2004年6月刊行
ようこそ! メリウェザー・ハイスクールへ という楽しげな章のタイトルとは裏腹に、高校生活一日目の朝が始まる。 大嫌いなスカートをはき、まっさらなノートを七冊抱えて家を出る。胃が痛い。「わたし」――メリンダの独白で高校生活が語られる。 所属するグループもなく、両親はいそがしく伝えたいことはメモに書くやりとり。声を発することなく、音のない声でメリンダは語る。 つまらない授業、話しかけてくれる友人もいない。 メリンダは重苦しく語らない。事実をなるべくそのままに淡々と連ねる。時にユーモラスに。 一学期、二学期、三学期がすぎる。そして四学期……。 時間はただ流れるだけではない。メリンダも自分の「声」を求めて心を整理し、前進するチャンスをうかがう。 その時はきた。 メリンダの「声」に耳をすまそう。 ひりひりするティーン時代、友達、すれ違い、恋人、高校生活も楽ではない。 そういう意味ではいつの時も楽ではないのだけれど、ティーンのもつしんどさが、重くもなく軽くもなく書かれていることに好感。 メリンダの言葉がどんどん輪郭をもっていく。それを追うのがなによりうれしい。 【作者】ローリー・ハルツ・アンダーソン Laurie Halse Anderson ニューヨーク州シラキュースで育ち、現在、夫とふたりの娘とともにペンシルヴェニア州にクラス。はじめての小説となる本書で、マイケル・L・プリンツ賞などヤングアダルト小説に贈られる数々の賞を受賞、高い評価を得た。その他の著書に、絵本"No
Time for Mother's Day" "Turkey Pox" "Ndito Runs"がある。
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2004年1月刊行★オーストラリア児童図書賞候補作★
あたしが住んでるところには、ぶらぶらできるところが二か所しかない――通りをぶらつくか、メリ・クリークっていう川岸をぶらつくかのどっちか。 Chapter 1という手書き文字のあとに、続くのがこの冒頭だ。 あたしって誰だろと思いながら、読みすすめると5ページすすんでようやく、「あたし」の名前がわかった。 シーダー・B・ハートリー、これが彼女の名前だ。母さんがヒッピー的な生き方に染まっていた時につけた名前。ヒッピーは木や自然のものを愛するので、自分の子どもにも愛する木や自然の名前をつけるらしい。ちなみにシーダーは「マツ科ヒマラヤスギ属の木」。 シーダーは自分のことを、こう分析する「通りでうねる大波を避けて、水たまりのほうに漂っていくタイプ」。人間の水たまりはいいものだとシーダーは思っている。たくさんのすばらしいものが沈んでいるから――というのが彼女の理由。 さて、シーダーの水たまりには誰がいるのだろう……。 もうすぐ12歳になるシーダーの水たまりがにぎやかになりはじめたのは、犬のスティンキーがきっかけ。 どんな犬かは、本文中のイラストを参照のこと――うん、かわいい。そのかわいい犬、スティンキーのおかげでカイトという少年と出会う。 シーダーの語りは時系列のように一直線ではない。そもそも、どんな人だって心の中の考えごとは、ゆらゆら時をまたぐものだ。 本には作者によるイラストがあちこちに顔をだす(作者は絵本作家で、小説は本作がはじめて)。もちろん物語ではシーダーが描いたことになっている。そのイラストがとっても楽しい! 「靴下のなかのカメ」「テニスボールの動きの図」「家に帰る途中かばんのなかで小さな茶色い打ち身ができる緑色の梨」……etc. さて、これで紹介と感想はおしまい。 次はどうぞあなたがシーダーの水たまりを直接みてみてください。 【作者】マータイン・マレイ Martine Murray オーストラリア、メルボルン出身の絵本作家。小説は本作がはじめてにもかかわらず、アメリカ・イギリスでは多数の出版社が本作の刊行に名乗りをあげ、オークションとなって、注目をあびた。
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2003年12月刊行全米ベストセラー「ウィーツィ・バット」ブックスの著者による詩的な物語!
