2003年BL出版 新刊情報

2003年8月・9月刊行

ぼくは きみの
ミスター


トーマス・ヴィンディング 作
ヴォルフ・エァルブルッフ 絵
小森香織 訳

ISBN 4-7764-0019-7
本体1300円+税
デザートタウン

ボニー・ガイサート 文
アーサー・ガイサート 絵
久美沙織 訳

ISBN 4-7764-0024-3
本体1500円+税
幻燈サーカス

ささめやゆき
中澤晶子

ISBN 4-7764-0023-5
本体1800円+税
ナーサリー・クライムズ
しちめんどうくさい七面鳥盗難事件

アーサー・ガイサート 作
久美沙織 訳

ISBN 4-7764-0027-8
本体1300円+税
ある日一匹の犬がわたしの家にやってきて一緒に暮らしたいと言った。これがミスターとの出会い。
テーブルで食事をすることや、ベッドでねむることが好きなミスター。でも、一番好きなのはおはなしを聞くこと。聞いたことのある、昔話がちょっぴりアレンジされているおはなしの数々。そのおはなしに対するミスターの感想が楽しい。
アメリカ西部の砂漠地帯にあるたくさんの町。ガイサート夫妻が、その小さな町の1年の暮らしを描いている。
夏の暑さはことさらきびしく、仕事はたいてい涼しい夜にする。子どもたちのボール遊びも涼しい夜。洗濯ものはおひさまがのぼる前には干して、朝ご飯がすむころには乾いている。秋の風は強く、冬の大雪はめったにない砂漠の小さな町。短い春がすぎれば、また夏――。
さぁ、いらっしゃい、いらっしゃい。
幻燈サーカスがはじまるよ。
切符はちゃんと持っている?
では、静かにテントの中に入ってみよう。

ガラスに直接アクリル画で描く「ガラス絵」という画法で描かれている。透明感と幻想が混じり合い、サーカスという日常から離れた特別の空気をかもしだしている。
あなたもぜひテントの中へ。
アメリカでは11月第4木曜日はサンクスギビングデー。
一年の収穫を祝い、家族が集まるこの日に食べるものは、七面鳥の丸焼きとパンプキンパイ!
この絵本では、トピアリー(植物を人工的なかたちに整えたもの)の大きな七面鳥が登場する。

1ダースもの子どもがいるジャンボ夫妻は表紙からわかるように人間ではなくブタ。仲の良い家族は、困難な七面鳥事件解決に向けて一致団結する。
【作者】トーマス・ヴィンディング Thomas WINDING 1936年生まれ。1978年に初めての本を出版。以来、多くの子どもの本を手がけるが、小さな犬が登場する当シリーズで国際的な評価を得ている。

【画家】ヴォルフ・エァルブルッフ Wolf ERLBRUCH
1948年、ドイツのヴッパータールに生まれる。1992年のドイツ児童文学賞ほか数々の賞を受賞している。作品に『レオナルド』『すてきなよるに』『マイヤー夫人のしんぱいのたねは?』(BL出版)など。ヴッパータール美術大学で教えている。

【訳者】小森香織 1958年東京生まれ。第14回小さな童話大賞を受賞。作品に『お月さまのたまご』(学習研究社)、橋本香織の名前で『そばにいてあげる』(原生林)、『五月の力』(BL出版)。訳書に『おこりんぼママ』(小学館)、『あるといいな』(BL出版)など多数。
【作者・画家】ボニー&アーサー・ガイサート Bonnie & Arthur GEISERT 本書はガイサート夫妻の共作絵本。夫のアーサーは、1978年国際版画ビエンナーレで受賞した実力ある銅版画家で、作品はサンフランシスコ近代美術館をはじめ、アメリカ各地の美術館に展示されている。絵本に『洪水のあとで』(こぐま社)、『ヘイスタック』『コブタをかぞえてIからMM』『プレーリータウン』(以上、BL出版)など多数。アメリカ、イリノイ州ガレナ在住。

