●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━      週刊      やまねこ      A C T I V A T O R (FA-TEXT)      やまねこ翻訳クラブ・アクチベーター                       (2004年6月11日)                           No.136 ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  編集・発行……やまねこ翻訳クラブ mail……m_acti@yamaneko.org ------------------------------------------------------------------------ 【目次】 ●《カーネギー賞&ケイト・グリーナウェイ賞候補作を読もう会》         ――ビー・ウィリーとアンソニー・ブラウンに注目―― ●掲示板ア・ラ・カルト ●メープルストリート新刊情報 ------------------------------------------------------------------------ [特設掲示板]《カーネギー賞&ケイト・グリーナウェイ賞候補作を読もう会》      ――ビー・ウィリーとアンソニー・ブラウンに注目―― ------------------------------------------------------------------------ http://www.yamaneko.org/cgi-bin/c-board/c-board.cgi?id=cg2004 《読もう会》が始まり、1か月余りが過ぎた。少し前までは、カーネギー賞候補 作『夜中に犬に起こった奇妙な事件』(マーク・ハッドン作/小尾芙佐訳/早川 書房)に関するさまざまな感想が活発に寄せられていたが、現在は、ケイト・グ リーナウェイ賞候補作 "Bob Robber and Dancing Jane"(text by Andrew Matthews, illustrations by Bee Willey)に話題の中心が移っている。この作 品に対しては、ストーリー展開にはもうひとひねりほしいとの意見が多いが、幻 想的で美しい絵には、受賞の可能性もあるのではとの高い評価の声も聞かれる。 また、日本でも人気の高いアンソニー・ブラウンの今回の候補作 "The Shape Game" も、なかなかの評判だ。美術館が舞台の本作にも、『どうぶつえん』(藤 本朝巳訳/平凡社)同様(いや、それ以上に)楽しい隠し絵などが施されている らしい。実在の絵画とブラウン作のパロディーを見比べて笑いたい方は、ぜひ当 掲示板へ! なお7月下旬には『シェイプ・ゲーム』(藤本朝巳訳/評論社)と して邦訳出版が予定されている。〈受賞作〉のタイトル、ゲットなるか!? ぜ ひ注目したいところである。 ▽《読もう会》の企画についてはこちらで(「やまねこACTIVATOR」No.134) http://macky.nifty.com/cgi-bin/bndisp.cgi?M-ID=fishpower&FN=20040514103034  ところで、5月中、盛んに話題になったケイト・グリーナウェイ賞候補作 "The Wolves in the Walls"(text by Neil Gaiman, illustrations by Dave McKean)と "The Pea and the Princess"(by Mini Grey)。この2作のレビュ ーを、6月15日発行のメールマガジン「月刊児童文学翻訳」6月号で紹介する予 定だ。作品の魅力が満載のレビューを、どうぞお楽しみに。 ※会員以外の方で購読をご希望の場合はぜひ以下のサイトからお申し込みを!  http://www.yamaneko.org/mgzn/ 無料 ------------------------------------------------------------------------ 掲示板ア・ラ・カルト ------------------------------------------------------------------------ @読書室掲示板@ http://www.yamaneko.org/cgi-bin/c-board/c-board.cgi?cmd=;id=22 ・『ナガナガくん』(小船谷佐知子訳/徳間書店)などでおなじみの絵本作家、 シド・ホフさんが、91歳で永眠。 ・『ホエール・トーク』(クリス・クラッチャー作/金原瑞人・西田登訳/青山 出版社)の裏話あれこれ――金原瑞人さんとクリス・クラッチャーさんのオフィ シャル・ホームページが相互リンクされた。 http://www.kanehara.jp/staffosusume/index.htm ・『ワニてんやわんや』(ロレンス・イェップ作/ないとうふみこ訳/ワタナベ ユーコ絵/徳間書店)を読むと、鶏肉のカシューナッツ炒めが食べたくなる!? ・5月に読んだ本を紹介します! おすすめは『マドレンカのいぬ』(ピーター・ シス文・絵/松田素子訳/BL出版)、『ペドロの作文』(アントニオ・スカメ ルタ文/アルフォンソ・ルアーノ絵/宇野和美訳/アリス館)、『おそらのリビ ーへ』(ジャック・サイモン文/たむらみえ絵/とよくらしょうこ訳/竹書房)。 【新刊絵本】 ・『きゃあああああああ クモだ!』(リディア・モンクス文・絵/まつかわま ゆみ訳/評論社):人間のペットになりたくて、いろんなことを披露するキュー トなクモの女の子。けれどもそのたびに「きゃあああああああ クモだ!」と家 から追い出され、ついに庭で暮らすことに。