●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━      月刊      やまねこ      A C T I V A T O R (FA-TEXT)      やまねこ翻訳クラブ・アクチベーター                       (2009年10月20日)                           No.199 ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  編集・発行……やまねこ翻訳クラブ http://www.yamaneko.org/ ------------------------------------------------------------------------ 【目次】 ●初級シノプシス勉強会を終えて ●掲示板ア・ラ・カルト ●メープルストリート新刊情報 ------------------------------------------------------------------------ 初級シノプシス勉強会を終えて ------------------------------------------------------------------------  9月の初めから約1か月にわたり開催されていた「初級シノプシス勉強会」が、 先日終了した。この勉強会は前回の開催から3年以上たっており、心待ちにして いた会員も多い。今年2月に行われた「いたばし国際絵本翻訳大賞事後勉強会」 でも話題にのぼり、ぜひ企画を! と熱心な声が多数あがって実現の運びとなっ た。参加者は総勢11名。その大半がシノプシス初挑戦だった。  勉強会自体は先月開催されたが、実は準備期間が長く、6月に参加希望者同士 で、1冊の課題図書を選ぶところから始まっている。夏の間、各自準備をして、 9月初旬の開始時に初稿をアップ。しかし、あらすじひとつ書くといっても、こ れが初心者には難しい。長すぎたり、短くしすぎておもしろみがなくなってしま うのだ。何もかもが手探り状態のビギナーたちを、シノプシス経験のある参加者 たちがうまくリードしてくれた。そして、コメントを付け合い、さらに深く課題 書を読み込んで改稿を重ねるうちに、どうすればその本の魅力を的確に伝えられ るかを学んでいった。また、持ち込みをしたことのない者にとって、出版社の門 をたたくのはかなり勇気がいるもの。今回、実際に持ち込みが訳書出版につなが った経験のある会員たちから生の声を聞くこともでき、胸にあった疑問や不安が 解消されたのは大きな収穫であった。ここで学習したことは、今後、シノプシス を作成し、持ち込みに挑戦するうえで大きな助けとなるだろう。  準備段階からかなりの時間をともに歩んだ参加者たち。そこに生まれた連帯感 は、これからのクラブ活動を支える力となるはずだ。新たな勉強会の話題も複数 持ち上がっていた。次の活動へバトンタッチとなればすばらしい。 ▽勉強会に興味のある方は「学習室」をご覧ください。 http://www.yamaneko.org/gakushu/index.htm                                 (muzu) ------------------------------------------------------------------------ 掲示板ア・ラ・カルト ------------------------------------------------------------------------    「#」のうしろの数字は、各掲示板での発言番号を表しています。 ★読書室掲示板★ http://www.yamaneko.or.tv/open/c-board/c-board.cgi?id=dokusho 【主なトピック】 #2423〜 スペイン国民イラスト賞発表! #2426〜 8月に読んだ本 #2428〜 Booktrust Early Years Awards 発表! #2432〜 『グリーンフィンガー〈約束の庭〉』読みました #2434〜 ガーディアン賞ショートリスト→受賞作発表! #2436〜 ニルス・ホルゲション賞発表! #2438〜 「世界の児童文学賞ラリー」レビュー集、最後の更新!  #2439〜 【やまねこ賞】読書月間 #2441〜、#2447〜 メッシェンモーザー作品、どれが好き? #2442〜 「リストとゆかいなラウハおばさん」シリーズ(続き) #2453〜 『この世でいちばんすばらしい馬』(続き) #2454〜 シャロン・クリーチの2作品、読みましたか? #2458〜 『アーサー王ここに眠る』読みました #2464〜 「トビー・ロルネス」シリーズ、読書の秋にいかが? #2467〜 オランダ金の石筆賞発表! #2472〜 『プーカと最後の大王 時間のない国で2』読みました #2474〜 『ぼくだけの山の家』読みました #2475〜 ドイツ児童文学賞発表!  