やまねこの部屋より 
☆読んでみるとこれがびっくり! おもしろいのなんの。ワトソン家の次男坊ケニーの一人称で綴られたごく平凡な日常が展開するのですが、これが抱腹絶倒! なんといっても不良の兄貴バイロンのばかばかしくも愛すべきキャラクターは抜群です。次はなにをやらかしてくれるのかと、ゲラゲラ笑いながら読み進みましたよ。ときどき、じんわりと胸を打つエピソードに涙目になりながらも。そして、読んでいくうちにこの物語には実はとても重いテーマがひそんでいたことに気づくことになるのです。
原題は The Watosons Go to Birmingham--1963 というのですが、1963年のアラバマ州バーミングハムといえば、もしかしたらピンとくる方もいるかもしれません。(主夫)
☆正直言って、泣きました。もう最後は泣きっぱなしでした。……(1963年のアラバマで)あんな事件があったなんて知りませんでした。そして、ワトソン一家の愛の絆の素晴らしさに本当に感動しました。……本当にいい作品だと思います。最後は泣くと書きましたが、全くじめじめしていません。最後までからっとしていて、それでいてじんわり感動できる本です。(ベス)
☆やはりお兄ちゃんのバイロンが好きになりました。ティーンになってから、どんどん悪いことをするようになるのですが、あちこちに弟のケニーに対する優しさを感じます。でも、べたべたした優しさではなくて、からっと、さりげないんです。ケニーは、ある身体的な特徴で悩んでいるのですが、そのときの一言もよかったですし、なんといっても最後のふたりの会話は、もう……。
私は、小学生に英語を教えています。ある日小学5年生のクラスにインド系アメリカ人の講師が、レッスンに来ました。彼女が自己紹介をすると「インド」人という言葉に生徒が笑いました。さらに「黒人」や「アフリカ」という言葉をネタにひそひそと。。。これは問題だと思い、彼女と私はまじめに人種や肌の色について生徒たちに話をしました。英語を習うと同時に、そういうことの大切さも知ってほしいと言いました。ああ、そのときにこの本のことを知っていたら! ぜったい読ませたのに。今度チャンスがあれば、すすめてみようと思っています。(Chicoco)
☆私は――どうしてもそうなってしまうのですが――やはりこの一家の親子関係に深い関心を抱きつつ読みました。両親の存在感がほんとうにすごい。それもただ「単に立派」というのではなく、どこかすっとぼけていて失敗もすれば子どもっぽいところもある。でも大事なところでは一歩も引かない。それがとても人間味を感じさせます。
「おまえは父ちゃんや母ちゃんの失敗したとこを見て、学べばいい。父ちゃんたちが、自分の親から学んできたみたいにな」この父ちゃんの言葉、いいですねえ。自信と信頼があるから言えるんだなあ。(BUN)
☆家族っていいなあと、兄弟っていいなあと、心から思いました。わたし自身、姉が二人いて、時にはいじめられたり、喧嘩して泣かされたりしながらも、子どもの頃から姉の影響をみっしり受けて大きくなりましたし、ケニーのように、つらいときには姉に助けてもらったりしました。……自分が親になったときに読み返してみたいと思いました。
人種差別という根の深い問題を、子どもの傷つきやすい目と心を通して提示し、そういう理不尽な暴力に対抗する力として、家族の愛情を描いている、笑いもたくさんあるし、最後は涙で、本当にいいお話ですね。(くるり)
☆笑いあり、涙ありのお話で、一気に読んでしまいました。一家の楽しいエピソードの裏には、人種差別という重たいテーマが隠されているのですが、物語が暗く沈み込むことなく展開するので、読みやすく大変楽しい作品になっています。本書を読み終わり、あらためて日本での差別問題を考えさせられました。(YUU)
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