幻戯書房 刊行情報 |
2003年2月刊行
敗戦の年に、友人2人と共にみすず書房を創業。 以来、編集責任者として45年を過ごした著者、小尾俊人――。 この本は、さまざまな違う機会、場所で書かれたり話をしたものを集めたものです。 出版者の内省と記録、そこから深い示唆に富む言葉が、読み手にずしりと手渡されます。 ――「閲覧目的の」の周辺から 活字印刷物は人間の記憶の集積所で、関心がなければゴミの山にすぎない。しかし、目的の周辺にとつじょキラキラと宝石が現れる。それが一つの連想で知恵のリングをつくる。ふしぎな錬金術の世界。そう、本を読む者にとって、この宝石をみつけるのが至福なのだ。 閲覧室で昭和13年4月号の雑誌を読む著者は、この中におさめられた俳句を読み詩について語る。 詩は、リルケもいうように、経験の産物でなくてはならない。一行の句のなかにも、詩人が見たいくつかの憂い、生活体験の結晶が岩塩のようににじみ出る。魂が一つのものとして静かに語るのだ。詩が詩でありうるのは、この象徴性によってである。――書物共同体の一例 ここでは、昭和28年に出した『変革期における人間と社会』(マンハイム著)を引いている。 著者は種おろしであり、出版者は苗をそだてる人であり、古本屋と図書館とは刈り入れて整理し保存する人である。これを全うするには何よりも書物に対し目をあかるくし、批評眼を養わねばならぬ。 『本は生まれる。そして、それから』は幻戯書房、最初の刊行本です。 幻戯書房の出版理念に、敗戦日を原点に、出版文化の基本に徹した刊行をとあります。 読者のひとりとして、『本は生まれる。そして、それから』の刊行に心から感謝を――。 【著者】小尾 俊人 おび・としと 1922(大正11)年、長野県に生れる。1940(昭和15)年、出版業に入る。(1943年まで羽田書店に勤務。軍隊生活ののち、1945年、山崎六郎、清水丈男とともに「みすず書房」を創業。1990年退職。) 著書に『本が生まれるまで』(築地書館)、編著『ゾルゲ事件』(3巻)、山路愛山『史論集』(みすず書房)など。 |
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Last Modified: 2004/03/24
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