【訳者】久美沙織 岩手県盛岡市生まれ。上智大学文学部哲学科卒業。在学中、「小説ジュニア」にてデビュー。SF、ファンタジー、ミステリー、エッセイ、絵本の翻訳など多岐にわたる分野で活躍している。犬、猫、鷹などと共に軽井沢に在住。
【画家】ささめやゆき 1943年、東京に生まれる。24歳から絵を志す。フランス、ニューヨークなど海外での模索時期を経て帰国。絵本・挿絵の分野で著書多数。また『ほんとうらしくうそらしく』(筑摩書房)で、エッセイにも冴えをみせる。本名で『細谷正之銅版画集』(架空社)がある。挿絵の仕事に対して1999年に講談社出版文化賞さし絵賞受賞。

【文】中澤晶子 1953年、名古屋市に生まれる。現在広告制作のディレクター。コピーライター。32歳から児童向けの小説を書く。1991年に『ジグゾーステーション』(汐文社)で野間児童文芸新人賞受賞。この作品を含め、これまでに出版されたものの大半は、ささめや氏の挿画によるもの。本書は、かつてロシア語訳でも出版された画文集『テントの旅人』(ささめやゆき/画 汐文社)の続編ともいえる作品になった。
【作・画】アーサー・ガイサート Arther GEISERT 1978年国際版画ビエンナーレで受賞した実力派の銅版画家。妻であるボニー・ガイサートと共作で、アメリカの小さな町の一年を描いた『プレーリータウン』『リバータウン』『マウンテンタウン』『デザートタウン』(BL出版)など多数。

【訳者】久美沙織 岩手県盛岡市生まれ。上智大学文学部哲学科卒業。在学中、「小説ジュニア」にてデビュー。SF、ファンタジー、ミステリー、エッセイ、絵本の翻訳など多岐にわたる分野で活躍している。犬、猫、鷹などと共に軽井沢に在住。


2003年5月刊行

さあ、羽をあげるよ:表紙

さあ、羽をあげるよ


ジャック・タラヴァン
ピーター・シス
いしづちひろ

ISBN 4-7764-0013-8
定価(本体1300円+税)


昔むかし、神さまがこの世をおつくりになったばかりのころのお話です――。

この言葉で、絵本の物語がはじまります。
どこか遠い国からやってきた、ひとりの小さな男の子。
彼の背中のかごには、たくさんの羽が入っています。
そして、そのかごはいくら羽をとりだしも空っぽになることはありません。
男の子は羽を贈り物にします。
ツバメには、ナイフのようにとがった黒い羽、
トンボやセミにはすきとおった羽、
そして風車のためには木の羽を。
羽をわたしながら歌を歌う男の子、
でもだんだん疲れてきて木の下でひとやすみ、すると……。


息子への誕生日プレゼントとして書きあげた物語。
この小さな男の子は息子さんなのでしょうか。
愛情をそそいだ物語に、ピーター・シスが絵を描きました。
男の子のいろんな表情をみていると、なぜだかきれいな気持ちになるようです。



【作者】ジャック・タラヴァン Jacques Taravant フランスの元外交官。息子Jean-Marienの6歳の誕生祝いにこの物語を書いた。後に息子のBrunoが書き直して「ル・モンド」に発表した。1991年没。

【画家】ピーター・シス Peter Sis 1949年、プラハ生まれ。プラハとロンドンで絵画を学ぶ。作品に、コールデコット・オナーブックに選ばれた『星の使者』(徳間書店)、『コモドっ!』『オーシャンワールド』『とおいとおい北の国のちいさなほら話』『マドレンカ』『わたしはバレリーナ』「マットくん」シリーズ(以上BL出版)など。

