いで描かれたクマの世界と人間の女の子の世界が同時進行し、やがて 交わっていく。オリジナル版とは違うその後のお話がついているのも見逃せない。 ▽このほかにも、メープルストリートで紹介されている新刊書の話題などで盛り 上がっています。掲示板の「トピック表示」もどうぞご利用ください。 http://www.yamaneko.or.tv/open/c-board/c-board.cgi?cmd=tpc;id=dokusho                                (asayaka) ★喫茶室掲示板★ http://www.yamaneko.or.tv/open/c-board/c-board.cgi?id=kissa #695〜 【訃報】ダイアナ・ウィン・ジョーンズさん #697〜 東日本大震災への支援情報のご紹介 #699〜 「月刊児童文学翻訳」4月号 html 版公開 ▽作品リストの更新情報などは「更新履歴」掲示板でどうぞ。 http://www.yamaneko.org/cgi-bin/sc-board/c-board.cgi?id=rireki ▽リストに関する追加・訂正等の情報は「やまねこ資料室:メモ用掲示板」まで。 http://www.yamaneko.or.tv/open/c-board/c-board.cgi?id=siryo ▽「イベント情報掲示板」はこちら。 http://www.yamaneko.org/cgi-bin/sc-board/c-board.cgi?id=event ★お菓子掲示板★ http://www.yamaneko.or.tv/open/c-board/c-board.cgi?id=okashi ★おはなし小部屋掲示板★ http://www.yamaneko.or.tv/open/c-board/c-board.cgi?id=ohanashi ★広場掲示板★(会員限定) http://www.yamaneko.or.tv/member/c-board/c-board.cgi?id=hiroba #5271〜、#5280〜 「いたばし国際絵本翻訳大賞」結果と感想(続き) #5275〜 東日本大震災への支援情報のご紹介 #5285〜 新会長・副会長の紹介→(挨拶) #5299〜 新入会員の挨拶 ▽現在進行中または予定されている勉強会の情報はこちらでどうぞ。 http://www.yamaneko.org/gakushu/open/index.htm(勉強会の予定) ▽非会員で、勉強会に興味のある方は入会案内ページへ。 http://www.yamaneko.org/info/guide.htm                                 (muzu) ------------------------------------------------------------------------ メープルストリート新刊情報 ------------------------------------------------------------------------ http://www.litrans.net/maplestreet/index.htm <あかね書房> http://www.litrans.net/maplestreet/p/akane/index.htm 『どこからも彼方にある国』(アーシュラ・K・ル=グィン著/中村浩美訳): 17歳のオーウェンは、人とコミュニケーションをとるのが苦手だ。ある日、オー ウェンは少女ナタリーとであう。彼女もまた、コミュニケーションにコンプレッ クスをもつ者だった。音楽だけが自分をつたえる手段だと思っているのだ。ふた りは自然に惹かれあった。たがいに意見をかわし、高めあうふたりの関係は理想 的といえる。だが……。「ゲド戦記」のル=グィン氏による1976年の作品。以前 は、『ふたり物語』(杉崎和子訳/集英社コバルト文庫)として刊行されていた。 『スキ・キス・スキ!』(アレックス・シアラー著/田中亜希子訳):中学生の アリーは、人気バンド「ファイブナイン」のボーカル、スティービーに夢中。も ちろん彼は雲の上の存在だった。けれど、アリーは誕生日に、「ファイブナイン」 のコンサート・チケットをゲット。夢のスティービーに会えると胸をふくらます。 でも、これは本物の恋といえるのだろうか? ティーンズパワー全開!の、シア ラー氏初期の作品。 『彼女のためにぼくができること』(クリス・クラッチャー著/西田登訳):身 体的特徴が原因で、幼い頃から周囲とのへだたりがあったエリックとサラ。高校 生になったエリックは、水泳選手として活躍しはじめた。だが、サラとの友情の ために、エリックは無理して太ったままでいる。このねじれた行動をひきおこす、 エリックの気もちは真っ直ぐだ。ねじれているのは、ふたりを取りかこむ社会の ほうかもしれない。 <光村教育図書> http://www.litrans.net/maplestreet/p/mitumura/index.htm 『とかいのねずみと いなかのねずみ あたらしいイソップのおはなし』(カト リーン・シェーラー作/関口裕昭訳):このところ、イソップの物語がさまざま な形で刊行されている。もともと言いたいことを簡潔につたえる物語なので、イ ラストが斬新で、編集に工夫がこらされている例が多い。本作品は、イソップの エッセンスを残したまま、設定を現代におき、ユーモアという味付けもされてい る。軽快に流れる物語とねずみたちの生き生きとした表情による、教訓だけでは ない新イソップの登場だ。 『フィートは はしる』(ビビ・デュモン・タック文/ノエル・スミット絵/野 坂悦子訳):ダチョウだろうか、エミューだろうか、ピンクの縞々もようの脚を もつフィートは、はしるのがすき。およぐのでも、とぶのでもなく、はしりたい のだ。ところが、そんなフィートを風がじゃまして……。フィートのひたむきな 気持ちがつたわる絵といい、読者の目線を逆手にとった工夫といい、それがため に生きる最後のオチといい、絵本好きにはたまらない一冊だろう。                                  (NON) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ● 発行人 佐藤淑子(やまねこ翻訳クラブ 会長) 編 集 asayaka/えみりい/たろたろ/tommy/NON/muzu/ラッテ 協 力 出版翻訳ネットワーク管理人 小野仙内(http://www.litrans.net/)     あぐりんこ/ちゃぴ  いたばし入賞の感想を書いてくれた会員は、春一番の朗報をクラブに届けてく れました。それぞれの道は違うけれど、10年以上こつこつと勉強を続けてきたお 二人です。あらためて、受賞おめでとうございます! (ラ) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●