父は母を「天使」と呼ぶ。わたしにはどうしたら母にふさわしい娘になれるのか、さっぱりわからない――。 完璧で 美しい母を敬う父。そんな父や母に自分は愛されているのだろうか、エコーは悩む。 エコーが得意なものは、母の存在とはとは遠い位置にある、万引きとキスと踊り。 劣等感と孤独感がエコーを支配する。 そして、母の力を最も欲していたとき、父が病に伏す。 助けてはもらえない。 背中に羽根のある少年に出会う、 体重を落とす、 父が亡くなる、 父親のように、ふたたび絵を描きはじめるエコー。 つつーっと流れる涙が落ちる前に、ブロックはそれを言葉にして物語にする。 センチメンタルではなく、しかし、気持ちを鋭く刃のようにして置く言葉。 ブロックは読むたびに新鮮だ。 【作者】フランチェスカ・リア・ブロック Francesca Lia Block L.A.タイムズのベストセラー作家。1989年、『ウィーツイ・バット』で鮮烈なデビューを飾り、全米の若者から熱烈な支持を得つづけている。ロサンゼルス在住。 【訳者】金原瑞人 かねはらみずひと 法政大学教授・翻訳家。おもな訳書:『青空のむこう』(シアラー、求龍堂)、『豚の死なない日』(ペック、白水社)、『レイチェルと滅びの呪文』(マクニッシュ、理論社)、『ゼブラ』(ポトク、青山出版社)、『ウルティマ、ぼくに大地の教えを』(アナヤ、草思社)、『満たされぬ道』(オクリ、平凡社)、「ウィーツィ・バット」ブックス、『薔薇と野獣』(ブロック、以上共訳、東京創元社)など。 【訳者】小川 美紀 おがわ みき 翻訳家。おもな訳書:『ローン・レンジャーとトント、天国で殴り合う』(アレクシー)、「ウィーツィ・バット」ブックス、『薔薇と野獣』(ブロック、以上共訳、東京創元社)、『難民少年』(ゼファニア、共訳、講談社)など。 |
2003年10月刊行待望の『サブリエル』の続編!!
物語は『サブリエル』から14年たった時からはじまる。 ライラエルはクレア族の娘。この部族は、代々ある一定の年齢で「先視(さきみ)の力」を授かる。 しかし、14歳の誕生日を迎えようとしているライラエルには、この力がまったく授かる気配もない。 自分より年下の部族の娘たちが、次々と「先視の力」を授かるのをみたライラエルは絶望し、死を考える。 そして、それを実行にうつそうとした時、ライラエルにとっての転機がおとずれた。 サメス王子、通称サムは、サブリエルの息子。死霊とのたたかい、サブリエルは父のあとを次、アブホーセンとなっていた。 サムにはエミリアという姉がいて、王位継承はその姉が、アブホーセンをサムが継ぐだろうとみな思っている。 しかし、当のサムは死霊がこわく、とてもアブホーセンになる将来の自分を想像することができなかった。 サブリエルは独特の存在感をもったモゲット(猫)がそばにいたが、ライラエルのそばには、〈不評の犬〉がいる。 (今回の話でも、モゲットは登場し毒舌ぶりが健在なのがうれしい。) 物語はふたつの柱がある。ひとつはライラエルが自分にもたらされない力をなげくところからはじまる――彼女の自分探し。 そして、もうひとり、サブリエルの息子サムが、アブホーセンを継ぐことに悩み苦しむ――彼の自分探しだ。 この2人が出会い、ある秘密があきらかになる……。 665ページの大作、しかしあくまでも三部作の第2巻。物語のクライマックスはまだ完結編『アブホーセン』(未訳)を待たなくてはいけない。 『サブリエル』で堪能した重厚な古王国を舞台に、恐ろしい死霊や化け物、そして今回は新たな敵も登場している。 魔術や死霊、ダークな世界で、ライラエルとサムは運命に果敢に挑む。 訳者あとがきによると、引き続き完結編『アブホーセン』の翻訳にとりかかるとのこと。 物語はどのように着地するのだろうか。 【作者】ガース・ニクス Garth Nix 1963年オーストラリア、キャンベラ生まれ。キャンベラ大学卒業後、編集者となるが、その後、ヨーロッパ、中近東、アジアを放浪。マーケティング・コンサルタント、出版エージェントを経て、現在にいたる。前作『サブリエル――冥界への扉』で、ファンタジー作家としての確固たる地位を獲得。「セブンスタワー」シリーズ(小学館)は映画化も決定している。 【訳者】原田 勝 はらだ・まさる 1957年生まれ。東京外国語大学卒業、埼玉県在住。訳書に『ミッドナイトブルー』(ほるぷ出版)、『弟の戦争』(徳間書店)、『ブック・オブ・ザ・ダンカワ』(フォレストブックス)、『サブリエル――冥界への扉』(主婦の友社)ほか。 |
2003年3月刊行
全米の若者にカルト的人気を誇るベストセラー作家 待望の1冊!
主人公はタイトルにある、17歳の少女、ヴァイオレットとクレア。 |
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Last Modified: 2004/06/21
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