【訳者】石津ちひろ 1953年愛媛県生まれ。『まさかさかさま』(河出書房新社)、『しりとりあいうえお』(偕成社)など、ことばあそびの本を多数出版。翻訳作品に『マールとジャスパーの ごちそうをさがせ!』『むしゃ! むしゃ! むしゃ!』(BL出版)、「リサとガスパール」シリーズ(ブロンズ新社)など。



2003年3月・4月刊行

モーゼスおばあさんの四季:表紙
モーゼスおばあさんの四季
絵と自伝でたどるモーゼスおばあさんの世界

編・詩 W.ニコラ・リサ
訳 加藤恭子 和田敦子

ISBN 4-7764-0007-3
本体1500円+税
デリラ
やんちゃな子ひつじのおはなし

作 ジョン・ベーメルマンス・マルシアーノ
訳 いしいむつみ

ISBN 4-7764-0011-1
定価 1300円+税

モーゼスおばあさんの四季

わたしの生涯というのは、一生懸命に働いた一日のようなものでした
 ―― アンナ・メアリー・ロバートソン・モーゼス

農家の主婦として、また母としてのつとめをよくわかった、意志の強い働き者の一人の女性が、芸術への興味を開花させ、画家として世に知られるようになったのは、彼女が80歳になってからのことでした。自然を愛し、周囲の人々や出来事への感謝の気持ちを忘れない――モーゼスおばあさんの生き方は、作品や自伝を通して多くの人々の心をとらえることでしょう。

【編・詩】W.ニコラ・リサ W.Nicola-Lisa イリノイ州ナショナル・ルイス大学で教育学の教授として教壇に立つ一方、作家として子どものための本を執筆。"One Hole in the Road"(絵ダン・ヤッカリーノ)など数多くの作品を発表。画家である妻のバーバラ・クーパーと共にシカゴに在住。

アンナ・メアリー・ロバートソン・モーゼス Anna Mary Robertson Moses 「モーゼスおばあさん」として知られ、20世紀アメリカで最も愛された画家の一人。創造力にあふれ勤勉だった彼女は、生涯の大半を、ヴァージニア州とニューヨーク州北部で、農場と家族の世話に費やした。絵が見出され世に発表されたのは、80歳直前の事だった。101歳で生涯を終えた時、モーゼスおばあさんはアメリカのスターとなっていた。

【訳者】加藤恭子 1929年東京生まれ。1953年早稲田大学文学部仏文科卒業と同時に渡米留学。1957年ワシントン大学修士号。1959年米国より仏政奨学生としてナンシイ大学留学。1965年早稲田大学大学院博士課程を経て、現在(財)地域社会研究所理事。著書に『日本を愛した科学者』(日本エッセイストクラブ賞受賞、ジャパンタイムズ)、『アーサー王伝説紀行』(中公新書)など多数。

【訳者】和田敦子 1945年東京生まれ。学習院大学英文科卒。K.M.G会員。共訳に『中世貴族の華麗な食卓』(原書房)など。


デリラ

「マドレーヌ」シリーズのベーメルマンスの孫にあたる作者が描いたはじめてのオリジナル絵本!

デリラはひつじ
やんちゃな子ひつじ。
“ひつじ工場”では
できのわるいひつじだったけど、
レッドにとってはかけがえのないひつじ。
ひつじがふえれば、毎日がもっとたのしくなる
レッドはそうかんがえました。ところが……。

【作者】ジョン・ベーメルマンス・マルシアーノ John Bemelmans MARCIANO 「マドレーヌ」シリーズの作者、ルードイッヒ・ベーメルマンスの孫にあたる。独学で絵画を学び、祖父の遺作"Life and Art of Madeline's Creator"や"Madeline Says Merci"を完成させた。オリジナルの絵本はこの作品が初めて。コロンビア大学卒業後、いくつかの仕事を経て、作家を志す。現在は、ニュージャージー州スリーブリッジにアトリエを構えている。そこは100年前のデパートを改装した建物の中にあり、彼が生まれ育った牧場が見える。

