2004年3月刊行2003年ユネスコ児童書賞 受賞作品
ペドロは誕生日に両親からボールをもらいました。 それはペドロの欲しい革製のボールではなく、軽いビニールのボールでしたので、ペドロはとてもがっかりしました。 それでも、ペドロは近所の友達とそのボールでサッカーをして楽しみます。 遊んでいる時、友達のダニエルのお父さんが銃をかまえた軍人につれされていくのを見ました。 その後、学校でペドロたちは作文を書くことになります。 作文の題はあらかじめ決まっていて、それは「わが家の夜のすごしかた」です。 表紙の絵はペドロが作文を読んでいるところでしょう。 そのうしろには、ものものしい制服を着た大人たちがいます。 この絵本の物語はチリの軍事政権をモデルにしています。 はじめは、チリ本国では発表できず、フランスのルモンド紙に掲載されました。その後、ドイツやイタリアでラジオ朗読されて注目を集め、最初の発表から20年以上を経た2000年、ベネズエラで絵本としてスペイン語で刊行されたそうです。 硬質な絵に、端正な文章――。 難しく抗いがたい空気の中で育つ子どもがいます。絵本から伝わるものをしっかり受けとめよう、そう思いました。 【作者】アントニオ・スカルメタ 1940年、アントファガスタ(チリ)生まれ。映画『イルポスティーノ』の原作『ネルーダの郵便配達人』を初めとする小説で、多数の文学賞を受賞。『ペドロの作文』は、2003年度ユネスコ児童書賞のほかに、2000年度バルセロナ=カタルーニャ書店組合賞、2000年度バンコ・デ・リブロ優良図書(ベネズエラ)、などを受賞している。 |
2003年7月刊行
ぼくはブエノスアイレスからフランスへ移り住んだ。 この物語の背景となっているのは、1976年から1983年まで続いたアルゼンチンの軍事独裁です。 「ぼく」の家族は、ふるさとアルゼンチン、ブエノスアイレスを出て、フランスで暮らすことにしたのです。 食べ物や生活習慣、言葉、さまざまな壁をのりこえながら、 ネグロという友人を得た「ぼく」は冒険します。 さて、どこへ行くのでしょう。 翻訳者、宇野和美さんが、スペイン留学中に見つけた本だそうです。 総ルビの本なので、子どもはもちろん、大人まで幅広く読まれますよう――。 【作者】オスバルド・ソリアーノ 1944年、アルゼンチンの大西洋岸の町マル・デル・プラタで生まれる。ジャーナリストとして活躍するかたわら、1970年代から大人の読者向けの小説・短編を数多く発表、高い評価を得る。軍事独裁時代は亡命していた。1997年没。 【画家】ファビアン・ネグリン 1963年アルゼンチンで生まれる。1989年よりイタリア在住。イタリアをはじめヨーロッパ各国で、イラストレーターとして活躍中。 【訳者】宇野和美 1960年生まれ。大学卒業後、出版社勤務を経て、スペイン語児童文学翻訳に携わる。1999年から2年半バルセロナへ留学。訳書に『イスカンダルと伝説の庭園』(徳間書店)、『まどをひらけば』(ほるぷ出版)など。メールマガジン「月刊児童文学翻訳」2000年9月号にインタビュー掲載。 |
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Last Modified: 2004/04/21
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