そのほか、アストリッド・リンドグレーン記念文学賞候補者、ブックトラスト・ ティーンエイジ賞ショートリスト、カナダ総督文学賞と全米図書賞の最終候補作 発表など、賞関連の情報は、速報掲示板もご覧ください。 ▽「速報(海外児童文学賞)」掲示板 http://www.yamaneko.org/cgi-bin/sc-board/c-board.cgi?id=award 【新刊読み物】 #2445〜『パーシーと気むずかし屋のカウボーイ』(ウルフ・スタルク作/菱木 晃子訳/はたこうしろう絵/小峰書店):「パーシー」シリーズの新刊。ウルフ 一家は、毎年夏休みにおじいちゃんの住む島へ遊びに行く。ところが、今年はパ ーシーも一緒に行くと言い出して……。 #2462〜『海の深み』『大海の光』(アニカ・トール作/菱木晃子訳/新宿書房): 「ステフィとネッリの物語」シリーズの第3巻と第4巻(最終巻)。ウィーンか らスウェーデンに疎開して4年。都会の中学に進んだステフィは、島の養父母の もとに残してきた妹のネッリと気持ちが通じず、悩む(『海の深み』)。ようや く戦争は終わったが、父親の安否は知れない。姉妹は将来に不安を抱えながらも、 自分の道を歩みだす(『大海の光』)。 #2463〜『ジェミーと走る夏』(エイドリアン・フォゲリン作/千葉茂樹訳/ポ プラ社):白人の少女キャスは、隣に引っ越してきた黒人の少女ジェミーと友だ ちになった。黒人が嫌いなキャスの父や、白人を嫌がるジェミーの母には、もち ろん内緒だ。しかし、ある日、そんなふたりの仲が親たちにばれてしまって……。 #2465〜『ドラゴンキーパー 紫の幼龍』(キャロル・ウィルキンソン作/もき かずこ訳/金の星社):『ドラゴンキーパー 最後の宮廷龍』に続く第2巻。龍 の守り手として歩き出した少女ピン。自分に託された幼い龍を必死で守り、育て ようとする。だが、ピンたちを邪悪な敵が容赦なく追い詰めていく。彼女は小さ な命を守りきれるのだろうか。 【新刊絵本】 #2440〜『ドラゴンもりのふしぎなともだち』(ティモシー・ナップマン文/グ ウェン・ミルウォード絵/原京子訳/ポプラ社):ある日、「ぼく」は森の中で 今まで見たことのないやつに出会う。ドラゴンの子と人間の子の交流を描いてい るが、「ぼく」というのはドラゴンのほう。発想の転換が新鮮な作品。 #2449〜『むこう岸には』(マルタ・カラスコ作/宇野和美訳/ほるぷ出版): 主人公は川辺の村に暮らす少女。対岸には少女たちとは見た目も文化も違う人た ちが住んでいる。そこへ行くことは両親に止められていたが、ある日……。 #2450〜『コウモリうみへいく』(ブライアン・リーズ作/さいごうようこ訳/ 徳間書店):満月の夜、コウモリたちは海辺へ出かけた。シャベルに毛布、本に タオルと、準備はばっちり! 月に照らされた海辺の光景が美しい。 ▽このほかにも、メープルストリートで紹介されている新刊書の話題などで盛り 上がっています。掲示板の「トピック表示」もどうぞご利用ください。 http://www.yamaneko.or.tv/open/c-board/c-board.cgi?cmd=tpc;id=dokusho                            (えみりい/muzu) ★喫茶室掲示板★ http://www.yamaneko.or.tv/open/c-board/c-board.cgi?id=kissa #604〜 「月間児童文学翻訳」9月号 html 版公開 #605〜 初級シノプシス勉強会終了のお知らせ #607〜 「月間児童文学翻訳」10月号html版公開 ▽作品リストの更新情報などは「更新履歴」掲示板でどうぞ。 http://www.yamaneko.org/cgi-bin/sc-board/c-board.cgi?id=rireki ▽リストに関する追加・訂正等の情報は「やまねこ資料室:メモ用掲示板」まで。 http://www.yamaneko.or.tv/open/c-board/c-board.cgi?id=siryo ▽「イベント情報掲示板」はこちら。 http://www.yamaneko.org/cgi-bin/sc-board/c-board.cgi?id=event ★お菓子掲示板★ http://www.yamaneko.or.tv/open/c-board/c-board.cgi?id=okashi ★おはなし小部屋掲示板★ http://www.yamaneko.or.tv/open/c-board/c-board.cgi?id=ohanashi #235〜 運動会の本 ★広場掲示板★(会員限定) http://www.yamaneko.or.tv/member/c-board/c-board.cgi?cmd=tre;id=hiroba #4085〜 ランチオフ会@東京→ありがとうございました #4092〜 『曲芸師ハリドン』がラジオドラマに(続き) #4095〜 【世界の児童文学賞ラリー】最後のレビュー集→レビュー集アップ終了 #4097〜 やまねこ賞そろそろお心づもりを〜 #4110〜 オフ会@東京上野→ありがとうございました #4115〜 CLCDニュースレター2009年10月号・on Twitterスタート #4123〜 2009イタリア・ボローニャ国際絵本原画展(高浜市) #4124〜 初級シノプシス勉強会終了のお知らせ→勉強会感想 #4128〜 やまねこ賞、読書掲示板で読書月間開催中! #4134〜 第16回いたばし国際絵本翻訳大賞 #4135〜 【やまねこ賞2009】概要(今年は12回目) #4140〜 【祝】やまねこ翻訳クラブ12周年 #4141〜 決算報告と予算案 #4144〜 会員オフのご案内@東京 ▽現在進行中または予定されている勉強会の情報はこちらでどうぞ。 