2003年12月刊行歴史に残る女性たちの、10代から60代までの恋の形
ドイツ語の児童書翻訳者としても知られる中野京子さんの著作。 中野京子さんは、こういう恋の本を書きたいと長く心にあたためてきたと「あとがき」で記しています。 その恋とは……。 年代順に恋が語られていく。紹介されている23人の女性のうち日本人は3人。 ひとりは、最初に紹介される14歳の、大納言久我雅忠の女二条。『とはずがたり』の作者である二条の恋は激しく奔放。あこがれの君から恋歌と着物の贈り物が届いたその年に、15歳年上の後深草院の後宮入りをしなくてはいけなくなる。しかし忘れられない初恋の君とは……。 すごい、これすべて10代のことだとは! 31歳のディアーヌ・ド・ポワチエ(ヴァランティノワ公妃)は未亡人の時、後のアンリ二世(11歳)と出会う。アンリはその後、年齢差にもかかわらず、ディアーヌを生涯愛するようになるのだ。14歳で妻をもつ身になってからも……。 すごい、という言葉しかでてこなくなるほど、エネルギーある恋話がつづく。 小さい本だが、大きなエネルギーを感じる1冊。 人生に恋というサプライズが加わったばあいの燦(きら)めきたるや! 中野京子 あとがきより 【著者】中野京子 北海道生まれ。早稲田大学大学院修士課程修了。独文学専攻。早稲田大学、明治大学、洗足学園大学で非常勤講師を務める。著書に『情熱の女流昆虫画家――メーリアン』(講談社)、『紙幣は語る』『かくも罪深きオペラ』(以上洋泉社)、『映画の中のオペラ』(未来社)、『オペラでたのしむ名作文学』(さ・え・ら書房)。訳書には『訴えてやる!』(未来社)、『巨匠のデッサン・シリーズ、ゴヤ』(岩崎美術社)、「タイガーチーム事件簿」シリーズ(トーマス・ブレツィナ作)、『ソンボ』(ナスリーン・ジーゲ作)、『ビターチョコレート』(ミリアム・プレスラー作)(以上、さ・え・ら書房)など。 |
2003年12月刊行1931年ニューベリー賞受賞作品!
2004年ニューベリー賞が1月12日に発表されたばかりですが、こちらは73年前の受賞作品。 物語の舞台は日本。 まずしい絵師は、世話をしてくれる婆やとの2人暮らし。その日の食べ物にも事欠く中、婆やが、猫をつれてきたのです。 はじめ、猫は疫病神だといっていた絵師も、愛らしい三毛猫をみて、三毛は縁起がいいんだよと、一緒に暮らすことに。 福と名づけられた猫と暮らすうち、絵師はお寺から涅槃図の依頼という幸運が舞い込みました。 仕事に没頭する絵師。静かに見守る福。 涅槃図にさまざまな生き物が描きこまれるうち、福は猫のいない涅槃図をじっと見つめ……。 物語を書いた、コーツワースは20代の頃に、ひとりで日本を訪れたことがあるそうです。 大正時代の日本を見て、その何かがこの作品を書かせたのでしょうか。 アメリカの作品とはいえ、舞台は私たちのよく知っている世界です。 福のいじらしさが、読後、しずかに残ります。 【作者】エリザベス・コーツワース 詩人、児童文学者。1893年生まれ、1986年に死去。幼いころから両親とともにアルプスやエジプトを旅する。ヴァッサー女子大学卒業後、コロンビア大学で博士号を獲得。その後ひとりで東洋の国々をまわる。1931年に本作品でニューベリー賞の大賞を受賞。動物をテーマにした児童文学のほかにも、小説、エッセイなど多くの作品を残した。その業績に対して、1968年にはハンス・クリスチャン・アンデルセン賞の最終候補者となる。
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Last Modified: 2004/03/25
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