2003年4月刊行
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クララは歩かなくてはいけないの?
少女小説にみる死と障害と治癒
TAKE UP THY BED AND WALK
ロイス・キース 著
藤田 真利子 訳
ISBN 4-7503-1716-0
定価(本体2600円+税)
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今も読み継がれる名作に潜む、障害観、死生観とは?
目次
謝 辞
本書で取り上げた主な作品と作家
序 章
第一章 罰と憐れみ
第二章 『ジェイン・エア』と『若草物語』の臨終場面
第三章 『すてきなケティ』スーザン・クーリッジ
第四章 『ハイジ』のクララと『秘密の花園』のコリン
第五章 『少女ポリアンナ』と『ポリアンナの青春』
第六章 『リバーハウスの虹』エセル・ターナー
第七章 作家が次にしたこと
結 論
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『ハイジ』や『秘密の花園』、『若草物語』、『ジェイン・エア』、『少女ポリアンナ』などの古典作品で、障害や病、死はどのように描かれているのだろう? その描写を検証することにより、障害が弱さや罪の象徴として文学作品のなかで使われていたこと、さらには、読者(少女たち)に「従順さ」を学ばせるために、障害や病、死がメタファーとしてどのように利用されていたかを浮き彫りにする。
障害を「克服する」物語が人気を得ているのはなぜか。
がんばれば、障害は治癒するのか。
よく知られている名作が書かれた背景を読み解き、ヒロインたちに隠されていた「女性像」を検証する。
また、本書では各章ごとに印象的な引用が記されている。
最後の「結論」で引用されているのを紹介する。
比喩の世界では、病は検査や手術によって治癒する必要はない。容赦や愛情によって治癒できるのだ。
1997年12月2日付け「ガーディアン」紙
リンダ・グラント記者
自分自身で癌を治せると信じていた作家、
キャシー・アッカーの死亡記事から
【作者】ロイス・キース(Lois Keith)
作家、大学講師。障害者の権利のための活動をしている。編著にMustn't Grumble: Writing by Disabled Women(The Women's Press, 1994〔1994年度のMIND最優秀図書賞を受賞〕)、著書に十代向けの小説A Different Life(The Women's Press, 1997〔1998年のブックトラスト・ベスト100に入選〕)、子ども向けのThink About People Who Use Wheelchairs(『車いすの人たち』2000年、小峰書店、茂木俊彦監訳、京兼玲子訳〔1999年のNASEN特殊教育賞の最終選抜候補〕)。このほか2003年春に大人向けの小説Out of Place (Crocus Books)を発表。2002年には日本のNHK他が主催した「第2回世界ハート展」のロンドン展で詩の選考委員を務めた。現在、夫と2人の娘とともにロンドンで暮らしている。
【訳者】藤田真利子(ふじた まりこ)
英仏翻訳家。東北大学仏文科卒業。主な訳書にコリン・エヴァンス著『不完全犯罪ファイル』、スティーブン・トロンブレイ著『優生思想の歴史』、ノーム・チョムスキー著『グローバリズムは世界を破壊する プロパガンダと民意』(以上明石書店)、ロベール・バダンテール著『死刑執行』(新潮社)、ジョルジュ・ヴィガレロ著『強姦の歴史』(作品社)、ジャン=クロード・コフマン著『女の身体、男の視線』(新評論)。著書に『男たらし論』(平凡社、共著)があるに住んでいる。趣味は“R&D”(ライディング)とドライブ。
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