2003年7月刊行
プロイスラー 幻の名作
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大力ワーニャの冒険
文:オトフリート・プロイスラー
訳:大塚勇三
絵:堀内誠一
ISBN4-916016-40-8
本体価格 1500円+税
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ロシアの昔話を題材に、《なまけのワーニャ》が、
かずかずの難関をのりこえ、やがて夢が実現するまでを描いた、痛快な冒険物語。
作者プロイスラーさんが、この作品の読者の方あてに
文章を寄せられています。
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『大力ワーニャの冒険』は、聖なるロシアを舞台にしていますが、そのお話の主題は、どこの人々もが、はるか昔から語りついできたようなものです。
この物語の主人公は「おろかなイワン」です。かれは、七年のあいだ、パンやきかまどの上にねころんで、まったくなにもしないですごします。それは、力をためるためです。
・・・しっかりと力をつけて、このさき現れてくる人や動物の形をした、魔力をもつ相手や、おそろしい敵に負けることなく、自分の道をつき進んでいけるようにするためです。そうして、かれは、くじけることなく、自分の使命をはたしつづけたので、おわりには国と人たちを救えることになります。
こうした物語は、日本のみなさんにも、よくわかってもらえることでしょう。そして、わたしは、こういう機会に、日本のみなさんへ、ごあいさつを送れることを、たいそううれしく思います。
オトフリート・プロイスラー
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日本の昔話でも『さんねんねたろう』など、眠っているうちに力をたくわえる話がありますね。
この話に出てくるワーニャも、なんと7年もかまどの上でほとんど寝てすごします。
そして時々どれくらい力がたまったのかを自分で確認するのです。
自分の力が一年一年とふえているのがわかってくると、ワーニャは心のうちでこういいます。
「どんなことでも、きまっただけの時がかかる。それは変えようがないもんだ。」
みなさんも、きっとワーニャの冒険話にひきこまれることでしょう。
【作者】オトフリート・プロイスラー 1923年10月20日、チェコのボヘミア地方のリベレツという町に、ドイツ人の子として生まれる。第二次世界大戦に19歳でドイツ軍に入隊、5年間ソビエト軍の捕虜となる。1949年から、西ドイツ南部のシュロスベルグで小学校の教師をしながら、創作をはじめる。1970年以降は作家活動に専念し、愉快で楽しい作品を数多く描き、愛と自由をテーマにしたファンタジー『クラバート』(1971)は、ドイツ児童図書賞を受賞した。2003年10月で満80歳のお誕生日を迎える。
【訳者】大塚勇三 1921年、中国東北地方に生まれる。東京大学法学部卒業。ドイツ・北欧文学の作品の研究・翻訳につとめている。おもな訳書に『小さい魔女』『小さいスプーンおばさん』(学習研究社)『長くつしたのピッピ』(岩波書店)『スーホの白い馬』(福音館書店)など多数ある。
【画家】堀内誠一 1932年、東京に生まれる。グラフィック・」デザイナーとして、広く活躍。絵本の仕事は、『くろうまブランキー』からはじまり、『たろうのばけつ』『こすずめのぼうけん』(福音館書店)など多数ある。さし絵では、『はんぶんのおんどり』(小舎刊)『マザーグースのうた』(草思社)などがある。1987年没。
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