〈1998.9.21 Thank
You! フェントンくん!〉
副題 「そして、終わりは突然に……」
某月某日
生来忍耐力の欠乏している我軍は、秋風とともに飽きてきたような気配をただよわせていた。そんなある日の午後。外遊からもどった私は、パソコン横の定位置に鎮座まします『フェントンくん2』の姿が見当たらない事に気づく。ありゃ、また書類の束に埋もれているのか? とあたりを見回し、視界にTの姿を捉える。ごろんと大胆にも戦地に横たわるTの片手が置かれているのは、な、なんとフェんトンくん。
「読んでみよっかなー」
「へっ? あ、はい、どーぞどーぞ」 突然客引きモードになる当方。私は確かにめまいを感じた。うそー。読んでるよー。
以後、実況録画
……黙々。突然「いるよー。こーゆーやなやつ。うちの学校にも」 中断。しばらく自分のクラスの“いやなやつ”の話になる。
再び黙々。笑い出す。「ガギーだって。でもさー、ぼくならガキーにするなー。そのほうが面白いよー」
食事のため中断。再び黙々。声をかけられない。わたしの100倍集中力あり。時々げらげら笑い転げる。(ん? そんなに笑うか?)今度はかぎづめのところで恐竜の講義をはじめる。(はいはい、わかりました)
「ポップコーン味のガム?げっ!」…… 黙々。……「おーい、みつかるぞー。にげろよ、はやく。とろいなー」(言葉遣い悪いです。反省★)「でもトラクエってすごいよねー、アメリカにあるのかなー」(とほほ)
そして最後。またまた大爆笑。「ばかだねーこいつら」 読了。さらに一言。「これって、フィクションじゃないのー? 作ってるよー」(ばかだねー!<姉)「あっ、そうか。ははは」 その後ずーっと、フェントンくんの話を続ける、吉本系。
あくる日
地図でなにやら探している。「モーガンってどこかな? ワイオミング州でしょ? あっ、シャイアンあった。ラッキー。あれ、モーガンないよー」
どれどれ、と父親出動。「おっ、ララミー牧場だな!」
「ちがうでしょー!」 と父子の会話。残念ながら我家の地図には載っていない。あとで図書館へ行って調べる事になった。
「モーガンと言えば、」とさらに父子の会話はつづく。むかしアメリカでモルガナイトという宝石が発見されたそうで、恐竜の化石があるならきっと同じモーガンではないか? それで富を築いた人がいるらしい。
「それってモルガン財閥?<私」
こどもたちにはたくさん本を読んで欲しいと思います。だから好き嫌いは禁物です。世間では食べ物の好き嫌いはうるさく言うのに、本の好き嫌いはあまり怒られないでしょ? 逆に、「一つのことに一生懸命でいい。」なんて誉められる。気がつかない人も多い。本を読んでいれば、それだけで安心してしまう。これだめ!
だから私は、誰にでも言います。「これ読め! あれ読め!」って。しつこいおばさんです。
翻訳物は、とくに物語は、世界を教えてくれます。日本は、他国と地続きではないですから。人種も文化も歴史も考え方も違う。「百聞は一見にしかず。」というけれど、「百読は百見に値する」こともありますよね。
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