●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━      月刊      やまねこ      A C T I V A T O R (FA-TEXT)      やまねこ翻訳クラブ・アクチベーター                       (2006年12月20日)                           No.168 ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  編集・発行……やまねこ翻訳クラブ http://www.yamaneko.org/ ------------------------------------------------------------------------ 【目次】 ●第9回やまねこ賞発表! ●師も走る? 第2次ファンタジーマラソン 年末報告 ●掲示板ア・ラ・カルト ●メープルストリート新刊情報 ------------------------------------------------------------------------ 第9回やまねこ賞発表! ------------------------------------------------------------------------  恒例の「やまねこ賞」の投票結果が、12月15日発行のメールマガジン「月刊児 童文学翻訳」12月号誌上で発表された。  今回の読み物部門では、なんと2作品が同点で大賞に輝いた。『いつもそばに いるから』(バーバラ・パーク作/ないとうふみこ訳/求龍堂)は、最愛の祖父 をアルツハイマー病に侵され、介護に明け暮れる少年の複雑な思いを描いた作品。 出版持ち込み企画から生まれた切なくも心温まる物語は、多くの会員にしみじみ とした感動を残した。もう1作は、読書室掲示板を大いににぎわせた「盗神伝」 シリーズの第4巻、第5巻『新しき王』(M・W・ターナー作/金原瑞人&宮坂 宏美訳/あかね書房)。シリーズの感想を心ゆくまで語り合おうと、訳者のおひ とり、宮坂さんにもご参加いただいてのチャット開催にまで発展した話題作であ る。宮坂さんと『いつも〜』の訳者ないとうさんは当クラブの創設メンバーであ り、おふたりそろっての受賞は当クラブとしても喜ばしい限りだ。また、金原さ んは一昨年の西田登さんとの共訳書『ホエール・トーク』(クリス・クラッチャ ー作/青山出版社)に続いて2度目の大賞受賞となり、こちらにも大きな拍手を 贈りたい。  絵本部門の大賞に選ばれたのは、『バスラの図書館員―イラクで本当にあった 話―』(ジャネット・ウィンター文・絵/長田弘訳/晶文社)。受賞作と併せて、 訳者長田さんの受賞のことば(「月刊児童文学翻訳」12月号掲載)にこめられた 深い思いを、ぜひかみしめていただきたい。  そのほか、各部門受賞作品の詳細は「月刊児童文学翻訳」12月号、または、や まねこ翻訳クラブ資料室「やまねこ賞受賞作品リスト」で。 ▽「やまねこ賞受賞作品リスト」(やまねこ翻訳クラブ資料室) http://www.yamaneko.org/bookdb/award/yn/index.htm ▽やまねこ賞投票所(現在閲覧のみ可能) http://www.yamaneko.org/yn_award/index.htm ▽「月刊児童文学翻訳」12月号 http://www.yamaneko.org/mgzn/dtp/2006/12.htm                               (えみりい) ------------------------------------------------------------------------ 師も走る? 第2次ファンタジーマラソン 年末報告 ------------------------------------------------------------------------  年の瀬も迫り、なにかと気忙しいこの時期。コンスタントに読み続ける先頭集 団に追いつかんと、復活成ったランナーたちが巻き返しを図っている。  J・R・R・トールキンの『仔犬のローヴァーの冒険』(山本史郎訳/原書房 /1999年)や、ミヒャエル・エンデの『はてしない物語』(上田真而子・佐藤真 理子訳/岩波少年文庫/2000年)といった大御所の秀作が登場するかと思えば、 本年度やまねこ賞受賞者、宮坂宏美氏の訳書「ランプの精リトル・ジーニー」シ リーズ(ミランダ・ジョーンズ作/ポプラ社/2005年〜)のような、明るく楽し い作品も根強い人気だ。また、『ドラゴンキーパー 最後の宮廷龍』(キャロル・ ウィルキンソン作/もきかずこ訳/金の星社/2006年)をはじめとする、先月末 に発行された、当クラブ編『大人のファンタジー読本』(マッグガーデン)掲載 のやまねこおすすめファンタジーや、「月刊児童文学翻訳」12月号「世界のお祭 り」で紹介されたユダヤ系ノーベル賞作家、I・B・シンガーの著作『まぬけな ワルシャワ旅行』(工藤幸雄訳/岩波少年文庫/2000年)など、今月のラインア ップもバラエティに富んでいる。  忙しい時ほど、癒されたくなるもの。あなたもしばし雑事を忘れて、ファンタ ジーの世界に浸ってみては? ▽学習室「ファンタジーマラソン」案内 http://www.yamaneko.org/gakushu/open/fm_guide.htm ▽「ファンタジーマラソン」特設掲示板(会員限定) http://yamaneko.or.tv/member/c-board/c-board.cgi?id=fanta2                    (ぎねびあ/おちゃわん/はるはな) ------------------------------------------------------------------------ 掲示板ア・ラ・カルト ------------------------------------------------------------------------    「#」のうしろの数字は、各掲示板での発言番号を表しています。 ★読書室掲示板★ http://www.yamaneko.or.tv/open/c-board/c-board.cgi?id=dokusho 【主なトピック】 #901〜 カナダ総督文学賞発表! #909〜 『穴』の文庫版発売 #908〜 『大人のファンタジー読本』発売!(広場掲示板#1461、喫茶室掲示板     #195にも掲載) #913〜 11月に読んだ本 #916〜 ラサリーリョ賞発表! #921〜 ネスレ子どもの本賞発表! #927〜 やまねこ賞発表! #932〜 やまねこ賞こねこ部門  コスタ賞ショートリストなど、賞関連の情報は、速報掲示板もご利用ください。 ▽「速報(海外児童文学賞)」掲示板 http://www.yamaneko.org/cgi-bin/sc-board/c-board.cgi?id=award 【新刊絵本】 #943〜『はじめての ゆきの ひ』(バーネット・フォード文/セバスチャン・ ブラウン絵/たまかまや訳/評論社):一面の雪、空には大きな大きなお月さま と一面の星。雪の夜の神秘的な美しさと、そんな夜に思う存分遊びまわる子ウサ ギたちのわくわく踊る気持ちがひとつになった絵本。 【未訳絵本】 #924〜 "The Incredible Book Eating Boy"(by Oliver Jeffers, Harper Collins Publishers):本を食べる(!?)のが大好きなヘンリーは、いろいろ な本を食べて、どんどんかしこくなっていく。ところが……。『まいごのペンギ ン』(三辺律子訳/ソニーマガジンズ)の作者オリバー・ジェファーズの新作。 【ドイツ語訳絵本】 #907〜 "Es schneit!"(Von Komako Sakai, Aus dem Japanischen von Ursula Grafe, Moritz Verlag)(Grafe の a にウムラウト):ゆきがたくさん降って、 幼稚園はお休みです。ゆきのために、パパの帰りも明日になりました……。うさ ぎくんとお母さんの雪の一日を静かに描く『ゆきがやんだら』(酒井駒子作/学 習研究社)のドイツ語訳。 【英訳絵本】 #918〜 "Emily's Balloon"(by Komako Sakai, Chronicle Books):エミリーち ゃんに新しいお友だちができました。それは、街でもらったふわふわまあるい風 船……。こちらも酒井駒子さんの作品(『ロンパーちゃんとふうせん』白泉社) の翻訳。子どものしぐさのひとつひとつが、ずっと眺めていたいほど愛らしい。 ▽このほかにも、メープルストリートで紹介されている新刊書の話題などで盛り 上がっています。掲示板の「トピック表示」もどうぞご利用ください。 http://www.yamaneko.or.tv/open/c-board/c-board.cgi?cmd=tpc;id=dokusho                               (えみりい) ★喫茶室掲示板★ http://www.yamaneko.or.tv/open/c-board/c-board.cgi?id=kissa #194〜 映画『みえない雲』 #205〜 『大人のファンタジー読本』読みました! #206〜 「月刊児童文学翻訳」12月号 html 版公開 ▽作品リストの更新情報などは「更新履歴」掲示板でどうぞ。 http://www.yamaneko.org/cgi-bin/sc-board/c-board.cgi?id=rireki ▽リストに関する追加・訂正等の情報は「やまねこ資料室:メモ用掲示板」まで。 http://www.yamaneko.or.tv/open/c-board/c-board.cgi?id=siryo ▽「イベント情報掲示板」はこちら。 http://www.yamaneko.org/cgi-bin/sc-board/c-board.cgi?id=event ★お菓子掲示板★ http://www.yamaneko.or.tv/open/c-board/c-board.cgi?id=okashi *認証式になりました。詳しくは掲示板のヘッダか発言番号#54をご参照ください。 #54〜 【重要】認証式の採用について #56〜 チョコレートムース ★おはなし小部屋掲示板★ http://www.yamaneko.or.tv/open/c-board/c-board.cgi?id=ohanashi #56〜 おはなしこねこの会・幼稚園のおはなし会 #59〜 12月・新宿・ジュンク堂・ミニおはなし会 ★広場掲示板★(会員限定) http://www.yamaneko.or.tv/member/c-board/c-board.cgi?cmd=tre;id=hiroba #1457〜 イベント・フィンランドの絵本 展示と販売(期間の変更) #1465〜 ★☆新会長・副会長の紹介☆★ #1472〜 CLCD ニュースレター12月号 #1473〜 サンテグジュペリの番組 #1477〜 『銀のキス』が舞台化! #1479〜 第2次ファンタジーマラソン月間報告ご案内(途中参加表明ツリー) ▽現在進行中または予定されている勉強会の情報はこちらでどうぞ。 http://www.yamaneko.org/gakushu/open/index.htm(勉強会の予定) ▽非会員で、勉強会に興味のある方は入会案内ページへ。 