http://www.yamaneko.org/gakushu/open/index.htm(勉強会の予定) ▽非会員で、勉強会に興味のある方は入会案内ページへ。 http://www.yamaneko.org/info/guide.htm                               (たろたろ) ------------------------------------------------------------------------ メープルストリート新刊情報 ------------------------------------------------------------------------ http://www.litrans.net/maplestreet/index.htm <鈴木出版> http://www.litrans.net/maplestreet/p/suzukipub/index.html 『ダンスのすきなジョセフィーヌ』(ジャッキー・フレンチ文/ブルース・ホワ ットリー絵/三原泉訳):ボクシングが得意なカンガルーの話はよくきくけれど、 ダンスというのはきいたことがない。ましてやバレエなんて、ヒップホップなら まだしもねえ……。そう思いつつページをめくると、これがけっこういけていた。 チュチュすがたもさまになっている。ピルエット(回転)にアラベスク(バラン ス)と、なんと体のやわらかなカンガルーだろう。それに、とっても楽しそう。 見開きの左右をいっぱいにつかい、すべるようにおどっている。その一挙一動を みていると、こちらの心もはずんでくる。言葉のリズムと、うねるようにおかれ たフォントも、優雅なダンスを後押しする。ブラボー、カンガルー! 脇役であ るウォンバットのチュチュすがたも、またいい味をだしている。 <光村教育図書> http://www.litrans.net/maplestreet/p/mitumura/index.htm 『おばけやしきに おひっこし』(カズノ・コハラ作/石津ちひろ訳):オレン ジ、黒、白のみの色づかいに、シンプルに描かれたかわいい女の子とねこ。ぱっ と人目をひくこの絵本は、イギリス在住の日本人の手によるもの。おばけがうよ うよいる屋敷にひっこしてきた女の子が、こわがるどころかあっとおどろくよう なことをしてみせる。絵も色もストーリーも気持ちいいほど単純明快だ。2008年 度ニューヨークタイムズ・ベストイラスト賞受賞作。 『エドウィーナ』(モー・ウィレムズ作/青山南訳):恐竜のエドウィーナは、 町中の人たちから大人気。ただし、レジナルド・ボン・フービ・ドゥービだけは、 エドウィーナをいけすかないヤツとおもっていた。そこで、学校の自由研究で、 恐竜は絶滅したと発表するのだが……。いかにもひねくれ者という感じのレジナ ルドのフルネームに作者のセンスを感じる。さらにすばらしいのは、絵本のオチ ともいえる部分。自分たちが絶滅したと知らされたエドウィーナは……。こうく るか? と思わずにやにやさせられた。 『1つぶの おこめ――さんすうの むかしばなし』(デミ作/さくまゆみこ訳): 精密な筆致と、釉薬をかけた磁器のような質感、そして効果的な金色の使い方が 特徴のデミ氏は、昔話を数多く描いている。邦訳2作目となる本書は、とんちの きいたインドの昔話。民の米を独り占めした王さまから、若い娘がネズミ算をつ かったとんちで米を取り返す。タイトルに「さんすう」とはいっているので、教 育的な絵本かと思ってとびらをひらくと、その芸術性の高さに意表を突かれるだ ろう。毎日、こめつぶを運んでくる動物たちの優雅さが心に残る。 (NON) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ● 発行人 村上利佳(やまねこ翻訳クラブ 会長) 編 集 えみりい/たろたろ/tommy/NON/muzu/ラッテ 協 力 出版翻訳ネットワーク管理人 小野仙内(http://www.litrans.net/) ぎねびあ/ちゃぴ  来月の「やまねこ賞」投票に先立ち、現在、読書室掲示板では「読書月間」を 開催中。毎日、会員たちの書き込みでにぎわっています。ぜひ一度、ごらんくだ さい。(t) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●