きらきら光るクモの巣が美しい絵本。 【新刊読み物】 ・『いつまでもベストフレンド』(サラ・デッセン作/おびかゆうこ訳/徳間書 店):16歳の夏、親友スカーレットのボーイフレンドが事故で死んでしまった。 スカーレットのお腹に子どもを残して……。サラーはスカーレットを懸命に支え ようとする。青春時代に出会うさまざまな悩み――恋愛、友情、親との衝突―― を通して、少女たちは成長していく。 ・『しあわせいっぱい荘にやってきたワニ』(アーシュラ・ウィリアムズ作/吉 上恭太訳/堀川理万子絵/福音館書店):船乗りのジョニーが、ある日〈しあわ せいっぱい荘〉に大きなワニを連れて帰ってきた。そして、人のいい大家のミネ アポリスさんが預かることに……。再びジョニーが航海から帰ってみると、ミネ アポリスさんの姿が見えない。なんと、ワニの体に閉じこめられてしまったのだ! ・『おばあちゃんの記憶』(エルヴェ・ジャウエン作/小野ゆり子訳/さ・え・ ら書房):アルツハイマー病のおばあちゃんの消えゆく記憶を、13歳のヴェロが、 おばあちゃんの手紙や言葉をつなぎ合わせてたどる。深刻なテーマを扱いながら も、フランスの少女たちの恋愛事情や、またフランス流の考え方など、文化の違 いをかいま見ることもできる作品。 【未訳読み物】 ・"Al Capone Does My Shirts"(by Gennifer Choldenko, G.P. Putnam's Sons): 1935年、12歳の少年ムースの一家は、アル・カポネらの極悪犯が監獄されるアル カトラス島に引っ越してきた。安全面での制限が多いこの島で、重い自閉症の姉 ナタリーの世話をすることになったムースは、さまざまな困難に直面する。 http://www.choldenko.com(Gennifer Choldenko の公式サイト) ・"Le Memorie di Adalberto"(by Angela Nanetti, illustrations by Federico Maggioni, Einaudi Ragazzi):女系家族のなかの末子として大事に育 てられたアダルベルト少年は、11歳になり、ジジという同い年の男の子と仲よく なったのをきっかけに、これまで通っていた私立の学校ではなく、公立の中学へ 通いたいと主張。父を味方につけ、猛反対していた母やおばたちを何とか説き伏 せ、無事入学する。これまでの学校との違いに戸惑いながらも、ジジとのつきあ いを通して、アダルベルトの世界は少しずつ広がっていく……。作者アンジェラ・ ナネッティは、『おじいちゃんの桜の木』(アンナ・バルブッソ&エレナ・バル ブッソ絵/長野徹訳/小峰書店)で日本でも知られる。 【未訳絵本】 ・"Just a Minute"(by Yuyi Morales, Chronicle Books):とつぜん家にやっ てきて一緒に来るようにと誘う、がいこつのセニョール・カラベラを、グランマ・ ビートルは「ちょっと待って! 家を1軒、掃除しないと……」「お茶を2回分、 沸かさないと……」とはぐらかしていく。英語にスペイン語での数え方を併記し、 メキシコの文化もさりげなく紹介している本作は、2003年度ゴールデン・カイト 賞オナー(次点)のほか、Pura Belpre Award の画家賞にも選ばれている。 http://www.yamaneko.org/mgzn/dtp/2004/05a.htm#prize1 (「月刊児童文学翻訳」5月号・情報編「2003年度ゴールデン・カイト賞発表」) http://infozone.imcpl.org/kids_path_belpre.htm(Pura Belpre Award) 〜資料室〜 【更新リスト】 ▽金原瑞人訳書リスト http://www.yamaneko.org/bookdb/int/ls/mkaneha5.htm ・この他のリスト更新情報などは「更新履歴」掲示板でどうぞ。 http://www.yamaneko.org/new/index.htm ・リストに関する追加・訂正等の情報は「やまねこ資料室:メモ用掲示板」まで。 http://www.yamaneko.org/cgi-bin/c-board/c-board.cgi?cmd=all;id=16 @喫茶室掲示板@ http://www.yamaneko.org/cgi-bin/c-board/c-board.cgi?id=13 ・8月に第10回広島国際アニメーションフェスティバルが開催される。 http://www.urban.ne.jp/home/hiroanim/ ・出版翻訳ネットワークの英文リーディング倶楽部からお客様が書き込みに来て くれた。「ナルニア国ものがたり」シリーズ原書読書会でこの喫茶室掲示板の存 在を知ってくれたのだとか。英文リーディング倶楽部の読書会は現在開催中。 詳しくは喫茶室掲示板で。 英文リーディング倶楽部 http://www.litrans.net/erc/index.htm @お菓子掲示板@ http://www.yamaneko.org/cgi-bin/c-board/c-board.cgi?id=15 ・「ターキッシュ・ディライト」から更に話題が広がっている。「固めのおいし いワラビ餅」とか他にもいろいろな表現があるようだが、口にしたことのない人 はどう想像するか? @おはなし小部屋掲示板@ http://www.yamaneko.org/cgi-bin/c-board/c-board.cgi?id=14 ・小学校1年生の「朝のおはなし会」に選んだ絵本は『オオカミのひみつ』(き むらゆういち文/田島征三絵/偕成社)と『へんしーん』(谷川晃一文・絵/偕 成社)。後者は仕掛け絵本なのだが……。 @広場掲示板@(会員限定) http://www.yamaneko.org/cgi-bin/l2/c-board/c-board.cgi?id=212 ・画家の中釜浩一郎さんが、5月5日に逝去された。「月刊児童文学翻訳」の 1998年11月号で、「プロに訊く」コーナーにご登場いただいて以来、やまねこ翻 訳クラブでは中釜さんと親しいおつきあいがあったので、本当に悲しく、残念な できごとだ。 追悼−中釜浩一郎さん http://www.yamaneko.org/bookdb/int/knakagam2.htm ・読みたい本の原書が英語以外だったらどうやって入手するのだろうか。いろい ろな方法があるようだ。 ・新入会員さんが挨拶をしてくれた! お母様の家庭文庫をお手伝いなさってい るとのこと。 ・6月の定例チャット、次回夜の部は6月18日(金)22:00-23:00。 @学習室掲示板@(会員限定) http://www.yamaneko.org/cgi-bin/l2/c-board/c-board.cgi?id=211 ・「絵本全訳勉強会」準備が着々と進んでいる。興味のある人は掲示板へ急げ! ・「リスト作成勉強会」「中級シノプシス勉強会」「ニュース勉強会」への参加 は常時受付中。 ★現在進行中または予定されている勉強会の情報はこちらでどうぞ★ http://www.yamaneko.org/gakushu/open/index.htm(勉強会の予定) ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★ 非会員で、勉強会に興味のある方は入会案内ページへ。 http://www.yamaneko.org/info/guide.htm ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★ @子どもの本のページ@ http://www.litrans.net/c-board/c-board.cgi?id=05 ・星の子さんの「わらべうたの会」の話題から。 ------------------------------------------------------------------------ メープルストリート新刊情報 ------------------------------------------------------------------------ http://www.litrans.net/maplestreet/index.htm http://www.litrans.net/maplestreet/maple.rdf           (メープルストリート更新履歴を RSS リーダーで読める) <BL出版> http://www.litrans.net/maplestreet/p/bl/index.htm 『世界をかえた魚 タラの物語』(マーク・カーランスキー文/S・D・シンド ラー絵/遠藤育枝訳):タラといえば、切り身の姿をまず思い浮かべる方が多い のでは? この魚が、全長1メートル近くあることは意外と知られていない。い わんや欧米の歴史に大きな影響を与えていたことをや。日本人の食卓でおなじみ のタラを、生物学的、社会学的、そして台所学的(?)にと、様々な角度から徹 底分析した興味深い1冊だ。 『ドラゴンマシーン』(ヘレン・ウォード文/ウエイン・アンダースン絵/岡田 淳訳):ある日、そこここにいるドラゴンが見えるようになったジョージ。喜ん だのも束の間、ドラゴンたちのしたいたずらの濡れ衣を着せられるようになった から、たまらない。ジョージは考えた末、あるものを作ることにした。アンダー スンによる美しいドラゴンは必見。 『ジベルニィのシャーロット』(ジョアン・マックファイル・ナイト文/メリッ サ・スウィート絵/江國香織訳):19世紀末、印象派の画家が好んだ地、ジベル ニィに、アメリカからやってきた少女シャーロット。画家である父親とその友人 の画家たちの様子がシャーロットの日記という形で紹介される。物語はフィクシ ョンで、シャーロットも架空の人物だが、実在する印象派の作品が多数出てきて いる。 <求龍堂> http://www.litrans.net/maplestreet/p/kyuryudo/index.htm 『チョコレート・アンダーグラウンド』(アレックス・シアラー作/金原瑞人訳): セピア色にくわえタバコのマフィアが渋い表紙の絵……とおもいきや、セピアで はなく、チョコレート色! おまけにくわえているのもチョコレート! 禁酒法 ならぬ「チョコレート禁止法」という理不尽な法律に、チョコレート大好き少年 スマッジャーが、仲間と共に立ち向かう。シアラーならではの、手に汗握るホッ トなストーリー展開に、チョコレートをイメージした装丁が溶けないようにご用 心。 <光村教育図書> http://www.litrans.net/maplestreet/p/mitumura/index.htm 『うみべのステラ』(メアリー=ルイーズ・ゲイ文・絵/江國香織訳):「ステ ラ」シリーズ第3弾。森、雪に続いて今度は海。カナダの自然を背景にした、な かよしきょうだいの、ほのぼのとしたやりとりをお楽しみあれ。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ● やまねこ翻訳クラブ http://www.yamaneko.org/ 執筆 ち〜ず/NON/りんたん 編集 ち〜ず/hanemi/りんたん  北海道地方を除き、梅雨に入りましたね。この季節になると、『ピッツァぼう や』(ウィリアム・スタイグ文・絵/木坂涼訳/セーラー出版)を読んで、子ど もをこねこねしたくなります(^^)。(ち) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●