http://www.yamaneko.org/info/guide.htm                                (ラッテ) ------------------------------------------------------------------------ メープルストリート新刊情報 ------------------------------------------------------------------------ http://www.litrans.net/maplestreet/index.htm <光村教育図書> http://www.litrans.net/maplestreet/p/mitumura/index.htm 『とらと ほしがき』(パク・ジェヒョン再話・絵/おおたけきよみ訳):泣く 子をなんとか黙らせようとする母親。恐いものがくるよと脅かすけれど、子ども はおかまいなしに泣き続けている。ところが物陰から、母親の言葉をじっくり聞 いているとらがいた。ひとりで思いを巡らせるうちに、とらの想像はどんどん膨 らんでいく。やがて小さな勘違いが大きな恐怖となって……。日本の「ふるやの もり」と似た話。類似の昔話はアジアにもヨーロッパにもあるそうで、どうやら インドが起源だという。画材にもこだわったという作者。素朴な昔話の趣を伝え る質感に注目して欲しい。 <早川書房> http://www.litrans.net/maplestreet/p/hayakawa/index.htm 『ホリー・クロースの冒険』(ブリトニー・ライアン作/永瀬比奈訳):サンタ クロースに娘がいた? しかもホリーというその娘は、邪悪な力に抗うべき運命 にあった! 絵本ではよく描かれるサンタクロースの私生活だが、それを本格的 なストーリー仕立てでじっくり読めるのがうれしい。あの『メリー・ポピンズ』 の名女優ジュリー・アンドリュースが、子どものために秀作をセレクトしたジュ リー・アンドリュース・コレクション。本作品はそのコレクションに収められて いる作品だ。訳者の永瀬氏はやまねこ会員。 <ほるぷ出版> http://www.litrans.net/maplestreet/p/holp/index.htm 『ちいさなもみのき』(ファビエンヌ・ムニエ文/ダニエル・エノン絵/河野万 里子訳):クリスマスツリーになる大きなもみのきに混じって、鉢植えにされて 森から町に運ばれた「ちいさなもみのき」。デパートの前の露店で、やさしそう な老夫婦に買われていく。ところが、なれない場所でなれない飾りつけをされ、 もみのきはなんとなく落ち着かない。これから自分はどうなるのだろう? 不安 が緑色の頭をよぎる。さて、このもみのきに幸せな未来はくるのだろうか? こ じんまりとした、安心感を与えてくれる絵だ。特におじいさんの表情がとてもよ く、それだけで癒されそう。 『しあわせなブタ』(パトリク・ルーカス作/若松宣子訳):ブタのおじょうさ んのサクセスストーリーとその後日談。キャスティングが的を射ている。おじょ うさん役がシャムネコだったら鼻つまみものだし、タヌキだったらコメディにな る。ネズミやウサギでは青臭くってしょうがない。ここはブタでなくてはいけな い。そして、恋のお相手もやはりこの動物でなくては。それは読んでのお楽しみ。 絵の具の削り跡がなんともいえない表情をかもし、味のある絵となっている。人 生をおしゃれに語るこの物語にぴったりのイラストだ。 『ろばのトコちゃんおやすみなさい』(ベネディクト・ゲティエさく/ふしみみ さをやく):「ろばのトコちゃん」シリーズ6巻目。勢いのある太い線に、きれ いな色をべたっとのせたシンプルさが持ち味だ。最終巻となる本作はパパとママ が、ベッドに毎晩もぐりこんでくるトコちゃん対策を考える話。 <朔北社> http://www.litrans.net/maplestreet/p/sakuhoku/index.htm 『ポッチャーン!』(フィリップ・コランタン作/ふしみみさを訳):水面に映 ったチーズがほしいあまり、ポッチャーンと井戸に落ちてしまうオオカミの話。 それだけでも面白そうだが、この絵本の目玉は縦長の絵本をそのまま井戸に見立 てるというアイデア。井戸の形の絵本の中で繰り広げられる、臨場感たっぷりの 話をお楽しみあれ。紹介ページには、訳者のふしみ氏からメッセージが寄せられ ている。                                  (NON) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ● 発行人 美馬しょうこ(やまねこ翻訳クラブ 会長) 編 集 えみりい/ち〜ず/NON/ラッテ 協 力 出版翻訳ネットワーク管理人 小野仙内     おちゃわん/ぎねびあ/はるはな  もうすぐクリスマス、そして冬休みですね。休暇中に読む本はお決まりです か? まだという方は、どうぞ『大人のファンタジー読本』や、やまねこ賞投 票所、読書室掲示板などでお探しくださいね。会員の方は、ファンタジーマラ ソン掲示板もぜひのぞいてみてください。それでは少し早いですが、よいお年 を!(ち) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ● ・このメールマガジンは「まぐまぐ!」(http://www.mag2.com/)を利用して 配信しています。 ・購読のお申し込みと解除は http://www.yamaneko.org/mgzn/acti/index.htm でどうぞ。バックナンバーもご覧いただけます。 ・ご意見、ご感想は、このメールマガジン宛てに、お気軽にご返信ください。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●