【訳者】石井睦美 1957年神奈川県生まれ。『五月のはじめ、日曜日の朝』(岩崎書店)で第3回毎日新聞小さな童話大賞、新美南吉児童文学賞を受賞。作品に『ビッグバンのてんじくネズミ』(文溪堂)、『おいでおいでの木においで』(教育画劇)、『卵と小麦粉それからマドレーヌ』(BL出版)など多数。そのほか、絵本の翻訳に『いろいろいろんな日』『しんぱいしんぱいウェンベリー』(ともにBL出版)などがある。


2002年11月刊行

風車小屋ねこカッチェ 風車小屋ねこカッチェ

原題:"Katje the Windmill Cat"
グレッチェン・ウェルフレ 文
ニコラ・ベイリー 絵
今江祥智&遠藤育枝 訳

ISBN 4-89238-544-1
定価 1400円+税

 風車小屋の粉ひき職人、ニコの飼い猫カッチェはたいそうな利口者。小屋からネズミを追い払い、ニコの仕事を助けながら、愉快に暮らしていた。そんな楽しい生活も、ニコにお嫁さんが来てからがらりと変わってしまった。きれい好きのお嫁さんは、カッチェが床に足跡をつけるのも、生まれたての赤ちゃんと遊ぶのもいやがった。赤ちゃんとカッチェはとても仲良しなのに。そんなある日、村が嵐におそわれて大洪水になってしまった。あぶない、ニコの家に水が……。

 この昔話ふうの愛らしい物語は、15世紀のオランダでほんとうにあった出来事をもとに書かれている。そのお話に、画家ニコラ・ベイリーが、この上なくやさしくあたたかい肌合いの絵を添えた。猫の絵を描かせたら右に出る者はいないと言われるベイリー、この絵本でも猫の姿態や表情を深い愛情を込めて描いている。嬉しくてお腹を上にして寝ころぶカッチェ。洪水に呑まれてずぶぬれのカッチェ。髭の先にも肉球にも、画家の猫への思いがこぼれるようだ。これまでの細密画風の密度の濃い作風がやや抑えられ、水彩色鉛筆の味わいをうまく生かしたソフトで愛嬌のある絵に仕上がっており、それがお話の雰囲気によく合っている。各ページに配された、オランダ特産のデルフトタイルの絵柄が、お話の内容に絡んでいてなかなか面白い。若草のような薄緑色の瞳のカッチェは、画家にいつも寄り添う愛猫パンジーがモデルだという。

(やまねこ翻訳クラブ会員 中務秀子)
「月刊児童文学翻訳」2002年6月号より


【作者】グレッチェン・ウェルフレ Gretchen Woelfle  作家。子どもたちのための物語を多く書いている。この作品はオランダを旅行中、1421年の実際におきた洪水で、猫と赤ちゃんが生きのびたという話を聞いたことから生まれた。アメリカ、カリフォルニア在住。

【画家】ニコラ・ベイリー Nicola Bayley  王立美術大学で絵画を学び、『マザーグースのうたがきこえる』(ほるぷ出版)でデビュー。イギリスで最も愛されているイラストレーターの一人である。作品に『パッチワークだいすきねこ』『あそぼうよったら おやゆびさん』(BL出版)など。

【訳者】今江祥智 いまえ よしとも 童話作家。絵本『ぼくのスミレちゃん』(旬報社)、小説『袂のなかで』(マガジンハウス)、エッセイ集『私の寄港地』(原生林)の他、翻訳作品に上記ベイリー作品など多数。
【訳者】遠藤 育枝 えんどう いくえ アメリカ・シモンズ大学で児童文学を学ぶ。現在、京都精華大学で児童文学と英語を教えている。訳書に『地下鉄少年スレイク』(原生林)『ローザからキスをいっぱい』(BL出版)など多数。


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Last Modified: 2003/10/14
担当:さかな
HTML編集: 出版翻訳ネットワークやまねこ翻訳クラブ